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絶望の先に、あるものは。  作者: 七影志狼
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 木崎先生に春輝の義足制作を断られてから二日が経過し、この二日間は木崎先生をどう崩すかばかりを考えていた。両親に相談してどうにかなるものでもないし、期待させるだけさせて出来ない可能性があるので春輝には相談できない。そのために凛斗は一人で考えているのだが、保険医とオカルト研究同好会の顧問ということしか木崎先生のことを知らないのでは突破口が掴めない。


「どうすればいいかな・・・。せめて先生が義肢を作らないって決めた理由は分かればいいんだけど・・・」


 理由を問いただして話してくれるほどお人好しではないだろうから本人には訊けない。かといって事情を知っている人がどこにいるのかも知らない。完全に行き詰ってしまった凛斗は気晴らしに散歩していると、


「珍しいな、凛斗くん。こんな所で何をしているのだ?」


 入り口前の掃除をしていた佐久間住職に声を掛けられた。考え事をしながらの散歩はいつの間にか蓮鳴寺(れんめいじ)の方へ足が向いていたようだ。


「あ・・・お久しぶりです佐久間住職。ちょっと考え事をしていまして」


「歩きながらの考え事は感心せんな。どうだ、一つ我に話してみぬか? いったい何を悩んでおるのだ?」


 佐久間住職に話したところで何の意味があるのかは分からない。だが煮詰まってしまった考えを整理するにはちょうどいいのかもしれないので、凛斗は悩んでいることを佐久間住職に話していく。すると初めは笑顔だった佐久間住職の顔から笑みが徐々に消えていき、最後には呆れたような怒っているかのような顔つきに変わった。


「そうか・・・隼人が・・・。あのバカが・・・開き直れとは言わぬが未だに自分を責め続けておるのか。そんなことを橙子(とうこ)は望んではいないだろうに・・・」


 佐久間住職の憤りは凛斗に対してではなく木崎先生に対してだった。苦虫を噛み潰したかのような、どこか悲しげな表情をする佐久間住職に「橙子さんって?」と尋ねると、住職は凛斗を蓮鳴寺内の墓地へと案内した。


「これって・・・」


「木崎 橙子。十年前に死んだ隼人の女房だ。ここに彼女が眠っているのだよ」


 墓地内の一角にある墓。「木崎家之墓」と刻まれたその墓の中には、木崎先生の奥さんがただ一人で眠っている。


「我が凪乃高校のOBであることは前に言ったな? 実は隼人もなのだ。我と隼人、それに今はここにいる木崎 橙子こと旧姓姫野(ひめの) 橙子(とうこ)が当時のツレだった」


 ―――――昔のことを懐かしみながら佐久間住職は話し始めた。


 凪乃高校に入学して同じクラスになった三人は仲のいい友達だった。高二の頃に木崎 隼人が姫野 橙子と付き合うようになり、それからずっと恋人関係が続いていたのだ。よく一緒にいた佐久間 一成から見ても二人は純愛で、羨ましく微笑ましく仲睦(なかむつ)まじいものだった。


 凪乃高校を卒業してから一成は実家の蓮鳴寺を継ぐために近場の仏教大学へ進学し、隼人は医療工学部のある大学へ進学して義肢装具学を専攻し、橙子は隼人とは違う大学だが医療福祉の方面へ、それぞれが己の目指す道を歩んでいった。そして大学を卒業した年に隼人と橙子は結婚した。出会ってから六年越しのゴールインで、一成は勿論のこと高校大学の学友も祝福した。しかしその幸せは、わずか三年で幕を下ろした・・・。


「―――――事故だったよ。泥酔した酔っぱらいの、飲酒運転によるひき逃げだった。葬儀は我がここで執り行ったのだが、あれほど辛い葬儀は後にも先にもない。死者を送るのが仕事である我も、流石に堪えたよ」


 通夜・葬式・火葬場・四十九日の法要・納骨。

 親友の葬儀を一成は涙を流しながらも執り行ったのだが、橙子の遺影を持って参列していた隼人の涙ながらに吐き出した言葉が今も忘れられないという。


 ―――――なあ一成、オレは義肢装具士だ。

 手足を失い、不自由を強いられる人の手助けをして、不恰好でも笑顔を取り戻させる手伝いは出来るのに、最愛の人を、誰よりも何よりも大切な人を救うことが出来ない―――――!!


