その2
え~と、この物語はフィクションです。
作中に登場する人物名・地名・組織団体名は実在する人物・場所・組織団体とは一切関係在りませんので混同されないようお願いします。
それらを踏まえた上で物語をお読み下さい。
拝啓、前世のお父様、お元気でしょうか。
貴方は今年も県下一の危祭(本当に非常に危ない祭りで、別名喧嘩祭りと言われている)、道〇祭り(地元〇後地域の住民の参加者ほぼゼロ)に参加されるのでしょうか?
メキッ
いい歳をして試合終了後のプロボクサー(ノーメイクでお化け屋敷でアルバイトできるぐらい)みたいな顔で職場に出勤されるのでしょうか?(誰も驚かない)
メキメキッ
お父様・・・ミシミシィ・・・
イタタタ、痛い痛い痛い!!
「芳よ!気が付いて本当によかった。ウォーン!」
現世の父が鷹木○ゥのそっくりさんなのに衝撃を受けて、思わず現実逃避をしていたら、いつの間にかブゥのそっくりさんに抱き締められて鯖折りを食らっていた。
「痛い!痛いです父上!」
あまりの痛みに、ブゥ父の背中をパンパンと手をタップし、鯖折りを止めるように促した。
「お、おお、スマンスマン。」
無自覚に力を込めていたのに気づいた様で、
慌てて手を離してくれた。
(フィー、アブねぇ、アブねぇ。転生した直後に逝くとこだった。しっかし、スルリと「父」の言葉が自然と出てきたけども違和感が全然無いな。)
そう内心思っていると、元々の「麋芳」の父との記憶が次々とフラッシュバックする。
オークのような顔で多忙な合間(使用人=従業員、約一万人を抱える大商家の主)を縫って、可愛いがってくれる、優しい父。
猪八戒のような顔でー家の当主として、家族や一族を取り纏めて毅然と振る舞う、立派な父。
ウー○ンのような顔で訪れた役人らしき立派な格好をした人と、密室でボソボソと密談する、越後屋の様な父。
鷹木ブ○(似)のツラで何人もの妻妾を持ち、夜な夜な違う部屋に入り浸る、うらやまけしからん父。
・・・なんとなく優人の主観が入り混じっている気がするが、概ね好意的(?)に見える人物の様だ。
(まぁ、実際に泣いて無事を喜んでくれているんだし、いい人なんだろうな。
・・・すいませんでした、失礼なことを考えてちゃって)
優人は失礼な先入観を深く反省すると同時に罪悪感を感じてしまう。
(意図した事じゃないけど、俺がこの人の本来の息子「糜芳」の意識と肉体を乗っ取った形になってるんだよなぁ・・・。
いっそのこと素直に告白してみようか?う~ん、でも急にそんな突拍子も無い話を信じてくれるだろうか?とりあえずシュミレートしてみよう)
是・・・信じてくれた場合。
芳「自分、前世と言うか未来の記憶と知識があるんです。」
董「なに!私の子に妖怪が取り憑いた様だ!祈祷師を呼べ、お祓いをしてもらおう!!」
そうして怪しい儀式に強制的に延々参加させられてしまいそう・・・却下だ。
否・・・信じてくれなかった場合。
芳「自分、前世と言うか未来の記憶と知識があるんです。」
董「なに!大変だ。頭を打った衝撃で錯乱しているぞ!医者を呼べ!!」
そうして錯乱してキ○ガイになったと思われて、療養という名目で監禁されそう・・・これまた無理だ。
(アレ?どっちもアウトじゃん。過程は違うけど結果は一緒で、詰んじゃう。
・・・よし、黙っていよう。前世??何ソレ?美味しいの?
米田優人?誰ソレ?ぼくの名前はマ○坊じゃねぇ、糜芳だよ)
最前まで感じて居たはずの罪悪感と前世の名前を、己の保身の為に遥か彼方に放り投げる外道
米田優人改め、糜芳。
(よくよく考えてみれば、もし本来の糜芳の意識が戻ったとしても、悲惨な未来のルートに行ってしまうだろうから、俺がこのまま頑張って別のルートに行ったほうがWIN=WINになって両方得だよね?)
躊躇無く本来の持ち主の肉体を乗っ取る決意を固める鬼畜こと、米田優人改め、糜芳。
「・・・おおい、聞いているのかい?芳?」
ハッと気が向くと糜董が心配そうに自分の事を見つめていた。
どうやら色々頭の中で考え事をしている間、糜董は何かと話しかけてくれていた様だ。
「申し訳ありません、父上。
頭がぼーっとして聞いていませんでした。」
俯き、如何にも申し訳無さそうな態度で頭を下げて謝罪する。
「いや、いいんだ。
私の方こそ安静に養生させなきゃいけないのに長居して済まなかったね。
そろそろお暇するから、今日は部屋でゆっくり休んでなさい。」
話を聞いていなかった糜芳に怒りもせず、温和な笑みを浮かべて許す聖人君子の様な人格者の糜董。
(このオークみたいな人は、俺の父、糜董。
下半身もオークな俺の父、糜董。)
・・・その人格者を先程の反省を忘れて失礼な認識でインストールする糜芳。
何気に、人類(○木ブゥ)からモンスター(オーク)にクラスチェンジをしているのだが、悪化しているのか、良くなっているのか意見が分かれるところである。
そんな糜芳の内心を露知らず、テクテク・・・ドスドスと部屋の外に歩いていた糜董が「あ、そうそう。」と呟いて足を止めて振り向くと、
「此処に来る前に竺が役所から帰って来て芳のことを聞いて大層心配してね、見舞いに行きたいって言ってたよ。」
「竺兄上?もしかして字が子仲の兄上ですか?」
「竺」と言う単語にびくりとし、恐る恐る違うと言ってくれと願いつつ尋ねる。
Г?、そうだよって他に誰がいるんだい?」
首を傾げて、不思議そうに答える糜董。
「え~と、ちなみにお・・・僕は?」
震える声で往生際悪く尋ねるユダ(まだ推定の段階と本人は主張)。
「え?芳の歳で字を付けるのはまだ早すぎだね。う~ん、そおだねぇ将来的に「子方」でどうだい?」
確定申告、ありがとうございます!(涙)
この物語は、己の保身の為に情けも遠慮も躊躇も容赦なく切り捨てる、鬼畜で外道な男の物語である。
続く。
え~と、読んで下さっている読者の方へ
本来なら子供の場合、幼名で表現するのが妥当らしいのですが、下手に幼名で表現すると判りづらくなる為、敢えて名前か若しくはフルネームで表現しています。
(芳・糜芳等)
又、成人の場合も字で呼称するのが正しい表現(糜竺の場合子仲)なのですが、これ又判別しにくくなるので(子○という字多すぎ!)
敢えてこれも名前・フルネームで表現していますので、悪しからずご了承下さい。
長々とすみません。
楽しんで読んで頂けたら嬉しいです。
優しい評価をお願いします。