その11
この物語はフィクションです。
実在する人物・地名・団体とは、一切の関連性はありません。
読んでくださっている方々へ
感想・いいねをありがとうございます!
又長くなってしまいましたが、分けるのも中途半端なので、そのまま投稿します。
更新が遅くてすみません。
その分長く書いている(つもり)ので、平にご容赦を。
洛陽大将軍府何進執務室
要らん情報を、部外者で有る糜芳に漏洩しそうになったのを制止し、代わりに説明し始めた荀攸は、近侍している何進の近衛に耳打ちし、一旦退出して帰って来るまでの間他愛のない話をして、近衛が持って来た白湯ではなく、お茶(超高級品)を各自に配ってから、コホンと咳払いして、
「さて、糜芳殿の功績が表沙汰に出来ない理由は、諸々在りますが大きく言うと、「大将軍府だけでなく、軍部のメンツが丸潰れ、失墜する」からです。」
淡々と話し、隣の何進も頷いていた。
(え~と・・・・・・ああ!そう言うことか!?
某小学生探偵が、警察よりも先に事件解決しちまうようなモンか・・・そら~立場ね~わな)
涼州での自分のしでかした事に、荀攸の言葉を加味して脳内思考した結果、大いに納得する。
某小学生探偵の如く、現実に警察よりも先に凶悪事件解決をした場合どうなるか?
当然国家機関で在り、犯罪事件解決のプロフェッショナル・警察のメンツ丸潰れ、「小学生にも劣る無能集団・給料泥棒」と嘲りを受け、嘲笑の的である。
コレを涼州の件に当て填めると、「軍部外者の子供がひょっこり現れて、軍首脳部が頭を悩ませていた、諸々の難問をあっさり解決した」であり、こんなモンを公表した日には、どうにかして何進を貶めたいアホ共が、喜び勇んで非難や嘲笑をするのは想像に難くない。
ついでに自分達の息の掛かった子弟を、栄転と名目で虎賁や羽林に追い出した、軍部にもダメージを与えられるという、一石二鳥の話にもなってしまうのであった。
「確かにマズいですね。」
「ええ非常にマズいです。
ついでに言うと副次的に、皇甫嵩将軍や董卓将軍の風評に深刻な被害が確実にでますね。」
「・・・沐猴にして冠す、ですか?」
「正しくその通りです。
子供の知恵にも劣る沐猴と、派閥連中から嘲りを受けるでしょうな。」
チラリと、皇甫嵩将軍の方に視線を向けて話す。
釣られて糜芳もチラリと皇甫嵩将軍に向けると、「何で儂だけこんな目に・・・」と死んだ魚の目をしながら、ブツブツと呟いていた。
同郷から冷たい視線に晒され、部下からは突き上げを喰らって、散々な目に在ったというのに、下手すれば災厄のお土産まで貰ってしまうという、悲惨な状況になりかねないのだから、無理もなかった・・・。
それを観ている何進は、「解るぞ同志、いや心の友よ」といった理解と同調の眼差しを送っている。
(救国の英雄や百戦錬磨の古強者が、ゴリラやチンパンジー並みの知力扱いされるんか・・・。
エ、エグい、幾ら何でもエグいわぁ・・・)
うわぁ、とドン引きする糜芳。
「流石にそれは・・・鞭打つような事は出来ません。
どうか僕の功績は無かった事にして下さい。」
ぺこりと頭を下げて、願い出る。
(まぁ、元々ひょんな事からなし崩し的になったモノだし、結果的に良いように転がったのは、董卓将軍と皇甫嵩将軍の決断と指揮だしな・・・)
頭の中で付け加える。
「宜しいのですか?」
「はい、どう考えても悪い様にしかなりませんので。
良かれと思った事が原因で、周囲に悪影響が出ては本末転倒ですから。」
あっさりと手柄を手放した。
「分かりました、ありがとうございます。
糜芳殿からそう言って頂き、正直助かります。」
ぺこりと荀攸が頭を下げる。
「しかし、それなら僕の事を無視した方が、大将軍府的に良かったのでは?」
「そうはいきません。
第1に皇甫嵩将軍や董卓将軍の報告に上がっている以上、無視出来ません。
現場報告者の報告を蔑ろにすれば、前線と後方の間に亀裂が生じかねませんので。
第2に今回は想定外の特例になってしまいましたが、信賞必罰をキチンと精査しないと、何処ぞの集団の様に手柄・功績の横取り・不正受給が横行するといった悪行・腐敗が蔓延りかねません。
第3に貴殿という人柄が解らない以上、放置して騒がれると、後の始末に面倒が生じるからです。」
ニッコリと、意味深な笑みを浮かべる荀攸。
(あっぶね~、一歩間違ってたらバッサリ闇討ちされるか、一服盛られて病死扱いにされる所やったんかよオレ・・・)
背筋に悪寒が走り、渡されたお茶が急激に恐ろしくなり、プルプルと手が震え、
「はい!大丈夫であります!
