女教皇ポワリディヌ 共通①
『うわーすごい数』
幼い私は教皇の演説を城のエントランスから背伸びして眺める。
『我々は幾年もかけ、この星による恵みを得た
しかし建星<けんせい>したからと言えど、これで終わりではない。
今日をもってポイゼェンの始まりとする!』
―――民が沸き立つ。
『――オルシリクス神よ、我々はお導きに感謝します』
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「うーん」
つい昔を思い出してしまった。あれはポイゼェンが出来たばかりの頃だ。
―――私の伯母にあたる女教皇ポワリゾディアはポイゼェン星の主エリアバタカンチンを束ね、民から慕われる女傑。
いずれは私も彼女の後を継ぎ、立派に星を当地しなければ。
「大変です!!」
私の側仕えロクスが、慌ただしくドアを開けた。
「どうしたの?そのように慌てて、ただ事ではないようね」
「法皇様が……」
「伯母上になにかあったの!?」
私はすぐにむかった。皆が寝台のまわりをかこみ、嘆いている。
「お兄様……」
「……ポワリディヌ、落ち着いて聞くんだ」
兄のヴィアグランが、神妙な面持ちになる。
――――教皇ポワリゾディアが息絶えた。
言われずとも、この場をみればそれは明らかだった。
「……ポイゼェンはどうなるんだ」
伯母上はガスで荒れた星を人が住み良い場にし、民を束ねる手腕を持っていた。
そんな彼女がいなくなってしまっては、ポイゼェンはもうおしまいだ。