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糜芳andあふた~  作者: いいいよかん
90/111

その4

読んでくださっている方々へ


投稿が大分遅れて、大変申し訳ありません!


完全に熱中症にやられ、ノックダウンしてしまいまして・・・。


体調が未だに芳しくなく、申し訳ありませんが、次の投稿もかなり遅くなると思います。


ご理解ご協力をお願いします。


読者の皆様方も、熱中症には充分にお気をつけて、お勤めをなさいます様に。

        洛陽内東西繁華街


時は100年代後半の世紀末・・・の10月、後漢の魔王・董卓に依って召喚されし涼州勢が、洛陽の都の至る所に跋扈(ばっこ)・徘徊して、洛陽の民衆を恐怖に陥れていた!!・・・ワケもなく。


「ヒャッハー!?これこの値段で合ってんのかぁ?

ええ?店主よぉ!?」

明らかにカタギに見えない風貌の男が、ニヤニヤと笑う似たような風貌の男達と連れだって、果実を持ちつつ店主を睨み付けて威圧していた。


「ヒッ!?ハ、ははい~その値段で、商売させて貰っておりますぅ!?」

「んだとぉ~!?・・・()っす!3つくれや!」

「へい?あ、毎度?え~と丁度ですね。

お買い上げありがとうございます?」

目を白黒させながら代金を受け取り、混乱状態でも商品を渡して、定例句を述べる店主。


「どがいやお前、安かろーがい?」

「いや、素で(本当に)安うて驚いても~たわ。

涼州で()うたら、倍ぐらいするけんな~コレ。」

「ほやけん言うたろがな(だから言ったろ)、我がの(お前の)好物が安う売っとるてや。」

世紀末的風貌の男達がワイワイと、ヤーさん言葉っぽい方言で談笑しながら、立ち去っていく。


「なんだったんだ?あの強面(こわもて)達は・・・?」

呆然と見送る店主。


又、とある古着屋では、


「グェヘッヘッヘ・・・見ろよこの着物(べべ)をよ。

母ちゃんに贈ったら喜ぶぜ~?きっとよう。」

癖の有る笑い声?で着物を見つめ、悦に入る世紀末的風貌の男。


「おいお前・・・目ぇ大丈夫か?

お前の嫁さん、こがいに小さい寸法(サイズ)やと入らせんと、破れるやろが?

なんやあれか?「コレが入るぐらいに、身い絞れ」言う比喩(ひゆ)か?・・・シバき廻されるぞ?」

連れの世紀末的風貌の男が、半眼で諭す。


「・・・すんません、コレよりも一回り・・・いや二回り大きい寸法ください。」

即座に日和(ひよ)って指を2本出す。


又、大通りでは、


「わははは!汚物だと!?立派な燃料じゃい!」

道端に落ちている馬糞(遊牧民は草木が生えない冬季に、燃料として乾燥させて使用していた)を、ひょいひょい拾っていたりしていた。


このように涼州勢は、洛陽の外壁周りに幕舎を建てて仮住まいとし(定期的に馬を走らせる必要性が有るため=走らせないとストレスを溜めたり、鈍って走らなくなるから)、非番の者達がちょくちょく繁華街などに出没し、何とも言えない戸惑いと困惑を、洛陽の民衆に齎したのであった。


そんな涼州勢を糜芳から観たら、「修学旅行に来た学生かよ」と評するであろう、都会に浮かれて稚気を全面に出している、地方出身の学生の如く、微笑ましい?オッサン達である反面・・・


         洛陽内南地区


「おどれらぁ!!遠慮する必要はねぇ!董卓のオジキの指示だ、徹底的にやれや!!

ガサ入れ(家探し)して家財・財産を根刮(ねこそ)ぎ没収しろー!」

「「「「「ヒャッハ~!!やってやるぜ~!!」」」」」

高々と剣を掲げた後に四方八方に散って、とある名家の屋敷内を物色する涼州勢。


繁華街では都会に来て、はしゃいでいる涼州勢も、此処南地区の住人・名家連中相手には、情け容赦の無い鬼や修羅と化していた。


金目の物をドンドンと荷台に積んでいき、その家の子女と思しき人達の両手を縛り、縄をうって数珠繋ぎに連行していく。


「待て、待ってくれ!?無体な事は止めてくれ!」

家の当主と思しき者が、涼州勢にとり縋るも、


「無体だぁ!?どの口が言ってやがんだテメェ!」

「ぐああぁ!?」

額に血管を浮かばせた涼州勢に、蹴り飛ばされる。


「テメェ等腐れ野郎共がやぁ、俺達に届く筈の物資の横流しや着服をしやがるせいで、どんだけの俺達涼州民が困窮し、軍閥がひもじい思いをして、異民族と戦って来たと思ってやがる!?」

怒りに任せて、殴りつける。


「ブベ!?ヒィィアア!?」

「テメェ等が盗んだ物資で、ぬくぬくと洛陽で過ごしている間に俺達は、俺達はやぁ!