ワタクシ口が堅い事、貝の如しと地元では評判を取っておりますので!!」
・・・と見せかけて、ガバッと立ち上がって敬礼しつつ、「あ、ついうっかり」とばかりに毒茶(仮)を零してぺいっと処理する、保身に余念のない男・糜芳。
「承知しました、ではその様に処理させて頂きます。
外には口外出来ませんが、内々に報奨を御用意させて貰いました。どうかお納めを・・・。」
荀攸が席を立ち糜芳に寄っていって、神社に奉納する絵馬の様な形の木札を渡す。
「?え~と・・・これは何です?」
「コレは大将軍府が発行している「鑑札」(小切手)です。
コレを見せれば、大将軍府と取引している商家から額面に書かれている、100万銭までを現金化する事が可能です。」
「100万銭(約1億円)!?」
「・・・御不満ですか?」
「いえいえ!とんでもない!!十分で御座います!」
荀攸の探る様な目線に、ブンブンと首を振る。
(ふぉぉぉぉぉぉ!!100万銭ゲッチュ!
後で孫堅つーか、孫静から侘び金20万銭を毟り・・・じゃねぇ貰う予定だから、ボロ儲けじゃあ!!)
脳内で銭風呂で泳ぐ想像をする。
「念の為、大将軍府と取引している商家だけ有効なので、ご注意を。
額が額なので、持ち運ぶ場合は大将軍府から護衛を出しますので、ご安心ください。」
「じゃあ、徐州までOKなのでしょうか?」
「桶?・・・?え~、徐州まで送り届けますよ。」
思わぬ大金を得た事で浮かれた糜芳は、つい未来語で荀攸に尋ねるのであった。
そして、サッサと現金化すべく辞去しようとする糜芳を尻目に、席に戻った荀攸が思い出したかの様に、
「ああ、そう言えば、糜芳殿は料敵(自軍・敵軍の分析)に非常に優れておられるとか。
是非ともご協力をお願いしたいのですが?」
「いえいえとんでもない、荀攸様に比べて僕の料敵なぞ児戯に等しく、到底叶いませんよ。
そろそろ皆様ご多忙のようですので、お暇させて頂きますね。」
手をヒラヒラさせて、無理無理と表現しつつ、ジリジリと後ろの扉に向かって後退していく。
「張遼殿。」
荀攸がパチンと指を鳴らし、何進の近衛として侍っている武官に目配せをすると、返事も無くスッと糜芳の背後に周り、ガシッと両肩を掴む。
「糜芳様、其方は出口で御座います。
ささ、元の席に戻られますよう・・・。」
丁寧な口調ながらしっかりと肩を掴み、席に戻るように促す。
(うん?張遼?まさか・・・マッカーサー!?)
とある有名人物が脳裏に浮かび上がった。
「ま、まさかとは思いますけど、貴方様は并州雁門郡馬邑県出身の、張遼・文遠様に御座いましょうや!?」
くるりと振り向いて張遼という名の、何進の近衛を興奮気味に見上げた。
「は、はぁ・・・確かに某は、雁門郡馬邑県出身の張文遠と申しますが・・・。」
「おお、おお・・・まさか天下無双の豪傑にして希代の名将たる、不傑出の英雄にお会い出来るとは・・・お目に掛かれて光栄の至りに御座います!」
深々と拝礼して敬意を表す。
(うぉぉぉ・・・生張遼や~!!
こんな戦乱待った無しの時代に、三国志のユダとして逆行転生して、ろくでもない事の方が多かったけど、前世で五本の指に入る好きな武将に直に会えるなんて・・・ホンマに幸せや~)
神様に脳内で感謝の祈りを捧げる。
「へ?ち、ちょっとお待ちを!?
某はそんな大層な人物では有りませんぞ!?
人違いではありませんか・・・?」
「何言ってんですかまたまた~。
二千年近く後の時代にも、燦然と貴方様の名は輝いておられますよ。」
アイドルに会った如く、自分から握手をしてブンブンと腕を上下に振って喜ぶ糜芳。
「はい!?そんな後世まで!?」
「そうですよ。
遠い異国の地にまで知られていますよ。」
「異国にも!?」
ぶっ飛んだ糜芳の発言の数々に、張遼は完全にパニック状態となり、目を白黒させている。
「あ~、張遼殿は糜芳殿と知己(知人・友人)でしたので?」
コホンと咳払いをして、張遼に荀攸が尋ねた。
「いえいえ!とんでもない!全くの初対面ですよ!」
「・・・?では、糜芳殿が一方的に存知よりだと?」
「知ってはおりましたが、初対面ですよ僕も。」
「???会った事も無いのに知っていて、滅多矢鱈に尊敬しているのですか?糜芳殿は?
後、聞けば聞く程飛躍し過ぎる発言が見受けられますが。」
訳判らんと首を傾げながら、糜芳に問い質す。
「それは当然・・・あっ・・・。」
ハッと冷静になって、気付く。
(浮かれポンチになっちまって、とんでもない未来予知発言をしちまった!?
ど、どないしょー?どないしょー!?)
