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糜芳andあふた~  作者: いいいよかん
92/111

その6

読んでくださっている方々へ


え~と漸く、漸く書けました。


長らく間が空いて、申し訳有りません。


夏バテが治らず、思考も纏まらず、ズルズルと長引いてしまいました。


申し訳有りませんが、まだ治っていないので、しばらく又間が空くことに、ご理解ご協力をお願い致します。

         兗州・酸棗地域


ワァァァッッ!ギィィンッ!カァァン!


此処、兗州・酸棗に於いて、鮑信・曹操連盟軍と董卓軍の支軍(分隊)が激突、干戈を交えて激しく争っていた。


「死ねやぁ!ボケ共がぁ!!」

「ヒャッハァ!オラオラァ!」

「ヒィイ!?た、助け!?」

「や、やめっ!ぐわぁぁっ!?」

しかしながら激しく争っている内容は、装備がまちまちの荒くれ者=涼州兵が、装備が整っている一般兵=連盟軍を、一方的に蹂躙している状況だった。


「怯むなぁ者共ぉ!!

引けば直のこと、己の命を落とすだけだぁ!

前を向けぇ!前に向かえぇぇ!・・・ムン!!」

前線で怖じ気づく兵を叱咤激励し、掛かってくる涼州兵を、気合い一閃斬り捨てる夏侯惇。


「バラけるな!連携しろ!伍隊の隊形を崩せば、即座に狙われるぞ!・・・!?」

「くはっっ・・・。」

夏侯惇の不意を突こうとした涼州兵が、ドサッと頭に矢を生やし倒れる。


「惇兄も自分の身辺に気をつけろ!

撤退命令が出たぞ惇兄!撤退するんだ!」

幾つかの戦傷をこさえた夏侯淵が、口に泡を飛ばして兄貴分の夏侯惇に知らせる。


「は!?何故に!?」

「鮑信軍の副将である、鮑信殿の弟御が戦死した!

鮑信軍の戦線が崩壊して、ドンドン董卓軍に押し込まれてるらしい!

このままだと我らは孤立してしまう、早く!!」

撤退理由を述べて、夏侯惇の袖を掴んで引っ張り、即座の撤退を促した。


「く、そうか・・・者共ぉ退くぞ、退けぇ!!

淵!殿(しんがり)は俺がするから、退路の確保を!」

「承知!後尻(あとじり)は頼んだ!」

「者共ぉ!!いつも通りに頼むぞ!」

よく通る声で剣を右に振り、伝令兵に撤退の鉦を鳴らさして、殿に備えて自分の親衛隊を再配置し、敗残処理に専念するのであった。


そして・・・


        兗州・酸棗曹操軍本陣


「殿!夏侯惇様、無事に御帰還なさいました!」

「・・・・・・。」

伝令兵の報告の直後に、自分と敵兵の血に染まった鎧を纏った夏侯惇が、無言で本陣に現れて、ドカリと曹操の左脇に座る。


「ご苦労、惇。」

「ふん、毎度毎度と殿をするだけの繰り返しだ。

ハナから負け戦続きで、士気もドンドン落ち込んでいるし、脱走者が増えて軍が崩壊しかねん。

このままではジリ貧で、八方塞がりだぞ操?」

前線での激しい口調は鳴りを潜め、落ち着いた口調で、現場の現状を憂慮して伝える。


「それは逆だ惇。

敢えて攻勢に出ねば、余計に兵士達が怖じ気づいて、益々状況が悪化するだけだ。」

涼州兵=騎兵の機動力を封殺する為、馬防柵を幾重にも張り巡らせた本陣を、両手を突き出した状態でクルリと回って見せ、苦笑いを浮かべる。


「そうかも知れんが・・・。

本軍である袁紹殿から、援軍なり助攻(牽制・横槍)なりは期待出来んのか?

お前は連合軍の副盟主だろう?進言して融通を利かせて貰えんのか?」

現状からの打開策を提示し、曹操に問い掛ける。


「俺が副盟主になった、いやなれたのは少しでも兵力を、宦官閥から取り込む為の方便に過ぎん。

ついでに曲がりなりにも、連合軍の中央出身者で、マトモに実戦経験が有るのは俺ぐらいだしな。

まぁ、実態は実戦経験は豊富だが、田舎者の公孫瓚や成り上がりの孫堅を、自分達の上に仰ぐのは気に食わんという、中央名士達のくだらない自尊心の妥協の末だがな。」

フンっと鼻を鳴らし、


「話を戻すが、向こうからすればこっちの方が、あちらを助攻すべき軍だから望み薄だ。

ましてや援軍なぞ望むべくも無い状態に、袁紹の本軍は陥っているらしいしな。」

肩を竦めて嘆息する。


「どういう事だ?」

「それについては私の方から・・・。」

「ん?陳宮(ちんきゅう)殿から?」

曹操の右側、夏侯惇の対面に座っている、痩せ気味の文官・陳宮が説明を始める。


陳宮は曹操が董卓から指名手配された時に、通過しようとした曹操を県令として捕縛したが、自身も宦官閥出身で明日は我が身、いつ罷免されてもおかしくない状態だったので、今や生き残った唯一といって良いぐらいの、宦官閥の大家・曹家の曹操に賭け、脱獄を幇助して行動を共にしていた。


陳宮自体も内政・軍政共に優秀な才幹を発揮し、知謀も優れている事から、新参者ながら筆頭文官兼参謀として、現在は曹操に重用されていた。


「先ほど本軍に援軍要請に送った使者が帰還、にべもなく断られたと報告と同時に、帰りがてら本軍に探りを入れた所、どうやら董卓軍約3万相手に10万余で攻勢を仕掛け、大敗した模様との事です。」

「なんと!?・・・して、損害はいかほど?」

恐る恐る尋ねる。


「おおよそですが、2~3万程は戦死して、同じぐらいの戦傷者を出す大敗北だとか。

董卓軍の死傷者は、2千に届くかどうか・・・。」

「とんでもない大惨敗ではないか!?

