令和2年7月16日利家泣く
しみじみ
初夏である金沢市は野田山にある、早朝おまつの墓前に利家はいた。墓を清め花を供え線香を焚いておまつの霊を弔う。
これで何百回ここに足を運んだのだろうか?利家は四合瓶とぐい飲みを2つ用意していて、おまつに一献、自らにも手酌で酒を注ぐ。
『おまつよ聞いてくれ!やっと…やっと右左殿の時代に追い付いたぞ!それにな…あの時はあれほど手を焼いていた今日子殿にも500年で遅れを取らぬ武を身に修めることができたわい!』
物言わぬ墓に利家は、若かりしころの又左の異名を言われ始めた時代の気持ちに返る。
家族付き合いをしていた木下藤吉郎を右左が暗殺してしまったことへの無念さや。その事により御館さまが陰謀から免れたことや。
結局失火で本能寺で亡くなるおっちょこちょいさなどを悔しがってみせた。
あれからおまつの遺言通り、何人かの後妻を得たが、今は前川家の居候を決め込んでいるので、気が向いたらふらっとデリヘルなるもので色々ごまかしているのはおまつには内緒だ。
いや、皆にないしょなのだ。
だいぶポイントもたまったのでオプションがサービスでつけられることもないしょなのだ。
プレイだけでは充たされないときは、ソープという場所にも足げく身を運んでるなんて墓前で言えない。
すべては心のうちで決着をつけるのだ。
皆は呆れるかもしれないが後妻を持ち子宝を得て幸せに暮らし。その愛するものの死を看とるのには疲れてしまったのだ。
500年で24人の妻を持った。子の数は数えるのをあきらめた。いや、けっして忘れたわけではない!孫の数は数えるのを断念した。無理なのだ。
世界大手の歴史ある弁護士事務所に委託して子孫のいく末は見守っている。余程困窮したときは陰ながら支えてもいる。それが利家のささやかな誠意だった。
おまつのことを思うと自然と涙が溢れてくる。利家はさめざめと涙していた。
『いかん!そろそろ法要の前田家の者達が来てしまう!』
四合瓶を空にした利家は立ち上がる。
『よっこらせっと!おまつまたな!』
その時、利家のスマホが鳴る!!!
『だれじゃ?もしもし?前田だが?あーゆりあちゃんかい?どうした?ん?ん?今月の成績がたりないから助けてくれって?わかったぞ、いつがいいのじゃ?今から?…いいじゃろう待ち合わせはいつもの場所でよいのじゃな?はーい、またあとで』
利家は馴染みのデリヘル嬢からのSOSに気前よく応えた。
『おまつよ、救援要請じゃ!某は戦場へまいるぞ!』
利家はタクシー会社に電話して指定のホテルへ向かうのであった。御盛んなことである。
槍の又左早朝の出陣であった。
なにやってんだか…。せっかくの思い出語りなのに…。
『ゆりあーーーー!』
と叫びたくなりますね。はぁ。
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