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糜芳andあふた~  作者: いいいよかん
54/111

その2

読んでくださっている方々へ


いいね、感想をありがとうございます!


遅筆で申し訳ありませんが、その分長文になっていると思いますのでご容赦を。

         洛陽宮城内迎賓館


何進の強引な呼び出しで、洛陽に強制的に赴く事となった糜芳は、何進の要望に応えて、并州の騒乱についての策謀を献策して用事を終え、迎賓館にて豪勢な飯と上げ膳据え膳を堪能し、ぐっすり眠って惰眠と怠惰を貪っていた。


「いや~惰眠さいこ~。

洛陽ってホントのホンマに、禄でもない事ばっか起きる鬼門だけども、書類処理も何にも無いから楽だわ。

もう流石に面倒事は起きねーだろうから、2~3日のんびりすっかな~。」

ベッドの上をゴロゴロしつつ、前世で一昔前にゲの妖怪をモチーフにした、アニメのエンディングテーマの替え歌を口ずさみながら、朝っぱらからフラグを立てている、学習しない男・糜芳。


そうしてゴロゴロしていると、


「失礼します、糜芳様。」

自分の担当者になった妙齢の女官が、部屋の入り口の前で声を掛けて来る。


「はい、何でしょうか?」

「失礼します、糜芳様。

糜芳様にお客様が訪ねておられます。」

「うん?僕に客が?」

洛陽にはほぼ知人らしい人が居らず、身に覚えが無い来客に首を傾げた。


「はい、大将軍府に所属している、蔡邕様がお越しになっております。」

「蔡邕様が?」

前回大暴れ(首締め)をしてきて、今回は妙に大人しかった(じじい)が、訪ねて来た事に益々首を傾げる。


(う~ん、普通にどう考えても、娘の蔡文姫の話だろうけど、聞く耳持たずと言った感じだったのに・・・ああ、俺の預言擬きが的中したんで、マトモに聴く事にしたのか?)

脳内思考して結論付けた。


「糜芳様、如何なさいますか?」

「会いますので、此方に案内してください。」

「承知しました。」

女官が頭を下げて、クルリと踵を返す。


糜芳は蔡邕が来る前に身支度を整えると、女官が折りよく蔡邕を伴って戻って来た。


「糜芳様、お連れ致しました。」

「はい、ご苦労様です。

蔡邕様、ようこそお越しくださいました。

ご用がおありなら、言って下されば此方から蔡邕様をお訪ねしますのに。」

「・・・ああ、お邪魔する糜芳殿。

此方が用が有る以上、此方から訪ねるのが礼儀であろう。

此方こそ、朝方から失礼した。」

相変わらずブスッとした、愛想の欠片も無い表情で有りながらも、孫ぐらい年の離れた年下相手に、礼儀正しく挨拶する蔡邕。


「いえ、お構いなく・・・して、ご用件は何で御座いましょう?」

「無論、貴殿が預言した娘の(たん)(文姫)の事じゃ。

是非とも相談したく、我が家に来て貰えないだろうか?」

スッと頭を下げて、拱手する。


「頭をお上げください蔡邕様!?

承知しました、喜んで同行致します。」

名の知れた学者で有り、宮廷内では文官の重鎮で長老格が、自分に頭を下げた事に驚いて、慌てて頭を上げて貰うため同行を承諾した糜芳。


こうして糜芳は、蔡邕が乗って来た馬車に同乗して、蔡邕邸に赴く事となったのであった。


清廉な蔡邕らしい簡素で飾り立ての無い、使い古された馬車にガ夕ゴト揺られて、無言の時間を()ごしていると、


「・・・小僧、いや糜芳殿。」

「小僧で結構ですよ蔡翁様。

実際に間違いなく僕は小僧ですから。」

「ふん、そうだな・・・。

では小僧、お主が小生に言った琰についてだが、北斗は何と申しておったのか、詳細を知りたい。」

ポツリと、預言の詳細を糜芳に尋ねて来た。


「はぁ・・・え~とですね、貴方様の死後にご息女は異民族に誘拐されて、その~・・・え~と。」

「理解した、皆まで言うな。

間違っても父親として、聴きたい事で無いことをな。

・・・小生の死後という事は、今の内に対処せねばならぬ、という事か・・・。」

糜芳の曖昧な表現を察した蔡邕は、パッと糜芳の前に手を広げて制止させると腕を組んで瞑目し、深い思考の波に潜ったようであった。


(まぁ、親からすれば子供が悲惨な目に()()()()に遭う、と判ればたまったもんじゃあねーだろうしなぁ。

男親で娘だったら尚のことにな)