半分以下の軍勢に、そこまでやられるとは。」

あまりの酷い内容に、愕然とした夏侯惇。


「どうも黄巾の折りに惨敗した、董卓の戦果で過小評価し、舐めて掛かった結果のようです。」

「なんと愚かな・・・先入観であの涼州兵を舐めて掛かるとは。

涼州兵1人討つのに、こっちは4~5人は討たれるぐらいには精強なのを・・・。」

袁紹達本軍の愚行に嘆息する。


一見すると兵装がまちまちで、無秩序な軍勢に観える涼州兵だが、1人1人が戦慣れしたベテランであり、夏侯惇達の様に声を枯らして指示をせずとも、その場の現場判断で、個となり集となって行動し、曹操・鮑信軍を翻弄(ほんろう)


騎兵としての機動力も加わって曹操側の方は、攻勢に回る処か迎撃するのが精一杯、後詰めの兵を動員してやっと押し返す、という有り様で有った。


幸いにして曹操側は、補充兵(棄民・流民)に事欠かず、損耗した分はなんとか目処が立っており、反面涼州兵は騎兵故に、補充がままならない欠点を持っていたので、ジリ貧ながらも辛うじて均衡を保っている状態である。


「やはりかなり手強いですか・・・。」

「正直言って話しにならぬ。

私も含めてだが実戦未経験者の集まりと、辺境の異民族との抗争を、代々繰り広げている涼州兵。

兵も将も大人と子供ぐらいは差があるな。」

陳宮の呟きに、冷静沈着に彼我の戦力を述べる。


「なる程・・・正面切っての戦いでの勝利は難しいとなると、殿の工作が上手くいけば、少しはマシになりましたものを。」

嘆息して曹操に向き直る。


「あ!ば、バカ!?」

「うん?工作?何をしたんだ操、お前?」

「え、え~と、その・・・なぁ。」

「早く言え・・・貴様、本当に何をした?」

生まれた時からの付き合いで、ろくでもない事をしているのを察し、半眼で詰める。


「まぁそのなんだ・・・涼州牧の糜芳殿に、俺と袁紹の連名で手紙を送って、こちら側に味方する様、引き込もうとしただけだ。」

「ホゥ・・・董卓が居る司隷・洛陽の後背である、涼州の長・糜芳殿を引き込んで、董卓軍を撹乱する目論見か・・・悪くない、とでも言うと思ったのか貴様はぁ!?」

曹操の企てを吟味して理解した後、目を怒らせてゴスッとシバく。


「イ()ェ!?」

「ウチの夏侯家を助けてくれた恩義だけでなく、隠居した叔父貴(曹嵩)の世話までしてくれた恩人に対して、死地に晒す様な企み事をするとは、何考えているのだ貴様は!?

恩知らずにも程が有るだろうが!!」

「ちょっ!?落ち着いてくだされ夏侯惇殿!

陣中、陣中にございますぞ!?陣中!」

何処ぞの内匠頭(たくみのかみ)の如く曹操に追撃をしようとする夏侯惇を、必死に羽交い締めして止める陳宮。


「お前、淵や洪が聞いたら怒り狂って、本気でぶちのめされるぞ!?

特に淵なんぞ父弟を丁重に弔って貰い、姪も将来困らない様取り計らってくれた上に、一族に食糧まで援助してくれて、食糧難で我が子を見捨てずに済んだと、糜芳殿に泣いて感謝しているのだぞ!」

指差して非難する。


実は糜芳さん、前世知識で夏侯家の現在の窮地と、未来の立身出世を知っていたので、嫁さんの裏ルートを介してコッソリ援助して、夏侯家とのパイプを構築し、将来に向けての保身に余念がなかった。


「はい?いや待て待て、おい惇?

糜芳殿からの食糧援助ってなんだお前?

そんな危難に陥っていたなら、何故にコッチに言って来ないんだよ!?身内だろうが!?」

「いくら親しい身内と言えども、夏侯家の問題を曹家に言える訳ないだろ!?」

バツが悪そうな表情で反論する。


そうして暫く言い合いをしていたが、


「仕方がないだろうが!?

我々は連合軍が敗退したら、下手すると一族一門の滅亡待った無しになるんだぞ?

