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Nehalem(ネヘイレム)  作者: sillin
Cp1・黄泉津蔓
3/6

Cp3・ ENIALS_1


 なんて言うか、このもやもやとしたものを振り払うのに、数日を要した。タケミカヅチに乗っているのに、これは珍しいこと。なにがそんなに引っかかっているのか、片手間に考えてみたけど、あの小太りの脂ぎった人間臭さが染み付いているわけでもなし、復帰したキリエの腕が妙に白かった違和感でもない。

 やっぱり、僕にしかできないから、サクヤはアーリィを守ってくれと、依頼したんじゃないだろうか。なら、僕は僕でしかできない約束をふたつもしてしまったことになる。どちらも、目的ははっきりしているのに、手段は漠然としていた。砂漠の上を歩いているみたいで、どっちへ行けばいいのかわからない。これがもやもやの正体。

 アーリィとは何度も話した。アシリアは恋人と勘違いしたけど、実際の恋人がどんなものなのか知らないから、この気持ちがどれに属するものか、はっきりとは知れない。知ろうと言う気はなかった。アシリアに相談すればきっと怒られるし、他に意見を聞く適当な人物もいない。本人に尋ねるのは愚の骨頂だろう。たぶん、みんなが言うように、母親に甘えているのだ。

 タケミカヅチは三度前線に向かって、舐めるようにしてから戻ってきた。たいして戦闘の激しい宙域ではなく、三度のうち一度は、敵と遭遇すらしなかった。まるで、手をこまねいているような感じ。人間は結果を急ぐ癖があると思っていたんだけど、その思想とはちょっと矛盾する戦いになっていた。違和感と言えば違和感。なにか、おかしい。

 艦内で変わったことと言えば、輸送船がやってきて、人員の一部が入れ替えになった。替わったのは整備士や作業員で、戦争の途中で急遽交代があるなど、変な話だった。なんとはなしに調べると、第三師団全体でこのような配置換えが行われたらしい。ライア提督に考えがあるのだろう。トウキはトランプ仲間がいなくなったと愚痴っていた。新人たちは一様に薄暗くて、無口みたいだった。

 第一師団壊滅の報が駆け巡ったのは、さらに数日後のことだった。そろそろ戦争が終わるとうわさが流れ始めた矢先のことだ。それからは忙しくなった。

 まず、せっかく修理したミサイルが使用禁止になった。どうやら、第一師団が攻勢を強め、大規模なミサイル攻撃を行ったところ、誘導装置がことごとくハッキングされて、発射したミサイルが逆に自分たちを襲ったらしい。これによって第一師団旗艦タヂカラが轟沈。指揮系統が乱れたところへ、なぞの大爆発が発生した。艦隊が居た宙域はなぎ払われ、生き延びた艦は全体の三割、そのうち無傷の艦は一割に満たないありさまだった。

 情報が規制されているから独自に調べたところ、爆発の瞬間に四次元の発生が計測されていることがわかった。強烈なガンマ線の放射はタケミカヅチからでも観測できた。これは電子と陽電子が大量に対消滅したという証拠で、爆発の正体が急激な空間の膨張であることを示していた。

 いわゆる、ビッグ・バンが起こったのだ。

 地上に神が降りるとき、依り代となる物質に降臨する必要があるけれど、黄泉は邪神の世界なので、その行為は省略される。高次元にいる邪神たちは三次元空間に直接現れ、そのとき、少なからず空間の膨張が起きるのだ。メートル級の邪神ならそれは問題になるようなものじゃないけど、キロ級ともなればすさまじい爆発となる。物理法則が曲がって、一瞬、神の出入り口の四次元が顔を出す。これをビッグ・バンと呼び、すなわち、超級の邪神が現れたことを指し示しているのだ。

 情報は制限されていたけど、これくらい、その気になれば誰だって調べられるようなこと。

 戦争は継続された。せっかく取り戻した、五年前の防衛ラインを、みすみす手放すわけにはいかないからだ。だれの決定か知らないけど、きっと、後悔することになるだろう。

第三師団は後方へ待機し、ミサイルに替わる武装へ換装してから順次出撃の運びとなった。とは言っても、ミサイルから誘導装置を外して、ただの噴進砲弾として使うだけのこと。命中させるにはかなり接近しないといけないし、技術も要る。間違いなくそれによってこちら側の被害は増大するだろう。

