不殺の誓い
果たして少年利家公とジャック、力量の差がどれくらいあるのか!?
『利家ちゃん♪時代がちがうから絶対に怪我をさせないこと、殺さないこと♪わかった?』
『ママ殿よ、昨夜の鍛練で身にしみまくってますわい、…かあさん、耳にタコができるよ!』
『右左!?』
利家さまは、明日子さんの家庭教育で様々なことを学んでいる。
右左が家庭内でどのような口ぐせをしていたかとか、学校でどのように学んでいたかとか。
今日子は、利家さまの右左口調で涙腺が崩壊、ポロポロと涙を流す。
『右左ちゃんに会いたいよー!あーん!』
『ママ、大切な試合の前だ気持ちはわかるけど落ち着いて』
『はい、ごめんなさい。パパ』
『ママ殿よ、すまぬ!』
『利家ちゃんはなにもわるくないわ。とっても右左に似ていてわからくなっちゃったのよ。明日子先輩の勉強の賜物ね♪』
『今日子ちゃんの依頼通りに、利家くんが右左ちゃんとして暮らせるように頑張ったのだけど、貴女にさみしい思いを感じさせてしまったようね…。ごめんなさいね』
右左は試合の前なのにアップもせずに会話している。大丈夫なのだろうか?
『利家さま軽く組み手でもしますか?』
『パパ大丈夫だよ、常在戦場だから』
そんなこんなで、メインイベント前の試合が終わった。控え室のモニターには大興奮の観客達が映っている。
コンッコン
『前川右左選手、お時間ですリング入り口まで来てください。』
明日子さんがかわりに英語で返事する。
『さて!パパ、ママ、明日子姉さん!ちょっと行ってくるよ!セコンドよろしくね!』
おいおい、まるっきり右左じゃないか!?見分けがつかないぞ!
会場であるホールの選手入場口に近づくと、レーザービームやら、炎やら、最先端は映像技術でド派手に演出している。
右左の名がコールされた。
私たちは1列になってリングへと歩みを進める。右左の両肩から湯けむりのようなものが上がっていた。
右左はサイドロープを軽く飛び越えてリングへ。私たちはセコンドの位置にいる、ママがリング上で何かを話していた。
[それでは!WWBスーパーヘビー級世界王者!ジャック・ロックバード選手の入場です!なお今回はエキシビションマッチであり、タイトルの移動はありません!しかし期待の新星!前川右左選手とミスターWWB!ジャック・ロックバード選手との試合をお楽しみください!]
ジャック・ロックバードはリングに上がってくる。派手なコスチュームなどはなく硬派な落ち着いた雰囲気だ。
『ボーイ、少しは本気にさせてくれよ!』
右左は無言である。
[レディー!ファイト!]
『ジャックさん、先手はゆずるからどうぞ』
『ボーイ!後悔させてやる!』
ジャックは右左の顔面にするどいパンチを放った!彼はボクシングでも優れたセンスを持っていた。
利家さまは軽くかわしたかと思うと、ジャックの手を軽くつかむ、そして。
ドーンっ!!
ジャックは真下に叩きつけられた。利家さまはその手を話さず右足をジャックの脛椎目指して振り下ろす!!
『殺すな!!』ママの轟音のような声が飛ぶ!
利家さまは軽くストンっと頸椎にかかとを落とし、ジャックから離れて私たちのところに帰って来た。
『パパ、ママ、明日子姉さん。終わったよ』
会場は静まり帰っている。
ジャックはピクリともしない、リングサイドから医者が、リング上ではレフェリーがジャックに声をかける。
カンッカンッカンッカンッ!!
[なんと言うことでしょう!若干14才の前川右左選手のKOです!]
うおおおおおおおおおおおおおおお!!!
ママはホクホク顔だ。
『利家ちゃん♪ナイスよ♪』
私たちは選手控え室へ引き上げる。観客達がスタンディングオベーションで見送ってくれている。
控え室についた。いつの間にかママだけがいない、ジャックの所にでもいったのだろうか?
コンッコン!
『失礼!プロモーターのアル・カモネだ。入るぞ』
私はドアを開けてあげて、『どうぞお入りください』と招き入れた。
WWB創始者アル・カモネは50を少し越えたくらいだろうか、おもむろに太い葉巻を出して吹かし始める。
『いや!驚いたよ少年!』
明日子さんが同時通訳してくれる。
右左は水を飲んでから話す。
『おっさん、そっちの無礼にこっちが驚いてるぜ!あんた死地にいるんだぜ!』
右左はわざと殺気を覇気を全開にして、アル・カモネを睨み付ける!
『ちょっとまってくれ!!!殺さないでくれ!!』
明日子さんの同時通訳はよくわからないけど、彼女の性格的にろくでもない通訳をしたのだろう。アル・カモネは取り乱して葉巻を鼻の穴で吸い始めた。
うおげほっ!
大丈夫だろうか?
『ミスター右左、ファイトマネーを倍にするから殺さないでくれ!!』
今度は左の鼻の穴で吸い始めた。
ぶわふぉ!
『倍か…いいぜ』
明日子さんが同時通訳する。
『ミスター右左、もう二度とこんなことはやめてくれ、銃を向けられるより恐ろしい』
『約束するよ、でもまた慇懃無礼な態度をとったら、あんたがどんな偉いやつかしらんけど!あるかもねー!』
ドアがバンっと開いた!
『パパ!トトカルチョに多めに賭けたんだけど!スーパーラッキーよ♪オッズが酷すぎて笑っちゃたわ!うふふふ』
ママの実家は超資産家なので、たぶん億はかけてるだろう。と、まてよ?利家さまは2億…ママは未知数。いったい全体前川家はいくら稼いだのだろうか?
ここから、利家さまの下克上が始まるとは露知らず。
とりあえすアメリカならステーキでしょ!と女性陣の意見に素直に従い高級レストランへ向かう私たちであった。
リッチ!アンド!アメリカンドリーム!
(校正済み)【三度目の正直なるか?】




