その7
この物語は演技です。
実在する人物・人名・団体・組織とは一切関係ありません。
又、何処かで聞いたor見た事がある曲名ぽい何かは、気の所為ですのでスルーしてくださいね。
現存する歌曲とは一切関係ありませんよ。
譙県内夏侯淵邸
夏侯惇と曹仁達の色々なドタバタの後、最終的に演奏者としての技量を求められた糜芳は、「別段俺楽士じゃねーんだけどな~」と思いつつ演奏を行う事となった。
因みに士嬰に事前に聞いた話だと、この時代の名家の葬儀には幾つかの過程(儀式)があり、
告別式のような感じで葬儀を開始して死者を悼む→幾重にも木棺を重ねて遺体を納めた後、葬送行列をしながら出棺→山か丘に設置された墓所に厄払いの儀式をして納棺後、一旦休憩→家屋敷に戻って弔問客や親族を慰労する宴会を開いて終了。
というのが標準的な葬儀の流れのようだ。
そして、告別・出棺・納棺・慰労会の全てに於いて、名家の面子や見栄の為に、楽士の音楽が必須であるらしい。
(そりゃ添さんが必死になる訳だ。
楽士がいないと葬儀もままならないし、名家としての面子も丸潰れになる訳なんだからな)
士嬰の話を聞いて、夏侯添が無茶な行動に出たのに納得した糜芳であった。
それはさておき、
(う~ん、選曲どうしよう?
とりあえず、レトロゲームのBGMを2曲程演奏してみるか・・・)
前世の忘年会の隠し芸の為に、こっそり練習して習得したレトロゲームBGM集を脳内でチョイスして、
「え~と、では、「武門」夏侯家としての曲と、「名家」夏侯家としての曲を1曲ずつ演奏しますので。」
夏侯惇達に告げて、指笛改と二胡を使って演奏を始める。
♪~~~~~~♪~~♪
武門夏侯家の曲に選んだのは、「栄光的曹孟徳伝」の孟徳の主題曲で、武門に相応しく行進曲のようなテンポの良い曲である。
「時の引き金」の「ブレイブフロッグのテーマ」と同じく勇壮な曲調になっている神曲である。
孟徳の主題曲を演奏し終わった後、
♪~~~~~~~~♪~~~~♪
名家夏侯家の曲に選んだのは、「栄光的ノブの野心・確信」の「謀神家」の主題曲である。
物悲しくも古風かつ美しい曲調で、寂寥感溢れる神曲となっている。
謀神家の主題曲を演奏を終えて、
「・・・ふぅ。え~と、如何でしょうか?」
夏侯惇達に評価を聞く。
「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」
夏侯惇以下6人全員が、目を見開いたまま唖然と口を開けて沈黙していて、声1つ上がらない。
「(おい、芳の演奏曲を記録しているか?後で楽譜におこすぞ!)」
「(はい、お任せ下さい若。
糜芳殿の曲を我等が習得する、またとない機会を逃す訳にはいきませんからね。)」
士嬰達は士嬰達で糜芳の背後で、竹簡にカリカリと聴いた演奏の音階を記し、ちゃっかり記録していた。
「はっ・・・いやいや驚いた!
これ程凄い曲を2曲も演奏出来るとは・・・士景君には大変失礼を致した。平にご容赦を。
改めて一族の葬儀の件、宜しくお願い申す。」
茫然自失としていた夏侯惇が我に帰り、技量に疑いを持った事を詫びると、
「「「「「大変失礼を致した!申し訳ない!」」」」」
夏侯淵達が一斉に詫び始めた。
「いえいえ!僕の様な若輩者の技量を疑うのは、当然の事でしょうからお気になさらずに。
それでですね、先程の2曲のどちらかを、出棺の際の葬送行列時に演奏しようと思うのですが、どちらが宜しいですか?」
歴史上の有名人達に謝られるという、びっくりな出来事に慌てて手と首を振って詫びを受け入れた後に、選曲を夏侯淵達に確認する糜芳。
「「「「「「ああ、それは無論・・・」」」」」」
糜芳の問いに、夏侯淵達の答えは、
「「「武門の曲だな。」」」「「「名家の曲だな。」」」
綺麗に真っ二つに分かれた。
「「「は?」」」「「「あん?」」」
名家曲を推す夏侯惇・夏侯添・曹純と、武門曲を推す夏侯淵・曹仁・曹洪がそれぞれ別グループ連中達を、「ああん?何言ってんだコイツ等?」といった怪訝な表情で見つめ、やがて「!?」を頭上に浮かべて互いにメンチを切り、掴み合いの口論をし始めた。
夏侯惇が「名家一族の惣領として」名家曲を推すと、夏侯淵は「武門の家の喪主として」武門曲を推すといった状態で意見は平行線を辿り、一騎打ちで決めようだのすごろくで決着しようだのとすったもんだ揉めた挙げ句に、「ところで士景君はどう思う?」と糜芳に飛び火、何故か糜芳が決める事になっていた。
(うぇぇ~!?何で俺が?