そんな作業のために、ドッグ艦に停泊して、十二時間待つことになった。

そしてその十二時間の間に、その出来事は起こった。

《ルーン君、あれを》

 目の前にかざされたパネルの文字と、それからアーリィの指し示す先を見て、僕は少なからず驚いていた。

 再出撃までは自由時間。タケミカヅチにこもりっぱなしのアーリィを、気晴らしのつもりでドッグ艦へ誘ったのだが、思いのほか何もなくて退屈していた。ちょっとした歓楽施設もあったのだけれど、民間のじゃないから、どれも整数が整列しているみたいな店ばっかり。ファーストフードの店先で、ぼうっとしてしまっていたらしい。

 ありとあらゆるスクリーン、モニタ、テレビが、ライア・ハイゼンベルクの顔を映していた。

 きりりと引き締まった、そう、鷹のような瞳。額の傷は五年前の大戦で最後まで逃げずに戦った証だと言う話だ。それは伝説のように語られて、カリスマに箔を付けていた。

 ライアが画面の向こうで何をしゃべったか、あまり理解できなかった。ただ、聞こえたのは、『離反』と言う言葉だ。戦争を続ける軍部の矛盾点を隅から挙げ、連邦の政治体制の闇を説き、体制の崩壊を叫んだ。

 革命だ。

 誰かが快哉の叫びを上げた。

 それ以上の人間が、暗く黙り込んだ。

 いずこかで、騒々しい音が響いて、絶叫が聞こえた。

 とたんに周囲は騒がしくなった。

 歓楽施設の端へ駆け込んできた男が、どこからか銃撃されて、丸太が転がるみたいにして倒れた。

 上半身が肉団子みたいになっていた。

 僕は人が死ぬのを間近で初めて見た。飛び散った血飛沫と、さっき食べたホット・ドッグのケチャップ、どっちが美しいだろうか、と言う感想を持った。

 アーリィは真っ青になって震えていた。

 その手をぎゅっと握り締めた。

 いまこそ、懸案を解決するときが来た。

 僕が、アーリィを守るのだ。

 通信機が鳴った。逼迫した声でキリエが言った。

『ルーン君! いまどこ!』

「ドッグ艦です。四区の歓楽施設。アーリィさんといっしょにいます」とにかく、人目に付かないところへ。手を引いて走りながら答える。「すこし遠いですけど、タケミカヅチへ向かいます」

『急いでこなくていいから。こっちも、応戦中。入れ替えで入った整備士が、ライア司令の手先だったの。ブリッジを制圧しようと攻撃してきた』

 通信の背後からは、銃声が響いている。

「だいじょうぶですか? 僕たちはどうします?」

『こんなときに限って、トウキの役立たずは居ないし! ブリッジの手前、艦長と副艦長と、三人でなんとか食い止めてるから。すぐに撃退してやるわ。あんたたちは艦の近くまで来て、隠れてて。あのへん、ごちゃごちゃしてるから、いくらでもあるはず。くっ――』

 爆音。振動が通信機越しに耳の奥を揺らせる。

「キリエさん?」

『平気よ。ちょっと、手榴弾を投げ返してやっただけ』

「二次被害はできるだけ抑えてくださいね」

『馬鹿! 冗談にもならないわ。いい? 隠れていて。迎えに行くから』

 通信が切れた。珍しくジョークに失敗したようだった。

 アーリィが口をパクパクさせている。どうするの、と聞きたいようだった。僕はうなずいて、先へ進もうと合図した。

 PDAで検索して、ついでにドッグ艦の監視システムの一部をハッキングし、できるだけ人のいない経路を選択した。

非常用の階段を下り、薄暗いトンネルみたいな通路を走っていると、まるでこの世に生き残ったのが僕たちふたりだけのような錯覚に襲われた。

もしここで、通路の両側の隔壁を下ろしてしまえば、本当にふたりだけの世界が完成する。ちょっとした、誘惑に駆られる。

 アシリアが言っていたように、僕らが恋人だったら、そうしてみるのもいいかもしれない。ふたりの世界で死ねたら、きっと、勝ち。でも現実の僕たちの勝ち負けはもっと先にある。だから走らなくちゃならない。

