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グランドールフェスト  作者: 五月雨 拳人
第一章 グランドールフェスト
14/30

初戦 泥の謎を解明せよ 1/2

 予選終了から五日後。巧真の許に運営から一通の封筒が届いた。対戦相手と戦う場所が決まったのだ。


『俺クジ運悪いんだよなあ……』


 あれは決して前フリなどではなかったのだが、巧真のその言葉が予言となってしまった。

 封筒に入っていた対戦カードを、ギリガンが沈痛な顔で読み上げる。


「一回戦の対戦相手は泥田坊マッドゴーレムリムギガス。闘技場は山岳ステージ、だそうだ」


 対戦カードには、簡潔にそれだけ書いてあった。封筒にはトーナメント表が同封されていて、それには別の一回戦はオステオン対エルトロンとなっていた。つまり、順当に一回戦を突破すれば次の対戦相手はこの二つのどちらかになる。


「マジすか……」


 巧真のかすれた声が工房「銀の星」の食堂に染みる。対戦相手が決まっただけなのに、早くもお通夜ムードだ。

 だがそんなしんみりした食堂の空気を、菓子を食う音がぶち壊す。


「ま、決まっちまったもんはしょーがねーじゃねーか。覚悟を決めてバーンとやれ」

「はあ……」


 アイザックは気楽そうに言って巧真の肩をバシバシ叩くと、新しい菓子を取りにテーブルの中央へと手を伸ばす。


「ちょっと待て。何でお前がここにいるんだよ?」


 今気づいたみたいに突っ込むギリガンに、アイザックは菓子を咥えたまま「ふぁ?」と間の抜けた声を出すと、口の中の菓子を飲み込んで言う。


「まあそう言うなよ。こいつの訓練をしてやってるんだから、俺だってここの関係者みたいなもんじゃないか」

「ん? んん……?」


 巧真がグランドールの訓練をする時はトラックを出す必要があるので、ギリガンは運転手として同行している。なのでアイザックがここ数日巧真の訓練相手としてつきっきりだったのは知っているのだが、だからと言って当前のように身内面されるのも釈然としない。


「それよりも問題は、対策がほとんどできてないって事よね」


 話題を戻すヴィルヘルミナの言葉に、再び食堂内の空気が重くなる。

 元よりリムギガスは最近発掘された新しいグランドールで、ただでさえその情報は少ない。加えて唯一戦っている姿を見る機会だった予選を、間が悪い事に巧真たちは見逃している。つまりほとんど情報が無いのだ。他の本戦出場選手の対策は、アイザックの抱負な戦闘経験によって何とかなったのだが、唯一例外だったリムギガスに当たったのは痛い。


「慎重に戦いながら、何とかするしかないか……」


 予選で得た少ない情報の中に、対戦相手の関節が奇妙な破壊のされ方をしているのがあった。少なくともこの疑問が解消されるまでは、派手に動くのは得策ではないだろう。相手はどんな隠し球を持っているのかわからないのだ。


「それじゃ、残りの五日はそんな感じの訓練をするか。場所が山岳ステージだから、地形を生かした戦い方とかやる事は山ほどあるぞ」

「そう言えば対戦場所の山岳ステージって、どんな所なんですか?」


 巧真の問いに、アイザックは新しい菓子に手を伸ばしながら言う。


「山岳ステージはここから五十キロほど離れた岩山を使う。元は何かの採掘現場だったらしく、あちこち穴だらけで崩れやすいから気をつけろよ」

「本物の山を使うんですか?」

「そりゃそうだ。いくら闘技場が広くても、山や砂漠は入らないからな」


 廃墟は入るのに、と思ったがあれは例外のようだ。


「砂漠もあるんですか」

「砂漠と言ってもカント王国にあるのは岩石砂漠や礫砂漠だがな」


 カント王国は大陸の中央部に位置するため、極端な寒暖がなく地形も平野が多い。そして砂漠と言っても一番有名な砂ばかりのものではなく、岩や小石でできた言われないと砂漠だと気づかないようなものだ。