バタバタと戦友や家族が、目の前で死んでいく中、腹を空かせて戦って来たんじゃボケが!」

容赦なく追撃していく。


董卓が何進暗殺事件から後に、まず真っ先にやった事は、地方軍・地方に支給されている物資、食糧や武具を横領・着服している、していた者達に対する苛烈な処断だった。


地方軍閥の長である董卓は、当然自分達に支給されている物資量を、把握しているし記録もしている。


そんな中で実質中央のトップとなり、何進暗殺事件解決後に、洛陽側の記録を確認して愕然とした。


本来支給される筈の量の半分処か、下手をすれば3分の1以下の3割未満でしか、自分達に支給されていなかったのである。


無論董卓とて軍人で有るので、洛陽からの物資支給が、十全に自分の所に届く筈が無いのは重々理解はしているし、納得出来る。


物資を輸送する輸送部隊自体が、人馬で荷物を運んでいる以上、食糧を消費するコストが掛かるので、至極当たり前の事だ。


しかし、しかしながら洛陽の有る司隷と、董卓の居る涼州は隣同士の州であり、洛陽から涼州の州都の有る漢陽郡までは約400キロ、歩いて凡そ10日の距離になり、軍事的に観れば指呼(しこ)(かん)である。

(中国的感覚に於いて。参考に日本で例えると東京~京都間が約350キロで、洛陽~長安間とほぼ同じ距離になる)


凡そ10日から2週間で着く距離だと、どれだけ多く見積もっても2割弱の消費が限度であり、大凡(おおよそ)8割は涼州に届く計算になる。


それなのに2割強の消費に加え、物資の半分近くを洛陽~長安間で謎に消費しているという、素人でも判る無茶苦茶さであった。


何進が大将軍に就任後に介入して以降、改善されて漸く半分の5割程であり、現状でも3割は中抜き・横領されているのである。


当然今まで支給物資のやり繰りに、散々に苦心していた董卓は激怒。


洛陽~長安間の物資輸送に携わった汚吏・悪吏を、悉く捕らえて厳しく詮議・拷問に掛け、族滅処分に処したのである。


そして現在、拷問に掛けた汚吏・悪吏の証言を基に、汚吏・悪吏からの(まいない)を受け取り、職権を悪用して後ろ盾になっていた、腐れ名家を処罰していっているのであった。


この苛烈な処置により当初董卓の事を、「政治に疎い田舎出(いなかで)の、不作法な軍人」と観て軽んじ、何進よりも下に見て嘲笑していた中央名家連中は、色を失って震え上がった。


何進の場合は本人自体が文官気質で有り又、自身の権力のバックボーンの大元である軍部は、あくまで共生関係で有って劉弁が継ぐ迄の、借り物に過ぎないのをキチンと自覚していたので、無闇矢鱈(むやみやたら)と軍事力=武力を行使せず、当事者や周囲の関係者ぐらいで処分を済ましており、比較的文治的で鷹揚(おうよう)なやり方をしていた。


しかし、董卓の場合は根っからの軍人で有り、基本的に軍での軍律違反や横領等の不正は、軍全体に被害が及んで致命的な問題に陥り易いので、悪即斬程ではないが厳しくなる傾向が強く、董卓も武断的な判断が染み付いていた。


なので何進と同じバックボーンとなる軍部を、皇甫嵩・朱儁を通じてガッチリ掌握して抑え、軍部とは別に独自の軍=涼州勢と、先日吸収した呂布率いる并州勢を有している董卓は、何の躊躇いも遠慮も無く涼州勢と并州勢を使って、汚吏・悪吏粛清を断行しているのである。


この様な経緯を経て、名家閥連中から観た董卓の評価は一変、何進とは比にならない、相性最悪の天敵となったのだった。


なにせ何進と違って、軍人思考の実力主義なので、家柄や血筋をあまり重要視していない分、政治的な駆け引きが全く通じず又、武断的な判断で行動するので、罪科に関しては苛烈で容赦がなかった。


まぁ、政治的駆け引きと言っても、伝家の宝刀である「職務ボイコット」が使えないので、そもそもの話、マトモな交渉材料が無かったのであるが。


理由としては何進亡き後も、各府を実質上運営管理していて、何進に随身(ずいじん)していた中~下級官僚が、後釜に座った董卓の下を、離反しなかった為である。


旧何進政権の政治部門の長老格である、蔡邕が董卓を支持したのも大きいが、董卓の名家閥に対する、()()()()()に内心「良いぞもっとやれ!」と拍手喝采を挙げて、熱い支持をしたからであった。


何進は文治的な思考だったので、当人や直系筋を処断しても家自体は残るので、子弟や族子(ぞくし)がスライドして跡を継ぐパターンが多く、役職の椅子があまり空かなかった。


反面、董卓は「遺族を遺せば後世の災い」とばかりに、容赦なく族滅処分にする武断的な思考なので、ゴッソリと名家連中がいなくなって、中下級官僚に役職の椅子が空いていくからである。


ついでに中下級官僚にとっても、無能でも家柄や血筋だけで役職の椅子に座り、自分達の功績や手柄を横取りして、出世の踏み台にするクソ上司(名家閥連中)を、合法的に根刮ぎ(族滅)排除出来る最大の好機なので、せっせと董卓にリークしていったのであった。