勝つ為には、一族一門が生き残る為には、非情とも取れる判断を下さねばならん立場なんだよ俺は!」

「ぐぬぬ・・・確かに・・・。」

一軍の将・一族一門の、棟梁の立場としての曹操の発言により、渋々納得して冷静さを取り戻した夏侯惇であった。


「しかしお前の計略は陳宮殿が言った様に、結局は失敗したのだろう?」

「ああ、ダメ元の計略だったが、アッサリ躱された挙げ句に、立身出世のタネにされてしまったよ。」

肩を竦めて苦笑する曹操。


「立身出世のタネ?」

「俺が送った書状を、そのまま封を切らずに董卓、と言うより朝廷に提出し、敢えて進退伺いをした事で「尽忠の士」として賞されて、官爵は人臣の最高位・列侯に叙され、官位は九卿の1つ・大鴻臚にお成り遊ばされたぞ糜芳殿は。

書状1つで此処まで出世したのは、空前絶後の珍事だろうな・・・ククク、ハハハハハ!」

呵々大笑して夏侯惇に告げる。


「はあ!?本当なのかそれは?」

「夏侯惇殿、間違いなく事実です。

私の持つ伝手を頼って確認した所、糜芳殿とやらは朝廷から、故郷の徐州・()県を封地として賜り、朐侯と成った様です。」

「なんともはや・・・「災い転じて福と為す」と云うが、その様な副作用が生じるとは。」

唖然とした表情で呟く。


「まぁ、実態は全国の刺史・州牧が、今上陛下の勅命を無視していて、威光がだだ下がりの中、唯一朝廷に恭順の意を示したのが、糜芳殿だったからというのが大きいがな。」

再び肩を竦めて、政治的な裏事情に苦笑する曹操。


「なる程・・・ならば過剰とも言える報奨が出るのは、当然の理だな・・・そう言う事情か。」

納得して頷く。


「しかしどうにか糜芳殿は、個人的な恩義云々抜きで、味方に引き込みたかったのは事実だ。」

「確かになぁ・・・策謀や機転が利くから、下手に敵に回すと厄介だからな。」

夏侯惇の実直な感想に、曹操も頷く。


「ほう・・・糜芳殿とやらは、殿が警戒する程の切れ者なのですか。」

「う~ん・・・思ってもみない奇想天外な考え方で、知らず知らずの内に敵対者を嵌めるのを、最も得意とする人物だな。」

「滅茶苦茶厄介な人物ですよ!それは!?」

曹操の糜芳評を聞いて、声を上げる陳宮。


何気なく糜芳は利用出来るモノは、利用しているだけなのだが、封建的な儒教社会に住んでいる人達とは違い、習慣だの儒教の教えに染まっていないので、わりかし自由な発想で盲点を突く事があり、そういった点を曹操は、糜芳を高く評価していた。


「まぁなぁ・・・汝南郡で袁家に次ぐ大家だった許家を、策謀で滅亡に追い込んでいるしなぁ。」

「え!?許家が断絶になったのは、亡き何進殿と敵対した結果、潰されたのではなかったのですか?」

マジか?といった表情で、曹操に問い質す。


「ああ、元々の要因は許家の許劭が、東海郡の太守を勤めていた糜芳殿に、己の名声でひれ伏せさそうと、ちょっかいを掛けたのが始まりでな。

仕事の邪魔をされた事でキレた糜芳殿が、亡き何進閣下を()()()()()()()()()()。」

「へ?・・・縋り付いたのではなく、一介の太守が天下の権力者をアゴで使ったと?・・・そんなバカな、荒唐無稽にも程がありましょう。

ですよね?夏侯惇殿?・・・ハハハハ・・・。」

半笑いで空虚な笑い声を上げるも、


「荒唐無稽な話しにしか聞こえないが、正真正銘本当の話しだ。

なにせ私自身が近くに侍って、直に見聞きしたから間違いない。」

生き証人が肯定する。


「しかも平身低頭処か、金銭まで渡してご機嫌をとっていたぐらいだ。」

「・・・本当に何者何です?糜芳殿とやらは?」

荒唐無稽過ぎる話に、唖然茫然とする陳宮。


「普通に仙術を使う御仁だな。

我が夏侯家一族一門の恩人でもあるが。」

「恩には恩を、怨には怨で返す人物だな。

恩の場合は当事者とその周囲にも利益をもたらし、怨の場合は当事者とその周囲にも災厄をもたらして、破滅させると言った感じだな。」

それぞれの観点で糜芳を評した。


「え~と・・・間違っても負の関わりを持たない方が良い、危険な御仁なのは理解しました。

それを踏まえて殿、糜芳殿の対処は如何に?」

大丈夫なのかオイ?といった表情で、ちょっかいを掛けた形の曹操に、水を向ける。


「・・・袁紹のアホに全力で押し付ける。

元を辿れば彼奴が、俺の名を勝手に無断使用したのが、今こうなっている要因だし。

無理矢理やらされた体でいくとする・・・と言う訳で惇、糜芳殿に弁解と機嫌取りの書状を頼むぞ。」

夏侯惇に体を向け、ポンと肩を叩いて丸投げする。


「き、貴様という奴は・・・いっつもかっつも俺に面倒事を押し付けやがって・・・ハァ・・・。」

生まれた時からの馴れ合いで、貧乏くじを引き続ける副将・夏侯惇であった。


こうしてとある破格の人の副将が、指揮官と交渉役のスーパーハードモードに突入して、せっせとご機嫌伺いをする予定の、渦中の人物はというと・・・


        司隷洛陽相国府執務室


「糜芳殿ぉ、よくぞ、よくぞ漢朝に、陛下に忠義を示してくれた!

