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槍の又左一代記  作者: 依田cyber良治
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疑心暗鬼が晴れる時に

プレハブで有名なあの会社は南極探検隊基地の建築もされてるらしいですよ。

海岸からロニモたちの集落へと向かう方向に、必要最低限度の森林の伐採をしながら道路建設や宿泊場所となる砦も建設した。ここでも穴太衆が穴太積みと呼ばれる石垣造りで大活躍している。僕にとって環境の保全は優先順位が高いので皆にしっかりと厳命してある。そして、併設して資源を精錬する施設も完成。これで鉱石と石炭が揃えば、続々と製鉄加工が出来る様になるはずだ。


砦と精錬施設は2日で完成していた。

要するにプレハブ式の建物である。

日本で作り分解して船で運んで来たのだ。


伐採された木は乾燥させているところだ。これにはだいぶ時間がかかりそうだ。

すると、今日は気配を隠さずにロニモがベースキャンプへとやって来た。


『前田殿よ、酋長イシが呼んでいる』

『そうか、もうそんなに日が昇ったか』

『そうだが…たったこれだけの日数で町が出来ているではないか?信じられない』

『かっこいいだろ?』

『ああ、森の精霊たちも、風の精霊たちも実に穏やかに感じる』


なんて答えるのが正解かなー?僕はあまり時をかけずに最適解の返答を探す。


『我が国、日本にはのお、帝がおられるのだが。日々、神ごとを行い世界の平和を願っておられるのだぞ、そなたらの精霊にもその尊き祈りが届いていると良いのだかな』

『シャーマンが前田殿の主か?』

『ちょっと違うが、違わないところも在るのかもしれぬな』


話しながらロニモは集落へと歩き出す、僕は自然に着いていくだけだ。

建設された道は次第に途切れ、森の中を進む。

ロニモはとても緊張している様子だ。

しばらくすると集落へ着いた。人の数が普段の3倍は人がいる。

丈夫そうな馬も沢山だ。

僕は酋長イシのテントに招かれた。


『前田殿入られよ』

『ああ』


バサリと毛皮の玄関の幕を開き中に入る。

予想通り大勢の風格ある面々がいた。

酋長イシが言う


『前田殿、こちらへ』

『お招き感謝いたす。では遠慮なく』


僕は指定された場所に腰掛け目を伏せて酋長イシの言葉を静かに待つ。

皆の空気は重い。


『皆の衆よ、今日は日差しも明るく風は爽やかだ、大地も穏やかにここにある。紹介しよう!はるばる日の沈む国、日本から来た友人の前田利家殿だ。きっと、皆とも友人になれるであろう』

『正親町天皇の治める国、日本の織田信長が家臣、前田利家である。どうか友情をもって話をしたい』

『酋長イシよ!東から白い蛮族が攻めて来た!西からは黄色い蛮族が攻めて来ただけではないのか!?今すぐこの男の命を天に捧げ頭の皮を剥ぐべきだ!』


ある部族の酋長が声を荒げて言う!


『すまぬ、酋長イシよ彼はどこから来たのだ?』

『今、もっとも被害を受けている東の大地の果ての部族の酋長ニシムだ』


東の果てのニシム?『池袋の東口に西武があって西口に東急があるって面白いやろ?』と言った父の姿が思い浮かぶ。

右左は場の空気を読めない思いに少しふける。


『そうであるか、酋長ニシムよ。そなたらの気持ちは理解できる。だが、我々は我々を守るためにも東の白い蛮族を討ち滅ぼしたいのだ』

酋長ニシムは静かに言う

『前田殿は…前田殿は…何もわかっていない。あやつらの武器は慈悲のかけらもないのだ』

そしてロニモが立ち上がった。

『皆の衆、私もそう思っていた。前田殿には申し訳ないが疑っていた。だが今は違う!必ず勝てるのだ!』

また別の若い酋長がさけぶ!

『証拠を見せろ!証拠を!あれにかなう武器などあるものか!?』

僕はただあるがままに、落ち着いた姿勢で。

『少々歩くが、是非ともお見せしよう』

『『『望むところだ!』』』


おや?皆結構疑って来てるなあ、派手にやるか!



ベースキャンプの演習場へ皆を連れてきた。

部族長たちの殺気が溢れて場がチリチリとした空気に包まれている。


いい加減、そのおかしな殺気なんとかしたいなあと僕は心から思う。一番の元凶はニシムである。どうにも気が荒いみたいだ、本来の性格なのか?侵略を受けてナーバスなのか?どちらだろうか?