その為、(すね)(きず)を持つと言うか瑕疵(かし)だらけの名家閥連中は、いつ何時(なんどき)粛清の憂き目に遭うのか恐れ、戦々恐々としたのである。


それはさておき、


「おい、もう止めとけや。」

「何でや!?止めるんかいワレ!?」

血走った目で、止めに入った同僚に噛み付く。


「当然やろうがな。

しゃっちに(わざわざ)そんな腐れ野郎を殴って、己の手を血で汚す事を、せんでもよかろーがや。

それにソイツの着物も売っ払って、横領した分の補填をするんやけん、価値が下がろうが。」

淡々と激昂している同僚を、冷静に諭す。


「どうせ今までの悪行をした分、死ぬまで拷問されて晒し首になるんやけん、それで良しとせーや。」

「・・・そやな、俺が此処で殺ってもうたら、逆に慈悲になってまうか・・・スマン、戻るわ。」

パッと気絶している当主の、襟首を掴んでいる手を放し、本来の回収活動に戻っていく。


「わ、我々をどうするつもりだ貴様らは!?」

当主の親族らしき年長者が、食ってかかる。


「あん?お前ぐらいの年寄りだったら、其処で呑気に寝とる腐れ者と同じく斬首刑やろな。

奴卑(ぬひ)(奴隷)にしても使い道が無かろうけん。」

「なっなっ!?」

絶望的な回答に、蒼白になって絶句する。


「働ける成人前後の男共は、鉱山送りか前線送り。

女達は色街の競売に掛けられて、大体は色街行き。

残りの女子供は奴卑に落とされて、奴隷商に売り飛ばされるって所やろな。」

年長者だけでなく、老若男女にも絶望を告げた。


「くっ、この鬼!獣が!!」 

「はぁ?国家の罪人がナニほざいとんじゃ?

オドレらが散々好き勝手に罪を犯した、当然の報いを受けとるだけじゃろが。

他人様(ひとさま)生き血を啜って(税や物資を横領)泣かして生きて来た、オドレら人面獣心の薄汚い輩の方が、よっぽど人非人(にんぴにん)の外道やわいボケが。」

さも被害者面をする、名家一族の身勝手さに呆れ、嫌悪感丸出しで吐き捨てる様に罵る。


こうして罪科を犯した者に関しては、血筋や家柄と云ったモノにも配慮せず、容赦なく処断する董卓の様を後世に於いて、阿鼻叫喚の地獄絵図を現出した(ほぼ南地区限定)、極悪非道の逆臣(名家閥限定の評)と称されたのであった。


そんな名家閥に、心底恐れられている董卓は・・・


     洛陽大尉府改め司空(しくう)府執務室


「・・・全くどいつもこいつも。

やりたい放題したい放題してやがる・・・ハァ。」

2通の記録書を観て、盛大にため息を洩らす。


大尉から司空にジョブチェンジした董卓は、国で記録されている書簡と、司隷地区の各郡の記録書を見比べて、明らかに予算の中抜きをしているバカ共(名家連中)の物証を確認し、名家閥版デスノート・「始末人物表」に当事者の名前を記載していく。


日本風に云えば防衛大臣に当たる大尉から、国交・農林大臣に相当する司空になった後、大尉の時と同じく問題がないか、ある程度の積もりでチェックしている董卓だったが、あまりの不正・中抜きの酷さに頭を抱えるのであった。


「比較的厳しい軍事関係でも、あの体たらくやったけん、ある程度は覚悟をしとったが、こがいまでに酷いとは・・・。」

「・・・済まぬ董卓殿。

大司農府(財務省)はキッチリ抑えて、金銭管理はしっかりとしとった積もりじゃったが、金銭の流れまでは把握しておらなんだ。」

董卓の発言を受けて、ぺこりと陳謝する蔡邕。


前述の通り司空は、国交省・農林省に相当する。


つまりは公共事業を計画する部署であり、当然の如く利権が多く絡み、莫大な金銭が流れる所なので、名家閥にとって司空の役職は、「金の成る木」であり、名家連中にとっては垂涎モノであった。


その為大尉として国家の軍事に於ける、不正にしっかりとケジメ(関係者処断)をつけた董卓は、今度は民事だと名家閥の牙城となっている司空に、前任者を強引に押しのけて就任し、不正捜査にメスを入れたのだが、これがまぁ出るわ出るわのオンパレードだった。


「いや頭を上げてくれ蔡邕殿。

コレは大司農府の権能を越えたモノだから、蔡邕殿達が責めを負う類ではない。

不必要な事柄に関しては掣肘出来ても、必要な事柄を水増ししとる事には気付き難いしな。」

手を上下して、気にするなと慰める。


露骨なモノだと、各郡県から提出された公共事業(道路整備・治水事業等)の予算案を、国には何割か増しで請求し、その差額分を懐に入れていたり、巧妙なモノになると、郡県と結託して予算案自体を、最初から水増しして提出させ、後で差額分の一部を郡県の協力者に渡し、残りをキックバックさせていたりと、ピンキリであった。