忝い!有り難い!・・・うっうっ、うぉ~ん。」

「「正しくその通り!貴殿こそ忠臣だ!」」

「はぁ・・・どうも?」

ヤーさんの親分面に涙を浮かべて感謝し、手を取って押し戴く董卓と、同じく涙を浮かべて賞賛する、皇甫嵩と朱儁の両将軍の態度に、引きつった笑みを浮かべて、生返事をする糜芳。


周りを観れば義父である蔡邕や、盧植達もウンウンと頷いていた。


「ハハ・・・漢朝の臣として、当然の事をしたまでですから相国閣下。」

(しゃ~ないやん!?選択の余地がないんやから!)

心にもない言葉を言っているのとは裏腹に、なるべくしてなった事態を内心で愚痴る。


1月、定例の年賀の挨拶するためと、離間策の手紙を提出したものの、下手に疑いが掛からない様、洛陽に上洛して参内した糜芳は、下にも置かない豪勢な歓待を受けたのであった。


前述の曹操の予測通り、各地の刺史・州牧が献帝の勅命を無視。


皇帝の面子丸潰れの上に、権威もだだ下がりの状態に陥った所に、一筋の光明と云うべき恭順の意を示したのが糜芳のみであったので、絶讃されたのは至極当然の事であった。


まぁ、当の糜芳からすれば、「前門に魔王(董卓)、後門に虎狼(馬騰・韓遂)」状態なので、恭順の意を示すしか生き延びる術が無かったのだが。


微妙な表情を浮かべる名家閥(文官)と、感動の面持ちを浮かべる軍部(武官)の、双方が好対照な態度を見せる間を通り過ぎ、10歳にも充たない子供の皇帝、後に献帝と諡された劉協に謁見。


戦時中とあって鎧を着込んだ相国・董卓が、劉協から勅状を受け取り、糜芳の忠義を讃えて列侯・朐侯に昇爵と、九卿・大鴻臚の叙任を公布した。


怒号とも悲鳴ともとれる声が上がり、文官からの憎悪と武官からの羨望の視線の中、辞退もままならない状況の為渋々、本当に渋々拝領したのであった。


それはさておき、


「さて、糜芳殿改め朐侯よ。

本来ならそのまま洛陽に留まって貰い、儂の片腕として朝政に参画して欲しいのだが、貴殿はそのまま涼州牧の務めを果たして貰いたい。

残っている涼州軍閥の統括、異民族に対する牽制・示威、民政の復旧と発展には貴殿が欠かせぬ。」

一頻り感謝の意を表した後、冷静に政治情勢を語り、董卓の策源地である涼州の統治を委託する。


「はは、後方の安泰はお任せください閣下。

それで閣下、前線の状勢は如何なのですか?」

快諾しつつ、さり気な~く探りを入れる。


「うん?ああ、やはり気になるか?」

「ええ、状勢次第では涼州兵が今以上に、涼州から居なくなる危険性が有るので。」

本当は曹操が、策謀を仕掛けて来る可能性を探る為なのだが、テキトーに誤魔化した。


「そりゃ不安になるわいな。

ま、安心してくれや。袁紹の本軍は初っ端に叩けるだけ叩いたけん、防戦一方の首を引っ込めた亀状態やし、助軍の曹操達の方も小康状態やけん。

後は南側の袁術と孫堅の別動軍の方は、袁術軍は散々に破って袁紹本軍の二の舞にしとる。

1番手強いと思っとる、孫堅軍とは未だ接敵しとらんけん何とも言えんけどが、今の所増援が必要にはなっとらんけんな。」

活き活きと自慢げに、お国言葉で前線の戦況を語って、糜芳の不安を取り除こうとする魔王。


(つ~ことは、曹操は現状フリー状態か・・・。

これ以上要らん事(策謀)されて、迷惑を掛けられても困るしな・・・しゃ~ない、攻撃は最大の防御って言うし、こっちゃにちょっかい掛ける暇が無いようにするしかね~な・・・)

董卓から戦況を聞いて、ますます不安になった糜芳は、()()()()()()()()()()()()()()()


「なる程、前線はその様になっているのですな。

流石は涼州兵に涼州軍、寄せ集めの烏合の衆なぞ鎧袖一触ですね。」

「まぁ、そりゃそうやろ。

実戦経験も碌にないド素人に、歴戦の儂等が負ける筈が無かろうがい・・・ワハハハ!」

糜芳のヨイショに、大笑いして喜ぶ。


「ふむ確かに・・・しかしして、宮廷内の方はどうなのです?問題ありませんか?」

「いやまぁ、蔡邕殿や盧植殿が頑張ってはくれとるが、儂自身何進閣下とは、比較にならんぐらいは政に疎いけん、難儀しとるのが正直な所やな。」

先程とは一転して、苦渋の表情を見せた董卓。


実際に董卓の政権は名家閥に対して、財務面に睨みを利かす蔡邕と、政治面で掣肘する盧植が居るものの、諜報・防諜面は荀攸更迭後の適任者が居らず、ポッカリと穴が空いた状態であり、その穴から楊彪達に情報をすっぱ抜かれ、袁紹達に流出していて結構ヤバい状況であった。


董卓も董卓で情報の流出は、死活問題になる事は百も承知なので、城門にて入京する者は別として、出ようとする者には、厳しく検問を掛けたりしているのだが、蛇の道は蛇というべきか、すり抜けられてしまっているのである。


まぁ、不幸中の幸いと云うべきか、肝心の袁紹や袁術が情報を全く活用出来ず、右から左に流れている状態であったが。


「やはり・・・荀攸殿が居ないのは痛手ですねぇ。

其処で閣下に提案ですけど、入獄中の荀攸殿と和解する気・・・有ります?」

「へい!?そりゃあ和解出来るんなら、そうしたいのは山々やが・・・出来るの?

