表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/30

第14話 「好きな食べ物と座白君の答え」

昼休み、校舎裏のベンチで。穏やかな秋風が吹き、黒塚先輩が缶コーヒーを片手に座白に問いかけた。


「座白君」

「……なんですか」

「好きな食べ物ってある?」


唐突な質問に、座白は一瞬だけ考え込み、淡々と答える。

「……特にこれといったものはありませんね」

「え、まったくないの?」

「そうですね。強いて言えば、シンプルなものが好きです。例えば、焼き魚とか卵焼きとか」


黒塚は少し驚いたような顔をしてから、満足げに頷く。

「ふむ、健康的ね。でも、それじゃあちょっと地味じゃない?」

「……地味ですか」

「だって、好きな食べ物って聞かれて『焼き魚』って答える高校生、なかなかいないと思うわ」


その指摘に、座白は少しだけ肩をすくめた。

「まあ、派手さを求めてるわけじゃないので」

「じゃあ、甘いものとかスパイシーなものは?」

「甘いものは嫌いじゃないですけど、食べすぎるとくどく感じます。スパイシーなものは……気分次第ですね」


黒塚はその冷静すぎる答えに、少しだけ困ったような表情を浮かべる。

「ふふ、なんだか意外ね。座白君って、もっと無難なことしか言わないかと思ったけど、案外こだわりがあるのね」

「いや、こだわりってほどのものでもないですけど」


黒塚は缶コーヒーを飲みながら、ふと思いついたように尋ねる。

「じゃあ、誰かと一緒にご飯を食べるとしたら、何を選ぶ?」

「……そうですね。その人が好きそうなものを選びます」


その答えに、黒塚は少しだけ目を見開いた。

「へえ、意外と気を遣うのね」

「先輩と一緒だったら、何を選んでも文句を言いそうですけど」

「ひどいわね。でも、そういう座白君と食べるなら……私も気を遣わずに楽しめそう」


黒塚は微笑みながら、座白をじっと見つめる。その視線に気づいた座白は、軽くため息をつきながら言った。

「……先輩の好きな食べ物を聞く流れなんですか、これは」

「え? 私は、好きなものならなんでも好きよ」

「それ、好きなものが多すぎて逆に分かりませんね」


二人のやり取りはいつも通り、どこか噛み合っているようで噛み合わないまま続いていく。それでも、そこには不思議と穏やかな空気が流れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