「全く・・・こういう知恵をしょうもない事に使わず、もっとマシな方向に使えんのか?此奴等は。」

「本当にのう・・・頭の使い所を深刻に間違えておるわ、情けない。」

悪知恵と悪事を働く事に関しては、超一流のバカ共(名家閥)に、呆れて2人して嘆く。


蔡邕と側近達と協同で、精査して不正を探り当て、せっせとデスノートに名前を記載していく董卓。


そしてある程度に目処が立った所で解散し、蔡邕達が去った入れ違いに、副官の牛輔が幾つもの竹簡を抱えて入ってくる。


「失礼します殿、先日の襲来した白波(はくば)賊討伐関連の最終報告と、諸々の陳情を持って来ました。」

「おう、ご苦労。

早速報告の方を頼む。」

凝った肩を回しつつ、報告を催促する。


「はっ、襲来した白波賊の、討ち取った人数は凡そ1万弱、こちらの被害は凡そ50人程ですね。」

「ほぉ、まるで大人と子供の戦いやな。」

自然とお国言葉に戻って、苦笑いして聞く。


「ほらほうでしょうとも。

ド素人の黄巾賊くずれと、千軍万馬の古強者の我々が戦ったんですけん、当然の帰結ですわ。」

自慢げに言う事も無く、淡々と話す牛輔。


「まぁ、それこそほやな。」 

「それはまぁええんですけどが、襲来して来た理由がちょっと・・・問題でして。」

「?なんぞ面倒くさい話なんか?」

首を傾げて尋ねる董卓。


「え~そのう、あくまでも捕虜の証言なんですが、「余所の同業者(盗賊団)が、自分達の縄張りを荒らしに来た」と、勘違いしたらしゅうて。」

「・・・・・・擁護が出来んのが悲しい・・・。」

世紀末的格好の部下達と涼州勢を、洛陽の民衆と思い比べてうなだれる。


「・・・まぁ俺も同意ですね~。

只まぁ結果的に、賊徒を討ち取って治安良化に貢献しとりますけん、良しとするべきでは?」

「た、確かにその通りやな。」

牛輔のフォローに頷く。


「とまぁ対外的にはそれで良しとして、洛陽内東地区から陳情ゆうよりは、苦情が出とります。」

「苦情?何じゃ言うてや?」

眉間に皺を寄せて尋ねた。


「え~ウチら(涼州勢)のガラが悪く、客としてはありがたいが、他のお客さんが寄り付かなくなるので、どがいにかして欲しい、と有りますね。」

「んなこたぁ当の本人に言えや本人に!?

逆に儂にどがいせぇ言うんじゃ!?」

しょうもない陳情に声を荒げる。


「オヤッサンが、涼州勢の元締めなのは周知の事実ですけん、言うて来たんでしょうね。

それに付随して東門の守備兵からも、苦情が寄せられとりますね~。」

「はい?守備兵からもか?」

「ええ、結構深刻みたいですわ。」

コクリと頷き竹簡を広げて、


「え~と、「行商人や交易商人から、賊徒が付近に(たむろ)していると、日に何度も繰り返し通報され、日に何度も確認する羽目になり、行ってみたら涼州勢と何度も顔を会わせて、何度も注意をしなければならない事態に陥っており、どうにかして欲しい」と、嘆願書が出てます。」

生々しい悲痛な訴えを、董卓に伝える。


「う~ん、う~ん・・・否定が出来ん!

とりあえず野郎共には、基本的に東地区の出禁と、東側に屯ってる奴らは、北と西に移動させーや。」

頭痛をこらえるかの様に、頭を抱えて指示を出す。


「了解しました、そう手配します。

んでもって、今度は涼州勢からの陳情ですね。」

「・・・一体何じゃ言うて来とんのじゃい。」

露骨に面倒くさそうな表情で、嫌々聞き返す魔王。


「はっ、え~・・・「遊侠の徒(ヤクザもん)に絡まれとる庶民を助ける(たんび)に衛兵から、我が()(自分達)の方が悪さしとる方の、遊侠の()に間違われて誤認逮捕されよるんで、どがいにかして欲しい」との事です。」

陳情を読み上げる牛輔も、頭痛をこらえる仕草をして、言い辛そうに話した。


「思いっきり我がで(自分で)、誤認逮捕されよる問題点を、ハッキリ言うとるやんけ!?