背中に冷や汗がダラダラ流れ、喉がカラカラになる。
「え~と昨晩ですね、夢に北斗を名乗る老人が現れましてですね(この時代に於ける、死を司る神の名で、あ~たたたな暗殺拳のリュ○ケンではない)・・・。」
適当に話を捏造していく。
「ほう、北斗がですか・・・。」
「はい、北斗が言うには、「張遼・文遠なる人物は、後世に名を残す大人物になるから、会ったら丁重に接して誼を通じなさい」と言いまして。」
「矢鱈俗物っぽい北斗ですな。」
「確かに・・・。」
荀攸の容赦のないツッコミに同意する張遼。
「いやあ~そう言われましても、夢の話ですし。」
ますます冷や汗が流れる。
「ふむ、他については何か言っていましたか?」
意外とオカルトが好きなのか、活き活きとした表情になり、糜芳に質問を続ける。
(う~ん、あんまり歴史改変にならず、影響が少ない出来事か~・・・あ~、あれは変えてもと言うか、変えた方が良いやつがあったわ)
脳内思考した後、
「え~と、蔡邕様の事も言っていましたね、そう言えば。」
「ほ~、小生について北斗が申しておったとなぁ?」
初っ端からじ~と糜芳を観察していた、頑固爺(仮)が顎髭を扱きながら、糜芳に語りかける。
「えっ、貴方様が蔡邕様で?」
「左様、申し遅れたが小生が蔡邕である。
返礼はよいから、北斗が言った事を申してみよ。」
「あっはい。え~正確には蔡邕様でなく、御息女の蔡琰(文姫)殿についてでしたが。」
「な、なにぃ~!?阿琰の名を何処で聞いた!小童!?
何がどうなるというのだ!?」
額に青筋を浮かべて、ますます険しい表情になる。
「ですから、北斗からですってば。
・・・え~と怒らないで聞いてくださいね?
このままだと漢の女性として、口に出すのも憚られる程の、悲惨な前半生を送る羽目になるので、一刻も早く嫁にとつがががぁ!?」
「貴様ぁ!さては小生の阿琰を狙う魂胆じゃろうが、そうは問屋が卸さんぞ!!
阿琰を狙う不届き者に、正義の鉄槌を下してくれん!」
糜芳の話を誤解して、愛娘に忍び寄るダニーを排除せんと、老人と思えない怪力で糜芳の首を締め上げる。
「ち、ちががいまます!!誤解でぐへぇ・・・。」
「「落ち着いてくだされ、蔡翁殿!?」」
皇甫嵩や張遼が慌てて止めに入るのであった。
それから暫くの後・・・
(あ~えらい目に遭った・・・)
ゴホッと咳き込む。
あの後2人掛かりで蔡邕を羽交い締めにし、事なきをえた糜芳は、「こんな危険な状態で話など出来ません!」とこれ幸いに、ダッシュで逃げ出そうとするも、張遼に回り込まれて逃走に失敗。
結局荀攸の要望に応える羽目になったのであった。
(ま、良いか。その見返りに張遼の直筆サインを貰う事が出来たし・・・)
服の背中にデカデカと、「遼来来」と書いて貰い、御満悦の糜芳。
因みに周囲はドン引きしているが。
それはさておき、
「コホン・・・え~糜芳殿に料敵をお願いしたいのは、この度皇甫嵩将軍の韓遂討伐失敗により、改めて討伐軍が組まれる事となりました。」
相変わらず荀攸が説明を始め、何進は置物と化している。
「今回の討伐軍は、三公の1人にして宦官閥の大看板の張温殿が、新たに驃騎将軍に任じられて自身の将軍府を設立、虎賁・羽林を中心に多数募兵・招聘に馳せ参じ、又、涼州からも引き続き董卓将軍が、1~2万の涼州軍閥を率いて参戦する事が決まっておりますので、大凡ですが7~8万程の軍容のなると推測されます。」
「へ~、左様ですか・・・。」
キチンとした敵情収集に感心する。
(あ~そう言えば、史実でも皇甫嵩が討伐失敗した後に、張温が再討伐に向かうんだっけ?
結局、局地的に敗北を繰り返してろくすっぽ成果を出せなかった挙げ句、私的な理由で大問題を引き起こして失脚したんだよな・・・確か)
前世の記憶を検索する。
「それに対して韓遂率いる反乱軍は、董卓将軍からの定期連絡に拠ると、態勢を立て直して初期には及ばないものの、2万5千程まで回復し、張温将軍率いる宦官閥軍を迎撃する構えとの事です。」
「またぞろ異民族との混成ですか?」
「え~・・・いえ、連絡報告に拠れば、涼州軍閥のみで構成されている模様ですね。」
連絡報告に関する竹簡を、数多ある竹簡の山から素早くピックアップし、テキパキと伝える筍2号。
(あ~、成る程な~。
皇甫嵩の時は、皇甫嵩が同郷かつ英雄視されてた人物だから、躊躇や及び腰になって、韓遂を影で支援していただけに留めてた連中の前に、憎き怨敵の宦官が群れを成して、ノコノコ自分達の縄張りにやって来たから、これ幸いに喜び勇んで韓遂に組した訳か・・・。
史実では皇甫嵩も惨敗して、異民族との混成軍そのままで、張温と対峙していた筈だったから、歴史の修正力が働いてんのかなコレは?)