瞑目している蔡邕に、同情の視線を送る糜芳。


そうこうする内に古ぼけた感はあるが、手入れの行き届いた屋敷の前に辿り着いて、馬車が止まった。


「・・・旦那様?到着しました。」

「ん?ああ、ご苦労・・・さあ、此方に参れ小僧。」

主人が降りない事に、御者を勤めていた使用人は訝しんで声を掛けると、到着した事を改めて気付いたのか、周囲を見回して蔡邕は糜芳を屋敷に(いざな)う。


「お帰りなさいませ、旦那様。」

「ああ、今帰った。皆は集まっておるか?」

「はい、皆様方旦那様のお帰りを、お待ちになっておられます。」

「うむ、左様か・・・小僧、こっちじゃ。」

家令と思しき人と簡潔にやり取りした後、糜芳に一声掛けて歩いていく。


「はい、お邪魔します。」

蔡邕に促されて、後ろをてくてくと付いていく糜芳は、キョロキョロと歩きがてら見回し、外見と遜色のない質素な内装に、「家は主人(持ち主)の色(特徴)が出るって、高校の建築科の先生が言っていたけど、ホンマなんやな~」と内心思っていると、やがて応接間の様な広い空間に辿り着いた。


辿り着いた部屋には、入って右側には3人の成人女性と、幼い女の子が1人の計4人、左側には3人の成人男性がそれぞれ椅子に座っており、丁度扇状と言うか漢数字の「八」の様な形を作っている。


(う~ん、右側の女性陣は蔡邕爺さんの娘さん達か?

確か蔡邕って何進と一緒で、娘しか居なかったんだよな。(何進の嫡孫・何晏は娘の子)

となると女の子が蔡文姫で、左側の野郎共はそれぞれ対面に居る、娘の婿達だろうか?

奥の2人は文官系、手前の1人は武官系ってとこか)

室内に座っている男女を観て、パッと見で予想する糜芳。


糜芳が部屋の入り口で憶測を立てていると、入って1番奥に座る女の子の、すぐ横の空席になっている椅子に座って、


「さあ、遠慮は要らん、其処の空いている椅子に座り給え小僧。」

丁度男女間の真ん中ぐらいの位置に有る、椅子を指差して着席を促す。


「はぁ、では失礼して・・・。」

促されて、「何なんだ一体?」と訝しみながら着席する。


「ふむ、では大事な相談もとい話し合いを始める。

今回は他でもない、其処に居る小僧が小生の娘・阿琰を()に、と言っておる事についてだ。

この件について、微に入り細に穿(うが)つの如く、徹底的にとことん話し合いをしようではないか。」

「我が娘に手を出す(やから)に災いあれ」と言った、何処ぞのファラオを彷彿させる、怨嗟の籠もった視線を糜芳に向けつつ、蔡邕は親バカを炸裂させ、


「・・・へ?・・・は?・・・え?」

全く見に覚えの無い話を言われ混乱した糜芳は、口をあんぐり開けて、擬音語しか出てこないのであった。


          蔡邕邸応接間


(???何言ってんだこの爺さんは?

俺、(ひと)(こと)も文姫を嫁さんに、なんぞ言ってないんだけど・・・?)

文姫の悲惨な未来を変えてみるべく、預言はしたが求婚した覚えの無い糜芳は、周囲に大量の疑問符を浮かべて記憶を探り、やっぱり無いと確認して首を傾げた。


「もしかして、後漢式ドッキリ?」と咄嗟に考えた糜芳は、(じじい)(最早遠慮する気持ちが消失)の左右に侍る男女を観察すると、男性陣は、「君も大変だなぁ」といった、困惑と同情の視線を糜芳に送り、女性陣は、「ウチの可愛い阿琰は易々(やすやす)とは渡さないわよ?覚悟しなさい!」とばかりに、ジロジロと糜芳を観察して警戒心を露わにしている。


そして当事者である、10歳足らずぐらいの蔡琰は、事情を理解していないのか、知らなかったのかは不明だが、キョロキョロと父や姉達を見ている。可愛い。


「お待ちをお父様、先ずはお互いに自己紹介をするべきでは有りません事?」

「ふむ、それもそうだな。」

長姉と思しきモデル体系の貴婦人風美女が、優雅な所作(しょさ)で扇子を持ちながら蔡邕に話を振り、それを受けて蔡邕が頷く。


「さて、では皆の者に紹介しよう。

この目の前に居るのが、羽虫・・・では無く小僧こと糜芳と申す悪たれじゃ。」

悪意垂れ流しの紹介をする。


(・・・シバくぞクソ爺、コノ野郎)

余りに酷い紹介に、額に青筋を浮かべつつも、


「どうも~、ご紹介を受けました糜芳と申します。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

糜芳もキチンと毒を吐く。


「・・・え~とあの貴方、ウチの阿琰を嫁取りに来たのじゃないの?」

「いいえ、全く。

つい先程迎賓館に蔡翁様が参られて、連れて来られたらいきなり婚姻話になって、正直解りかねている状態なのですが・・・誰か教えてくれません?」

貴婦人風な長姉の疑問に、正直な現状を話した。


「・・・ちょっと父様?聴いていた話と、大分食い違いが有るようですけど?」

怜悧な美貌を持つ、次女と思しきキャリアウーマン風な美人が、責める様な口調で蔡邕をジッと見据え、


「本当にどうなってんのよ、親父様?