遊侠の徒に見える格好を、我がでどがいにかせんかいやボケぇ!其奴(ソイツ)らはアホかぁ!?」

ダンッ!と机を叩いて吼える。


「地元の涼州では普通ですけん、自覚がないんでしょうねぇ~ホンマに。

・・・え~次は呂布殿からの苦情です。」

ラジオのパーソナリティの如く続ける。


「今度は呂布から?何だよ一体?」

「え~呂布殿からは、「自分に喧嘩を売ってきた、涼州勢をぶちのめして以来、腕試しで勝負を挑んで来る涼州勢が後を絶たず、断ると集団で座り込みをしたり、鬨の声を上げたりと、業務に差し障りが出ているので、止めて頂きたい」との事ですね。」

「・・・ボケ共が、やりたい放題してやがる。」

両手で頭を抱えて、ドスの利いた声でぼやく。


「大体なんで呂布に喧嘩を売ってんだよ?」

「あれですよあれ。

呂布殿が新規に、オヤッサンの傘下に入ったんで、ウチのモンを始め先輩として、可愛がり(上下関係付け)をしようと目論んで、返り討ちにあったつう事ですね。」

したり顔で予測する牛輔。


後輩になる呂布に、俗に言うマウンティングをしようとして、あっさり返り討ちに遭った結果、武尊気質な涼州勢は、「俺よりも強い奴に会いに行く」状態となり、呂布は勝負を挑まれ続けていた。


呂布にとっては、大迷惑この上無い事であった。


「ハァ・・・儂もやんちゃしとる時が有ったけん、偉そうに言えんけどが、他州(よそ)者にすんなよなぁ。

とりあえず今後、呂布にちょっかいかけた奴は、涼州に強制送還させろ。

此処は洛陽であって涼州じゃないんやけん、地元の考えを持ち出すなやホンマに・・・。」

同郷として一定の理解を示しつつも、時と場所を考えて行動しろと愚痴る。


「ちゅーかや、ウチの兵隊(涼州勢)って今どれくらい、地元から来とるんや?」

「え~、把握しとる限りやと、約4万位ですね。」

「はあ!?そがいに来とるんかや!?

お前それ涼州の守備とか大丈夫なんか!?」

予想外の多さに驚く董卓。


「あ~まぁ、その辺は糜芳殿が居りますので。」

大丈夫でしょ?と、安気に答える牛輔。


「う~んそれなら良いんやが・・・牛輔よ、涼州勢がまことしやかに噂しとる、あの話どう思う?」

「糜芳殿の妖術の事ですか?

首が落ちただの、空箱から兎を取り出しただのといった、眉唾物の話ですけんどが。」

半信半疑の表情を浮かべる。


「まぁそう思うのが普通なんやが、ど~も都でも糜芳殿が大勢の観衆の前で、仙術を披露して大騒ぎになったらしい。」

「ええ?ホンマにですか?」

疑わしげに首を傾げた。


「ああ、人から拝借した冠の中から水仙を取り出したり、手の平にある銭を蔡邕殿や皇甫嵩殿の目の前で、消したり現したりしたそうだ。

それに涼州の件もあやふやな話じゃなく、馬騰と韓遂が直に観ているそうだしな。」

信憑性の有る、情報ソースを提示する。


「ええ!?ちゅう事は、ホンマもんの仙人ちゅう事ですかいな、糜芳殿は!?」

「まぁそうなるわいな。」

思いっきり勘違いな話に、コクリと頷く。


「ほんでそれを踏まえて、大鴻臚(だいこうろ)(外務大臣)が泣きを入れて来とんるんや。」

「はぁ・・・大鴻臚がですか?」

「噂を聞きつけた諸外国の特使が、「仙術を観てみたい」とちょくちょく言って来て、どがいにもこがいにもならず、がいいに(結構)難儀しよるらしいわ。」

「それは又・・・(たま)らんですね~大鴻臚殿も。」

心底同情の念を覚える牛輔。


(似非)超常現象を見せた糜芳が州牧の為、呼び寄せる事も出来ず、国外の使者の無茶ぶりに右往左往するしかない、大鴻臚の立場を(かんが)みれば、当然の感情であった。


「其処でやな、いっそのこと糜芳殿を、大鴻臚にしてしまおうと考えとるんやが、どない思うぞ?」

「え?ほたら(それなら)州牧を離任させて、大鴻臚にするんですかい?」

「いいや、州牧と兼任やな。」

「う~ん・・・まぁ、国門の敦煌が有る、涼州牧と兼任やったら在京じゃなくとも、問題が無いっちゃあ無いですかね。」

腕を組んで唸りつつ、賛成の意を表した。


「ほうか!やっぱりお前もそう思うか!

良し、()()()()()()大鴻臚に就任した旨を、糜芳殿に知らせるけんな!」

ヤーさんの親分面で目を輝かせ、いそいそと竹簡と筆を執って、推挙状を記そうとした瞬間、


ガシッ!


「ちょおっと待ちましょうか、オヤッサン~?

何で俺の名義で推挙するんスかね~?

三公のオヤッサンの方が、箔付けに最適でしょ?」

胡乱な物言いと共に、がっしりと腕を掴む。


「え、いやその、何だ、お前も出世してな、歴とした将軍位になったんやけん、ちょっとでも名を売っとっても良かろうモンと、思ってなぁうん。」

「ほほ~・・・それはありがたく?

