その3
え~と、この物語はフィクションですので、実在する人物・場所・団体とは一切関係在りません。
麋芳の自室
「はぁ、やっぱり糜芳かよ・・・・・・。」
オーク父こと、糜董の確定申告により自分の存在が確定的になり、糜董達が部屋から出た後も度々溜め息をついて嘆いていた。
「ええい、嘆いてもしょうがない。
これからどうするか考えるか・・・。」
とりあえず現状の不満を隅に置き、建設的な思考に切り替えて、将来設計を思い浮かべる。
(え~と、今西暦何年なんだ?確か、184(癒やし)の張角、黄巾の乱だったはず。
黄巾の乱がきっかけで民衆反乱が全土で頻発して、乱世の始まりになったんだよな。)
うろ覚えの記憶をほじくり返して、現状との擦り合わせを行う。
(そんで、曹操と袁紹が戦った官渡の戦いがきっかり200年で、そん時には寄生した勢力が悉く滅亡・衰亡するという中国史上処か世界クラスに最凶最悪の貧乏神=劉備は袁紹陣営に寄生してたんだよな)
ちなみにキ○グボンビー(曲がりなりにも皇帝になってるからエ○ペラーか?)こと劉備は、徐州牧を自称した直後に(本来は朝廷イコール皇帝に任命権があり、劉備の場合は無認可で正統性が全く無かった)呂布に徐州を奪われて部下達を捨て駒にして逃走、曹操に寄生して呂布滅亡後、恩人である曹操に反乱を起こした挙げ句、あっさり敗れて妻子を見捨てて袁紹陣営に逃亡している。
(黄巾の乱が何時起きるのか、もう起きているのかによるけど、俺や兄貴との接点ができるのは大体10年後から15年後ぐらいか?
それまでに自立してキングボ○ビーに関わらないようにして、ひっそりとフェードアウトするのが理想だな。)
自身の三国時代における記憶を元に考えた結果、それが無難かつベターな行動だと思い至る。
小心者の糜芳は、歴史の大規模な改変を行う積もりは全く無かった。
小説に出てくる主人公みたいなチート(ズルい)な知識、才能、特殊技能などは当然無く、せいぜい一般的な三国志に関しての知識や、前世で働いていた建築関係の経験・知識(それでも一般人に毛の生えた程度)ぐらいである。
まぁ、能力以上にやる気も覇気も無かった。
(下手くそに歴史を弄って未来を変えると、不確定要素が増えて不測の事態が起きやすくなって危険だしな)
自分ぐらいのモブキャラなら殆ど影響も無く、SF小説でよくある歴史の修復力とかで他の誰かが自分の代わりをしてくれるだろうと糜芳は安易に考えていた。
(それになぁ、俺の知っている知識だと関羽ってかなり質の悪い人間性みたいだから、身代わりに事欠かねーだろーしな)
・・・今でこそ神様扱いになっている関羽だが、正史(公的に認められた歴史書)にわざわざ弟分の張飛と並んで性格について書かれているぐらいである。
元蜀の文官だった陳寿編集の正史に書かれている三国志の人物伝は大体は名前、字、出身地、簡潔にエピソード等が書かれているぐらいで、性格まで書かれているのは殆ど居らず、逆に敢えて書かれる程、よっぽどの人(達)だったのだろうと予想してしまう。
現代風(あくまで個人的な解釈です)に例えると、髭面のジャ○アンこと関羽は、
「自分の下に付く人(部下・後輩)には表向き優しいが(部下や後輩の手柄は自分のものに出来るから)、有能と知るや嫉妬して潰しにかかり、同僚にはマウントを取って自分が上位じゃないと気が済まず(実際に黄忠、馬超が同格になるのを非常に嫌がっている)、 気に入らない奴=糜芳等はネチネチいびり倒して尊大な振る舞いを行い、自分の思い通りに行かないと周囲に当たり散らして自分の失敗や誤りを絶対に認めず、他人が悪い、間違っているとガチで思い込む、クズ・ゲスな同僚・先輩。」
で、ある。・・・え?、やたら具体的じゃないかって?
やだなぁ。前世でこんなロクデナシ、そうそう身近に居るはずが無いでしょうに。
(目を逸らし、遠くを見つめる)
えー・・・オホン!もう一人のヤクザ面のス○夫こと張飛は、
「上司や先輩といった目上には靴を舐めんばかりに媚びへつらい、部下や後輩には威張り散らし、些細な事で怒鳴り散らして暴力を振るう、クソな先輩・上司」
で、ある。・・・え?、実在しませんよ?こんな負のダブル役満が身近に居たら洒落になりませんよ!ホントに・・・。
(目線を伏せて、震えながら)
・・・・・・アレ?オイオイオイ!!ダブル役満に加えてキングボン○ー!?トリプってるやん!
ヤバい、マジでヤバい。
ていうか、よく竺兄や孫乾、趙雲達(本来の糜芳含めてだが)仕官したよな・・・?
ブラックどころかダークネスなのに。
・・・・・・もしかして皆マゾか?マゾヒストなのか??・・・ガクガク・・・。
ト、とにかく、負のトリプル役満共には絶対近づかない様にしよう。
ヒッヒッフゥと妊婦のごとく呼吸を繰り返して息を整える。
(しっかし、これでもかってデメリットしかないのに、よく竺兄はついて行ったよな?)
どう考えても歩く不良債権でしかないのに、史実の糜竺が入れ込んだ理由が分からず首を傾げる。
Гああ、そうかそういう事か・・・。」
思わずポンと手を鳴らし、財産をはたいてまで入れ込んだのかに思い至る。
Г・・・奇貨措くべしか・・・。」
ポツリと呟いたと同時にパタパタと軽快な足音が近づいて来て「失礼します。」と言って、父と一緒に退室した使用人のお姉さんが入って来た。
「芳様、奥様がお見舞いに参られました。」
Гえ?母上が?」
驚きの声を挙げると、ヒタヒタと足音が近づいて来ていた。
この物語は自分の将来を真剣に考え、未だ遠く、しかし確実に近づく厄介事や貧乏神に怯える哀れな男の物語である。
続く。
え~と、キングボ○ビー・ジャ○アン・ス○夫は糜芳の個人的な知識と予想・予測による解釈ですので悪しからず。
楽しんで読んで頂けたら嬉しいです。
優しい評価をお願いします。