私達だけじゃなく、わざわざ義兄さん達やウチの旦那まで呼んでおいて・・・キチンと話してくれるんでしょうね~!?」

明朗快活な健康美溢れる、三女と思しき美少女がサッサと吐けとばかりに、直接責め立てる。


その三姉妹が父・蔡邕を非難囂々責め立てる様子を、文字通り様子見している糜芳は、


(う~ん、美人三姉妹+文姫だけど、全っ然親父に似てね~。遺伝子が仕事してね~ぞマジで。

まぁ、似てたら似てたで、嫁の貰い手がつかなそうだから、お袋さんに似て良かったんだろうけど。

しっかし、3人女が寄れば(かしま)しいって言うけど、ホンマやな~。

それぞれ違ったタイプの美人だし・・・え~と、甘草じゃなくて浅草でもなくて・・・あ!唐草姉妹だったかな?昔観たテレビアニメの登場人物みたいだなぁ)

「家」名作劇場姉妹と、「猫の目」怪盗姉妹がごっちゃになった記憶を馳せているという、益体も無い事を脳内思考していた。


それはさておき、


「待て待て待て!?おい、小僧貴様今になって知らぬ存ぜぬとは、卑怯千万で有ろうが!?」

「いや、そう言われても・・・全っ然記憶に無いですけど・・・何時僕が娘さんに求婚しました?」

「何時ってほら!先日の大将軍府で、何進大将軍の御前での北斗騒ぎの時に!」

娘達の冷たい視線から逃れようと、必死に言い募る。


「うん?え~とそれって、「良い年した耄碌(もうろく)爺さんなんだから、ポックリ逝く前に早く娘さんを()()()()()婿()()嫁がせた方が良いのでは」という話の事ですか?」

「誰が耄碌爺さんじゃたわけ!!しれっと改竄(かいざん)するな小僧!

それ見よ!ちゃんと言っておるではないか!!」

鬼の首を穫ったかの如く、子供相手に勝ち誇った表情を見せる良い年した爺。


「いやあのですね・・・何で何処ぞ=僕になるんですか?

貴方様なら立場や名声、年の功等で無駄に顔が広いでしょうから、幾らでも見繕う事が出来るでしょう?と言う意味で言ったんですよ!」

「ぬぬぬ・・・では、娘に求婚は?」

「するわけ無いでしょうが!?

そもそも娘さんの事になると、我を忘れて襲いかかって来る人を、義父にしたい奇特な人なんぞおるかぁ!!」

キッパリと言い切る。


「「「き、奇特な人・・・。」」」

義父にしている婿達がショックを受けて、うなだれた。


ガシッ!!


「ちょっとお父様?きっちり話し合いをしましょうか?

(れん)(りん)付き合って頂戴。」

「「ええ、判ったわ(あん)姉様。」」

「こ、コラ何をする。

襟を離せ、離さんか、引き摺るな待てちょ・・・。」

ズルズルと3人掛かりで蔡邕を引き摺っていると、


「ゴメンナサイね糜芳君、皆様方。

ちょっと中座(ちゅうざ)(離席)させて貰うわね。」

オホホと笑って部屋から出て行った。


そして約20分後・・・


「・・・勘違いをして、失礼致した。」

服が若干ヨレており、冠が微妙にズレた状態で戻って来た蔡邕は、会釈程度に頭を下げて謝罪した。


(・・・ったく、爺の思い違いで朝っぱらから、ろくでもない目に遭っちまった。

サッサと迎賓館に戻ってふて寝しよう)

内心溜め息を吐きつつ、


「いえ、勘違いと判って頂いて何よりです。

(しか)らば、お暇乞いをさせて貰いますね。」

娘さん達の顔を立てて、穏便に済ます。


「ちょっと待って欲しいの糜芳君。

こんな仕儀(しぎ)になって、厚かましいお願いをするのだけども、どうか今回のお見合いを続けて貰えないかしら?」

姉妹が揃って手を合わせて頼んで来た。


長姉の蔡杏に依ると、名士・名家はある程度の年齢になるとお見合いをするのが通例だが、基本的には1回で終わる事は少なく、複数回行ってお互いに良縁を探すのが当たり前らしい。


そんな当たり前を親バカもとい、娘バカの蔡邕は全く行わなかった為、「蔡邕の娘達は何か瑕疵(病弱・ぶちゃいく等)が有るのでは?」と評判を立てられ、婿探しに苦労したようだ。