一族一門殺しの嫌疑で儂を暗殺しようとした、結構拗れた間柄なんやけど・・・。」

いきなりの糜芳の提案に、素っ頓狂な声を上げた後、恐る恐る尋ねた。


「それは無論、閣下のお心次第ですけど。」

「いや、それが叶うならホンマもんに助かる!

直ぐに出獄させるけん、頼むわ糜芳殿!」

一にも二もなく承諾する。


(よ~し・・・コレで曹操が要らん事して来ても、荀攸の所で止まるやろうし、荀攸とイーを使ってテキトーに流言飛語をばら撒いとけば、俺の方にちょっかい掛ける暇も無くなるだろ・・・うひひひ)

内心でニンマリと微笑む外道。


糜芳さんは、董卓在世中は獄中で遊んでいた、荀攸を有効活用して防壁にすると同時に、反董卓連合軍に流言をばら撒いて、内部抗争を()()()()()策謀を練ったのである。


(歴史改変は危険?なにそれ美味しいの?

改変のリスクより、自分の身の安全が第一じゃい!

中国史上最強・最高の大ボス曹操と、対峙するストレスに晒されるぐらいなら、少々の改変なんぞどーでもえーわい!こんチックショー!!)

・・・我が身可愛さ故に。


それはさておき、


格子付きの囚人車で執務室に入って来た荀攸と、久し振りに面会したが、


「お久しぶりです・・・荀攸殿?ですよね?

なんつーかふっくらしてません?」

「ははは、いや~職務から解放された上、上げ膳下げ膳の生活でしたので・・・久し振りです糜芳殿。」

「いや、なんで監獄に入って太れるの?

神経図太いにも程が有るでしょ・・・?」

荀攸の肝の太さに呆れ半分、感心半分になる糜芳。


「ま、まぁ、それはさて置いて・「先に言っておきますが糜芳殿、如何に貴殿と(いえど)も一族一門の仇とは、和解する積もりは毛頭有りませんぞ。」

糜芳の言葉を遮って、キッパリ言い切る荀攸。


「ままま、そう言わずにコレをどうぞ。」

スッと袖口から2通の竹簡を取り出し、格子越しに荀攸に渡す。


「??・・・こ、コレは!?

この筆跡は文若(ぶんじゃく)(荀彧)殿と、(おう)(長老)殿の手紙!?

何処でコレを?いや、コレを持っているという事はよもや・・・?」

訝しげに竹簡の紐を解いて目を這わせた瞬間、驚愕の表情と声で糜芳に問い掛けた。


「はい、お察しの通り貴殿の一族一門、1人も欠ける事無く、全員無事でございます。」

「おお!!・・・良かった、本当に良かった。」

ポロポロと涙を流しつつ、自分宛ての手紙を読んで安堵する荀攸。


(よいよい(おいおい)糜芳殿、良うもまぁ行方知れずやった、荀一族を探し当てたモンやなぁ?)

「え、ええまぁ、実家の商人の情報網を利用して、探り当てました。」

(ほう、そういやぁ糜芳殿の実家は豪商やったな。

国中に情報網を持っとっても、不思議はないのう)

コソコソ話しで問い掛けて来た董卓に、テキトーに嘘をついて誤魔化す。


(実際は前世の記憶と、イー達浮屠の情報網で探り当てたんだけどね。

下手に喋ると面倒くさくなるから、故郷の父上に擦り付けておこう)

何の躊躇いもなく、父・糜董を盾にする息子。


「さて、是にて(わだかま)りも無くなった事ですし、董卓閣下に与力するのに、問題は有りませんね?」

「はは、誤解と判りました以上、私には遺恨が有りませぬ故、喜んで董卓閣下に与力致しまする。

・・・閣下に異存が無ければですが。」

拱手して董卓に頭を下げた。


「いやいや此方にも遺恨は無い。

何進閣下と同じく、儂を助けて欲しい。」

「はは、お任せください閣下。

誠心誠意漢王朝に、忠義を尽くす所存です。」

「うむ、漢王朝の為に頼む。

これ、おい、早く荀攸を解放せよ。」

「「はは!直ちに!」」

互いに和解し、荀攸を解放を促す董卓。


「ふ~む、和解が出来て何よりじゃが・・・さて、荀攸殿の立場をどうするかのう・・・。」

腕を組みつつ髭を(しご)いて、荀攸の立ち位置を考え、悩ましげに唸る蔡邕。


幾ら互いに和解したとは言え、暗殺未遂事件を起こした人物を、そのまま前の地位に据えるのは、外面的も良くないが内面的にはもっと良くなく、董卓への不平不満が噴出する可能性が高かった。