僕は大豪声を上げて場の緊張感を引き上げる!

『慶次郎はおるか!』

『ははっ!こちらに』

って横におるやん!


酋長たちが驚いていた!

まあ驚くよね。

酋長たちは慶次郎から目が離せないようだ。

右左は思う。


うん!やっぱりカリスマ性は慶次郎だな!



皆を見回しながらロニモが酋長たちへ声をかける。

『ここで見たものは口外禁止だ!これからの戦略に、勝敗に関わる!よろしいですか?』

何の期待もしていない声でニシムは言う

『寝ずで来たから、つまらなかったら寝るからな!』


はいはい、そうですかそうですか…。

僕はは目にモノを見せてやろうじゃないかと慶次郎に檄を飛ばす!


『慶次郎、指揮はまかせる少し盛大に演習訓練をせよ!銃器、重火器の使用を許可する!』

『ははっ!(みてろよー!)』

慶次郎もやる気満々だ!

『近接銃撃隊!前へ!前方の敵兵を馬上より攻撃せよ!』


ダッダカダッダカダッダカダッダカ!


5頭の騎馬小隊がかけてくる。

小隊長が『撃てー!』というと。


パンパンパパン!パンパンパパン!とカカシにどんどん小穴が空いていく。

距離として50メートル。


『長距離銃撃隊!前へ!撃て!』


僕らからは全く豆粒みたいに見える5人組がライフル射撃をする。


ドーン!


すご!息ピッタリやん!


カカシが全てぶっ飛ぶ!


『水陸両用部隊!撃て!』

すると赤い煙幕弾が指向性をもって打ち上げられる。


ドッゴーン!!


カカシの周辺に大きな爆発がおこる。


『旗艦アマテラス!主砲3連!撃て!』


はるか上空の気球から三発の青い煙幕弾が放たれる。

旗艦アマテラスは海岸から20キロメートル離れたところに停泊している!



ズン!ズン!ズン!

ヒュー~ーーボッカーーーン!!


海面に水柱が高々と上がる。

そして空震がくる!


『目と耳を塞げ!』とっさに声を上げた!


バタバタと酋長たちが倒れる。

ロニモも倒れてた。

ニシムは、耳をふさぎ忘れたらしい。


『ニシム殿!大丈夫か?』

『は?』

『だーかーらー!大丈夫ですかー!』

『キーンしか聞こえぬ!』


仕方ないので、僕はニシムの手を取り立ち上がらせた。ばたり。


あーあ腰抜かしてるやん。


『酋長たちよ!これは全てではない!東の果ての白い蛮族に勝てると思うものは座ってくれ!』


全員がちょっこりと座った。

ニシムは、さめざめと涙をながしていた。


『ニシム殿よ、我らと共に戦わぬか?わしは一人として白い蛮族を逃がさぬ!』

『……前田殿よ、私は精霊の声を聴き、祖先に敬意をはらい生きてきた。あの白い蛮族は我々の地を人を踏みにじった。多くの勇敢な戦士たちが死に、そして捕らえられている!力を貸してはくれぬか?』

『ニシム殿よ、わたしはそのために来たのだ。国のために黄金の石と黒い油は探してはいるがな…』

『あんなものが欲しいのか?知ってるぞ!というか、どこの部族の酋長もあらゆる場所を知っている。皆の衆よ!このような約束で我らの地を守れるのであれば、前田殿と友人に!いや!家族になろうではないか!』

『『『おお!』』』


ゴールドラッシュと石油資源ゲット!

これで僕の計画は加速的に進むだろう!

穴太衆と金堀衆は各部族の酋長の指名した配下と共に全土に散って行った。

資源開発の部隊編成は右左が直接指示をした。


あとは、西洋軍を逃がさぬようにすることと、殺しすぎないようにせねばならないことが重要であった。

僕は各部族の酋長達に不殺天下布武の意味と意義をとくとくと説明し東海岸制圧作戦に酋長全員の納得が得られるまで時間を費やすのであった。





池袋なつかしいな。なにせ現在金沢にいるしね。

金沢へまだ来られた事のない方は、是非一度お越しくださいませ。美味しいもの食べて、美しい物を見て充電していってくださいませ。


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[良い点] ・イシやロニモやニシムが精霊たちを大切に生活している所に、利家が慎重に会話を合わせていくところ。 ・池袋の話。 ・旗艦の名前「アマテラス」。 ・なんといっても盛大な演習訓練の描写や展開の様…
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