念の為、「この推挙状は、オヤッサンが俺の名義を使って書きましたので、文句はオヤッサンに」と、添え書きを糜芳殿に出しておきますね?」

しどろもどろに答える主君に、半眼で予防線を張る副官。


「何でだよ?」

「そりゃあ当然、糜芳殿に恨みを買って、「魂魄を人形に入れられたくない」からですよ。」

「んなもん儂だって嫌じゃわい!・・・あ。」

「ああ!?やっぱり人形の噂を知っとって、ワザに言うたんですね!?なんちゅう汚い事を!?」

指差して非難する牛輔。


糜芳が異民族の代表団を、手品と腹話術で驚愕と畏怖させて以降、涼州勢と言うよりも涼州全体に、「糜芳に恨みを買うと、魂魄を抜き取られて人形に入れられ、魂魄ごと焼かれて殺される」という噂が流れて、畏れられていた。


ついでに噂に尾鰭(おひれ)が付いて、「故郷の徐州の館には、糜芳の恨みを買った人形が溢れており、夜な夜なすすり泣く声がする」といった某悪魔的閣下の、代表曲名の様な館に住んでいると、まことしやかに囁かれている。


それはさておき、


「只の噂やろうが噂!

もしも何ぞ事が有ったら、お前の嫁・子供の面倒は、儂がちゃんと()ちゃるけん!」

筆を持つ腕を掴む牛輔の、手を剥がそうと力を込めるも、


「只の噂だったら、それこそオヤッサンが我がの名前で、推挙したらええでしょうが!?

それに俺の嫁子供つったら、オヤッサンの娘と孫ですけん、なんぼカッコ良う言うても、只の里帰りですやんけ!?」

剥がされまいと、より力を込める牛輔。


そうしてお互いに、「人形に魂魄を入れられるのは嫌じゃあ!」と、押し問答をしていると、


「大変です閣下!

蟄居謹慎中の袁紹が自宅を脱走した上に、洛陽まで脱出して、行方知れずとの報が入りました!」

司空府の属官が飛び込んで来た。


「あん!?なにいぃぃ!!ボケ袁紹がぁ!?

詳しい事を問い質すけん、叔父の袁隗を呼べや!!

それと袁紹の地元に詰問の使者を送って、もし地元に帰っとったら、即座に引き渡す様に袁家の者共に通達せぇ牛輔!!

万一でも匿ったり逃したら、容赦なく処断すると言い添えてのう!!」

「はは!!急ぎ使者を送り出します!」

降って湧いた事案に驚きつつも、お互いに機敏に反応して、動き始める主従。


こうして新たな案件が発生した為、糜芳の大鴻臚就任の件は、有耶無耶の内に立ち消えになり又、この袁紹脱走事件が後に後漢を揺るがして、三国時代突入の嚆矢(こうし)となるのであった。


そうした中央の騒ぎをよそに、涼州では・・・


      涼州漢陽郡隴県慰霊廟


「おいおいおい!?どんだけの軍閥達が、ヒョイヒョイと洛陽に行ってんだよ!?

幾ら何でも行き過ぎだろうがコレは?」

涼州牧である糜芳は、痛々しい生傷をこさえた頭を抱えて呻いていた。


しがない地方軍閥の長だった董卓が、一夜にして最上位の三公に就任した事で、涼州内では空前の「董卓フィーバー」が発生し、特に縁の深い涼州軍閥達は、我が事の様に熱狂して喜んだ。


そしてその董卓から、「手助けをして欲しい」と援軍要請が舞い込んだ途端、「オジキの手伝いに行くぞオドレら!?」と言って、軍閥達がゾロゾロ洛陽に向かって行ったのである。


その数約4万、涼州軍閥の約半数が洛陽に行ってしまい、文字通り涼州の戦力が()()してしまう。


先述の通り、騎馬での移動を主とする匈奴・羌・烏丸族の異民族に接する、涼・并・幽州は歩兵を主とする州軍では太刀打ち出来ず、あくまでも籠城戦を主体とする専守戦力に過ぎない。


なので実質的な異民族に対する主戦力である、軍閥達が居なくなった事で、州内の対異民族戦力がスカスカになっており、隙を突いてくる可能性がある異民族と、チラホラと蠢動(しゅんどう)している流賊(るぞく)の動向に、腐心する羽目に陥っていた。


皮肉にも、洛陽でしょうもない問題を起こす、涼州勢に頭を悩ます董卓とは正反対のベクトルで、居なくなった事で発生しかねない問題に、頭を悩ます事となった糜芳であった。


因みに頭部の生傷は、コクオー(仮)((おす))との戦いに於いて、頭部丸かじり振り子投げっぱなしに因る、決まり手に敗れた戦傷であった。


ついでに勝利の(いなな)きを上げるコクオー(仮)を観て、面倒を看きれないと判断した糜芳は、某劇場の某アライグマの如く、野生に返そう(野に放って捨てよう)とするも、


「駄目ですよ州牧閣下!?

異民族にとって、これ程の名馬は貴重な財産であり、掛け替えのない宝物に等しいモノです。

それを捨てるのは、送った異民族の部族の面子を、丸潰しにするのと同義ですよ!

もしもバレたら問答無用で、即時戦争になりますので止めてください!」

顔を真っ赤にした蔡良に諭され、渋々諦めた糜芳。


「え~?・・・じゃあ食うしかねーかぁ。」

「そんな事をうんと言うとでも!?