脳内思考して推測する。
「成る程、それで張温将軍率いる宦官閥軍の、兵種の内訳と陣容(将軍・将校)はどのように?」
「兵種の内訳は、約6万の内約2万が騎兵で3万が歩兵、残りが弓兵といった次第ですね。」
「へ~!良く2万も騎兵を募れましたね、宦官閥軍は。」
糜芳は素直に感心と言うか驚いた。
華南はほぼ全域、華北でも中原地方の様に農耕を主体とする地域は、馬の維持・管理費が高くつくので、割と金持ちしか持てないというより、保てない高級な代物だった。
牧畜が主体の涼州・并州・幽州等は、馬の世話は自分自身でするし、餌や飲み水は自然と家畜の放牧している間に済ましているので、比較的まだ容易だが、農耕地域は大体餌を購入して与え、馬の世話をする厩番を雇用したりと、どうしてもコスト高になる為に、前回の皇甫嵩の討伐軍でさえ、大将軍府内をかき集めても5千も満たない程だった。
因みにだが後に中原地方を制した曹操は、数万騎にも及ぶ騎兵団を擁していたのに、おかしいじゃないか?と思われるかもしれないが、曹操自身がトップだったので予算に関する裁量権を持っており、かなり自由に使えた事と、荀彧を筆頭に政治機関が、真っ当かつ健全だったから可能な事だったのである。
現状何進の場合は、権限をフルに邪に活用し、隙あらば大将軍府の予算を中抜き・横領・着服して、ポッポにナイナイしようと目論むアホ共を、排除して維持するのがいっぱいいっぱいだった。
それはさておき、
「宦官閥軍の騎兵の場合は、殆どが虎賁・羽林所属の者達の自前ですな。」
「あ~・・・成る程・・・。」
徒歩で行軍するのが嫌で、馬を持ち込んだだけかよ、と呆れ声を上げる。
「それと弓兵の場合は、わりと熟練度が必要な筈何ですけど・・・大丈夫なんですかね?」
稽古で習った経験上、槍で突く・叩くが基本の歩兵に比べて、ある程度熟練しないと、マトモに射れなかったり、誤射してとんでもない方向に飛んだりと、結構扱いが難しいのを経験しているので、首を傾げて疑問を投げかけた。
「さあ?大丈夫なのじゃないのですか?
パッと見では、とても扱いに慣れている感じには見えませんでしたが。」
どうでも良さげに、投げやりに答える。
「・・・え~と、陣容は?」
余りに酷い軍容に頭痛がする思いになった糜芳は、半分以上「駄目だこりゃ」と呆れつつも、せめて人材面だけでもマシであってくれと、恐る恐る尋ねた。
「これに。」
今回の討伐に参陣する、主な将校が書かれた竹簡を糜芳に渡した。
(どれどれ・・・うん?孫堅が参軍(参謀)!?決して脳筋じゃねーけど、どう考えても前線指揮官寄りの司令官・将軍タイプだろうに。
深刻に配置ミスってやがんぞこれ・・・ああ、涼州民に宦官閥に協力する奴がいねぇから、道案内兼アドバイザーとして利用して、参軍という処遇で幕僚として迎え入れて、厚遇と見せかけて手許に置き、手柄や活躍をさせない魂胆か・・・。
流石に派閥抗争の泥沼を生き抜いただけはあるわ、実に嫌らしい手段だな)
明らかな配置ミスを見つけ、裏の真意を読み取る。
そうして名簿に記載されている、将校を探っていると、
「うん?コレは・・・?」
とある人物名が目に留まった。
「如何しました?糜芳殿。」
「はい、コレに記載されている中に、「陶謙」という人物名が載っているのですが、この陶謙殿は確か軍部所属の将軍では?」
糜芳を含め、徐州民に因縁深い人物名を見つけ、思わず声を上げて詳細を確認する。
「・・・ああ、その者は元々皇甫嵩将軍に属していたのですが、待遇に不満を持ち、数人の同僚と直属の部下と共に、張温将軍の下に走った不届き者です。」
少し躊躇った後に、スラスラと話す荀攸。
ホンマかいなと思って、糜芳が皇甫嵩を観察すると、目を逸らしてオロオロと、手を握ったり開いたりと挙動不審な行動を取り始めた。
(ふ~んこれはこれは・・・。
さてはそう見せかけた、「埋伏の毒」(破壊工作・情報収集及び提供・有事の際の内応と撹乱等を請け負ったスパイの事)として潜入させているんだろうな、ど~もコレは。
普通に考えりゃ寒門出身(非富裕・非支配層)の陶謙が、厚遇されない所か下手すると捨て石にされる可能性が高い、宦官閥軍に走る筈無いもんな。
余所に走るんなら、朱儁とか他の将軍に走るなり、そもそも転属を願い出れば良いだけだしな)
宦官閥軍に陶謙が寝返った場合の、利害得失を計算して結論付け、
「成る程、左様でしたか。」
しれっと気づかない振りをして、スルーに撤した。
(一歩間違えば、スパイとして処断(処刑)される危険性の高い、ハイリスクを請け負った見返りが・・・この時代ではかなり高齢で現役軍人だった陶謙の、老後の保証として文官への転身と言うか復帰(元々は文官だった)で、其処からその時偶々新設された州牧への就任に繋がる訳か・・・)
脳内思考して、納得する糜芳。
実際に軍部に於いて陶謙は、コツコツと功績を積み上げて、周りに敵を作らないように上手く世渡りをした結果、辛うじて中堅将軍ぐらいには出世していた様だが、そんな低い将軍位では州牧に就ける立場ではなく(一応幽州刺史の経験があるにせよ)、後ろ盾(何進の推挙)が無ければとても不可能な状態だった事を勘案すれば、あながち有り得ない話ではないだろう。
(結果的に徐州騒乱の要因を作っちまうんだから、たまったもんじゃね~よな~。
かといって下手に改変して、天然苛政聖人(笑)・孔融が替わりに赴任して来ました!・・・なんて事になっちまったら、この世の地獄に徐州が変貌しちまうし。
小さい事の改変ならまだしも、大きい事は影響力もデカいから、その分未来が読めなくなって対処が難しくなっちまうし、出来る事を事前に備えて被害を抑えるのが精一杯・・・か)
内心ため息を吐く。
そうして、色々脳内思考をしていると、
「糜芳殿?如何為された?