「だがもし開催国がエッゾ帝国やキュウシュ大国だったら大変だぞ。あっちには雪原や火山があるからな」


 エッゾ帝国は最も広大な国土を持つのだが、かなり北にあるため一年のほとんどが冬で降雪が多い。対してキュウシュ大国は南にあるため熱帯に近い気候で平均気温が高い。また活火山が多く温泉地としても有名なのだが、日常的に降る火山灰による被害が問題となっている。


「あと遠浅の海岸や湖畔を使った水辺の闘技場もあるぞ」

「グランドールって水に入って大丈夫なんですか?」

「グランドールはああ見えて完全防水だから、万が一海や湖に落ちてもしばらくは問題ない。だが水中専用じゃないから水の中じゃ泳ぐのに手一杯で、戦うどころじゃなくなるのがなあ。客も派手に戦うのを見に来てるんで、グランドールが泳いだところで盛り上がらないんだよ」

「水も平気なのか……」


 陸と海ときたら残りは空だが、まさかとは思うが一応訊いてみる。


「空は無いんですか?」

「は? あるわけないだろ。何言ってんだお前」


 期待はしていなかったのだが、冷静に否定されてちょっと寂しい気分になった。だがよく考えたらグランドールが空を飛ぶのはさすがに無理があるだろう。


「それじゃあさっそく山岳ステージでの戦闘を想定した訓練を始めるか」

「はい」


 そうと決まれば即行動開始、とばかりに男どもが一斉に席を立つ。巧真とギリガンは真っ直ぐ食堂の外へと向かうが、アイザックは片手で掴めるだけの菓子を握り込んでから食堂を出て行った。


     †     †


 巧真たち三人が退室し、食堂にはリサとヴィルヘルミナが残った。

 アイザックにほとんど持って行かれた菓子入れに手を伸ばしながら、ヴィルヘルミナはリサに問う。


「あと五日だって。どう? 間に合いそう?」

「え? な、何が?」


 いきなりの言葉に驚き、リサは下ろしていた両手をテーブルの上に浮かせる。

 全ての指に絆創膏を貼ったリサの左手を見て、ヴィルヘルミナは微笑む。


「別に」


 そう言うと彼女は一つだけ残っていた菓子を口に運んだ。


     †     †


 深夜。

 一回戦の試合会場が決まって興奮したせいか、真夜中にギリガンは目を覚ました。


「俺が出るわけでもあるまいし……」


 そう呟いて再び寝ようと試みるが、目が冴えてなかなか眠りの入り口を掴めない。

 いつもなら酒でも呑んでサッと寝てしまうところだが、試合を控えてる巧真を差し置いて自分だけ酔っ払う事に後ろめたさを感じた。


 仕方がないので、寝る前に散々やったのは自分でもわかっているが、気を紛らすためにヴァリアンテの点検をしに工房へと向かった。

 廊下を歩き、階段に差し掛かったところで、工房に灯りがついている事に気づく。


「……こんな時間に誰だ?」


 不審に思って身を屈め、足音を忍ばせてゆっくりと階段を降りると、ヴァリアンテの前にヴィルヘルミナが立っているのが見えた。

 本来なら、ヴァリアンテの行動術式を調整するのはヴィルヘルミナの仕事であるから、こんな夜中まで作業していても不思議ではない。だが操縦士である巧真自身がどういうわけか自分で調整できてしまうので、彼女はお役御免になってしまっていたのだ。その彼女がこんな夜中に、何をしているのだろう。


 ヴィルヘルミナは手に魔導石板を持ち、真剣な面持ちで画面を睨んでいる。時折小声で何かを呟いては、苦悩するような唸り声を上げて頭を掻く。そしてぽつぽつと魔導石板を操作しては、画面を見て唸るを繰り返している。どうやらヴァリアンテの魔導石に組まれた行動術式をチェックしているようだ。


