表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/30

第13話 「手の大きさと黒塚先輩の提案」

夕暮れ時の屋上。秋の風が心地よく吹く中、黒塚先輩が座白君をじっと見つめていた。いつものように唐突な質問が飛んでくる。


「座白君、手の大きさって気にしたことある?」

「……あまりありませんね。どうしてですか」

「手が大きい人と小さい人って、なんだか不思議な違いがあると思わない?」


座白は少し首をかしげながら答える。

「違いって……具体的にはどういうことですか?」

「例えば、指が長い人はピアノが得意そうとか、手が大きいと力が強そうとか。そんなイメージがあるわ」


黒塚の言葉に、座白は少し考え込む。

「まあ、遺伝が関係しているって話は聞いたことがありますね。手の形や大きさも、家族で似ることが多いですし」

「そう、遺伝」

黒塚は満足げに頷きながら、ふっと自分の手を広げた。夕陽に照らされるその手は、細く長い指が印象的だった。


「じゃあ、座白君。ちょっと手を出してみて」

「……え?」

「いいから、ほら」


彼女に促され、座白は少し戸惑いながらも自分の手を差し出す。黒塚はその手に自分の手を重ねた。二人の手のひらがぴったりと合わさり、黒塚が微笑む。


「こうすると、手の大きさや形がよく分かるわね。それに……体温も感じる」

「……なんでこんなことをするんですか」

「ただの確認よ。私の手、座白君のより少し小さいわね」


彼女はその言葉を楽しむように呟きながら、目を細めて手を外す。座白は軽く息をついて冷静に応じた。

「当たり前じゃないですか。男性の方が一般的に手が大きいですから」

「でも、少しだけ触れてみると、自分とは違う形や温度を感じる。それが面白いのよ」


その言葉に、座白は一瞬考え込む。たしかに、手を合わせることで何かを感じるというのは、普段あまり意識しない感覚だった。


「……先輩は、こういうことをする理由を何か考えてるんですか」

「ううん、理由はない。ただ、手のひらを合わせるのって、どこか安心するでしょ?」


黒塚の言葉には、どこか柔らかい響きがあった。座白はそれ以上何も言わず、夕陽を眺める。二人の間に静かな時間が流れる。


「ねえ、座白君」

「はい」

「また思いついたら、手を合わせてみていい?」

「……別に構いませんけど、何の意味があるんですか」

「意味なんてない。ただ、私がそうしたいだけ」


黒塚は微笑みながら、風に吹かれる髪をかき上げた。その表情はどこか満足げだった。座白は苦笑しつつも、彼女の言葉を否定する気にはなれなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