 貨物区画へ抜けて、いよいよドッグに近くなる。ここからが難しい。隠し通路みたいな非常口はもうないし、自分たちの艦へ逃げ込もうと言う人々で人口が増える。敵も増える。おまけに経路をつかもうにも、壁はともかく、貨物の類は随時移動するから、記録がない。感圧計の数値を信用するか、あとは目視による判断だ。

 でもまあ、ここまでは上出来。PDAは肌身離さず持ち歩いていたし、小型の拳銃も持っている。

真っ青だったアーリィは走ったおかげで頬に赤味がさしていた。きれいだな、と思う。こんなきれいな人は見たことがない。アシリアには悪いけど。

 一角に逃げ込んで、コンテナの影に隠れた。光学兵器が持ち出されたのか、ドッグからはまばゆい光が漏れてくる。溶接光みたいな、目に悪い光。僕はそれを見ないように忠告しようと振り返ったけど、アーリィはうつむいて目を閉じていた。なにかを口の中で繰り返しているようだ。お祈りの言葉だろうか。そんな気分のときもあるかもしれない。声にして伝えられなくても、伝えたくなるときって、きっとある。

 期を見て移動。タケミカヅチのブルーの艦体が見えて、僕はうれしくなった。キリエはまだ戦っているのだろうか。本当に、できるだけ、艦の被害は小さいほうがいい。それは艦を構成する、僕たち人間も含めてと言う意味だけど。

 意外に人気はなくて、これなら充分待っていられそうだった。背の高いコンテナの後ろに移ろうとしたとき、真上から人影が降ってきた。

 僕は慌てて拳銃を取り出そうとしたけど、ガンマンみたいにはうまくいかない。もたついているうちに、頭を小突かれた。

「あたしよ」

「……キリエさん」背の高い銀髪を見上げる。気が抜けた。「おどかさないでくださいよ」

「ごめんごめん。上から監視してたの。行きましょ。トウキが戻ったら、すぐに発進。準備しなきゃ」

「はい」それから、アーリィに向かって微笑む。ぎこちないけど、返してくれた。

 艦内の傷跡は悲惨だった。戦闘があった場所では、リベットを打ったみたいな弾痕が壁に並び、前衛画家が絵筆で殴りつけたみたいに血が塗りつけてあった。死体は目に付かないところへもう移動してあるみたいだけど、すぐ近くに転がっているのだろう。アーリィは引きつった表情でブリッジまでを歩いていた。憤っているのか、哀しんでいるのか、絶望しているのか、僕には読み取れなかった。ただ、握られた手の圧力だけが、力強い。

「無事でなによりです」

 ブリッジに入るなり、ジークがにこやかに言った。黒縁のメガネは、ふちがすこし欠けてしまったようだ。でも七三分けは交差点みたいに正確だった。

「マクベス准尉、戻りました。作業はどこから?」

「まあ、一息入れてから――と言いたいですが、まずエンジンを起動させないと。整備士がほとんど欠けたので、一発勝負です。調整をしてください」

 すでにサクヤはコンソールへ向かって没頭していた。ブリッジには、他に非戦闘員が数名。アーリィを含め、まだ戻らないトウキを含めても、人員は半分以下に減ってしまったことになる。ショックを受けて、うつろな顔をしている人が多かった。

 オペレーター席へ座り、タケミカヅチへ触れる。

 金色の伝達網は、キラキラと脈動していて、興奮しているようだった。僕自身の興奮かもしれない。

 エンジンは問題なさそうだった。ブリッジ以外にも機関部に整備士がすでに入っていたようだ。始動の作業に入ると、すぐにかかった。問題なし。

「このままアイドリングを続けてください」

 エンジン付近で作業をしている整備士にマイクで告げる。あったまってきたらタケミカヅチはいつでも飛べる状態になった。

順調に行くと思った。

「戻ったぜ」

 ブリッジの入り口から、トウキの声がした。神経を集中していたので、まるで気が付かなかった。僕のすぐ脇に、アーリィが立っていて、コンソールを覗き込んでいたのにも気づかなかった。普段は立ち入り禁止だから、仕事の内容が珍しいのだろう。

「おかえりなさい――」

 入り口を振り返って、僕が見たのは、銃を突き付けるトウキの姿だった。

「チェックメイトだ、ジークフリード・ハヤカワ」

 銃口はジークの額へ向けられている。ブリッジへ、わらわらと戦闘服姿の連中が入り込んできた。なんてことだ。僕は絶望した。体内に異物が入ってくるのもわからなかったなんて。集中しすぎたのだ。