「そんな訳でね、私達は()()旦那様と出会って結ばれたから良かったのだけど、阿琰には謂われのない苦労をさせたくないの。お願い。」

「はぁ、左様で・・・。」

なんともいえない表情で、曖昧に答える糜芳。


(う~ん、名家・名士ってそんな風な、面倒くさい結婚事情なんだな~。

竺兄や父上なら、その辺の事情に詳しいんかも知れんけど、部屋住みだった俺にはさっぱり分かんねーわ。

・・・それなら俺も「キチンとお見合いした」実績作った方が吉かな?多分・・・。

つーか、姉様達偶々って言い張ってんけど、計画的に狙って仕留めてるよな絶対)

名家・名士の結婚事情と、自身の利害得失を計算した後、蔡一家が居ない間(文姫は除く)に、奇特な婿さん達に結婚した詳しい経緯を聴いていた糜芳は、しれっと偶然と言い放った、蔡杏の台詞に冷や汗を流す。


因みに三姉妹それぞれの、旦那と結婚に至った経緯は、


長女・杏・・・夫・楽士→元々蔡家出入りの楽士で親交が有り、蔡邕が政敵に襲われて逃亡生活を送った際に杏を匿う。幸いにも顔と名前が知られておらず、追っ手がかからなかった。


何故か状況が落ち着いても、家に帰らずそのまま居着き、押し掛け女房的な立ち位置で、両親や周囲に嫁と認識されるような言動を繰り返し、徐々に外堀を埋められ、気が付けばゴールイン。


次女・漣・・・夫・文官→地方出身の苦学生だったので、コッソリ闇バイトで漣の学問の家庭教師をしていた(当時女性が学問を学ぶのは、はしたないと言われていた為)。

そしてある日、何故か漣が連れてきた破落戸(ごろつき)(後に蔡家の使用人の変装と判明)にボコボコにされ、何故か破落戸から漣を助けた恩人扱いになっており、御礼として蔡邕の書生(しょせい)(住み込み弟子)に済し崩し的になった。


蔡邕が留守中に限って恋愛風助平漫画の如く、漣のラッキースケベが頻発(ひんぱつ)、娘を傷物にしたと怒り狂ってジェ○ソンと化した蔡邕(斧装備)に、追いかけ回されながらも生き延びてゴールイン。


三女・倫・・・夫・武官→倫が男装して通っていた、武術道場の幼なじみ兼兄妹弟子で、朴念仁の旦那は倫の男装に気付かず、良き稽古相手として扱っていた。


女っ気の無い事に心配した両親が、お見合い相手を見繕って来たので、女性の接し方が解らず戸惑い、女性にモテていた倫に酒場で相談、しこたま飲んで(呑まされて)泥酔、気が付くと連れ込み宿(ラブホテル)に倫と一緒に朝チュン、酒場から墓場にゴールイン。


・・・であった。


唐草姉妹の如く、「狙った獲物は逃さない」という、狩人(ハンター)であった模様。


それはさておき、


「いやあ、それなら僕も自力で嫁探ししなきゃいけない身なんで、此方としても助かります。」

「あらそうなの?

ご両親や親族の方々はいらっしゃらないのかしら?」

「いえ、両親も健在で、居るには居るのですけど・・・。」

蔡杏の質問に、後頭部に手を当てて言い辛そうに答える。


糜芳が何故自力で、嫁探しをするのかと言えば、単純に糜董と糜芳の身分差が有るからである。


糜董は庶民未満の賤民の立場で、糜芳は官爵持ちの貴族階級という立場なので、幾ら実父と言えど賤民が貴族の嫁の世話をするなどと、無礼討ちに遭っても不思議では無い程の、とんでもない非礼になるのである。

(側室・妾はOK)


因みに糜竺の場合は、妻・尹玲の父で郡役人を勤めている、尹幹からの申し出であって逆は問題なかった。


(まぁ、別段無理して(めと)るモンでもねーし、最悪は遊廓の遊女を店から落籍()いて(金銭で借金を肩代わりに返済して買い取る事)、テキトーに体裁を整えりゃ良いだろうしな~。

嫌がられたら、そのまま解放すれば良いだろうし)

無理してまで、結婚する気がさらさら無い糜芳。


「ふ~ん、糜芳君も大変なのね~。

ウチみたいに過度過ぎる干渉も困るけど、逆に無関心も困るわね~。」

糜芳の言を勘違いした蔡杏は、同情的な声音と視線を送る。


「姉様それぐらいで・・・ボチボチ始めましょう。

じゃあ糜芳君、君の家の家格はどれくらいかな?」

「あ、はい、畏れ多くも主上より、官爵=右庶長位を賜っておりますが。」

姉を掣肘した次女・蔡漣の質問に、素直に答える。


「へ~、嫁ぎ先(ウチ)より上位じゃん。それで父君の役職は何なの糜芳君?」

「え、はい、父は故郷の東海郡で、商家の主・商会長を務めています!」

「「「ハア?」」」

今度は三女・蔡倫の問い掛けに正直に答えると、三姉妹が揃って疑問の声を上げた。


「ち、ちょっとお待ちなさい糜芳君?

