利家の加賀平定
不殺天下布武の最終地帯、加賀。利家の奮闘やいかに!
織田信長という人物の律儀さなのか茶目っ気なのか日の本は加賀以外天下統一を果たしていた。なんのこっちゃ…。
前田利家は柴田勝家とともに、ある意味しゃーなしで北陸は加賀を大群で目指した。
基本的には話し合いを行うためである。手取川周辺から辺りに兵の気配がちらほらし始めた。
『気配もけせぬのなら出てこぬか?話し合いに来ておるというのに!』
利家は大声で叫ぶ。
返答はない。
『前進じゃ!』
『おー!』
ギャリギャリギャリギャリ
無数の水陸両用揚陸強襲艦、略して戦車にしよう。を全面に押し立てていよいよ手取川まで到達した。川向こうには敵陣が見える、およそ三万、そのほとんどが僧兵と農民兵である。
『橋を作れ!!』
利家の号令で戦車は遠慮なしに川へ入って行く、縦列陣形で本当に鉄の橋のようであった!
敵陣からは矢が雨のように戦車へ降り注ぐが、カンッ!カンッカンッ!と弾かれて意味がない。
『ちと手前が邪魔くさいのぉ、例のあれで蹴散らせ!!』
『ははーーっ!』
ガチャガチャパチンッ!!
たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた!!!
マシンガンである!対岸の敵勢力の戦車の橋へ向かっていた部隊は馬から転げ落ち、歩兵は痛みに呻いている!!
『右左は優しすぎるのじゃ!!慶次郎これを!!』
『ははーーっ!』
それは朱色に塗られた特殊合金で出来た槍であり極めて殺傷力を弱めてあった。
『ここは二人で充分じゃ!!皆の衆は他の奴等を撃って撃って撃ちまくれ!間違えてわしらに当てたら…あとで罰ゲームじゃ!!よいな?』
ひとりの雑兵がつぶやく。
『当てたら褒美をくれるのかな?ワンチャンねらってみっか?』
『おい!そこ!聞こえたぞ!でも愉快じゃな!良かろう当てたら褒美をくれてやろうぞ!』
『『『おおおーーー!!!』』』
ここに居るものは誰も知らない。
慶次郎の知恵とずる賢さと。
前田利家という人智を超えた化け物じみた強さを!!
『いくぞー!!』
利家は叫ぶ!!
『叔父き勝負じゃ!!』
倒した数を賭けようとする慶次郎。
二人は疾風迅雷敵陣へ突入!!
慶次郎は奥深くへ利家はマシンガンを避けながら敵を昏倒させていく。
『もっと利家さまをねらえーー!!!』
雑兵たちは手段と目的を入れ違えているようだ!!
しかし!利家にはかすりもしない!自分に来た弾丸を直前で避けて背後の敵を倒すために散々利用している。
利家の頭にあるのはただひとつだけ。
《不殺天下布武》
尊敬する織田信長さまの!御館さまの悲願達成である!!
たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた!!!
右左の残した資料にあった強化ゴム弾の威力は敵を殺さずとも昏倒させる威力があった。実に有効な攻撃手段だ。
加賀延命流はこの公然の場では使えないが、前川今日子殿、上下殿との日々の鍛練に比べれば汗のひとつもかかない。そんな程度の戦闘である。それに右左の残したこの漆黒の鎧はまるで羽衣を着ているように軽くしかし一切の刀や弾丸を通さない!!
三時間ほどするとまわりに立っている兵はいなくなり慶次郎が近くにやって来た。
『いやあ、叔父き!久しぶりに徒歩で戦こうたが中々楽しいものよの!殺さないという加減が難しいが』
『殺すほうが楽じゃからな』
利家は後続の軍勢に掛け声をかける!!