心情的には、喪主である夏侯淵を支持するのが筋だと思うんだけど、心理的には夏侯惇を敵に回すのは将来的に不味いと考えてまうんやけど~!?
ど、どないしょー?どないしょー!?)
降って湧いた災難に内心頭を抱え、
「え、え~と、両方演奏しましょうか?」
どっちつかずにひよる。
「「「「「「おお!宜しくお願い申す!」」」」」」
途端に異口同音に一致する夏侯惇達。
(うう、単純に手間が倍になっちまった・・・)
1つだけにしておけば良かったと嘆く糜芳であった。
そんなこんなで打ち合わせは続き、結果翌日に葬儀を執り行う事となり、その日は解散となった。
翌日・・・
夏侯淵邸広間
白い喪服を着た糜芳と士嬰一行は、夜明けと共に夏侯淵邸を訪れて喪主の夏侯淵に挨拶を交わし、広間に安置された夏侯淵父の亡骸に拝礼して準備にかかる。
そうこうしている内に、喪主の夏侯淵と添とその兄弟身内が入場し、覚束無い足取りで虚ろな目をした、淵兄弟の母親と観られる女性が、淵達に介助されて入場。
その後にぞろぞろと、親族や弔問客と思しき人達が広間に入って来て、ボワ~ンと銅鑼が鳴らされ葬儀が始まった。
「「「「うっうっう・・・うぉぉぉ・・・。」」」」
始まった途端にほぼ全員が、地面に顔を突っ伏して泣き始める。
これは当時の風習で、「泣く人が多い程、亡くなった故人の徳を讃える事になる」という思想からきているようだ。
(何か、古代エジプトにも似たような風習があった気がするな・・・。
こういった死者の弔いって、何処かしら自然と似てくるモノなんだろうか?)
思わず益体のない事を考える糜芳。
「(おい、ボチボチ始めるぞ芳。)」
「(あ、うん了解。)」
士嬰に袖を引っ張られて、ゆっくり演奏を始める。
~~~♪~~~~~~♪
糜芳が演奏している曲は、「空に浮いていたり、動いていたりする城」と思われる序幕曲や、「風が吹く谷の今鹿」と思われる序幕曲といった、何処か物悲しい雰囲気の名曲である。
(いや~爺ちゃんの葬儀の時、葬祭場でこの曲等がBGMで流れた時にはびっくりしたよな。
聴いていると、何か心に染みて涙が出ちゃったな~)
前世の体験を思い出し、しんみりと演奏する。
広間にいる人達は、聞いた事の無い音調に一斉に驚いた表情で糜芳達を観て、糜芳が仮面を被っているのに2度見した後、慌てて顔を伏せる。
やがて曲の音調が徐々に染み込んでいったのか、泣く声量が増していっている様に感じられた。
(ふぅ、とりあえずは良しだな。
・・・しっかし幾ら曲をループして演奏するとは言え、1時間以上も演奏し続けるなんて、楽士ってエラいわマジで)
つくづく感心する糜芳。
本来は何人かにグループを分けて交代で演奏と休憩を交互にするのだが、分けられる人数がそもそもいない為、小休止を挟みつつも、ずっと続けて演奏する羽目に陥っていた。
(うう~ん、何かしんどくなってきたな。
士嬰達も疲れてるみたいだし、ちょっと別の曲にしてみるか・・・)
伴奏している士嬰達に、予め決めていたジェスチャーで「ちょっと休憩してて」と伝えて、ソロで演奏する事にした。
琉球風に二胡の音調を変えて、ゆっくりと演奏する。
~~~~♪~~♪~~~♪
糜芳が演奏しているのは、曹操も聴けば涙すると思われる曲、「涙曹操」である。
亡き人の笑顔を思い出しつつも、悲哀を感じる言葉が所々に入っていると思われる名曲である。
「~~~♪~~~~♪・・・あっ。」
気がついたら自然と歌ってしまっていた糜芳。
「し、失礼・「「「「「うわぁぁぁぁああ!!!」」」」」
咄嗟に謝ろうとした瞬間、夏侯一族を筆頭に、怒号のような泣き声が盛大に広間に響き渡って、嗚咽が入り混じった騒ぎになった。
「うう、ちくしょう。な、涙が止まらん。」
「ヒッヒッグッ・・・ヒグッウッウッ、ウ~!」
「ウグウッ、なんて心に沁みる歌なんだ・・・。」
曹仁達も嗚咽を漏らしながら、涙を流している。
(ま、まぁ結果オーライだな良し、ウンウン)
ホッと胸をなで下ろした糜芳だった。
そうして告別が終わり、亡骸を納棺した棺を馬車に積み込み、墓所に向けて出棺する時が来て、
「では、出発する!」
喪主である夏侯淵の宣言を契機に、移動を開始する。
♪~~~!♪~~~~!
