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冒険者

これは私がソロで活動していた頃の話…。


 薄暗い回廊を1人歩く。

ダンジョン内には薄明るく光る鉱石が壁や天井面から顔を出している。エルフ族は暗視能力に優れているため、人族のように灯りを持たなくてもダンジョン内で活動することができる。


 足音を立てないように歩く、これはソロで活動する上で必須のスキルだ。

十字路に差し掛かる直前で立ち止まり、音を立てないように近くに落ちている小石を拾い前方に投げ入れる。

すると十字路の左側から飛び出す影。

その影に目掛けてタイミングを合わせて剣を振るう。

「ギャッ!?」

走る速度そのままに地面に倒れ込み、首から鮮血を吹き出し絶命した。


 残りの敵がいないことを確認し倒れている影に近づく。それは緑色の人型の魔物、ゴブリンだ。

ゴブリンから採取するものは特にない。しいて言うなら持っている武器や道具類だろうか。


 このゴブリンにはめぼしいものもないのでそのまま放置する。

ダンジョン内で死んだモンスターは一定時間が経つとまるでダンジョンに吸収されるかのように消えてしまうのだ。ただし、ダンジョン外に持ち出されたものに関しては消えないという不思議な仕組みになっている。


 ゴブリンが飛び出してきた左側とは反対の右の通路に進む。しばらく進むとY字路に辿り着き、そこをさらに右に進み、突き当たりにある正八面体の水晶に触れる。すると、眩い光に包まれ収まったときにはダンジョン外に出ていた。


 ダンジョン探索を終え帰路につく。今日の探索の目的はギルドで受けた調査依頼だったのだが、特に問題なく終わった。調査というのも、ダンジョン内でゴブリンが大量発生しているのでは無いかという情報が寄せられたため、その調査を高ランク冒険者に依頼した形だ。そしてその依頼を受けたのが私という訳だ。


今回調査したダンジョンは小規模で新人冒険者が探索するところなのだが、その新人冒険者から「いつもよりゴブリンが多い」や「ゴブリンの上位種を見た」等の情報が寄せられた。調査したところ、確かにいっぱいゴブリンいたけど異常という程でもない気がする、というのが探索した感想だった。


 夕日を背に街へと続く道を進む。ダンジョン外の地上にもモンスターは存在し人々を脅かしている、だが街に近い場所には街の自警団や冒険者や騎士団などが近隣のモンスターを討伐しているので比較的に数は少なく安全と言える。そして、山賊や狂信者といった集団も街に近いところでは活動していない為にあまり警戒しなくていいので移動は楽だと言える。


 街の門前に到着する。モンスターの侵入を防ぐのと人の出入りや物流を監視、管理するために市壁を築き、街への出入りには門での軽いチェックが行われる。


 門番兵に冒険者カードを提示して門を潜り街に入り冒険者ギルドを目指す。冒険者ギルドは大抵街の中心にあるため、どこの門から入っても同じ距離にある。


 ギルドに入り受付に行き、調査結果を報告する。


「特に異常は見られなかった、でよろしいですね?」

「はい、それと討伐報酬をお願いします」

「かしこまりました、少々お待ちください」


 手持ち無沙汰に周囲を見渡す。何人かの冒険者と目が合うがいつもの事なので気にしない。目が合う男性の比率が圧倒的に高いのは容姿のせいだろうか。


「お待たせ致しました、こちらが報酬のシルバーになります、ご確認ください」

「ありがとうございます」


 シルバーを受け取りインベントリーにしまう。インベントリーというのはインベントリーリングを装着すると使える便利な収納機能だ。触れた物を収納したり、収納した物を手元に出すことが出来る。インベントリーの容量はリングの質によって様々で、人工的に作られたものとダンジョン産の物がある。人工的に作られたリングは容量が少なめで、精巧に作られたものほど容量が大きく高価になってしまう。一方ダンジョン産のリングは大変希少で市場に出回っているものでも高額なものしかない。そのため大容量なリングを所持しているのはダンジョンで自前で手に入れた冒険者か大金を持つ富豪や商人、高ランク冒険者といった人達に限られる。


 因みに私のはダンジョンで運良く手に入れた大容量リングである。(当たりアカ乙)


 依頼も達成し今日のお仕事も終えたので拠点にしている宿に向かう。向かうがてらに露店により、消費した分の回復薬を補充する。冒険者にとって回復薬は生命線なのである。


「ただいま戻りました」

「おかえりなさいリルちゃん、はいこれ鍵とタオルね」

「ありがとうございます」


鍵とタオルを受け取り部屋に向かう。出迎えてくれたのはこの宿のおかみさんのカミラさん、青髪翠眼の美人さんだ。この宿に泊まりだしてから長い期間が経つため、お互いに気心が知れているのでとても居心地が良い。


 部屋で弓と剣のメンテナンスを済ましてから、1階の食堂に行き夕食を摂る。今日のメニューはビーフシチューに白パン、サラダのセットだった。美味しかったです。


 そしていつものように湯浴みをしてからベッドに入り眠りにつく。

『おやすみリル』

「おやすみなさいエア⋯」


 おはようございます、今日は良い天気ですね。今日も今日とてダンジョン探索と思いギルドにやってきたところなのですが、なにやらギルド内が騒がしいです。少し気になるので、依頼の貼ってあるコルクボードを眺めながら聞き耳を立ててみる。


「おい嬢ちゃん、俺と1杯やらないかい?」

これは関係ないだろう。


「おい、聞いたか。昨日のことなんだがBランクパーティーのエデンが壊滅したってよ」

「まじかよ、あのエデンが?でもなんでだよ?」

「なんでもダンジョン探索中に闇討ちにあったらしい、誰かに恨まれていたか金目当てかは知らんがな」

「へぇー、そういえば昨日の事なのに情報が早いな?」

「あぁ、昨日の夜中にエデンのメンバーの1人がボロボロになった状態でギルドに駆け込んできたらしい」


 なるほど、確かにBランクパーティーが闇討ちにあって壊滅となればこの騒ぎにも納得だ。


 自分にもいつ降りかかるか分からないものだけにあれこれ考えてしまうが、これに関しては考えても仕方がない。せいぜい恨まれて闇討ちされないように努力するくらいだろう。


 さて、では改めて今日のダンジョン探索と行きましょうか!


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