GW前日
入学式してから数週間が経ち、明日からはGWである。クラスでは、GWの話題で溢れかえっている。しかし残念ながら僕にGWの予定はない。
(なんとも悲しい人生だこと。)
と自嘲気味に思っていると
「サキー。4日一緒に遊びに行こうぜー!」
と言ったのは、タクだった。しかしGWは運動部の絶好の遠征日和じゃないのか?と思い
「テニス部の部活はないのか?」
「テニス部は3日に試合があって、4、5日は休みなんだ。」
(なるほど。わーい、GWの4日目の予定は埋まったよー。うーれしー。)
などというしょうもないコメントを脳内でしていると、教室の扉が開き先生が入って来て、朝のHRが始まった。
今日の日程は、1〜4限目までは、普通の授業で、5、6限目は外部の人を招いての講演会であったが、僕はいつの間にか寝ていて、内容はほとんど覚えていない。そして放課後になり、いつも通り僕は部室に向かった。
「こんにちわー!」
誰もいない。どうやら一番乗りのようだ。することもないので、持って来ていた小説を読むことにした。小説を読んでいると扉が開いた。どうやら二人目がやって来たようだ。
「こんにちわ〜...」
牧野さんだった。とても眠そうだった。
「どうしたの牧野さん。眠そうだけど?」
「昨日は遅くまで本を読んでたから寝不足で...」
「牧野さんが寝不足って以外だな。」
「そうでもないよ〜土日はいつも寝不足みたいなものだし...」
びっくりだ。本当にびっくりだ。牧野さんのイメージがまた壊れたところで、他の人たちも部室にやって来た。
「ちーっす!」
「こんにちわー!」
「二人とも早いね〜。」
これでどうやら全員揃ったみたいだ。
「じゃあ、部活を始めよう!...と言いたいところだけど...。」
「だけど...どうしたんですか?」
「うぅ...嫌だなぁ...。」
(一体どうしたんだろう?いつもの部長らしくないな。)
と不思議に思っていると
「伝統娯楽部は毎月、一番最初の月曜日にレポートを提出しないといけないんだ。」
と副部長が教えてくれた。
「レポート、ですか?」
「ああ。レポートの内容は、昔の遊びを調べて、それをレポートにするんだ。」
なるほど。それで部長はあんなに落ち込んでるのか。...そういえば僕が部活見学に来た時も、レポート出せって野村先輩に怒られてたもんな...。
「レポートであればどんなのでもいいから、私は文章にして、原稿用紙5枚で出してるよ。」
「野村先輩すごく書いてますね。そんなに書かないといけないんですか?」
「いいや、ノルマはとりあえずA4サイズの紙が4枚だからそれほど難しくもないよ。」
(A4が4枚は少し面倒だな...。早めに終わらせてしまおう...。)
「ま、まあ、とりあえず部活を始めようか。」
部活が始まった。今日は、オセロを部員全員でリーグ戦で勝負をした。オセロはみんな強く、僕は一勝もできず、部長には、全部の色を取られてしまい、圧倒的な差で負けてしまった。
そして、オセロが終わり、部活が終わった頃には、外は暗くなっていた。
「じゃあ、お疲れ様でしたー。」
僕は歩いて帰ろうとすると
「佐々木君、途中まで一緒に帰ろう。」
と部長が言ってきた。一体どういうことなんだ?
「もう暗くて怖いから、途中まで一緒に帰ろう。まさか、女の子を夜道を一人で帰らせたりはしないよね?」
「....分かりましたよ。途中までですよ...。」
僕は仕方がないので、部長と一緒に帰った。
「部活は楽しい?」
「まあ、思っていたよりは楽しいです。」
「そう。君が部活に入ってくれて本当に助かったよ。」
「そうですか。そう言ってもらえて嬉しいです。」
(まあ、実際はほぼ勝手に入部扱いになってたんだけどなー。)
「それで佐々木君は、好きな遊びとかはある?」
「そうですね。チェスや花札が好きですね〜。」
「花札!?私も好きなんだけど、やっぱりこいこいが好きなの?」
花札でこれほど興奮する人は初めてだ。
「まあ、こいこいも好きですけど、おいちょかぶも好きですね。」
「なるほどね〜。去年の部費が少し余っていて、生徒会に回収される前に何か買っておきたいなと思っていたんだけど、特にピンとこなくてさ。それで君に何が好きか聞いてみたんだけど。うん!じゃあ花札を買うことにするね!」
「ありがとうございます。」
「いいよいいよ。私も花札やりたいし。あっ、私この周辺が家だからお別れだね!またね!」
「お疲れ様です。先輩。」
「じゃあ、GW明けにね!」
そう言い、僕は先輩と別れた。ただ家に帰るだけで今日はすごく疲れたな。と僕は思いながら家に帰った。