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槍の又左一代記  作者: 依田cyber良治
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ロニモたちと迎えた朝

コミュニケーション能力って大切ですね。

酋長イシとロニモとジョジョ、そして僕はテントの中でぐっすりと寝ていた。

令和の家族と夏休みに過ごしたキャンプをふと思い出す。

ついこの間のことなのに何故か遠い昔のことの様だ。

いや、遥か未来の出来事か。


僕は『ん?』と目を覚ますとテントの隙間から眩しい光が射し込んでいる。


いやあ、それにしても夕べは楽しかったなあ。と昨夜のことを思い出していると。


『前田殿、お目覚めになりましたか?』

ロニモが声をかけてくる。

『ああ、おかげでぐっすりと寝れたよ。一月ほど船上暮らしだったから、大地に寝転ぶ良さが染み入ったぞ!』

『ジョジョ!起きてるだろう?母さんのところへ行け』

爆睡しているように見えていたジョジョは、パッと跳ね起き光の中へ消えて行った。


ジョジョは高速運動しか出来ないのか?忍びより忍びらしいぞ、あれは!


『さあ、前田殿こちらへ』


僕はロニモの後をついていく。

どうやら、ロニモのテントに案内されるようだ。

ロニモに続いて中に入らせてもらう。


『あら!いらっしゃい!あなたが前田さまね!さあ、こちらへどうぞ』

『お初にお目にかかる、前田利家と申す』

『はい、はい。存じ上げてますよ』


テントの床には朝食が並んでいた。

きっと、とうもろこしか?あとは何かの肉だろうな。そんな事を思いながら僕は遠慮することなく食卓の座についた。


『ロニモ、おぬしの妻か?』

『前田殿、美人であろう?ん?』

『拙者はそのようなことを聞いてはおらぬわ、名をなんと申すのか知りたいだけじゃ』

『セナ!前田殿には気を許すなよ!』

『ロニモ!いいかげんにせい!』

『ガッハハハっ!前田殿をからかうのは楽しいのう』


僕はすすめられるままに朝食を馳走になる。

実に質素だが、肉は独特の旨さがあった。


『馳走になった!セナ殿の手料理は実にうまい!』

『あら、あら。前田さまはお口がおじょうずですこと』


セナは上品な笑顔で話す。


その時に僕は肝心なことをロニモに話しておこうと決めた。


『ロニモよ、日の昇る果てに異人が来ているのを知っているか?』

『ああ』


ロニモの雰囲気が変わる。重々しい空気だ。


『ロニモ、あれだな。黄金の石と黒い油の礼に奴らを追い払ってやろう』

『!!!!』


テントの中に沈黙が訪れる。


『前田殿は何も知らんのだ!奴らの武器はすべて恐ろしい。近づくことさえ叶わぬ!いや!近づくことは出来るのだが犠牲が多すぎるのだ!』

『その長き距離より長く強い武器を持っているぞ』

『!!!!バカな!』

『これは見せた方が早いな。ついてこい!』


僕はテントから出る。

『セナよ、この朝食の礼を楽しみにしていてくれ!』


僕は思う。東海岸からロニモたちや沢山の部族たちが辿る、令和の記憶に残る悲惨な侵略と差別の歴史を。ここで、東海岸の西洋列強を叩き、ロニモたちと部族連合と同盟し日本の友好国を樹立させれば太平洋戦争さえ無くすことができるはずだ!


海岸のベースキャンプ。あ、陣か、へ着く。


『慶次郎はおるか!』

『叔父きよ、昨夜は何故戻らなんだ?』

『後で話す。急ぎ簡易的な演習を行う!準備せい!』

『叔父きの無茶ぶりか…。』

『何か言ったか?』

『いや?何も』


慶次郎は文武両道のかぶき者だ、頭も切れれば人望は僕よりもある。慶次郎の指示でものすごいスピードで演習準備が整った。


『慶次郎よ、この男はロニモという現地人だ、昨夜友情を交わした仲だ』

『慶次郎殿よ、ロニモと言います。前田殿とは昨夜から朝まで沢山の話をしました。慶次郎殿とも、是非にも仲良くしていただきたい』

『ロニモさんかい、良い面構えしてるじゃねえか。叔父きが気に入るのもわかるぜ』


慶次郎は不敵な笑顔を魅せる。

ロニモは、ハッとして慶次郎を見つめて目が離せないようだ。


あれ?ていうか、慶次郎まで言語翻訳ボーナスついてるの?チートな奴だなあ。


『ロニモよ、あの人形が見えるか?あれを異人だと思ってどの距離まで近づくことが出来たのか見せてくれぬか?』

『ああ』

ロニモはカカシに近づく。

『だいたいこの辺りだ!』


目測60メートルくらいか。


『ロニモ!こっちへこい!』


ロニモが走って戻ってくる。


『慶次郎よ、最大射程で撃て!』

『まかせてくれ!』


慶次郎はニヤニヤしながらカカシから200メートルも離れて銃を構える。


『前田殿!ふざけているのか?あんなところから当てられるはずはない!』

『ロニモ、良いから見てろ。あと耳をふさげよ!』

『……わかった』

『慶次郎!やれ!』

『それきた!』


カチャカチャ、ドーン!


『ロニモ、人形を確かめてみよ』

『前田殿、確かめなくても大穴が空いておるではないか?』


ロニモが震えた声で言う。


『ロニモよ、我々は勝てると思うか?』

『これは…もしかしたら…勝てる…かもしれない!』


ロニモには蒸気機関式の戦車は見せない。


『ロニモよ、東までの道を大急ぎで作るぞ!』

『前田殿…あと太陽が2回昇るまで待ってはくれぬか?』

『そうであったな』

ロニモは呟いた。

『今日は死ぬのに良い日だ』と。


そして、約束の2日間は休養する者、調練する者、ジョジョの案内で地質調査をする者と、皆が様々に過ごすのであった。


その時の僕は、穴太衆と金堀衆が日本にとって未曾有のとんでもない資源を発見をすることさえ知らずにいた。ロニモ達にとって何の役にも立たない物が、僕のこの手によって世界中を震撼させる物に変容するのである。





慶次郎が男前すぎて役に立ちすぎる。

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(校正およびタイトル変更済み)【三度目の正直なるか?】

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― 新着の感想 ―
[良い点] 現地人のロニモが利家にだんだん心許して演習を見て勝利を確信したっぽい所までの展開が面白い!スラスラと読み進めてしまった。 [気になる点] 慶次郎の魅力が種族を超えてるところ [一言] 転生…
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