同時に糜芳達が、「栄光的曹孟徳伝」の孟徳のテーマを演奏し始め、勇壮な音色が通過する道々に響き渡った。
ザワザワ・・・ザワザワ・・・
「おい、あれって・・・。」
「うん?どうも夏侯家の人達だな。
誰か亡くなったみたいだな。」
「なんか聞いた事の無い音楽だよな?」
「そうだな・・・しかし、勇壮で勇ましい曲だな。」
「ああ、確かに。格好いいと言うか何というか。」
遠目に葬送行列を観ている通行人の人々は、糜芳達の演奏する曲を聞いて、好意的な視線と意見をちらほらと洩らす。
周囲の人々の感想を洩れ聞いた夏侯家の人達は、なんとなく誇らしげに胸を張って歩いている。
そして何故か糜芳達の演奏に釣られる様に、興味本位なのか暇潰しなのか、葬送行列の後ろに一般民衆もぞろぞろと付いて来た。
(なんかハーメルンの笛吹男だっけ?になった気分だな、俺・・・)
後ろに付いて来た人々を見て、思わずそう感じた糜芳であった。
~~~・・・♪~~~~~・・・♪
譙県の城門を出て墓所に到着するまでは、「栄光的ノブの野心・確信」の「謀神家」のテーマに曲を変更し、ゆっくりと向かう。
オオオオォォォ・・・・・・
「おいおい、すげーな楽士達。」
「ああ、聞いた事無いけど、耳に残る良い曲だよな。」
「譙県の楽士達じゃないよなあいつ等?」
「いや、見た事ない楽士達だから違うだろ。
譙県の楽士の演奏ちょくちょく聴くけど、あんな良い曲演奏してんの聴いた事ねーぞ。」
民衆の人達がヒソヒソと地元楽士達との評論を交わし、改めて糜芳達を褒め称える。
(う~ん、地元楽士達の評判を貶めてる気がするけど、まっ、いいか。
どうせ余所事だし、俺達には関係ないしな)
ふと糜芳は思ったが、どうでもいいやと放って置くことにする。
因みに、糜芳達の演奏を聴いた譙県の人達は、地元楽士の演奏に不満を持つようになり、特に名家閥・宦官閥の人々は、
「落ち目の夏侯家の奴等は、良き演奏を聴けていたのに、何故自分達はその良き演奏を聴けないのだ!」
と怒り心頭、地元楽士の技量不足を責める様になり、地元楽士達は糜芳達と同じクオリティを求められる目に遭うという、悲惨な事となったそうな。
最初から依頼を受けていれば、もしくは近隣の楽士に応援を頼んでいれば、そんな事にならずに済んだのに、因果応報とはよく言ったものである。
それはさておき、
無事墓所に辿り着いた夏侯淵達と糜芳一行は、道士がムニャムニャと呪文?らしきものを唱えて、厄払いの儀式を終えた後に、一軒家のような墓所に納棺して、歩いて疲れた体を癒やす為に休憩をとっていた。
「ふぃ~・・・。疲れた~。」
「ああ、ホントにな。
・・・とりあえず帰りは演奏しなくていいし、馬車に乗せて貰えるから、屋敷に戻るまではのんびり長く休めるぞ、芳。」
「え、マジで!?