そろそろ貴殿の料敵の見解をお聞きしたい。」
荀攸が糜芳を急かす。
「あ、ああ、え~と、僕の見解としては・・・あの~これ料敵する必要性、あります?
こんな数だけの張りぼて軍、古の国士無双の名将・韓信が率いても、韓遂の涼州反乱軍に勝てませんよこんなもん。」
脳内思考中に問い掛けられたので、戸惑いつつもハッキリと言い切る。
上の司令官・張温から下の将校・将軍までが実戦経験ほぼ無しのなんちゃって軍人、マトモな戦力の孫堅は戦力外扱いに、実戦経験を積んでいる陶謙は何進に派遣された埋伏の毒のスパイ。
兵も騎兵は手柄を求めて、皮算用で集まった物見遊山気分の驕兵、歩兵・弓兵は如何にもその辺から集めて来ました、と言わんばかりの素人。
「こんな杜撰な軍容・陣容尚且つ、韓遂達に有利な戦場で涼州兵相手に勝てるんだったら、間違いなしに天下を取れますよ。」
どんなクソゲーだよ、と内心呆れる。
へ~、そうなんだといった表情で、感心して聴いている、軍部のトップで大将軍の何進。
「・・・ふむふむ、成る程・・・。
それなら糜芳殿が、前回に於いて謀った離間策を施したら、どうでしょうか?」
「残念ながら、今回の場合は不可能ですね。」
「ほう・・・何故にですか?。」
首を傾げて糜芳に問い掛ける。
「前回は異民族混成だったので、董卓将軍を通じて離間させる事が比較的容易でしたが、今回の場合董卓将軍は動けないというより、動かないので無理です。」
「動かない、と?」
「はい、前回は第3勢力に属し地元の名士である、皇甫嵩将軍だったからこそ、涼州軍閥に対しても交渉・策謀の余地がありましたが、今回は宦官閥の張温将軍ですので、涼州民気質的に受け入れられる事はないですし、それに下手に口利きしたら、董卓将軍自身が身を滅ぼす事になるので、そもそも協力しないでしょう。」
断言した上で、
「宦官閥は中央名家閥と並んで、涼州民にとっては長年の痴政に苦しめられた、怨敵に等しい存在です。
そんな怨敵に組し、ましてや降伏勧告なぞしようモノなら、裏切り者の狗として涼州民から総スカンを喰らい、涼州での勢力基盤を失って滅亡待った無しになりますので。」
明確な根拠を荀攸達に示した。
「待て待て小僧。
そうは言っても現に董卓将軍は、此度の討伐に参陣をしておるし、参陣しておる以上は上官たる張温に強制されれば、とても否とは言えんじゃろうが。」
横で聴いていた蔡邕が、糜芳の言に疑問を呈す。
「そうなった時は、董卓将軍は韓遂達反乱軍に寝返るだけでしょうね。」
「な、なんと!?そんな馬鹿な!?」
「反乱軍に寝返っても、涼州民からは支持されるので涼州で生きていけますが、宦官閥軍に協力すれば涼州民からは反感を買い、涼州では生きていけません。
董卓将軍の根拠地・勢力基盤は涼州です。
生きていく上でどちらを選ぶのかは、火を見るより明らかでございましょう。」
蔡邕の疑問に答えた上で、
「今回董卓将軍が参陣したのは、あくまでも漢朝に忠義立て・義理で参陣したのであり、宦官閥軍に協力するつもりはサラサラ無いと思われます。
恐らく適当に、のらりくらり張温将軍の要請や命令を躱して、傍観に撤する姿勢かと。」
状況を分析して推論を述べた。
(まぁ実際に史実でも、張温の度重なる要請を無視して、軍令違反を繰り返したって記述があったしな。
そら~自分の勢力の存亡に関わるんだから、怨敵の宦官閥の要請なんざ無視するに決まってるわいな)
脳内で付け足す。
「・・・なんと、其処まで・・・。」
嫌悪されておるのか、と呆然とする蔡邕。
「・・・う~む、涼州民気質の難解さと、張温将軍に勝ち目が無いのは理解出来ました。
しかしそれならそれで、韓遂達の乱の終息に向けての方策が正直思い浮かびません。
糜芳殿なら如何様になされますか?」
腕を組んで目を瞑って眉間に皺を寄せ、口元に手を当てて真剣に考え込む荀攸。
「う~ん・・・最善は董卓将軍を通じて、「何進大将軍閣下」の名の下に帰順させる事ですかね~。
次善は董卓将軍に、「涼州内での出来事」として武力で始末して貰うでしょうか。
まぁ、次善の場合は、見返りに将軍府からそれなりの、支援物資を支給する必要性が有りますけど。」
少し考えて、ポンポン方策を出す。
「ええ!?儂?」
今まで置物と化し、ボケ~っと糜芳達のやり取りを聴いていた何進が、急に話題に上って驚きつつ、自身を指差した。
「はい、閣下です。
今現在漢帝国に於いて、韓遂達の反乱を丸く納める事が可能なのは、何進大将軍閣下しか居ません。」
コクリと頷いて、何進をビシッと指差す。
「糜芳殿・・・?正気ですか?」
糜芳の発言を欠片も信じて居らず、「え~?この人が~?」という表情を、すぐ隣りにいる主君に隠さずに扱き下ろす剛直者荀攸。
「う~む?どういう事じゃ小僧。
流石にちと信じれんのじゃが?」
首を傾げて、疑問符を浮かべている直言居士蔡邕。
「・・・儂・・・泣いていいかな・・・?」
「ちょっと人前ですぞ!?閣下落ち着いてください!