「へ?義父殿そんなもん、「獅子身中の虫を炙り出す為の演技だった」って話しにすれば、何の問題も無いでしょうが?」

蔡邕の悩み事をあっさり解決する糜芳。


「うん?どういう事じゃ婿殿?」

「軍部内で、董卓閣下に二心を抱く者が居ないか、陛下に仇なす者が居ないかを調べる為、ワザと暗殺未遂()()を起こした体にすれば、事が済んだ今、元の参軍(参謀)総長の地位に荀攸殿が復帰しても、何の問題も有りますまい?」

首を傾げる蔡邕や周囲に説明する。


「事が済んだとは?」

「都合よく軍部から、閣下や陛下に()()()()()()()()()()が出たでしょう?」

「?・・・あ!謀反を幇助した伍瓊(ごけい)達を炙り出した体にして、荀攸殿を復職させるのか!

それなら立派な功績になるし、軍部内から不平不満が出る事は無いな!」

ポンと拳で手を鳴らす朱儁。


結果論ではあるが、漢王朝に謀反を起こした袁紹を庇った事で、伍瓊達は謀反の幇助をした形になってしまい、袁家の族滅処分の次になる、三族皆殺しの刑が確定しており、荀攸復職の生け贄にはお(あつら)え向きの人物だった。


「ええ、その通りです。

ついでに死人に口無しで不名誉を擦り付けても、閣下や荀攸殿に恨みを向ける者も居なくなりますから、後腐れも無いですしね。」

「なる程のう・・・お主、相変わらず悪知恵を働かせたら天下一品じゃのう・・・。」

「放っといてください。」

ジト~と見据える蔡邕に、プイっと顔を背ける。


「まぁまぁご両人とも程々に。

糜芳殿、他にも何か腹案がお有りなのでは?」

何進時代からの付き合いで、自分を復職させる意図が有ると踏み、確認を行う荀攸。


「ええ、お察しの通り荀攸殿に、流言飛語を袁紹達に撒いて頂きたく。」

まぁコッチでも撒くけどねと、脳内で付け足しつつ頷いた。


「ほう、流言飛語とな。

しかしながら糜芳殿、袁紹達は謀反を起こした以上、自分達に後が無いのは承知の筈。

そう易々と流言飛語に乗ろうか?」

難しい表情で苦言を呈す盧植。


「正直言って、結構あっさりと乗ると思います。」

「如何なる根拠でかな?」

「はい、彼ら反乱軍は()()()()()で寄り集まった、野合・烏合の衆です。

つまりは己の損得で、董卓閣下と袁紹を天秤に掛け、袁紹と組む事を選んだ連中ですから、袁紹と組む利よりも同じか、それ以上の利を提示すれば良いわけです。」

滔々と説明を始める糜芳。


「ふむ、理屈上はそうじゃが、賊共に利を提供するのはのう・・・ちとのう。」

渋い顔をする。


根が一本気な性格の為、例え効果的な策謀でも、反乱軍に利益提供をするのに、抵抗感を覚えてしまう様子の盧植であった。


「まぁ利益を提供すると言っても、一通の密書を送るだけですけどね。」

「うん?密書が利益になるのか糜芳殿?

どの様な内容の密書なのだ?」

理解が及ばず、首を傾げる。


「はい、内容としては、「表立ってこちらに味方しなくても良い、ただ状況を傍観していれば、反乱に組した事は不問に付す」といった感じですね。」

「は?なんと糜芳殿!?賊共を赦せと申すか!?」

驚きの内容に思わず立ち上がる。


「無論、()()()()()()()()()()()()()()

只、その密書1つで反乱に加担した、主だった連中は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ので、敢えて積極的な攻勢を取らずに、傍観・防衛に努めるでしょう。」

ニッコリと微笑んで策謀を告げる糜芳。


「ふむふむ・・・さすれば袁紹・袁術以外の連中は、成功すれば悪くても立身出世か、或いは袁家に代わって、我が世の春を謳歌できる。

失敗しても帰順が約束されているので、悪くても現状維持、良くて袁家の首を取れば立身出世になると、()()()()()()()()()()()?」

糜芳の策謀内容を察した荀攸も、ニッコリ微笑む。


「流石は荀攸殿、その通りです。

欲の皮が突っ張った者達ですので、保障を得られたと思い、喜んで飛び付きましょう。

まぁ、劉岱を差し置いて、()()()()()()()()()()()()、かなり見え見えですけどね。」

「確かに左様ですな。」

糜芳の言に頷く。


「???あの~・・・一体どういうこっちゃい?」

意味が分からず、首を傾げる董卓・皇甫嵩・朱儁の軍人3人組(トリオ)


「は、え~とりあえず、糜芳殿の密書を使った策謀は、理解していますよね?」

「ああ、それは理解している。

思わせ振りな内容の密書を送り、確実に後の無い袁家と反乱者達を離間させた上で、撃破後にじっくりと各自を料理する算段やろ?」

「ええ、その通りです。」

董卓の答え合わせに、こくりと頷く。


因みにその辺の(はかりごと)には、からっきしの残りの2人は、「へ~そうなんだ~」という感じのボケーッとした表情で、全く理解してそうになかったが、荀攸は問題無いと見做して無視していた。


「その件は理解したけんど、袁紹が盟主になった云々の件が、儂には解らんのやが荀攸?」

「ああそれはですね、普通に考えたら袁紹が、()()()()()()()()()()()()()()()。」

苦笑して董卓に告げる。


「へ?いや袁家言うたら、「四世三公」で知られる名家中の名家やろがい。

そりゃあお主の家の荀家に比べりゃあまぁ、劣りはするやろうけんどが・・・。」

お前基準で言われてもなぁ、的な視線を向ける。


「いえいえそうではなく、閣下の言われる「家柄・血筋」で選出された場合、本来なら歴とした「皇族」である劉岱が、盟主に成るのが本筋でしょう?」

「あ!?ホンマやげ!確かにそらそうや!