「アイツは・・・隼人は義肢装具士として天才だった。おそらくは凛斗くんが読んだ本に載っていた両立義肢の構想を発表したのも大学を卒業してからの三年のうちにだろう。そんな天才がこの町に帰って来て保険医をやっていると聞いた時は驚いた。我としては隼人の才能をもっと多くの人に分け与えて欲しいのだが、住職として接してしまった我の言葉は隼人には届くまい。十年間ずっと、後悔という殻に(こも)ったままだ。


 ・・・隼人はずっと後悔しているのさ。もしも医療工学の道ではなく、医学の方へ進んでいれば橙子を助けることが出来たのではないか、とな。

 だがそれは結果論だ。

 医者を目指していても大学を卒業してから三年の新米では橙子を助けれたかどうかも分からない。だというのに隼人は医者を目指さなかった自分を責め続けている。凪乃高校で保険医をしているのは、そんな理由からなのかもしれないな」


 佐久間住職は木崎先生を変えてしまった出来事を墓の前で話してくれた。その様子は淡々としていたが、その眼にはうっすらと涙が浮かんでいた。妻を亡くした木崎先生には悲劇だが、佐久間住職にとっても親友を亡くした悲劇なのだから。


「何も知らないあたしが言うのはその・・・偉そうなのかもしれませんけど、それだと誰も救われないじゃないですか。同じ場所にずっといて一歩も前に進めてない今の先生を見たら亡くなった橙子さんはきっと悲しむと思います・・・」


「その言葉、何度言ったことか・・・。橙子はお淑やかな性格だったが有言実行の行動力を持つ芯のある女性だった。過ぎてしまったことを後悔するよりも、それをどう教訓として生かすかを考える人間だった。だからこそ隼人には元いた道に戻ってもらいたいのだがな・・・もう我にはどうすることも出来ない」


 木崎先生が進んだ道を誤りだったと後悔して自らを責め続けているように、佐久間住職もまた後悔していた。道を踏み外した木崎 隼人(しんゆう)を、元の道に戻してやることが出来なかったかつての自分自身を。


「(やっと分かった・・・。先生は、春輝の未来の姿だ・・・!)」


 事故で両足を失った春輝を元に戻すことが出来ずにそのまま何年も経過してしまっていれば、春輝は今の木崎先生のようになっていただろう。原因に違いはあっても、道を踏み外して自分の力だけでは立ち直れず、外側の全てを拒絶し、自分の殻に籠り続けるだけ。立ち上がらせてくれる第三者の存在。それが春輝と木崎先生の大きな差だった。


「佐久間住職。あたしは先生に喧嘩を売ろうかと思います」


「は?」


 凛斗の突然の提案に、佐久間住職は面を食らった。文字通り開いた口がふさがらないといった様子だが、それを無視して凛斗は言葉を続ける。


「気付いているかどうかはわかりませんけど、今の先生は後悔に埋もれて前が見えないまま動けないんだと思います。だから一度、それを打ち砕いてみないとどうにもならない。それで先生が立ち直れるかは分かりません。最悪、もっと深いところにまで落ちてしまうかもしれませんけど、やってみようと思います。そのために佐久間住職や橙子さんのことを理由にすると思いますが、それに関しては改めてお詫びに伺います」


 そう言うと佐久間住職に向かって姿勢を正し、深々とお辞儀をする。鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしていた佐久間住職だったが、豪快に笑って凛斗の両肩を叩く。


「よいよい! 侘びなんぞは二の次でよい! 頼むぞ凛斗くん。どんな手を使ってでも、アイツを元いた場所に戻してやってくれ!」


「はいっ!」


 佐久間住職の懇願に、強く頷いて凛斗は墓地を、蓮鳴寺を後にした。一人残った佐久間住職は傍で眠る姫野 橙子(しんゆう)に告げる。


「あの子に任せてみようじゃないか。なあ橙子・・・」


 この声が届くかなんてわからない。今もなお留まっているのかなんてわからない。だがそれでも、まるで背中を押すかのように一陣の突風が凛斗の去っていた方角へ吹き抜けていった―――――。



 木崎先生に喧嘩を売ると宣言してからの数日間、凛斗はこれといって動くことをしなかった。相手に発破をかけることで状況が好転するというのが確実ではないことも勿論あるのだが、何よりもまずは目前と迫る中間テストを優先したからだ。

 春輝と同じ大学へ進むために可能ならば推薦を、そうでなくも現役合格が出来るように学力を上げなければならないので木崎先生の復帰、つまり春輝の義足に傾倒(けいとう)しすぎて推薦も現役合格も出来ませんでしたでは本末転倒だ。そうならないためにもまずは後顧(こうこ)(うれ)いを断つのを理由に、中間テストに集中したのだ。

 その甲斐(かい)あってか今回の成績は今までと比べると格段に良くなっており、推薦が取れるかどうかははっきりしていないが幸先のいい結果だ。


 そして―――――中間テストを終えて土日を挟んだ三日間の休みの初日に、凛斗は木崎先生のいる保健室へと単身で乗り込んだ。この日の当直が木崎先生なのは事前に調査済みだ。