糜芳殿、詳細を早く言って上げてくだされ!早く!」
厳しい部下の態度に涙目になる何進を、必死にわたわたとフォローする苦労人気質の皇甫嵩。
「え~では、荀攸様。
韓遂の掲げる大義名分は、何でしたでしょうか?」
「はい?確か・・・「君側の奸を除く」でしたか。」
「その通りです。
韓遂達の言う君側の奸とは、中央名家・宦官閥達の事を指しています。」
糜芳の言葉に頷く何進達。
そしてピッと指を一本立てて、
「それを踏まえてその1、中央名家・宦官閥には敵意と憎悪を抱いていますが、大将軍閣下には両方共関係が無く、国家の上層部の中で、韓遂達にとって最も隔意の無い人物になります。
つまり1番交渉し易い訳ですね。」
持論を展開する。
「「「「成る程、確かに・・・。」」」」
言われて見ればと納得する、何進以外の4人。
「次に蔡邕様に伺います。
名家閥の袁隗や宦官閥の趙忠が、「今までの諍いをお互い水に流して、仲良くしよう」と言って来たら、貴方様は信用しますか?」
「戯けた事を申すな!!
誰があの腐れ者共の言を信用する愚者が居るのだ!
絶対に裏が有って、裏切られるに決まっておるわ!!」
吐き捨てる様に吠える。
それを聞いた糜芳は、指をもう一本追加して立てて、
「蔡邕様の言を踏まえてその2、幾ら両派閥が巧言令色(言葉巧みに、愛想良く)をしても、両派閥の言に「信用」が全く有りませんので誰もマトモに聞かないですよね。
特に黄巾の時に、腹心でさえ保身の為に擁護もせずに切り捨てた事で、余計に誰も信用しないでしょう。」
徹底的に両派閥の愚行を批判した後に言葉を切り、
「・・・しかし、その点大将軍閣下はどうでしょうか?
天下の悪法と呼ばれた、「党鈷の禁」で趙忠等に不当に貶められ、袁隗等に見捨てられた憂国の士を解放し、その上拾い上げて活躍の場を提供して、君側の奸共と日夜戦っている、忠義の仁に韓遂達には見える事でしょう。
つまり国家上層部で最も「信用」が出来て、韓遂達に好意を持たれている人物なわけです。」
両派閥と対比する事で何進をヨイショする。
「いやあ、それ程でも・・・。」
「「「「う~ん・・・。」」」」
「成る程、確かにと言えよ!?お前等!」
糜芳のヨイショに照れた後、同意しない4人にキレる何進と、「客観的に観るとそうなるのか?」と半信半疑の表情を浮かべる4人。
「え~では次に、皇甫嵩将軍に質問します。
皇甫嵩将軍から観て、名家の袁隗・宦官の趙忠・外戚の何進大将軍閣下の内、主上からの信頼が最も厚い人物は誰でしょうか?」
「それは無論大将軍閣下に決まっておる。
両派閥の馬鹿共のやらかしを、勅命を受けて再三に渡って修正して、主上の期待に添え続けておられるのだから、当然の話だ。」
「・・・その大半は、私と蔡邕様が始末していますけど。」
胸を張って自慢気に言う皇甫嵩の後に、ボソッと荀攸が付け足す。
「大丈夫!君ならやれる、まだ頑張れる!
不当な扱いをした、袁隗達の鼻を明かしてやるんだ!」
「ええ、あやつらの失政を修正して、「マトモな政策も出来ないのか」と嘲笑してやりますよ絶対に。」
何進のヨイショに荀攸は瞳に暗い炎を浮かべて、やる気を漲らせる。
(荀攸サ~ン!?が、やりがい搾取されとる・・・!
流石は会社(商会)経営者且つ組織のトップ、社員(?)の扱いを熟知しとるわ~・・・恐ろしや恐ろしや)
現代日本の闇を、古代中国で垣間見た事に恐れ戦く。
それはさておき、
「え~話を戻しますよ?