貴方の父君は商会長という事は、賤民の商人出身という事になるわよね?」

「有り得ない・・・賤民では法的に官爵処か民爵すら貰えないわ。」

「そうだよ不可能だよ糜芳君。

君そんな歳から、嘘をつくのは止めなさい。」

三姉妹が揃って有り得ないと騒ぐ。


「いや、そ~言われても・・・一昨年に主上より、実家から離籍を命じられて、五大夫の爵位を頂戴して、今年に去年の功績?を認められて、右庶長に陞爵したんですよね・・・。」

自身の今の境遇を言葉で反芻(はんすう)して、自分でも確かに信じらんねーわ、と思った糜芳。


「お父様?・・・どうなのですか?」

「・・・まごう事なく事実じゃ。

こ奴は(かしこ)くも主上から、右庶長位を年始の挨拶の際に、直接授かっておる。」

「「「「「「はい!?主上自ら!?」」」」」」

蔡邕の発言に蔡邕と文姫以外の全員が、大声を上げてフリーズする。


「う、嘘でしょう!?糜芳君!貴方今幾つなのよ?」

「え~と今年で12歳ですね。」

「12!?何をどうしたら、そんな奇想天外な状況になるわけ?」

「ふむ?そう言えば、右庶長になった経緯は知っておるが、五大夫になった経緯は知らんのう・・・。

小僧、如何なる理由で官爵を賜ったのじゃ?」

蔡邕が首を傾げて、糜芳に問い掛けた。


「え~と、故郷・徐州の州牧史様が、僕の楽才と画才を高く評価してくれて、主上に上奏してくれたのがキッカケで、畏れ多くも謁見が叶い、賞されて下賜品と

五大夫の官爵を賜った次第です。」

「!?なんと!まさか!?・・・糜芳君、つかぬ事を聴くのだが、「士嬰」なる人物を知っているかい?」

「え、士嬰なら同郷の友人ですけど・・・?」

蔡杏の夫が糜芳の話を聴いた途端大声を上げ、掴み掛からんとする勢いで尋ねて来たので、勢いに呑まれながらも素直に答える。


「糜芳君が・・・失礼致しました、「今伏羲(いまふくぎ)様もとい楽聖様。」

杏の夫が平伏して、糜芳に(かしず)いた。


(???伏羲って誰やねん?)

突然の出来事に混乱する糜芳。


因みに伏羲とは、中国音楽の祖にして神とされる人物で、ナーガの様な人頭蛇身だったと謂われている。


「え~と・・・あの~?」

斯様(かよう)な所で、楽聖様にお会い出来るとは望外の幸せに存じます!」

歩謡(ほよう)、この小僧はそんなに優れた楽才を持っておるのか?」

こんなガキが?という目線で糜芳を見つめる。


「はい、義父上それはもう・・・。

主上が楽聖様の演奏を聴いた後に、宮廷楽士の演奏に満足出来ず、宮廷楽士が頭を抱えて往生しているとか、「友人にして1番弟子」の士嬰なる人物が楽聖様の歌曲を幾つか発表し、大変な評判となるなど、巷で最も持て囃されております。」

蔡杏の夫・歩謡が興奮気味にまくし立てる。


(つーか士嬰の野郎、相変わらずちゃっかりしてんなぁ。

ホントに楽士というより、商人だわあいつ・・・)

友人の抜け目のなさっぷりに感心する。


「・・・あの楽聖様、初対面でお願いをするのは、誠に心苦しいのですが、どうか我が一門をお助け願えませんでしょうか。」

「へ?・・・どういう事?」

歩謡の急な話に首を傾げる。


歩謡の話を聴くと、士嬰の修行先である一門とは、商売敵とはいかずともライバル的存在であり、都でも互いに大手楽士一門同士として、顧客の取り合いをしつつ切磋琢磨していたのだが、士嬰が(もたら)した糜芳の歌曲に拠って、均衡が崩れて顧客を奪われ、歩謡一門はかなりの窮地に立たされているとの事らしい。


(う~ん、意図しない所で問題が発生してんな~。

ちょっとした事で、音楽史の改変が起こっているとは思わなかったわ。

・・・ま、いいか、どうせ将来的に、「温故知新」ならぬ「壊故正新(かいこせいしん)」(前国家は間違っていた・誤ったから滅びたとして前国家の文明・文化を破壊して、現国家が正しいとして、新しい文明・文化を興すこと)が、異民族国家と漢民族国家の変遷時に、近代中国までに何回も発生してるから、一時のモンでいずれ廃れるだろうしな)

あっけらかんと、軽く考える糜芳。


「え~とじゃあ、僕の歌曲を自由に演奏してくれても全然構いませんので、ご自由に演奏してください。」

「いえ、それだと只の2番煎じになるだけですので、効果が薄く意味を成しません。

是非とも新曲を教授して頂きたく!