「―――ん、渡良瀬か。運動部でもない今日は休みだというのに学校に来るとは珍しいな、一体何の用だ?」


 当直で鍵を管理するとはいえ、木崎先生は相も変わらず気怠そうに雑誌を読んでいる。保健室に入ってきた凛斗を一瞥(いちべつ)した上で興味がないといった様子だ。


「先生に話があって来ました」


「戸川の義足のことか? 前も言ったが私はもう義肢を作らない。用がそれだけならさっさと帰れ」


 ここまでは以前と同じだった。説得ではなく頼み込むことしかできないのであれば、この話はこれからずっと平行線だ。それを打開するために凛斗は早々に手札を切る。


「―――――それは橙子さんが望んでいないから、ですか?」


 その名前を聞いた途端、木崎先生は広げていた雑誌を勢いよく閉じた。バァッン、と。閉じられた際に生じた音が静かな保健室に響き渡る。


「なぜお前が橙子のことを知っている・・・?」


「佐久間住職から聞きました」


「佐久間・・・? ッ・・・一成の奴か! あの野郎、ベラベラと喋りやがって!」


 木崎先生はここにいない佐久間住職に対して怒りを露わにした。妻を亡くしたというデリケートな部分を勝手に話されたことによる憤りだ。


「それでオレを笑いに来たのか? 義肢を作ってばっかりで、妻を助けることの出来なかった無能なオレを笑いに来たのか!」


 木崎先生の口調が昔に戻っている。言葉の端々が乱暴なのは元より、一人称が「私」から「オレ」に変わっている。その変化を見逃さず「ヒットした」と内心で思う。


「いいえ、そんなことはしません。ただ、佐久間住職から話を聞いた時から思っていたことを言いに来ただけです」


 そこで凛斗は一旦言葉を区切り、ふぅ、と呼吸を整える。万全の状態で凛斗は正面から木崎先生を睨みつけ、抱いていた感想を告げる。


「―――――ふざけるな」


 素っ気なく告げられた五文字の言葉。凛斗の感想はそれだけで、当然のように木崎先生は反感を覚える。一体何をふざけているのか、と。


「ああ?」


「奥さんを亡くされたのは辛いことだと思います。だけどそれでは奥さんを、橙子さんが亡くなったせいで、先生は義肢を作るのをやめたことになるじゃないですか。

 橙子さんのことを全く知らないあたしが言うのは何ですけど、先生が二度と義肢を作らないことを橙子さんが望んでいると本気で考えているんですか!? 自分を助けなかった先生を恨んでいるとでも? そんなの、先生が現実から逃げるための理由に過ぎないじゃないですか!」


 橙子が死んだせい。


 現実から逃げる理由。


 その二つは木崎先生が反発して当然の言葉だ。しかし同時に、その通りだと納得する自分もいた。だがそれでも、木崎先生は凛斗に噛みついた。


「知ったような口を利くな! お前に・・・お前に何が分かるというんだ!」


 かつての春輝が口にした八つ当たりと似た言葉。そこで再度、木崎先生は昔の春輝そのものなのだと認識した。


「分かりませんよ! 先生が橙子さんをどれだけ想っているのかも、橙子さんが先生をどれだけ愛していたのかも、橙子さんを亡くされた時の先生の絶望も、亡くなられた橙子さんの無念も、何も知りませんよ! だけど! だけど先生は助けられなかった橙子さんに償うために義肢製作をやめたんじゃなくて、義肢製作をやめたのを橙子さんのせいにして、逃げているだけですよ! 違いますか!?」


「お前に・・・お前に何が分かるって・・・!」


 ただひたすらに、必死に凛斗の言葉を否定しようとする。否定するに事足りるだけの材料を必死にかき集め、凛斗に反論できるだけの言葉を口にしようとする。だが口から出るのはうめき声だけで、何一つとして反論が出来ない。


 義肢の製作をやめた後、何かをしようとする度に「橙子が望んでいない」と言い訳して何もしてこなかった。二言目には橙子が、橙子は、橙子に。凪乃高校に勤務するための教員免許は大学で単位取得のついでに取っていたが、それ以外は何もしてこなかったのだから無気力になるのは必然だ。


「橙子さんが先生を恨んでいるのかなんて知りません。だけど恨まれていると思うならなおのこと自分を最も生かせる場で償えばいいじゃないですか。それが先生の場合は義肢装具士なだけで、それだけのことじゃないですか。先生は義肢製作をやめることで橙子さんに償ったつもりなのかもしれませんけど、それは償う機会すら捨てているんですよ。何もしないのにどうやって償えるというんですか・・・?」


 凛斗の言葉は全てが的を得ていた。心の片隅でほんの少しだけ橙子のことを恨んでいたことは思い当り、橙子を理由にして何もしてこなかったのは事実で、橙子の死からも自分自身からも今までずっと逃げ続けてきたのだから。