よっしゃ~、のんびり休憩、休憩。」
ゆっくりとはいえ演奏しながら歩き、疲れていた糜芳は、士嬰の話を聞いてゴロンと寝っ転がる。
暫く休んでいると、夏侯淵がやってきて、
「士景君達、ご苦労様。お陰で面子が保てたよ。
後は慰労会の演奏を宜しく頼むよ。
帰り道は、父上を載せていた馬車に乗ってくれ。」
上機嫌で糜芳達を慰労する。
「あっ、はいありがとうございます。」
「うんうん。少しでも英気を養ってくれ。
・・・それにしても、士景君は素晴らしい歌を歌うな。地元の民謡か?」
「いえいえ、違いますよ夏侯淵様。
ウチの団長は、即興で曲や歌を創る名人でして、告別の時の歌も、あの時に即興で歌ったんですよ。」
夏侯淵の問いに、士嬰が答える。
(いや、前世の歌曲を引っ張り出してるだけなんだけど・・・言えねえ)
何とも言えないもどかしさを感じる糜芳。
「ほう!それは凄いな。
因みにだが、今この場でも作曲出来るのか?
もし良かったら、一曲披露して貰えないだろうか。
無論、報酬は別に出すから。」
「はぁ、良いですけど・・・。」
夏侯淵の頼みで、糜芳は即興で歌う事になった。
そのまま夏侯淵に引っ張られて、皆が思い思いに休憩をとっている中央付近に連行される。
「皆の者~。士景君が即興で歌を歌ってくれるぞ!」
「おおー、頑張れよ~。」
「さっきみたいに、ええ歌聴かせてくれや!」
夏侯淵の話を聞いて、やんややんやと囃し立てる周囲の人達。
(う~ん、どうしよう・・・)
何かネタになるモノがないかなとキョロキョロと見回すと、故人の墓所を茫然自失といった体で見つめる、夏侯淵の母親が目に映る。
(良し、この歌にしよう)
「え~と、では、奥様の亡くなられた旦那様へのお気持ちを歌います。」
そう告げて、スゥと息を吸うと、
「~~~~♪~~~~~♪~~~♪。」
朗々と歌い出した。
糜芳が歌っているのは、「蓮のような花を咲かせる、樹木が涙する」と思われる歌である。
残された配偶者の心情を歌った曲であり、なんで私を残して逝くの?一緒に生き続けようって言っていたのに・・・酷い!と言った感じの歌詞が綴られており、遺族の人達の心に刺さる名曲である。
「~~~~♪・・・ふぅ、ご静聴ありがとうございました。」
ペコリと頭を下げてお辞儀する。
歌を聞いていた夏侯淵母が、「あ、あ、あ」と呻き声を上げ、両手で拳を目の前に握り締め、頭を左右に振りながら、
「わぁぁぁぁああああああ!!!!」
地面に突っ伏して、泣き叫んだ。
「「母上!!・・・は、ばう゛え“~うわぁぁぁ!」」
夏侯淵・添兄弟が母に駆け寄り、抱え起こそうとするが、悲痛な泣き声を上げ続ける母につられて、兄弟も抱き付いたまま泣き始めた。
そしてそんな夏侯親子の状態を観て、我が身になって泣いたり、貰い泣きする人達が続出。
文字通り阿鼻叫喚の有り様になった。
「おい、芳グス。
こんな状況にしてウッ、どう収拾つけるんだよヒグッ?」
貰い泣きしながら糜芳に尋ねる士嬰。
「え~と、どうしよう?」
途方に暮れる糜芳であった。
結局、予定よりも大幅に遅れて帰還する事になり、泣き疲れて寝てしまった夏侯母を馬車に乗せて搬送する為に、歩いて帰る事になった糜芳。
「うぇ~」と内心思いつつのそのそと歩いて、夏侯屋敷に帰ってくると、
「若様・・・いえ、旦那様!ちょっと!」
留守を任されていたと思われる使用人が、焦った顔で夏侯淵に近づいて、耳打ちをする。
「どうした?・・・・・・は?へ?誠か!?」
「はい、間違いありません。」
糜芳の方をチラチラ見ながら話している。
(うん?何だろう?)