「なんのつもりです? トウキ。反乱罪に問われますよ」

 冗談か時間稼ぎか、ジークのセリフは落ち着いている。何の感慨もないのだろう。でもジョークだとしたらやめといたほうがいいな、と思った。きっと怒られる。

「エニアリスを渡してもらおう」そう言ったトウキの言葉と、「あんた、なに考えてるの!?」キリエの叫び声が重なった。兄妹でも知らないことはあるらしい。

「うるせえ、黙ってろ、キリエ。こっちは仕事中だ」シニカルに笑っている。「大事な取引の最中さ」

「取引ねえ……」ジークは苦笑する。「あなたが『ヤタガラス』の一員であることは知っていましたよ。ライア司令の部下であることもね」

「御託はいい。エニアリスはどこだ」

「ここに」案外素直に、艦長席から取り出した記録スフィアを渡した。半透明の球体で、中に海のようなものが見える。「お代は?」

「鉛弾でもくれてやろうか? 目的は達した。引き上げるぞ」

 トウキは戦闘員たちに告げて、ブリッジを出ようとする。数名は続き、それに従わず、数名は動かなかった。

 低い声の奴が言った。

「ルーン・マクベス」

 僕は思わず、その声の方を向いてしまった。それがいけなかった。ゴーグル越しの目と合ってしまった。

「ライア司令の命だ。死んでもらう」

「おい!? お前っ」トウキの奇声。

 握り締められる、制圧用サブマシンガンのトリガー。

 ああ、終わりか、と思った。

 きっと、あそこから放たれた、対人用の5.7ミリ弾は、僕の身体に着弾した瞬間、乱回転を発生させて、体組織をめちゃめちゃに破壊するだろう。運動エネルギーは遺憾なく目標内部に発散されて、貫通性がないのが制圧用の銃の特徴だ。つまり、僕の後ろのオペレータコンソールには、ダメージがないだろうと言うこと。