御礼は出来うる事は何でもします!出しますので何卒、何卒お願いします!!」

一門の将来を案じて、必死に平身低頭懇願する歩謡。


それを見た蔡邕が歩謡の横に並び、


「小僧・・・いや、糜芳殿、小生からもお願い致す。

娘を助けてくれた恩義ある、婿殿をどうか助けてやって頂けまいか?何卒お願い致す。」

同じく平身低頭懇願する。


「お父様・・・。」「義父上・・・。」

自分達の為に土下座する蔡邕に涙する2人。


(うう、ええ話やん、ええ人やん・・・ブルドックみたいなブスッとした顔して、人(娘と婿)の為に頭を下げれる立派な爺なんやな~・・・んだけど)

蔡邕と歩謡が平身低頭している最中、


「ぐずっ、阿琰、糜芳君を逃したら駄目よ!

阿琰が糜芳君と結ばれれば、阿琰も幸せ私達も幸せになれるのよ?お姉ちゃん達が阿琰の幸せを、全力で後援(バックアップ)してあげるからね!?」

泣きつつも、自分の利益と打算を隠しながら、蔡琰をけしかけている蔡杏であった。


結局、なんだかんだあったが、預かり知らない所で迷惑を掛けていた事と、士嬰の修行先の一門が一方的に利益を享受するのは、不平等だし独占的になると、業界自体が硬直化して停滞を招くかも、と思い立った糜芳は、歩謡の嘆願を聞き入れる事にしたのであった。


「え~と、士嬰の奴どんな歌曲を発表してるんです?」

「はい、私が知る限りですが・・・。」

歩謡がそう断って、士嬰が巷に発表している歌曲をつらつら挙げていく。


(え~と、演奏は「自振シリーズ」がメインで歌が、「天馬夢想」・「蓮みたいな花が咲く樹木」・「絶好の旅立ち日和」・「秋に咲く桜みたいな草花」か・・・)

腕を組んで思考した後、


「う~ん、あいつが知らない歌曲が望ましいと。

じゃあ・・・良し、早速演奏と歌唱しますね。」

「へ?もう!?もう出来たのですか歌曲が!?」

「あ、はい、サッサと済ませましょう。

僕としても、ダラダラと洛陽に長居したく無いのですので・・・面倒事が多すぎて。」

前世の歌曲を発表するだけと、軽く考える糜芳。


普通に作詞作曲するだけでも、下手したら数ヶ月は掛かる事を、即興で作る(様に見える)のだから、端から見たら楽聖と呼ばれるのは、無理無かった。


とりあえず曲の方は、「ノブの野心シリーズ」から、「将星的な近畿圏」・「覇道的な派手好き隻眼男」を始めとして幾つかチョイスし、胡弓や指笛改を駆使して演奏していく。


そして歌の方は、「幸か不幸の蒼い鳥」・「ムーンライトフラワー」・「河川の流れの如く」・「杯を飲み干すと書いてそう呼ぶ」等の、士嬰以外には歌っている歌をチョイスして朗々と歌う。


「~~~♪~~~~♪・・・ふぅ、とりあえずこんなモンですかね。

これで宜しいでしょうか?歩謡殿。」

ぺこりと頭を下げる。


「・・・・・・うぉぉぉぁぁぁ、ア、ア・・・。

あ、ありがとうごじゃいましゅるぅぅ、ヒッグ、涙が、涙がとまりましぇん。

こりぇほぎょのヒッグ、が曲を、即興でちゅくるなんで・・・しゅごしゅヒグぎですぅぅ・・・。」

涙を流して嗚咽を漏らしながら、呂律(ろれつ)の回らない声で、感動している歩謡。


周囲を観れば、その場にいる全員が感動の涙を流していた。


(う~ん、流石前世で大ヒットした歌だわ。

名曲は時代や人種の垣根を越える、ってやつだな)

名曲ってすげーなぁと、感心する。


こうして、歩謡の悩み事を解決して目出度し、目出度しと終わる筈も無く、


「お父様!!これ程の超優良株もとい物件を、放っておく訳じゃありませんわよね!?」

涙を拭き、糜芳を投機対象及び不動産屋扱いしつつ、父親に迫る長女・杏。


先程までの一応妹の将来を心配する、優しい姉(?)から、「絶対に逃さん!」とばかりに、ギンッと狩人(ハンター)の目に変わっていた。


(うん?何か長女さんの目つきって、どっかで見たような・・・あ、母上がキレた時の目つきにソックリやんけ!?ヤ、ヤバい!逃げなきゃ駄目だ!逃げなきゃ駄目だ!)