それを踏まえてその3、韓遂達にとって憎悪と嫌悪の対象である両派閥に比べて、主上に圧倒的に信頼のある、外戚(親戚)の大将軍閣下に口利きをして貰えれば、ほぼほぼ安心・安泰である訳です。
即ち国家上層部の中で、大将軍閣下の降伏勧告に韓遂達は、最も応じやすいのです。」
ピッと3本目の指を立てる。
「「「「「おお~!?確かにそうだ!」」」」」
その場に居る全員が頷く。
「とりあえず手順としては、韓遂達の目的と大将軍閣下の政敵は一致しているのですから、「共通の怨敵共」と銘打って、董卓将軍を通じて「共闘」という言葉と、「主上の帰順勧告」という名目で説得して貰えれば、高い確率で応じるでしょうね。」
「「「「「あっ!?」」」」」
糜芳の説明で、実は共闘体制で組める可能性が有った事に気付いた5人。
「そして畏れ多くも主上に対しては、出来るだけ韓遂達を擁護した上で、「主上の徳を示す絶好の機会、名家閥共に主上の威徳を見せ付けましょう」とでも上奏すれば、再三馬鹿共の失政の責任を、「主上の徳が足りない」等とほざかれて、内心の不満が鬱積しているかと思われますので、意趣返しに帰順勧告の勅状を貰うのも容易でしょう。」
「確かに日頃から腐れ者共に貶められておるから、主上も喜んで了承されるであろうのう。」
髭を扱きながら頷く蔡邕。
「そうですね、主上のお気持ちが少しでも晴れれば良いのですけど・・・。」
心にも無い相づちを打って何進達に、主上を利用しているんじゃ無くて、尊皇の意志で言っていますアピールをしておく保身の鬼。
「韓遂達が帰順勧告に応じれば、涼州に於ける董卓将軍中心の保守派と、韓遂達の革新派は、「反両派閥・親軍部」という共通の看板を掲げて融和する事にもなるので、後は対異民族対策で軍部から適宜、支援軍需物資を融通すれば、とりあえず涼州のゴタゴタは収まると思うのですが、如何でしょうか?荀攸様。」
「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」
余りの策謀に唖然呆然としている何進達。
(うん?反応がねーな・・・。
なんか見落としが有ったか?・・・あ、やべーやべーわ、うっかりしてた。
流石に曹魏の知恵袋・荀攸だわ、無言で見落としを促すとはな~、恐れ入ったわ)
勝手に勘違いして、勝手に策謀を洗練していく。
「いやあすいません。
うっかり手抜かりが有ったのを、見落としていまして誠に申し訳ありません。」
「「「「「え?」」」」」
これ以上未だ有んの?と絶句する5人。
「うっかり韓遂と、その仲間達の処理を忘れていましたね、そう言えば。」
「「「「「処理?」」」」」
「このまま皇甫嵩将軍に負けた状態だと、「負けたままだと周りから舐められる」と意地になって、勧告に応じない可能性が有るのと、鬱憤の溜まった涼州軍閥が暴発しかねませんので。」
「ああ、確かに・・・。」
糜芳の説明を聞いて、大いに納得する涼州(殺マニア)出身の皇甫嵩。
「幸いにも絶好の憂さ晴らし相手が、ノコノコと向こうからやってくる様なので、それを手土産にしますかね。」
「ま、まさか・・・?」
糜芳の策謀を察したのか、青ざめた表情になる荀攸。
「ええ、お察しの通り。
物見遊山気分の馬鹿2万騎を、董卓将軍を通じてうっかり漏洩して貰い、韓遂達の面子を立たせるのと、撒き餌として鬱憤晴らしに利用させて貰いましょう。」
「し、し、しかしそれは流石にのう・・・。」
余りの悪辣さに、非道過ぎると言い淀む蔡邕。
「いやいや何を躊躇するので?
彼等2万騎は言わば、敵対勢力の潜在的な戦力・武力ですよ?何時何刻何進様達に向けられるか判らない、刃を持つ者を放置されるおつもりですか?皆様は。」
「「「「アッ!確かに。」」」」
糜芳の話を聞いて、2万騎は自身達に降りかかる、火の粉の存在だと気づいた。
「それを向こう鉢巻きで、韓遂達が2万騎の遺族の恨みと始末を自動的に持ってくれる上に、政治的にも上手く利用すれば、責任追及と宦官閥に離間を仕掛ける絶好の機会になると思いますが?」
「・・・鬼謀過ぎて脱帽するしかありません。」
規格外の策謀に、荀攸は完敗とばかりに両手を上げる。
「ふ~む、糜芳君の策謀は、一石二鳥処か三鳥・四鳥にもなるな・・・よし!糜芳君の策を基本に、韓遂・張温及びアホ共の対処に起用する事にする!!」
軍事的な謀議は空っきしだが、政治的な謀議は聡い何進は、躊躇なく糜芳の策謀を採用する。
「「「ハハッ!承知しました。」」」
政治参謀の蔡邕・諜報参謀の荀攸・軍事顧問の皇甫嵩の3者が、それぞれ拱手して頭を下げた。
(ふぃ~、漸く解放されるよな?流石に・・・。
さぁ~てサッサと辞去して、現金化すんぞ現金化ぁ!)
そそくさと辞去しようとするが、
「いやはや糜芳君、君は凄いね~・・・どう?将軍府で働かない?スッゴく厚遇するよ?