首を傾げていると、夏侯淵と使用人が駆け寄って来て、
「主上がお召しになった御方とはつゆ知らず非礼の数々、平に平に御容赦を~!!」
五体投地ばりの土下座を糜芳にする。
「「「「「えええぇぇぇぇぇっっっ!!!???」」」」」
夏侯淵の土下座と台詞を聞いて、ビックリ仰天する夏侯惇始め一族・弔問客達。
「「「「「平に平に、御容赦を~~~!!」」」」」
慌てて夏侯淵と同じく土下座する一同。
いきなり土下座された糜芳は、
(うわ~い。どっかの副将軍になったみた~い)
訳が判らず、現実逃避していた。
この状況は、糜芳の前世の知識と田舎出身による情報の齟齬によって発生した事で、主上に召し出しを受けた糜芳の立ち位置は、皇帝の客人=国賓(超ⅤⅠР)に近い立場であり、その国賓を一名家(浪人)に過ぎない夏侯家が顎で使うという、とんでもない非礼を働いた事になっていた。
なので、本来は夏侯添が依頼をしてきた時点で、説明して断るか、無礼を責めるべきものなのだが、如何せん士嬰処か、糜董ですら皇帝のお召しについての知識が皆無で、糜芳の現状の立場を全く理解していなかったし、周囲にもいなかった。
それに加えて、糜芳自身が前世の知識により、オワコン確定の漢帝国を思いっきり軽視して、歴史上の有名人である夏侯一族をある意味重視していたので、友人の士嬰に頼まれたのも手伝って、安請け合いをしてしまい、現在の状況を生み出してしまったのである。
現状を分かり易く言えば夏侯家の皆さんは、糜芳の行動1つ(皇帝にチクる)で一族族滅か生還かの、デッドオアライブの瀬戸際にいるのである。
それを夏侯淵達から聞いた糜芳は、
「いやいや皆様方顔を上げて下さい!
今回は友人の頼みで、私事で「士景」として参加した事ですので、淵様達に何も含む事は有りませんから!
僕の名に懸けて、何も無い事をお約束致します。」
流石に歴史のデカい改変になりかねない事態に、無難主義の糜芳は、慌てて夏侯一族の無事を保証する。
「ははっ、有り難く!」
ホッと胸をなで下ろした夏侯淵と一族。
そして夏侯惇が、「どうぞ賓客として・・・」とそのまま糜芳を客人として慰労会に熱心に誘い、
「ささ、むさ苦しい所ですが士景様、どうぞ広間に起こし下さい。ささ・・・。」
率先して糜芳を広間に促す。
「「むさ苦しくて悪かったな!惇兄!?」」
淵兄弟の罵声を聞きながしながら。
そのまま慰労会に賓客として参加して、実名を名乗り偽名を詫びる。
「いえいえ、万一に我々に累や迷惑をかけない様にご配慮してくださったのでしょう?
感謝する事はあっても責める謂われは有りませんので。」
爽やかな物腰で、逆に感謝の念を送る夏侯惇。
なんやかんや丁重な扱いを受けながら、慰労会を過ごしていたら士嬰が、
「そう言えば芳。
夏侯家の人達に、主上の取り次ぎの伝手を聞かなくてへぶぅぅ!?」
大変余計な事を言ってきたので、咄嗟に裏拳を放って黙らせたのだが、時すでに遅し。
「なんと、左様でしたか。
それなら私にお任せください。
衰えたと云えど、我が従兄弟に朝廷(洛陽)に奉職している者が居りまして、今回は職務を全うせよと伝えて参加していないのですが・・・。」
ドンと胸を叩いて自信満々に告げる夏侯惇。
(知ってるぅ、知ってるっすぅ惇兄さん!
けどね今は、今は不味いのよ惇兄さん~)
ゾワゾワと背筋に電流が流れる。
「いえいえお構いなく。
人の不幸を糧にしては駄目と、死んだ曾祖母ちゃんが枕元で言ってきたので。」
何気にホラーな発言をする糜芳。(混乱中)
拒否してなんとか回避しようと必死だ。
すると、突然夏侯惇は剣を抜き放ち、
「一族一門が受けた恩義を返せぬと有らば、惣領として面目が立たず父祖に会わせる顔無し!この上は顔を削って自害し、父祖にお詫び致す!」
過激な発言をして、剣を顔に近付けていく。
「ちょっとちょっと!?待って待って惇さん!?」
「・・・恩返しをさせて貰えるので?」
慌てて止めようとすると、ピタッと止まり、わざとか否か剣の切っ先を此方の目の前に向けて来たので、
「ハイ、ヨロコンデオネガイシマス・・・。」
元日本人らしく両手をホールドアップ(万歳)して、素敵な笑顔で了承した、光り物に非常に弱い糜芳であった。
続く
え~と、纏めきれず長文になってしまいました。
平に平に御容赦を。
仕事の合間や帰宅後に書いていますので、どうしても投稿が遅滞気味になってしまいます。
毎日投稿している方の、速書き能力が欲しい今日この頃です。
長々とすみません。
楽しんで読んで頂けたら、嬉しいです。
優しい評価と感想・意見をお願いします。