家臣筋の袁紹よりも、主君筋の劉岱の方が、当然盟主に相応しいわいな。」

荀攸の説明に納得する。


「ん?じゃあ何で劉岱は盟主に成らんかったんや?

お主の言う通り、盟主に推されそうなもんやが。」

「それは無論、劉岱自身が断ったからでしょうね。

劉岱からすれば盟主になる利よりも、()()()()()()()()()()()()()()()。」

確信を込めて話す。


「劉岱が盟主に成って失敗した場合、皇室に面と向かっての反乱ですから、後が有りませんし言い訳も出来ません。」

「まぁそうやろな。」

「逆に成功した場合、率先して今上陛下を廃位に追い込み、自ら帝位に就く形となります。

その場合に周囲は、劉岱をどう観ましょうや?」

「誰が観ても、どっから観ても簒奪者やろ。

・・・ああ、他の皇族達から袋叩きにされるか。」

荀攸の思考誘導により、解答にたどり着いた。


「そしてならない場合は、失敗しても「袁紹達に無理矢理担がれた」と言えますし、他の皇族・王族からの擁護も期待出来ます。」

「そう言い訳しそうな感じはするのう。」

ケッと唾吐きしそうな表情を浮かべる。


「もし万一成功したら、「最も身近で盟主に協力した皇族」になりますので、陛下廃位後に盟主達により、帝位に担がれる可能性が高くなりますから。」

「なる程のう・・・群臣から推戴された体の方が、収まりが良いという訳かいな。」

顎髭をなぞりつつ、「よう考えとるわ」と呟く。


「さて、話しを戻しますが、家柄・血筋ではなくて年功序列で選出した場合も、袁紹・袁術共に選ばれる事は有り得ません。」

「まぁ、がいと(結構)若いけんのう。」

「いえ、単純に彼らは袁家の次期当主と、当主代理の息子に過ぎません。

つまりは族子や族弟とほぼ同等であり、他の参加者の殆どが一家の当主なのに比べ、袁紹達は明らかに()()になるからです。」

首を左右に振って嘆息する荀攸。


「ほんなら何で袁紹が選ばれたんじゃ?」

「それは当然、袁紹を担いだ方が地方に受けが良いのと、閣下を倒した後の()()()()()()()()()()()。」

荀攸の後を引き継いで、糜芳が答える。


「儂を倒した後の後始末が楽とな?」

「ええ、今も地方ではまだまだ声望が有りますが、中央では袁家の衰亡著しいのは、周知の事実です。

挙げ句に袁逢達を始めとする、袁紹を支える筈の一族一門が、もうすぐ族滅しますから、丸裸の上に手足をもがれたも同然。」

「お、おう・・・そうだな。」

何気なく族滅を語る糜芳に、引きつった笑みを浮かべる魔王。


「マトモな政治経験も無く、頼れる経験豊富な身内も居らず、基盤も崩壊している袁紹達を出し抜く事など、赤子の手をひねるより容易でしょうね。」

「ううむ、なる程のう・・・何時でも放り捨てれる、都合のええ御輿な訳かや。

そがいな状況で、楊家の楊彪を始めとする名家閥が、袁紹達に組する訳も無し・・・か。」

複雑な表情を浮かべて唸る。


「閣下、敵に下手な情けや同情は無用ですぞ。

それはさて置いて糜芳殿、策謀に使う密書は袁家以外の者に、配ったので宜しいのですな?」

「いえ、袁家以外にも、橋瑁・曹操・劉岱に配るのは、避けてください。」

荀攸の問い掛けに、細かく指示する。


「ふむ?橋瑁は偽勅濫造の罪人故に、赦すまじなのは解りますが、曹操と劉岱は何故に?」

「曹操は閣下の指名手配から逃れた以上、立場的に袁紹と同じになるので、まず応じますまい。

又、かなり(さと)い人物なので、下手すると策謀が失敗する可能性が出てくるので。」

「なる程、承知しました。」

糜芳の言に頷く。


(曹操を絡めると本人の才覚や、主人公補正でどう転ぶか判らんし、関わらん方が無難だろな)

脳内で思考しつつ、


「そして劉岱の方は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、密書は必要有りません。」

サラッと爆弾発言をする。


「「「「はい!?皇族・王族を抑制出来るのか?」」」」

董卓を始め、素っ頓狂な声を上げる一同。


「糜芳殿!?如何にして!?」

「え?え~と、先ずは改めて各地の刺史・州牧の皇族に勅使を送り、「()()()()()()()()()()()()、出兵無用とする故、本来の職務を果たせ」と命じます。」

