正親町天皇と天照大神さま
少しだけです。
(校正済み)
海上での戦闘を終えたとたんに気を失った右左は、慶次郎によって寝室へ運ばれていた。慶次郎はとても丁重に大切な物を運ぶように、右左を起こさないようにゆっくりと船内を歩いている。
慶次郎は時折、右左をみつめるが何故か悲しそうな目をしている。
慶次郎は気を失っている右左に聞こえていないのを承知で語りかけるのだった。
『右左よ、あんまり無理するものでもないだろうに、全部自分の背中にしょいこむつもりかい?』
右左を起こさないように慶次郎は静かにつぶやく。
光を帯びた右左の身体からふと、小さな光の玉がふわふわと飛んでいった。
『神様ってのも人使いがあらいみたいだな』
慶次郎は右左の自室の寝具の上に右左をおろして、横の椅子に腰をかける。
『ふぅ、髪の奇跡って本当にあるんだな、俺はいつまで右左と共に歩めるかわからない。だからしっかりとこの両の眼にすべてを焼き付けよう』
慶次郎はやはり悲しそうだった。
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ふわふわと飛んでいく光の玉は、正親町天皇のために設えられた御所に到着した。
その中のテーブルに正親町天皇は物憂げな表情をして、椅子に座っていた。目をつむり考え事をしているのであろう。光の玉はその正親町天皇の眉間にふわりと触れた。
正親町天皇は摩訶不思議な安心感に包まれていることを感じていた。
そしてそれがとても神聖不可侵な存在であることも。
愛しいわたしの子孫に連なる者よ。
!朕の祖霊が訪れたのじゃろうか?まさか!?
朕は恐る恐る畏み尋ねる事にしてたのじゃ?
もしや?天照大神さまでしょうか?
朕は違ってたらどうしようかとても戸惑うのである。
しかし頭に声もなく語りかけてくる声の主は優しい声色で素直に答えを返してくれる人のようじゃ。
正親町よ、言わなくてもわかるところがかわいいわね。
そう聞こえた。
天照大神様!太陽を司る神であり、我が天孫の祖先に当たる大神じゃ!
朕は途端に緊張感に襲われたのじゃ!
なんと恐れ多いことで…。
そんな朕の緊張など無視するように天照大神様は気さくに語りかけてくる。
今日はね、正親町にお礼を伝えにきたのよ。
天照大神様のその言いように朕は思わず心の中で叫んでしまったのじゃ!いえ!私は何もそのようなことは!?と。
天照大神様は愛しい者へと語りかけるようにはかなくともこの身を思いやるかのように優しく優しく語りかけて下さるのであった。
あなた、出港してから毎日儀式を行ってくださってるでしょう?
大当たりである!神様は何でもかんでもお見通しのようなのじゃ。
天照大神さま、わたくしに出来るのはそれだけですから。
朕は正直に友のために国のために世界のために少なからず出来ることを行っているだけなのじゃ。
天照大神様は言いにくそうに、でも何かにすがるような面持ちで朕を励まして下さるのじゃ。なんとありがたき事なのじゃろう。
正親町天皇、あなたのその儀式行為で私たちはとても動きやすくなっています。とても責任を感じてしまうかもしれませんが、ここからが正念場なので続けてくださいね。
朕の日々の儀式で天照大神様達が動きやすくなってるって?信じられないほどの驚きを覚えるのじゃ。
そ、そうだったのですか?天照大神様?誠にありがたきお言葉!今すぐ儀式を執り行います!
正親町よ、今まで通りで充分ですから…普通に、ね。
これは、朕に無理や無茶はするなということであろう。
ここは素直に従っておくべきじゃろうて。
謹んで天照大神さまの御心のままに致します。
うん!そうしてくれると本当に助かるわ!それじゃ、右左さんのところにもどりますね!
天照大神様!わざわざお越し頂きありがたき幸せでございます。ありがとうございました!
ふわりと光る玉は右左のもとへ帰っていく。右左のベッドの横には慶次郎が心配そうな顔をして椅子に座っている。
光の玉は慶次郎の眉間にそっと寄り添う
前田慶次郎さん、いつも右左さんを守ってくれてありがとうございます。
あー。天照大神さまですね?
そうですよ。
天照大神さま、こういっちゃなんなんですが、右左の身体は本当に大丈夫なのでしょうか?
本当にお優しいのですね、慶次郎さんは。大丈夫ですよ、そしてこれからはもっと大丈夫になりますから
恐れながらお尋ねします。それは、どういうことですか?
右左さんの魂はね、無色透明の無垢な紙と言えばわかるかしら?だから世界の神々と天使などがどんどん力を貸すことでしょう。肉体はある神が右左さんの寝ている間に強くしていますから安心してください。
やっぱり、良くわからないような…わかったような。俺は右左が元気になるならそれで良いさ!
これからも右左さんをよろしくお願いいたします。
そういう約束ですからねまかせてください天照大神さま!
本当にありがとうございます。
あ!利家はどうなっているんですか?
うふふ!いいでしょう特別にお見せしましょう。
慶次郎の視界は真っ白になり真っ白な空間を駆け抜けるかのような感覚に陥る
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前川右左はリングの上に立っていた。
前川上下、前川今日子に鍛え上げられて威風堂々としている。
大勢の観客が熱狂していた!
大柄な外国人が右左に襲いかかるも、瞬殺である!
天照大神さま?これは…どういうことでしょうか?
慶次郎さん、未来にはプロレスというものがあって今日はね、右左さん?利家さんの百人組手の見世物の日なのよ。
天照大神さま!もう充分にわかりました、ありがとうございます。
え?もういいの?面白いのに?
何だかイライラするので戻ってくださいませんか?
あ、右左さんが一生懸命やってるのに、利家さんは遊んでいる風にみえるのね?
見えますとも!それ以外には見えません!
又左、利家さんも苦労してるし、事実とはちょびっと違うけど…帰りましょうか?
天照大神様!大至急お願いいたします!
こうして、再び真っ白な空間を駆け抜けた慶次郎の意識は右左のベッドの横にもどった。
光の玉も右左へ戻っていく。
慶次郎は決意していた。
『あんの、くそ伯父きめ!帰ってきたらひっぱたいてやるわ!』
右左の世界で苦労している利家の気持ちなど慶次郎にはわかり得ようもない。
慶次郎はどうやったら帰ってきた利家をこらしめられるか、ニヤニヤしながら考えているのであった。
沢山の方に読んで頂き感謝しています。ただいま校正や修正、加筆をしていますのでペースが落ちますが、よろしくお願いいたします。
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