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糜芳andあふた~  作者: いいいよかん
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その5

え~と、この物語は演義(フィクション)です。


実在する人物・場所・組織団体とは無関係ですのでそれを念頭にお願いします。

母糜香にしばかれた(あたしのジョーの丹下○平や、最初の一歩の鴨○会長が涎を垂らしてスカウトしそうな一撃)糜芳は、母から溢れ出る、ストリートで対戦する殺意に目覚めた格闘家の様なオーラに、本能的に恐怖を感じて即座に土下座を敢行、命乞いを行った。


(ナニナニ!?全然見えなかったんだけど!恐らくパンチ(?)で殴られたと思うけど。

いくら失礼な発言をしたと言ってもパー(ビンタ)はともかく、実の子にグー(パンチ)はアカンやろグーは!!)

ガクガクと心身(ダメージが足にきている)共に震えながら糜香の顔色を窺う。


「うん?どうしたの芳、うずくまってないで、竺殿に挨拶なさい。

(じっ君に要らん事言ったらどうなるかわかるな?)」

しれっと糜芳にライトニングボ○ト(ゴールドなセ○ントの必殺技)を放った事を無かったかの様に挨拶を促す糜香。


「ハイ!お母様。わざわざお見舞いに来て下さり、誠にありがとうございます兄上。

(もちろんにございますお母様)」

糜香の背後に、鬼神の気配を感じた糜芳は、脂汗を掻きながら必死な表情でコクコクと福助人形の様に頷き、ピシッと背を伸ばし、丁寧な挨拶をして身の安全を図る。


Гうん。丁寧な挨拶ありがとう芳。

木から墜ちたって聞いたんだけど、大した怪我をしてなくて本当に良かった~。安心したよ。」

糜芳達の微笑ましい(?)裏のやりとりに全く気付く事もなく温和な笑みを浮かべて、糜芳の無事を我が事のように喜ぶ兄糜竺。

顔は父に似ず全くの別人28号(鉄ではない)だが、醸し出す雰囲気は父糜董に非常に似通っていた。


「そうなのよ~、竺殿と違って何時までもやんちゃで困るわ、本当に~・・・。」

話の種が出来たとばかりにピッタリ芳を出汁にして、嬉しそうに会話のキャッチボールを楽しむ糜香とそれをにこやかに受け答えする糜竺を尻目に糜芳は、ジッと兄糜竺を観察し、


(この人が内政的才能に恵まれ、顔も性格もイケメン且つ大金持ちという、非の打ち所の無い完璧超人なのに・・・

髭面のジャイ○ン(見た目はオッサン、中身はガキ大将)こと関羽。

ヤクザ面のス○夫(見た目はヤーさん、中身は太鼓持ち)こと張飛。

耳の長い○び太(己の無能を棚に上げて某猫型ロボット(群雄)に泣きつく(寄生する)所は瓜二つ)こと劉備という負の三連星に生涯振り回されて、孫乾(主に外交担当)、簡雍(恐らく軍政=軍需物資調達担当)に並ぶ、悲参人(悲惨な人生を歩む参(3)人の文官の略)のー人、麋竺(財務中心の内政担当)か・・・)

脳内で前世の記憶にある糜竺の情報と個人的解釈を思い浮かべる。


(う~ん。の○太(劉備)に関わる不運と、才能+容姿が相殺して人生のプラスとマイナスを行ったり来たりしている出○杉君のポジションだな)

・・・何故か某アニメキャラに例えて、酷い評価を下している糜芳であった。


(まぁ、孫乾は知らねーけど、簡雍は腐れ縁(劉備と同郷出身の幼馴染み)でどうしようも無いし、竺兄は目的が有ってキングボ○ビー(劉備)に仕官した訳だしなぁ。

可哀想に(涙)・・・)

将来悲参人になることを哀れんでいると、


ガシィィィィィ!!

「モガァァァ!?」

「芳?竺殿が、私が若くて美しいと言ってくれた事に何か文句でもあるの?(ボソ)」

いきなりガシッとエイ○アンの幼生みたいに手が顔面に張り付き、アイアンクローを糜香から喰らった糜芳。

どうやら糜竺が、そんな風なお世辞を糜香に言ったらしく(適当に聞き流していた)、たまたま同じ視線上に居たため、糜竺のお世辞に喜ぶ母を哀れんでいるように見られた様だ。


Гチ、違いまふ!誤解デフ!」

じたばたと必死にもがきながら弁解している糜芳を、一部始終を見ていた使用人のお姉さんが、可哀想な子みたいな目で見ていた。

(見てないで助けろよ!)


約1時間後一一一

心配しに来たのか、追い打ちをかけに来たのか判らない糜香を、年配の家令(使用人の中で最上位の人物)が迎えに来て、散々渋る糜香を女性使用人と一緒に半ば引きずる様に連れていった。

これ以上の追撃を受けずに済んでホッとする糜芳。

母達が居なくなり、糜竺と2人だけになる。


「いやぁ、相変わらず芳と義母上は仲良く楽しそうで羨ましいね。」

「え!そうですか!?」

ライトニ○グボルトやアイアンクローを喰らって羨ましいの??お金を払っても変わって欲しいですけど。


「うん。ああいう風に賑やかな会話が出来ることは僕にとってはしたくても出来ないしね。

芳も成人するまでの間は義母上に構って貰ったらいいと思うよ。」

「あっはい、兄上。」

「うんうん。

あ、そうそう、仕事帰りに市場を覗いたついでに、芳にお土産を買って来たんだった。

どう?美味しそうな桃だよ。」

「はい、ありがとうございます、兄上。」

糜芳の返事を聞いて、予め用意していたのだろう、懐から桃と小振りなナイフを取り出して、皮を剥き始めた。


(おおぉ。竺兄、顔もイケメン、中身もイケメンだ!世の中兼ね備えている人って居るんだなぁ。

・・・それに竺兄の立場的に考えると、したくても出来ないのも当然か)


糜竺は糜家の嫡男、即ち次期当主であり、自然とそれに相応しい行動、言動を求められる立場にあり、自由気ままにとはいかない。


それに加えて糜竺の場合、公的な立場(県の役人)の問題もあり、なおのこと気を配る事が求められる状況になっている。


実は糜芳達の生家である糜家は、周囲からは名家(日本で言う貴族、豪族及び武士)扱いされているが、正式には名家ではなく、只の一資産家で、あくまで庶民階級の中での名家もどきにしか過ぎなかった。


その半端な状況を打破する・・・正式な名家となるべく求められたのが糜竺で、彼は学問所(私塾、ほぼ名家連中専用施設)に通って積極的に人脈作りを行い名家連中と繋がりを広め、就職する時や出世する為に金を惜しまず使い、今や20才で管理職(上級職=官位)に就き、彼こそが糜家を名実と共に名家に押し上げ、名家糜家初代の名士なのである。


(凄い人なのに・・・可哀想に)

彼の未来を知っているが為、どうしても哀れんでしまう糜芳だった。


この物語は自分も哀れな存在である事を全く忘れている真に哀れな男の物語である。

                  続く


え~と、実際の糜竺は徐州に最悪の災厄を(もたら)した徐州牧(日本でいう県知事)で疫病神・陶謙(とうけん)の副官として史書に登場していますが、本作ではそれ以前に地元の役場に勤めていて文官の経験を積んだという設定になってます。


それはさておき、

 

楽しんで読んで頂けたら嬉しいです。


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[一言] 兄貴は弟のせいで心労を患った気が・・
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