外さずに当ててくれたらいいな、と思った。

 だが、発射された弾は、結局僕には届かなかった。

 金色の輝きが僕を覆い隠した。

 それがアーリィの髪だって気づいたのは、銃声が鳴り止んで、その場がシンと静まり返ってからだった。

「怪我はありませんか?」

 それがアーリィの声と理解するのに、僕は数瞬の時を要した。あんまりにもきれいで、澄み透っていたから。言葉だって認識できなかったくらいだ。

「え、あ――はい」

「よかった」

ぽたぽたと、腕のすそから、手首にかけて、液体がしたたり落ちている。

白い。

白い液体。

血液よりも粘っこくて、どろっとしている。

血じゃない。

これは――アンドロイドの、循環液だ。

「ごめんなさいね。色々と、だましていて。私がしゃべると、みんな、痺れてしまうから……」

戦闘員たちは動かない。

動けないのだと、そのときわかった。

誰も動かない。

僕も。

僕も痺れているのかもしれない。

「ジークさん。ありがとう。こんな私を、ここまで連れてきてくださって。大切な人たちと、出会いをくれて」

「私はあなたを利用しただけ。感謝など、もったいない話です」ジークはメガネの位置を直そうとしたが、うまくいかないようだ。

「私にくれた、役目を果たします。さあ、みなさん」アーリィは戦闘員たちに微笑んだようだ――。「私といっしょに消えましょう」

 その唇が、圧縮された音声をつむいだ。

 それは『言霊』。

 コンピューターが演算し、出力することで発せられる、物理的行使力を持った、プログラム。

 人間なら、機械を使わないと、言霊を操ることはできない。

 それを生身で実行できるのは、アンドロイドのみ。

 じゅわっと、蒸発するような音が響いた。

 戦闘員たちは、外側の戦闘スーツを残して、水蒸気みたいに消滅した。

 誰よりもやさしかったアーリィが、最期に道連れにした連中だった。

「アーリィさん……」

 僕はおそるおそる、正面に回りこんだ。

 草原みたいな色のワンピースには、五ヶ所ほど穴が空いていて、そこからいまも、どろどろと白い循環液が溢れていた。

 目は閉じられていた。

 表情は人形のよう。

 消えてしまった。

 なぜだか、わかった。直感だ。

 直感は、外れることはない。

 ガリッと言う音。

 トウキが歯噛みをした音だった。

「糞ったれが」

 ジークを睨み付けると、そのままきびすを返し、通路の向こうへ消えていった。

 放心した顔で、キリエが見送っていた。

「この人は、アンドロイドでした」しばらくしてから、説明口調でジークが告げた。「それも、対邪神用戦闘アンドロイドの、プロトタイプです」

「なんで……」キリエのつぶやき。意味のある言葉ではないだろう。

「重大な、試験運用すら不可能な欠陥があって、半ば放棄されていた人でした。みなさんも体験したように、彼女が言葉を話すと、自動的に言霊が生成され、撒き散らされるのです。しかも、自発的に言霊を発生させれば、その効果は望まずと強力で、反動により自らの魂をも消滅させてしまう。これは推測に過ぎませんでしたが、今の現象を見る限り、事実だったようです」

 アミューズメントパークのコンパニオンみたいな声。無機質で温度がない。

 僕はアーリィの頬に手を当てる。

 あたたかい。

 熱くもなく、冷たくもなく。

 ちょうど、あたたかい。

「私はある約束とともに、彼女を引き取りました。もし彼女が消滅することがあれば、その抜け殻を利用する。代わりに、それまでは、自由に、人間のように、生きていて良いと。こうして、タケミカヅチの一員に、彼女はなりました。そしていま、約束が果たされることになります。私はこの言霊演算機の電脳に、エニアリスを移植する」

 ジークは記録スフィアを取り出した。渡したのは偽物だったみたいだ。なんで調べもせずに、トウキは持ち帰ったのだろう。ほしくなかったのかもしれない。

「ライア司令を止めるには、エニアリスの力が不可欠だ。残酷に感じるかもしれませんが、それだけ重要なことなのです」

 そう――残酷だ。

 ジークはこの状況を作ったのだ。

 アーリィが自分から、言霊を発生させる状況を。

 サクヤを使って、僕がアーリィを守るよう仕向け、反乱が起こっても無傷で届くよう仕込み、トウキの行動も見込んだ上で、襲撃させた。おそらく、推測だけど、サクヤはアーリィにも、同じことを言ったのではないだろうか。僕を守ってやれと。

 もしかしたら、僕をかばってアーリィが撃たれたのは、ほんのすこしの、抗議だったのかも。なにもかもは、思い通りにならないって言う……。

 それならば、僕は。

 約束したことは、守らないと。

「さあ、アーリィを電算室へ。準備は整えてあります。准尉、名残惜しいかもしれませんが、急ぎます。離れて――」

 僕はポケットに手を入れ、拳銃を引き出した。

 今度は、指先が吸い付くみたいに、取り出すことができた。

 しっかりと向ける。突きつける。ジークへ。

「この人は渡さない」これが、僕の、懸案の解消。「好きにはさせない。僕が、守ります」

「反乱罪ですよ」呆れた声。でも、予想外だったってことだ。「怒っているんですか?」

「はい」

「ではなぜ、笑っているんです」

「笑う?」

「ええ。あなた、いままで見た中で、一番うれしそうですよ。そんな顔だ」

 笑っているつもりはない。

 でも、そうなんだろう。

 僕だって本当は、何も感じていない。

 感じていないから、どんな表情が表に出ているかなんて、すぐに忘れてしまう。

 だけど……。

 なんで、こんなに、くやしいのだろう。

 何も感じていないのに、くやしいのか。

 感じないことが、くやしいのだろうか?

 違う。きっと。

 きっと、守れないことが、くやしいのだ。

 僕はそう言う役割じゃない。

 半月も前に、答えが出ていることだけど。

 でも……、すごく。

くやしかった。



 暗い部屋に押し込められた。

 部屋が暗かったわけじゃなくて、僕が明かりを点けなかっただけ。

 数時間してから、サクヤが入ってきた。トレーには食事が乗っていて、レトルトだった。カレーだったけど、僕がレトルトのカレーを嫌いってことは、知らなかったらしい。でも、気遣いには感謝しないと。絶対に食べないけど。