官職も直ぐに挙げるし、立場的には次席参謀辺りでどうかな?出来る限りの待遇をするからさ~どう?」
揉み手をスリスリしつつ、熱心に勧誘する何進に対し、
「いえ、全く興味有りませんのでお断りします。」
キッパリと拒否する。
(将来性が全く無い陣営に仕官してもな~・・・。
このオッサン跡継ぎが、今現在生まれてるかどうかの孫の何晏しかいねーから、暗殺を防いで歴史改変しても、何晏が引き継ぐよりも何進が自然死するのが先で、自然消滅するのが確定的だしな。
・・・まぁ、そもそも何進個人を軍部は支持してる感じだから、何晏が成人してても変わらんか)
脳内思考しながら言葉を付け足し、
(荀攸はガチガチの名家出身だから、殆ど寒門や地方名家出身の軍部からは支持を受けれねーから無理。
蔡邕は年で先が長くねーし、文官だから不可能。
1番可能性が有る、皇甫嵩・朱儁の名将コンビは、純粋な軍人肌で政治的野心が無いから、派閥の舵取りが居なくなると、ど~にもならんか・・・)
何進周りの人材を思い浮かべて、批評する糜芳。
(そう考えると地方軍閥の長として、曲がりなりにも政治や謀に熟達していた董卓が、何進の遺鉢を継いで何進派閥(軍部)を掌握したのも、ごくごく自然の成り行きだったんだろうな~)
歴史の流れを知って、感慨深い気持ちになる。
それはさておき、
糜芳は一昔前のゲームみたいに、「何進に仕官しますか?」の選択肢で、「はい」を選択しないと、何時までもループする状態に陥って帰らしてくれないので、キレた糜芳は北斗の名を騙ってとある預言をし、前世知識で確実に発生する出来事について、曖昧に詳細をぼかしつつも、それが起こるか否かの、鉄板勝ち確のゲスの極みな賭けを持ち掛けて、「発生しなければ糜芳は何進に仕官する、したら何進は糜芳に1千万銭の銭を払う」という内容で合意。
期間は年内に限定し、北斗の預言を欠片も信じていない何進は、「優秀なこき使える若い人材ゲットだぜ~」と勝ち誇った顔をして、糜芳はそれを観て、「うひひひ・・・1千万銭ごっちゃんで~す!」と内心でしつこい勧誘をして来たオッサンに、仕返しが出来る事に喜んでいた。
ついでに悪戯心で、出来事の詳細を書いた竹簡を文箱(手紙等を保管する箱)に、厳重に封印して張遼に渡し、
「危急の際になったら、開封してくださいね。」
合肥の戦いで、その前に曹操が呉軍撃退の秘策を書いた箱を渡したエピソードを、丸パクリして悦に入っている糜芳であった。
当の本人は、「はぁ・・・」と困惑していたが。
こうして糜芳は、何進から口止め料込みの報奨金と、孫堅軍金庫番の孫静から大金を毟り・・・誠意有る気持ちを物理的に受け取り、軍部からの護衛を引き連れて、漸く帰郷するので有った。
「ふぃ~、やっぱり地元が1番だでや~。」
自分がやらかした預言擬きや悪戯が原因で、再び洛陽に行く羽目になるとも知らずに、束の間の休息を堪能する考え無しな糜芳であった。
因みにだが、大ファンの張遼に書いて貰った、「遼来来」が書かれた服を、大蝉や糜香を含め洗濯されそうになる度に、柔道で言う、「亀の姿勢」で、「ヤダヤダ!洗濯して落としたらヤダ~!!」とみっともなく叫びながら、死守し続けたそうな。
続く
え~と補足です。
韓遂達が降伏したのは「後漢書」に書かれている史実のようなのですが、この後漢書の元になった著者達は、個人的な感覚でど~も自分の父祖である、名家閥の良い事柄に関しては詳細に賛美賞賛して、悪い事柄は書かないorぼかして記述。
逆に宦官閥や何進・董卓といった敵対勢力に関しては、罵詈雑言や捏造を詳細に悪し様に書いて貶めて、良い事柄は書かないor簡素かつぼかして書いている節があり、韓遂についてもぼかして書かれている様に感じたので、こうだったんじゃないかな~と想像で書いておりますので、悪しからず。
まぁ、「後漢書」の編纂に当たって参考資料となった幾つもの原本が、後漢時代の後の曹魏・司馬晋時代に、どれも「正史」として認定されていない時点で、お察しな感じではありますが。
この回で張遼を登場させましたが、個人的にマジで好きです。(アンチの方には申し訳ないですが)
幾つも職場(会社=主君)を転々としながら、確実にキャリアアップを重ね、歴史に名を残す名将になるのが好いですね。
年功序列という認識が薄い(年長者に対する礼儀挨拶は別ですよ)、学歴・資格クソ食らえの実力主義が当たり前の建築・土木業界(監督・設計士は別です)に居た身としては、共感出来る感じがするもので。
建築系業界は非っ常~にシビアでして、
「使えない奴(仕事が出来ない)は、例え20代の若い衆でも要らない、逆に使えるのなら70~80代でも雇う」
という感じのわりかし腕一本の実力世界です。
20代で職長になって、30~40代の先輩を部下として使い、現場を任される事もしばしば見られる光景でしたし。
逆に実力の無い・仕事を覚えれない人は、30~40代のベテランの年の人でも、容赦なく仕事を貰えずに干されて、自然と辞めざるえない状態になるのを間近で見聞して、必死に仕事を覚えたものです。
ですので実力の有る職人さんは、結構あちこち職場を変えているのは、珍しくありませんし、逆に実力が有るから可能な事なので、張遼みたいに転々とする事に忌避感・嫌悪感は感じません。
寧ろキャリアアップする・出来ると言うのは一流のプロの証ですから、格好いいと思っています。
長々とすみません。
楽しんで読んで頂けたら嬉しいです。
優しい評価をお願いします。