某生体ロボアニメの警告音が、ビー・ビーと脳内に鳴り響き、即座に第一種逃亡体制に入る。


「い、いやぁお姉さん。

僕ですね、実は去年の黄巾の乱の際に、財産を殆ど供出しちゃって貧窮してるんすよ~、無職ですし。

妹さんを養う甲斐性が無いんすわ、ハハは・・・。」

若干棒読みで、婚活に於ける最大のウィークポイント「経済力(財産)が無い」事をアピール、破談になるように持って行く。


因みに日本でもそうだったが、近代になる前のモテる男性の、ブッチギリの1位は意外にも「経済力」で、2位は「高給取りの職人」だったようで、イケメンは全くのランク外だった。


そう言われると、え?江戸時代の歌舞伎役者って、錦絵になる程女性にモテてたじゃん、と思われると思うが、実際に錦絵になる程のモテた役者は、千両役者=「一公演で千両稼ぐ」程の高給取りであり、顔よりも側面の収入の方が大きかったのでは?と思われる。


まぁ、イケメンも一応同性愛者のお相手や、嫁ぎ先が裕福な未亡人(高齢)のツバメといった、男娼という職業(?)があり、上手くいけば縄より細い、本やダンボールを縛る「アレ」として、生活できていたようだ。


それはさておき、


特にこの後漢から三国時代に於いては、「女性は馬鹿な程良い女性」・「女性が勉学に励むのはけしからん」という、男尊女卑の風潮が非常に酷く、旦那さんの家の財産や職業にかなり将来が左右されていた為、結構重要な要因だった。

(嫁さんは実家から、「持参金(じさんきん)」という財産を貰い、嫁さん固有の財産を持っていたが、コレは夫(家庭)の財産とは別で、勝手に夫が嫁の持参金を使うと、普通に離婚事案になった)


つまり、


(ふっふっふ・・・どうだ!俺の完璧な結婚回避策である、「困窮回避」は!!

職無し、金無しというダブルネックを提示されれば、如何に慈愛の女神であっても、見放すレベルであろう!クックック・・・切ねぇ・・・死にたい)

自分で思い付いて、悲しくなる自傷策だった。


しかし、精神的自害をしてまで、墓場にゴーを回避しようとした矢先、


「何言っとるんじゃ小僧、貴様は?

お主の生家は使用人が1万人もおる、地元でも有数の大富豪ではないか。

如何に主上の命で離籍したとは言え、絶縁した訳じゃ無いのじゃから、援助して貰っておろうに。

洛陽でもそんなにおらん物持ち出身の癖に、困窮なんぞする筈も無かろうが?」

「「「い、1万人!?」」」

オウンゴールならぬ、オウンアシストを蔡邕から喰らい、3姉妹が大声を出して回避策が速攻で頓挫する。


(オイ、爺!何言ってんだよテメェ!要らん事言うんじゃねーよマジでや!!

爺さんだって可愛い娘を嫁に出したくねーんだろ?

黙って協力しろよ!)

蔡邕を脳内で罵る。


「いやいや~、主上から頂戴している官爵の俸給も、全額寄付していますので、無収入ですしね、ね。」

要らん事言わずに黙ってろと、蔡邕に目配せするも、


「何を寝言をほざいておるのだお主は?

何進大将軍閣下から、1千万銭の金を巻き上げておろうに・・・贅沢せねば一生安穏と生活出来る金銭を、しっかり持っておろうし、親から幾ばくかの土地と田地を貰っておるのも知っておるぞ?」

全く意に介さず、「嘘を付くな小僧」と、非難がましい視線を糜芳に向ける。


「「「い、1千万銭んん~~~!!!???」」」

巨額の大金を、糜芳が所持している事に絶叫する。


(寝言ほざいてんのは、テメェだぁ爺ぃ!!

お前俺に恨みでもあんのか?俺は現在進行形で、爺に対する怒りと恨みが、天元突破してるがなぁ!?)

今なら蔡邕に瞬○殺を出来ると確信する糜芳。


「1千万銭・・・援助して貰えれば、先生(旦那)が三公は無理でも、九卿(きゅうけい)に出世出来るかも、いえ、先生なら出来るわ・・・フフフ。」

次女・蔡漣が、夫が九卿に出世して部下に傅かれる姿を妄想、ウットリした後に、「ギンッ」と狩人(ハンター)の目つきに変わり、


「1万人も居れば、ダンナが出世して家臣団を形成する時に、人材を融通してくれるかも・・・エへへ。」

三女・蔡倫が、夫の出世した勇姿を夢想、皮算用をして、「ギンッ」と狩人(ハンター)の目になり、


「阿琰、糜芳君は優曇華(うどんげ)の花(存在しないレベルで可能性の低い、激レア的に貴重な物事の例え)よ。

杏姉様が言うように、この機会を逃せば貴方は絶対後悔するわ。逃しちゃ駄目よ、私達の幸せの為にも。」

目を¥にしながら、蔡琰を私利私欲にまみれつつ説得に掛かる。


「阿琰!杏姉様や漣姉様の言う通りだ!

お前なら出来る、糜芳君を籠絡(ろうらく)させるんだ!」

真剣な目で、ゲスい事を子供の蔡琰に要求する。


3人の姉に熱い声援を受けた蔡琰は、


「はい!お姉様達の期待に添える様、頑張ります!」

姉達から頼りにされているのが余程嬉しいのか、満面の笑みでポスンと胸を叩く。いじらしい。


(ヒィィィ~~!?母上の同類が3人に増えとる!?