 やはり彼女も魔導石技師のはしくれというわけか。お役御免となりながらも、ヴァリアンテの事が気がかりだったのだろう。しかし自分が表立って手を加えてしまうと、巧真の機嫌を損ねるかもしれない。だから気を遣って、こんな夜中に作業しているのだ。


 邪魔をしては悪いな、そう思ってギリガンが静かに立ち去ろうとしたところ、間の悪い事に左足に装着した補助器具のバネが軋んで大きな音を立ててしまった。


「誰!?」


 その音に気づき、ヴィルヘルミナが緊張した声を上げる。こうなってはどうしようもなく、潔くギリガンは姿を現した。


「すまん、邪魔するつもりはなかったんだが」

「ギリガン……脅かさないでよ」


 影から出てきたギリガンの姿を見て、ヴィルヘルミナはほっと身体の力を抜いた。


「それよりお前、こんな時間まで――」

「ああ、これ? 変なところ見られちゃったわね」


 ギリガンの視線に気づき、ヴィルヘルミナは手に持っていた魔導石板の画面をこちらに向ける。だが相変わらず彼女のかけている眼鏡を通さないと何も映っていないように見える。


「まさかとは思うが、タクマの組んだ行動術式を組み替えてるんじゃないだろうな」


 行動術式が充分に作用するかは、操縦士のイメージに大きく左右される。つまり操縦士の要求を技師がどれだけ忠実に魔導石に組み込めるかがキモなのだ。だが操縦士の知らぬところで技師が勝手に組み替えると、操縦士のイメージと術式の間に齟齬が発生する。それがグランドールの行動に思わぬ支障をきたしたり、最悪だと不具合が発生するのだ。


「やあねえ、そんな事しないわよ」

「じゃあどういう事だ」

「それは……」


 ギリガンの冷厳な顔にヴィルヘルミナは口ごもるが、ここでごまかしやおふざけは却って不信を招くと判断したのか、真面目な表情になって言う。


「あの子は確かに凄い。操縦士でありながら、自分で思うようにグランドールの行動術式を組み替えられるんだから。でも、やっぱり彼は素人よ。組み方は独創的と言えば聞こえはいいけど、奇抜なだけで省略し過ぎてたり冗長だったりと粗が目立つ。このままだと全体的に大味な動きしかできなくなるわ。

 それだけならまだいいけど、問題は術式の漏れや組み残しなの。調べたらヴァリアンテに元から組まれていた術式のうち、彼が自分で組み替えたのは半分にも満たない。これじゃあ肝心な時に必要な行動がとれないかもしれない。だから、」

「だからタクマに内緒でこんな夜中にこっそり作業してたんだろ」


 ギリガンが先回りして言うと、ヴィルヘルミナは一瞬意外そうな顔をする。


「それぐらい、わしにだってわかるわい」

「そう、ね。あなたも元操縦士だったわね」

「元は余計だ。……まあ、操縦士って奴が無駄にプライドが高いのは、お互いよく知ってるだろう」

「思った通りにグランドールが動かないのは、術式を組んだ技師の腕が悪いからだ、なんてよく言われたものだわ。自分の操縦が下手なのを棚に上げて」


 ヴィルヘルミナの厳しい言葉に、ギリガンは苦笑する。


「耳が痛い話だ……」

「ここで私が口出ししてもいいけど、そうしたら彼はきっと気を悪くする。自分が組んだ術式のどこが気に入らないんだって」

「自分で組んで自分で動かしてるから、なおさらだな」

「普通の操縦士の二倍厄介よ。操縦士と魔導石技士、両方のプライドをケアしてあげなきゃならないんだもの。おかげで残業代も出ないのに深夜残業よ」


「だったらほっときゃいいじゃないか。あいつなら、遅かれ早かれ術式の穴は埋めるだろうよ。お前が眠い目こすってタダで面倒見てやる義理なんてないんじゃないのか?」

「それはできないわ」

「言い切ったな」

「だって、あの子が戦うのはこの工房のためなのよ。それに本戦はもうすぐそこまで来ているのに、そんな悠長な事言ってられないわ。だったら、私が厭がろうが眠かろうがやらなきゃいけないじゃない」


