ニューホライゾーーーーーン!!
君の声を聞くと、心の中に春風が吹き渡る。陽だまりのような暖かい音符が鼓膜を跳びはね、陽気な嵐を巻き起こす。伝えたい言葉を書き連ねた原稿用紙の束は、全て地平線の彼方まで飛んで見えなくなってゆく。だから僕はありきたりな挨拶で繋がることしかできない。
How are you?
I'm fine, thank you. And you?
君の瞳を覗きこむと、心の奥のダムが決壊する。溜め込んだ想いが何もかも飲み込んで、勢いを増して駆け抜けて行く。語りたい言葉を綴ったノートの山も、全て水平線の彼方へ流され見えなくなってゆく。だから僕は冴えない質問でお茶を濁すことしかできない。
Do you like music?
Yes, I do.
君の手に触れると、心の空一面に邪な雲が広がっていく。分厚い壁が重くのしかかり、燦々と輝く笑顔も意地悪く覆い隠す。届けたい言葉を飾ったアルバムも全部放り出して逃げたくなった僕は、ぎこちない愛想笑いで取り繕うことしかできない。
Is this your pen?
Yes, it is. Thank you.
You're welcome.
「佐藤君、存在しない行間に捏造した思春期のエモい感情を詰め込んで音読するのは止めなさい!」