『全軍!川を渡れ!医療班は敵兵の治療に当たれ!よいか?敵兵の完全武装解除を忘れるなよ!』
利家は敵兵に監視を付けばしたが、医療、食事、簡易テントでの睡眠を与え、できるだけ緊張を解くように心がけた。
利家たちも交代て仮眠をとり、翌日には鳥越城正確には利家単身での夜襲にて開城。
翌日夕方には松任城、ここに来て捕虜にしていた数名が立候補して降伏勧告の使者として働いてくれた。その働きにより松任城は無血開城。
翌日早朝、尾山御坊を包囲し、柴田勝家に陣営を任せ利家と慶次郎にて尾山御坊開城の談判へと向かう。
すでに噂が噂を呼んでいたようで、すんなりと中へ通されて、こちらから言わずとも無条件降伏と開城、武装解除、城の明け渡しなどが次々と決まっていった。
その時である!!
あの忌まわしき一報が届いたのは!!
その書状に目を通した利家は天地のひっくり返る思いであった。思わず。
『すまぬ慶次郎ちと所用が出来たうえ、話を詰めておいてはくれまいか?』
『お、叔父き?顔色がすぐれないが?』
『なにを!大丈夫じゃ!では頼んだぞ!!』
なるべく背中を丸めないように、威風堂々と!!こんなときこそ胸を張って!!
利家は尾山御坊をでて1台の戦闘の人払いをして中に閉じ籠った!!
耐えに耐えたわずかな時間が永遠に感じられた瞬間だった!!
『おやがだざまーーーーーーー!!!!』
男泣きである!!うわんうわんとむせびなく利家。
一刻ほども過ぎたころであろうか…。泣きつかれた利家はひっくひっくと言いながら泣きつかれて寝ていた。
コンッコンッ!
『叔父き!開けるぞ!』
ガチャリ!
『よっこらせっと!書状をみせろ』
慶次郎は書状を読む…。そして。
『らしいな!らしいじゃないか!なぁ!叔父きよ!あの信長公の最期にふさわしい散り方よ!』
『な、なにを申すか慶次郎!あれほど右左は本能寺の変について気を付けてねと言っておったのに自ら飛び込んで、助けに行った光秀共々灰になってしまったのじゃぞ!!』
『右左の発言に歯向かい打ち破りたかったのだろうて、信長公はそういうお人であろうに。それな。今日をもって日本統一は果たされた。日本政府は既に発足されているが加賀だけが叔父きのために残されてた。信長公は不殺天下布武を有言実行された英雄ぞ!』
『で、あるか』
『おいおい、叔父き口癖がうつっておるぞ!』
『うるさいわい!柴田勝家殿をここへ!』
『御意!』
慶次郎は軽業師のように戦車から出ていき一瞬で戻った。
『慶次郎、早すぎないか?』
『柴田勝家殿がどれだけ叔父きを心配してたかわからぬのか?戦車に耳をこうな、ぴっ』
『慶次郎!!それ以上いうことまかりならん!!』
『あはは、わかりましたよ。って!刀抜こうとしないの!』
『冗談じゃ!で書状をみせろ』
ばさりと書状を渡す利家。
じっくりと何度も何度も書状を読む柴田勝家。おこりがおこったように震えだす柴田勝家。
『た、頼む慶次郎殿、戦車の蓋を閉めてくだされい!』
『はい、わかりましたよ』
ガチャリバタン!!
『おやがだざまーーーーーーー!!!!』
慶次郎はそれほど悲しくはなかった、悲しいことは悲しい。けれどそれほど感情移入出来ないのだ。すでに前世での事実に近い出来事だし。どちらかというと前世のほうが裏切りと暴力という感じで絵にはなる。
今回はただのおっちょこちょいな煙草の火の不始末だから誰も恨めない。
ああ、外見は若いけど中身は70過ぎた年寄りなんだよなあ?と慶次郎は全く別のベクトルに思いを馳せるのだった。
前田利家は加賀を平定した。しかしその事を報告する御館さまは既にこの世にいない。
利家は自らの内にいる織田信長という英雄に報告するべく静かに瞳を閉じるのであった。
みんな大好き織田信長公なのですね。