 私だって魔導石技師なんだから、と息巻くヴィルヘルミナに、ギリガンは彼女の印象が大きく変わるのを感じた。


「しかしだな、お前さんがいくら頑張ったところで、タクマと術式が違うんじゃ意味ないだろう」

「だから、こうして彼の組んだ術式を勉強して、様式フォーマットを憶えてるんじゃない」

「おいおい、大丈夫か?」

「まだわからない所は多いけど、概要は何とか理解できたわ。とにかく書き換えてしまえば、少なくとも動きはするし、多少誤差があってもそれがトリガーとなって彼が気づく。そしたら自分で直してくれるでしょ。いざって時に何もできないで終わるよりは遥かにマシなはず」

「はあ……」


 そこまでやるか、とギリガンは感心してしまう。術式の構築や調整は、技師の腕の見せどころである。技師は己の知識や経験の全てを駆使し、操縦士の要求に応える。そうして積み重ねられた術式の組み方は、その技術士の看板のようなものだ。それを捨て、巧真のやり方に合わせて残りの術式を組んでやるなんて、普通の技師には出来ない事である。


「お前さん、結構いい技師だな」

「あら、今頃気づいたの?」


 百年遅いわよ、といたずらっぽく笑うヴィルヘルミナに、ギリガンは鼻から小さく息を漏らす。


「それじゃ、わしは作業の邪魔にならんように退散するとしよう」


 そう言って踵を返すギリガンの背中に、ヴィルヘルミナが慌てて声をかけてきた。


「ギリガン、わかってると思うけど――」

「わしは今夜何も見なかった。だから小僧に言う事はなんにもない」


 振り返らずに右手を上げて軽く振ると、小さな声で「ありがとう」と言われた気がした。


     †     †


 五日後。

 本戦第一試合の朝が来た。

 試合前なので軽めの朝食を摂っていると、アイザックが食堂に入ってきた。


「うぃーっす」


 もうみんな慣れたのか諦めたのか、アイザックが自分の家のように振る舞っても何も言わなくなった。


「おはようございます」

「おう、調子はどうだ? ちゃんと眠れたか?」

「緊張しちゃって、あんまり……」


 元より肝が座っているほうではない上に、負ければ工房が借金のかたに取られるというプレッシャーで昨夜はほとんど寝つけなかった。おまけに緊張のあまり胃がキリキリ痛み、常に襲い来る吐き気に口が酸っぱくなっている。


「まあグランドールフェストの前は誰でもそうだ。俺だって前の夜は緊張して眠れなかったもんだ」

「アイザックさんも?」

「まあな」と十年前を懐かしむような顔をするアイザックに、ギリガンは疑いの目を向ける。

「嘘つけ。緊張なんか生まれてこの方した事ないような顔してるくせに」

「うるせえ、顔は関係ねーだろ顔は」


 漫才のようなやりとりに自然と笑い声が上がり、巧真は僅かながら緊張が解けたような気がした。

 そんな巧真の顔を見て、ギリガンが言う。


「行くか」

「はい」


 いざ決戦の地へ。ギリガンを先頭にアイザックが食堂を出て、巧真がそれに続こうとした時、


「ちょっと待って」


 リサに呼び止められた。

 巧真が振り返ると、リサが背後に何か隠すような仕草でこちらに歩いて来る。本人は隠してるつもりなのだろうが、大きなものらしく赤と黒のチェック柄の生地が見え隠れしている。