「ふ~む、陛下の勅命を無視したのではなく、出来なかった体にして、皇族・王族の安堵感を持たし、連鎖的な謀反を抑制するわけですか・・・。」

腕を組んで唸る荀攸。


「その後に劉岱を皇族から除名します。」

「へ?それをすれば、実弟の揚州刺史・劉繇(りゅうよう)が黙っておりませんぞ!?」

「ええ、ですので義父殿の協力をお願いしたく。」

蔡邕に向き直って拱手する。


「ん?儂に協力せよと?」

「はい、揚州に強い伝手を持つ義父殿に、揚州で隠然たる力を持つ、「江東4家」に渡りを付けて貰いたいのですが。」

「どうしろと申すのだ?」

首を傾げて尋ねた。


「江東4家を朝廷から劉繇に対する、「目代(もくだい)(監視役)」に任じる際の、裏書き(保証書)を添えて貰えればと思いまして。」

「う~む・・・儂の裏書きのう。」

「正直口幅ったいのですが、董卓閣下は涼州や司隷では名を馳せていますが、揚州は流石に・・・。」

影響力が弱過ぎると暗に示す。


「・・・確かに揚州なら儂の方が影響力は有る、とは思うがしかし、江東4家を目代にして一体どうする積もりじゃお主は?」

「無論只の目代ではなく、「朝廷に逆らう兆しが有れば、()()()()()()」の権限も与えます。」

「「「「「なっ!?」」」」」

糜芳のぶっ飛んだ発言に、驚愕する董卓一同。


「劉岱の反乱軍加担に関しては、明確な陛下及び漢王朝に対する謀反です。

コレを放置すれば、陛下の鼎の軽重を問われる事になり、ますます他の皇族・王族が陛下を軽んじ、皇室の威厳・威光が地に落ちかねません。

故に少なくとも劉岱は赦してはなりません。

劉岱の兄弟の劉繇も危険分子として、要監視対象にして厳しく観るのは、至極当然の事でしょう?」

理路整然と述べる。


「確かに左様ですけども、他の皇族・王族が・・・あ、その為に安堵感を与えた訳ですね?

自分達は安泰なのだから、わざわざ劉岱の謀反に組する利も理も無いですし。」

「ええ、ついでに付け加えるなら、劉岱・劉繇兄弟が脱落する事で、他の皇族は反乱が成功した場合に、自分が帝位に昇れる可能性が上がる、()()()()()()()()()、慎重になりますしね。」

荀攸の答え合わせに、正解と頷く糜芳。


「・・・婿殿、お主の策謀は理解した。

漢王朝の為になるならば、喜んで協力致す。」

「有り難う御座います義父殿。

コレで機を見て劉繇に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「お主・・・兄弟同士を合い争わせる積もりか!」

ギョッとした表情をする。


「?ええ、身内の不始末は身内に始末させるのが、筋だと思いますが。

目代を設置する事で拒否したり躊躇えば、劉繇を誅殺出来るので、損にはならないかと・・・何か?」

コテンと首を傾げて、問い掛ける外道。


「い、いや何でもない。

とりあえず、目代就任の裏書きの件は承知した。」

糜芳から目を逸らして頷く蔡邕。


((((えげつない、えげつなさ過ぎる・・・))))

劉繇をデッドorアライブの状況に、強制的に引きずり込み、「二龍相剋」に持って行った糜芳の悪辣さに震える一同。


「あ、そうそう、董卓閣下。」

「へい!?な、何かな?」

思い出したとばかりに声を掛ける糜芳に、何故かビビって声が上擦る董卓。


「いやあ色々と骨折って貰うお礼に、董卓閣下の政敵である、名家閥の楊家を衰退させる策謀を、お教えしようかなぁと思いまして・・・。」

どうですか?と、某セールスマンの如き笑顔で宣う悪辣少年。


「はい?そんな簡単に出来るの?あの楊家を?

当主の楊彪が老獪で隙を見せんから、突破口も見当たらない状態なのに?」

「まぁ今回は楊彪本人ではなく、縁戚の袁家からの攻め口ですけどね。」

「はぁ・・・そこは儂も攻めているが、のらりくらりと躱されてるんやけど。」

「え~とですね・・・・・・。」

スラスラと策謀を伝授していく。


そうして策謀タイムが終わって、糜芳が退出した後、


「・・・儂、絶対糜芳殿とは敵対しない、間違ってもしたくない。

糜芳殿が味方でホンマに良かった、ホンマに。」

心底から呟いた魔王に、


「・・・全く同じ事を、亡き何進閣下も仰っていましたね・・・同意しますけど。」

心底から同意して頷く、筍2号であった。


                   続く

すみませんが、予定は未定です。


楽しんで読んで頂ければ嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
楽聖で謀聖の神仙(仮)とかバグってますね(笑) 戦国時代になるより漢朝の治政を安定させた方が将来安泰だと気づくだろうか・・・
[良い点] えげつない、えげつなすぎる((((;゜Д゜)))) いいぞ。もっとやれ。 [一言] さらっと策謀から外されて窮地に見える曹操だが、なんとなく生き残って、周りが落ちたのを拾って、上がって行く…
[一言] >普通に仙術を使う御仁だな 普通って何?
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