入学式その3
兄貴が仕事に行った5分後に入学式は始まった。入学式はまず、校長先生の長い話の後、生徒会長のあいさつがあり、新入生代表の挨拶があった。新入生代表は牧野優姫という女子生徒だった。牧野は同じ中学校出身だが、1度も話したことはないし更に言うと、同じクラスになったことも一度もない。牧野の新入生代表の挨拶を聞いたとき僕は、牧野の声を初めて聞き、
(可愛らしい声だな。)
と思ったのが、素直な感想だ。そして無事、新入生代表の挨拶が終わり、入学式が終わった。入学式終了後は解散となっていたので、家にまっすぐ帰ろうと思い体育館を出ると、そこには僕を部活に勧誘してた女子生徒がいた。
「君、先ほどはちゃんとした部活の紹介をできなくてごめんね。私たちの部活は"伝統娯楽部"と言うんだ。そして私は、部長の宮田七海だよ。是非うちの部活に入部してくれないかな?」
「すいませんが、僕はどの部活にも入部する気はありませんので、諦めて貰えないでしょうか?」
「じゃあせめて、うちの部活に見学に来てみない?もしかしたら入りたくなるかもよ!」
僕は見学を断ろうとしたが、相手は先輩であるし、断ってもずっと勧誘してきそうな雰囲気だったので、僕はしぶしぶ部活見学に行くことにした。
「先輩。見学に行かせてもらいますが、僕はまだ入ると決めたわけじゃないですよ。」
「いいよいいよ。それと、そんな堅苦しく話さなくてもいいよ!むしろそんな話し方されると、こっちが緊張しちゃうからね〜。」
僕は部活見学に行くことにした。まあ少しだけ伝統娯楽部というのがどんな部活か気になってもいたからだ。僕は部室に向かう先輩の後ろをついて行った。