捨てたら駄目って言ってるのに、食って良しなんて言う筈がないに、決まっているでしょうが!?」

益々ヒートアップしていく蔡良。


結局部下に下賜するのも、駄目と言われた糜芳は、上位者に贈るのはOKと言うことで、躊躇も遠慮もなしに董卓に贈る事を決め、特製馬運車で搬送して厄介者(馬)?を、押し付けたのである。


奇しくも糜芳・董卓もお互いに、(あずか)り知らぬ面倒事を、押し付け様と画策したのであった。


それはさておき、


董卓の援軍要請に因る、異民族対抗戦力の半減を憂慮した糜芳は、各郡県の太守・県令及び名代と、残った軍閥の長及び、留守居の代理人達を緊急で集めて、今後の対応策を話しあっていた。


「う~ん・・・敦煌郡と漢陽郡内は兎も角、他の郡は危ういか?コレは・・・。」

意見交換した後に、大雑把に話を纏める。


敦煌郡は土地柄的に、遠友の交易商隊(キャラバン)が多く集まる地域な為、異民族に襲われ(にく)く又、防犯上私兵を雇っている商家も多い為、流賊にも対応しているので、わりかし安全面ではしっかりとしているし、漢陽郡は州都がある地域なので、元々の滞在している兵数が多く、それこそ韓遂といった地元民の手引きが無ければ、侵入・侵攻自体が難しかった。


しかしながら2郡以外の郡は、ほぼ軍閥頼りなので異民族はもとより、流賊が跳梁跋扈する危険性も懸念されていた。


「う~んとりあえず、龐徳達の飛連隊を増強して、ある程度は防げるか?」

「恐れながら閣下。

飛連隊自体が、元々約3千騎程しかおりませぬ。

目一杯増強しても、5千に届くかどうかがやっと。

それだけでは、焼け石に水かと・・・。」

漢陽郡太守である、蓋勲(がいくん)の代理人・常林が、否定的な意見を述べる。


常林は厳格で依怙贔屓(えこひいき)を嫌う蓋勲が、自分の死後の後任に推挙する程の清廉であり、寒門出身故の、謙虚さも持っている練れた人格者であり、今や実質的に蓋勲に漢陽郡の統治を委任されている、「一を知りて十を知る」という才人であった。


「ふむ・・・では常林、貴君ならどうする。」

「はっ、私としては各軍閥が抱えている予備兵力、成人前の若人を、臨時徴兵する事を提言します。」

拱手しつつ糜芳に告げる。


「「「「「なっ!?ヒヨッコを実戦配備せえやとぉ!?

正気かオドレは?何考えとんじゃ!?」」」」」

各軍閥の代表者・代理人が、色めき立って常林を睨み付ける。


(う~ん?・・・あ、なる程。

どっちみち、最悪の場合()()()()()()()()のか。

一瞬でよ~考えるわ、この常林って奴は・・・)

脳内思考して、常林の考えを読んだ糜芳は、内心で感心しつつ、


「ふむ、なる程、もしも異民族にせよ流賊にせよ、飛連隊が対処不能になれば、否が応でも軍閥も出動しなければならない。

最悪は未成年者すら、臨時徴兵せねばならぬと有らば、事後になってからいきなり投入するよりも、場馴れさせる事で多少はマシだし、(あらかじ)め投入して兵力を誇示して、躊躇させる意味でも効果的だな。」

常林の提言を肯定する。


「はい、左様にございます。

兵力を惜しんで流賊達に、隙を見せて略奪を誘発するよりも、少しでも隙を見せない様にし、略奪行為を躊躇わせるのが肝要かと。」

「ふむ確かにその通りだ。

軍閥の諸君達もそう思わないか?」

軍閥の代表者達に水を向ける。


「・・・確かに一理有りますわ。」

「右に同じく。

被害が大きゅうなってから出しても、後の祭りになるだけですけん、出し惜しみは愚策ですわな。」

「ふーむ、モノは考え様ですわな。

精強な異民族よりも弱い流賊相手に、少し早めの実戦経験を積ますと考えれば、悪うないですわ。」

流石に軍事関係の利害には(さと)く、利と理になると判断し、賛成の意を表した。


「しかし閣下、流賊だけならまだしも、匈奴や羌族の異民族相手には、かなり厳しいと思われます。

その辺の状況はどうでしょうや、馬騰と韓遂殿?」

最大の懸念事(けねんじ)を述べていない糜芳達に代わり、専門担当官の2人に問い質す蔡良。


「はっ?いやそりゃ羌族の方は、奥地に居る部族までは不詳ですが、国境付近にいる部族に関しては、()()()()()()()()()()()()()()、襲撃を企む馬鹿はいないと思うので、よっぽどの変事がない限りはまず大丈夫かと。」

じと~と糜芳をみつめて馬騰が話し、


「匈奴族も同じく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、幾ら何でも居らんでしょうけん、まず大丈夫です。」