不味い!もう形振(なりふ)り構っている場合じゃ無い!逃げなきゃ!・・・捕まったら終わりじゃあ!)

警戒値の針が振り切った糜芳は、即逃亡を決意した。


「あの~、厠に行きたいんですけど・・・。」

オウンアシストをかました、嫁入りを断固拒否するボケ爺と、私欲と打算と妹の幸せの実現を画策する、3姉妹との激しいバトルを尻目に、恐る恐る挙手して声を上げる。


「あ、はいはい糜芳君、厠に行きたいんだね。

旦那、糜芳君を厠に案内して上げて?・・・逃がすんじゃねーぞ。」

糜芳の声に愛想良く蔡倫が反応し、武官の夫に案内を頼み、ドスの利いた声で念押しする。


そうして厠に入った糜芳は、目隠しの扉を閉めて用を足した後、明かり取りの窓から外に脱出、


「あ、客人が逃げた!逃げ出したぞ~!!」

蔡倫の夫の叫び声を背後に聴きつつ、現代走法を駆使して脱走に成功、そのまま迎賓館には戻らず、知己の曹嵩の下に駆け込んで、助けを求めた。


「如何なされた糜芳殿!?」

取りもとりあえず、対応に出た曹家の使用人に、「(人生の墓場の)刺客に狙われた!」と言って、曹嵩に急いで取り次いで貰い、事情をぼかしつつ曹嵩に説明する。


「なんとそれは難儀な・・・分かり申した。

此処を嗅ぎ付かれるのも時間の問題、時間が立てば立つほど危険が増しますな。

腕利きの護衛を付けます故、親子の振りをして急いで洛陽を脱出為されよ。

とりあえず豫州の故郷に行って、息子・操に改めて相談してみてくだされ。」

お人好しで温厚な曹嵩は、疑いもせずに糜芳の為に急いで脱出の段取りをしてくれた。


(アリガトー!曹嵩様々だな~。

この恩は必ずお返し致しますからね!

あ・・・とりあえず姉様達に夫を通じて、「俺と婚約した」と騒がれると面倒だから、先手を打って夫の上司の荀攸や皇甫嵩将軍に、「見合いしたけど破談した」って書簡(物証)を送っておこう)

曹嵩に感謝しつつ、予防策もキチンと張り巡らす。


曹嵩の手引きで護衛と共に、洛陽を脱出した糜芳は、護衛に案内されて曹嵩の故郷・豫州に入り、故郷で遊び呆けている曹操に、曹嵩の書簡を携えて面会、詳しい事情を説明する。


「それは又、埒も無いと言うか無駄な事を・・・。

父上の頼みである以上、徐州に送る事に協力するのは(やぶさ)かではないが・・・貴公、最早手遅れだと思うがな。」

意味深な台詞を呆れ顔で言いつつ、夏侯一族を護送に付けてくれて、無事徐州に帰った糜芳であった。


そして、日常生活を普通に過ごして1週間後・・・


「は?へ?ホ?何でやねん!どうしてやねん!?」

突然の出来事に混乱状態になる糜芳。


張遼率いる物々しい軍隊付きで、()()()()()()()()()()く、()()()()()()()()()()()()()()()()()、蔡琰が徐州にやってきたのであった。


(え?なんで?俺キチンと予防策張ったよな?

どうしてこんな状態になんのよマジでや・・・うん?あ・・・ああ!?)

ふと曹操の意味深な言葉が、脳裏に浮かび上がって、


(は、謀られた~!?

仕官を熱心に勧めてた何進達からしたら、俺との繋がりを持つ絶好の機会じゃねーか!!

そら~俺の予防策なんぞ握り潰して、蔡琰との縁談を猛プッシュするに決まってんわな!

や、やられた・・・予防策張ってなくても、3姉妹の夫経由で伝わってしまうから、回避不可じゃん・・・どうにもならん。

まさか、ちょっとした歴史改変をしただけなのに、こんなしっぺ返しが来るなんて、予測出来るかぁ!?)

ガックリと膝をつき、敗北宣言する糜芳であった。


                    続く

蔡姉妹については、オリジナル設定ですので悪しからずご了承を。


楽しんで読んで頂けたら、嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 個人的には姉達がドム三機に見えた [一言] まー、荀攸の耳に入った時点で回避不可とも。寧ろ送ってくれた夏侯さんは惇さんか淵さんか?恩義と好意で曹仁、曹洪も混じえて揉めてもおかしくないか…
[一言] 蔡琰というと曹操が認める程の才女で、甥っ子が名将の羊祜。 この設定がストーリーにどう関わってくるのか、続きが楽しみです。
[良い点] 週末にいつも楽しみにしてます、テンポとセリフ回しがサイコ~です。
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