「ごめんね」

 いくつかのパターンが予測されたけど、サクヤが発したのは、もっとも当たり障りのない言葉だった。

「いえ」そして、沈黙。シュミレーション通りの展開。

 すぐとなりに、サクヤが腰を下ろす。また、桜のような香り。

「なにか、埋め合わせをしたい」

「そんな……、」僕は首を振る。「サクヤさんが、責任を感じることじゃ」

「私、知っていたから。知っていて……、いえ、気づいているよね」

「はい」トウキでもわかっていたことだ。僕を利用したことだろう。「でも、それでも……」

「誰かが、憎くはない?」

「憎い?」

「私が。艦長が。司令が。撃った人が。漠然とした何かが。憎くはない?」

「特に」

「本当なら、憎しみを覚えているところよ。私ならきっと、気が狂いそうなくらい、泣き叫んだかもしれない。あなたがうけたのは、それくらいの仕打ち」

「そうですか……」ため息。だから、どうしたって言うのだろう。

「だから、そう、たとえば」

「なんですか?」

「私を、抱いたっていい。それですこし、あなたの気が晴れるなら」

 僕はとなりに目を向ける。

 サクヤは私服で、暗いからわからないけど、薄い衣装を着ているようだった。

 首を振る。もう一度、横へ。

「いえ……、その、ありがとうございます」

「そう。ダメね、私って」

「あの、サクヤさんに魅力がないわけじゃないんです。でもそう言うことすると、怒る人がいるので。それだけです」

「あら」サクヤは微笑んだ。「知らなかった。ちゃっかりしてるのね」

「恋人じゃないんですけど。ちょっと、嫉妬深い人で。そう言う部分も好もしく思ってますから」

 それからしばらく話をして、サクヤは出て行った。アーリィの話はしなかった。僕もサクヤも、避けていたのだろう。おかげですこし、気分がマシになったようだ。でもまだ、明かりを点けようと言う気にはならなかった。

 僕にとってアーリィはなんだったのか。

 愛情を感じていたのだろうか?

 人の言う、好きや愛にはいろんな種類があって、僕にはそのどれを当てはめていいのか、さっぱりわからない。

 友愛。

 博愛。

 恋愛。

 自分自身のことなのに……。

 僕はなにも感じない。

 だから、なにもわからないんだ。

 理解しようとして、必死に人の真似事を繰り返して。

 それはざるで水を汲もうとするくらい、無益な行為。

 結局、なんにもならないって、そういうことだけはわかっている。

 だけど。

 いいじゃないか。

 僕が僕であること。

 その努力をしてみたって……。

 考え込んでいるうちに、いつの間にか、眠ってしまったらしい。

 うとうとして、物音に目を覚ますと、天井から人の顔が生えていた。

 僕はびっくりして大声を上げかけたけど、その人が口元に指を持っていって、黙るようジェスチャーしたので、なんとか押しとどめた。

「ここから出る」

 そう言いながら飛び降りてきたのは、クラだった。この長い赤毛のポニーテールを、見誤るはずはない。

「なんで、こんなところに?」もうタケミカヅチはドッグ艦を離れて航行しているはずだ。

「最初からいた。隠れていただけ」

 まあ、そうだろう。妥当なところだ。聞きたかったのは理由。

「あの、僕を、連れ出しに?」うなずきが返る。「どこへ?」

「外」

「え」

「ミサイルの換装に合わせて、うちの手の者に、色々と細工をさせた。脱出艇の代わりに、中距離を航行できる小型艇を積んである。それに乗る」それから、僕を見た。「アーリィもいっしょにいく」

 心臓が跳ね上がった。クラは無口にうなずいて、部屋のドアを開けた。一応、外から鍵をかけられていたはずだけど、そんなものはこの人には関係ないみたいだ。

「外って、どこです?」通路を走りながら訊ねる。クラとこんなに会話したのは、たぶんはじめてだ。「地上に戻るわけじゃないですよね」

「さすがに、それは無理。私たちの母船へ向かう。八禍教団の母船。アシリア様も待っている」

「アシリアさんが……」

 クラは足音を立てずに走る。通路には僕が立てる音だけが響いて、無礼に当たるんじゃないかと心配になった。

「すこし、ここで待って」

 電算室の前でクラは言い、やっぱりロックなんか最初からなかったようにして入っていった。時刻は深夜。タケミカヅチは現在、ただでさえ人手不足だ。周囲にはだれもいない。

 アラートが鳴り響いた。どうしたのかと思っていると、すぐに、術衣を着せられたアーリィを担いだクラが現れた。

「警報が鳴るのは仕方なかった。すぐそこ。急ごう」

 アンドロイドって、重いんじゃないだろうか。クラの足取りは変わらず、音も鳴らなかった。息切れするくらい、僕が全力で走っているのと同じ速度。

 脱出艇は数ヶ所設備されていて、艦後部の作業員用のスペースが、目的地だった。見慣れない小型艇が鎮座している。偽装されていたし、昼間からのあの騒ぎでは、だれも気づかなかっただろう。