韓遂も糜芳を見つめつつ、「んなアホが居ったら観てみたい」とばかりに、堂々と言い切る。


「・・・なる程、では目下の所は流賊対策を、主に考えるべきですか。」

「蔡別駕従事様に申し上げます。

ここは万一の事を想定して、異民族対策もキチンと講じて於くべきかと。」

蔡良の意見をやんわりと否定し、危険性がある以上、異民族対策もするべきと論じる。


「ふむ常林、貴君の具体策を聞かせて貰おうか?」

「ははっ!私の意見としましては、対抗戦力の騎兵の増強はこれ以上は難しいので、各郡の民衆の避難所になる、城砦を増やすべきと存じます。」

自分の案を、糜芳に対して滔々と語り出した。


「う~ん、悪くはないが・・・幾ら城砦を建てて増やしても、城砦を守る兵士が居らんと意味がない。

その兵士を一体何処から調達するのだ?」

常林の案の不備を指摘する。


「はい、兵士の調達に関しては、漢陽郡より兵力を抽出して、各城砦に配備する事を提案します。」

州都の兵力を放出する事を提言する。


「!?お待ちくださいス常林殿!

郡より兵力を抽出するという事はッス、漢陽郡内の各県の防衛戦力も、減らすという事でしょう!?

流石にそれは無茶ッス!そんな余所に回す余裕なんて何処にも無いッス!!」

下っ端口調ではあるが、常林の案に抗議する、糜芳の推挙で一足飛びに県令になった張既(ちょうき)


同じ県令の楊阜(ようふ)趙昂(ちょうこう)等も、コクコクと頷いて張既に同調している。


「張既の意見は最もだ。

貴君はその辺の対策をどうするつもりだ?」

「はっ、それに関しては、糜芳閣下のご協力をお願いしたく・・・。」

「うん?私に協力とは?」

首を傾げて、何じゃらほい?と疑問符を浮かべる。


「はっ、口幅ったい事ですが・・・手薄になった漢陽郡に万一危険が差し迫った時に、閣下から長安へ援軍要請をして頂ければ、と思いまして。」

躊躇いがちに、糜芳に告げる。


「なんと常林殿正気か!?

閣下に他州に援軍要請をさせるような、州牧として()()()()()事をせよと申すのか!」

剛直者として知られている楊阜が、激昂して常林を非難する。


涼州牧である糜芳が、司隷管轄である長安に援軍要請をすれば、「自分の領分で処理出来ない、無能者」の烙印を押されてしまうので、常林の提案は結果的には糜芳に、恥を掻かす事が前提になっていた。


普通の名家出身者なら、激怒する話しだが、


(一応恥になる行為らしいけど・・・ま、いっか。

これだって、最悪にっちもさっちもいかなくなったら、ど~せ援軍要請するんは一緒だし。

万一それで不適任と謂われれば、州牧を辞任する大義名分を得て堂々と辞めれるし、もし解任の処分を受けても、サッサと徐州に帰れるし)

脳内思考で常林の提案を演算して、出た結論に歓喜するのであった。


名家ばりの自尊心など、欠片もクソもない糜芳は、周囲の予想の斜め上の皮算用を計算し、内心「コレってもしかして好機?」とほくそ笑む。


「うむ、分かった常林、貴君の提案を採用する。」

「はい!?糜芳閣下、正気ですか!?

1州を預かる州牧の閣下にとっては、恥となる行為を認められるので!?」

茫然とした表情で素っ頓狂な声を上げ、今度は糜芳に食ってかかる楊阜。


「無論正気だとも。

それに州牧の私にとって恥なのは、無辜の涼州民が流賊共の犠牲になる事である。

それに比べたら、長安へ援軍要請をする事なぞ、恥でも何でもない。」

それらしく、テキトーな理由を述べる。


「閣下・・・其処まで我ら涼州民の事を、(おもんばか)ってくださるとは・・・うう。」

一転して涙を拭う。


「まぁ、そういう訳で常林。

後々の事は私が受け持つから、速やかに他郡に住む、涼州民の安全を図る様に手配を頼む。」

「はは!急ぎ手配致します!」

拱手して笑顔で頷く。


「張既を始めとする貴君等も、各々の管理区域を重要視するのは理解出来るが、私は州全体を観なければならない立場なのだ。

それ故に、どうしても無理を言わねばならん事が、今の様にこれからも多々あると思う。

すまないが今回は無理を言わして貰うぞ。」

ペコリと頭を下げて、張既達に協力を要請する。


「と、とととんでも無いッス!

此方も我が身の事だけでモノを言って、大変失礼を致しましたッス!

喜んで涼州民の為に、協力をするッス!」

ブンブンと両手を振った後、拝礼をする張既達。


こうして常林の提案・提言を取り入れて、大まかな対策を講じた糜芳達は、予算の確保や場所の選定、人夫の割り当て等を話し合って内容を詰め、半減した涼州の防衛に奔走したのであった。


因みに糜芳の会議中の発言や、異民族からの貢ぎ物を処分して、建造予算に注ぎ込んだ事で、益々涼州民の畏怖と支持を意図せず得た糜芳であった。


                   続く

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[良い点] コクオー(仮)のハマの行進ルート回避と、前回の暴れっぷりが牝に野郎の名前を付けるなと言う抗議ではな無さそうな事() 後は涼州兵の皆の日常@洛陽編とか董卓様と牛輔さんのお仕事風景。
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