「・・・・」


 最早、反論は出来ない。木崎先生は凛斗から視線を外し、机に両手を置いて(うつむ)き、両目を閉じる。現実を突き付けた凛斗への怒りかそれとも逃げ続けた自らへの憤りか。あらゆる思いが頭の中をぐるぐると回る中で机に置いた両手をグッと握り、言葉を絞り出した。


「・・・・帰れ」


「先生・・・!」


「今日の所は、帰ってくれ・・・。頼むから・・・!」


 ようやっとの思いで吐き出したその言葉。それを受けて凛斗はこれ以上の追及をせずに「失礼しました」と口にして保健室を出ていった。ドアが閉じられれば保健室内には再び静けさが戻ってきて、大きく息を吐いた木崎先生は椅子に全体重を預けて座り込む。次いで机の上に両肘を置いて頭を抱える。


「橙子・・・。オレは・・・オレは・・・!」


 校庭で部活中の生徒たちからの声が聞こえる中、静かな保健室内には木崎先生の嗚咽(おえつ)だけが響いていた・・・・。



 凛斗との一件からしばらくした後、どうしても外せない急用を理由に欠勤して、途中で買った花束を携えて、木崎先生は蓮鳴寺を訪れた。

 橙子の死を受け入れることが出来ないでいた頃は「墓」という揺るがない現実を直視する勇気がなく、受け入れてからは参る資格がないと勝手に決めて、ただの一度も訪れていない最愛の人の墓は、同じく親友の佐久間住職によって綺麗に保たれていた。


「ずっと来なくてすまない、橙子・・・」


 手を合わせるよりも先に、まず謝罪した。そして桶に汲んだ水をかけ、花入れの水を入れ替えて新しい花を供え、手を合わせる。幾つもの言葉が頭をよぎるが、一つとして声には出さずに手を合わせ続ける。そのために後ろから近づいてくる足音に気付けなかった。


「十年経ってようやくの墓参りか。言うべきことが多すぎて一日では報告しきれぬか? この嫁不孝者め」


 やってきたのは佐久間住職だった。その手には桶が握られていることから、今日の掃除をしようと来たところに木崎先生がいたのだろう。


「・・・一成か。嫁不孝・・・確かにそうだな。オレはずっとここからも逃げてきたからな」


「どういった心境の変化だ? 死ぬまで参りには来ぬと思うておったのに。ま、橙子としては喜んでいることだろうよ」


 死ぬまで来ない、それはいずれ訪れる未来だった。そもそも昨日までの十年間、ただの一度の墓参りも法事も行ってこなかったのだから。


「渡良瀬に・・・生徒にさ、怒られたんだ。〝先生は橙子さんのせいにして、現実から逃げ続けている〟ってさ。反論するつもりだった。だけど、出来なかった。ああ―――――俺は橙子を恨んでいたんだな。バカな奴だよ、オレは」


「うむ。お主ほどバカな奴はそうはいまいよ。理不尽で早すぎたとはいえ、橙子が自分の不幸を人のせいにするような女ではないことは隼人が一番知っておろうに」


「そうだな・・・すっかり忘れてた」


 初対面から意気投合した親友だからこそ見えていた橙子の性格を、伴侶でもある木崎先生が誰よりも忘れていた。思い出すことをしなかった、と言う方が正しいかもしれないが。


「橙子・・・。十年分には全然足りないけど、これだけは言わなくちゃならない。すまない。オレは、キミを助けられなかった・・・!」


 墓石の前で木崎先生は深々と頭を下げた。閉じられたその眼からは涙が零れ落ち、足元の石畳を僅かに濡らす。そしてそのまま決意を口にする。


「オレはまた、義肢の製作に戻る。十年で鈍った腕を取り戻すのにも時間がかかるけど、それでもオレは義肢装具士になる。一人でも多くの笑顔のために・・・!

 ―――――許してくれ、とは言わない。だけどオレにはこれ以外、キミに償える方法がない。これしか方法がなかったんだ・・・それにすら、気付けなかった・・・」


 双眸から落ちる涙は、依然として石畳を濡らしては乾いていく。深く頭を下げたまま、小刻みに体を震わせる木崎先生を佐久間住職には見守ることしかできない。そんな中でありえないものを、すでにいない人の姿を、見た。


「(橙子・・・)」


 宙に浮かぶその姿は生前の、十年前のままに美しく、背中から愛しい人を抱きしめる。木崎先生は気付いていないのか、とても満足そうに彼女は寄り添い、去り際に振り向いて佐久間住職に微笑みかけて、溶けるように消えていった。ようやく成仏できたのだと佐久間住職が気付くまで少し時間がかかったが、「どうか安らかな眠りを」と手を合わせた―――――。


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