「どうしたの?」

「あのね……」


 言いかけて沈黙するリサと、照れる彼女の次の言葉をただ待つ巧真。普段の快活なリサからは想像もつかないいじらしさに、遠巻きに見ているヴィルヘルミナは思わず忍び笑いを漏らす。


 このままでは永遠にこの状態が続くかと思われ、ヴィルヘルミナが助け舟でもだしてやろうかと思った時、階下から大声で巧真を呼ぶギリガンの声がした。いつまで待っても降りて来ないので、しびれを切らしたのだろう。

 巧真を呼ぶギリガンのだみ声が、リサの背中を押す。


「あの……これ! 良かったら使って!」


 目を閉じてぐいっと突き出すように背後から取り出したのは、赤と黒のチェック模様のクッションだった。まあ見えてたけど。


「これは?」


 言いながら巧真はリサからクッションを受け取る。感触を確かめると、綿がぎっしり詰まっていて硬い。


「ヴィルが操縦士はみんな最初はお尻が痛くなるもんだって言うから」

「ああ、そうか」


 ようやく事情が飲み込めた。確かにこれだけ綿が詰まっていたら、尻が四つに割れそうなくらい硬いグランドールの操縦席に座っていても平気だろう。


「ありがとう。すごく助かるよ」

「頑張って。でも無茶だけはしないでね」

「うん」

「本当は応援に行きたいけど、あたしにはまだやる事があるから……」


 巧真が負けた場合、工房は本来の予定通り人手に渡る。そのための事務手続きがまだ残っているのだ。そしてそれは、責任者である彼女にしかできない。巧真を信用していないわけではないが、楽観的になれるほど彼女は子供ではないし、何より現実がそれを許さなかった。

 再びギリガンの叫ぶような呼び声。これ以上待たせると脳の血管が切れるかもしれない。


「じゃ、行ってきます」


 リサに軽く手を上げて挨拶をすると、巧真はクッションを小脇に抱えて駆け出した。

 その背中を見送り、リサは言う。


「行ってらっしゃい」


 そんな二人を見守りながら、ヴィルヘルミナは呟いた。


「若いっていいわね」


     †     †


 巧真たちの乗るトラックが第一試合の舞台となる山岳ステージに到着した時、周囲はすでにお祭り状態だった。


 大型車が対向で通れるほど広い舗装路を辿っていくと、広大な空き地に着いた。観客たちのものと思われる車がずらりと並んだ先には、闘技場にあったような映画のスクリーンなみに巨大な魔導石板が設置してある。舞台をぐるりと客席が取り囲んだ闘技場とは違い、屋外ステージは試合が始まるとすぐに闘技者たちを目で追えなくなる。なので観客たちはこれを通して試合を観るのだろう。魔導石板の前にはすでに山のように人が集まっていて、まるでライブ会場かイベントスペースだ。


 巧真の到着に、観客たちが歓声を上げる。ヴァリアンテと巧真を近くで見ようと野次馬が集まって来るので、係員が数人がかりで人波をかき分ける。トラックは人を轢かないよう慎重にのろのろと進んだ。


 係員の指示に従い、ヴァリアンテをトラックから降ろす。対戦相手のリムギガスはすでに到着して配置に着いているそうだ。


 規定に従い、係員に闘技者登録カードを提示する。万が一不携帯だったら、その時点で不戦敗だ。

 改めてヴァリアンテの操縦席に乗り込む。首から下げた通信用の魔導石のチェックを終えると、巧真は視線を胸元からさらに下げる。

 そこにはリサからもらったクッションがあり、しっかりと巧真の尻を包んでいる


「うん、ばっちりだ」


 巧真は心の中でリサに礼を言う。これで尻の痛みを気にせずに思い切り戦えそうだ。

 巧真が指定された開始位置に着いたところで、アナウンスが響いた。


「さあ、両者が位置につきました。間もなく第一試合開始の時間です」


 迫る試合開始に観客が沸く。

 開始時間と同時にアナウンサーが試合開始を告げ、ついに試合が始まった。

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