 アーリィの身体を座らせて、固定するのに、若干手間取った。足音がいくつか、通路の向こうから響いてきた。

「待ちなさい!」

 まず現れたのはキリエ。銃を手にしている。

クラがゆっくりと立ちふさがった。静かに言葉が投げかけられる。

「やめておけ。サイボーグでも、私には勝てない」

「っ!?」キリエが息を呑んだ。

 クラは丸腰だ。ただ、向かい合って仁王立ちしているに過ぎない。

 でもこの威圧感を、なんと表現するだろう?

 後ろにいる僕ですら、総毛が立ちそうだった。

歯の根が合わなくなる前に、僕は言った。

「あの、できればやめてください。ふたりとも、僕の大事な友達ですから」

「やられた。まったく、やられました」続いて、嘆きながら現れたのは、ジーク。サクヤも後ろにいた。「まさか、八禍教団が絡んでくるとは。まったく――」

 ジークはにこやかに笑っている。くやしくてたまらないから、笑っているんだろう。

「ルーンはこう言っている。できれば、穏便に出発したいが?」

 クラのセリフを真に受ける人間はいないだろう。

 ジークが悔し紛れみたいに言った。

「ルーン・マクベス准尉。そこに居るのはアーリィではありません。すでに、インストール済みの、エニアリスです。それでも、守ると言うのですか?」

「いいえ。別の人と、別の約束をしました。これはたぶん、それを果たすために必要なことです」

「それは?」

「エニアリスを、ジーク艦長から奪うようにと。ライア司令に頼まれました」

 クラが僕を見た。自分の行動が図らずも、ライアの望みを果たすのと同じ意図を持っていることに、驚いたのかも。

 ジークは大きくため息を付いた。全部の表情を吐息に乗せて吐き出してしまうかのようだった。

「向こうが一枚上手だったわけですか。いいでしょう。行きなさい。あなたがまたここへ戻ってくることはわかっている」

「ええ。僕はタケミカヅチと共に在ります。それがすべて」

 それなのに、離れようとしている。おかしな話だ。なにかが僕を変えたのだろう。それが愛情だったらいい、と思った。

「やれやれ」ジークはメガネを外し、目をこすった。「みなさん、寝なおしましょう。解散」

 キリエが銃を下ろし、口だけでなにか言った。がんばって、と動いたようだ。笑っていた。サクヤはなにごともなかったかのように、ジークへ続いた。

「すこし、狭いけど、がまんすること」

 小型艇に乗り込んで、クラは言った。

 僕のとなりでは、アーリィの形をした、そうじゃない人が、眠っていた。



「きれいな天気ですね」

 思ったことを率直に言葉にしたけど、どうやら的外れな表現だったみたいだ。窓際のテーブルに同席するアシリアは、仔リスのような笑みを浮かべた。

「でも、わたくしは、本物の雨の方が好きですわ。ここのお天気は、どれもすこし、美しすぎて……」

 なるほど、そう言う意見もあるだろう。

 窓の向こうに降るささやかな雨は、絵画を流したみたいに、完成されている。

 教団の母船は居住型の半宇宙ステーションのような船で、内部には人工による自然環境の再現がなされていた。

 僕がタケミカヅチを出てから、三日が過ぎていた。

 八禍教団の母船に到着し、なんだかどっと疲れが出て、気絶するみたいに眠ってしまったのが一日目。

 二日目はなにかの集会に呼ばれて、そこでアシリアと再会した。数百人の人々にかしずかれ、神殿の壇上で祈りを捧げるアシリアは、たしかに僕が見たことのない姿。貫頭衣と言うのだろうか、布をかぶったような衣装を着て、そのまま夜空に上がれば星座になれそうだった。邪神の巫女なんて呼び名はまったくふさわしくない。もう二度と口に出さないようにしよう、と心に決めた。

 それから僕がみんなに面通しされた。連邦軍きってのハッカーと紹介されて、なんだか面映かった。そのとき軍服を着ていなかったからだ。教団にはやさしい人が多そうに感じた。きっと、祈るのが仕事だからだろう。戦うのを生業にしていたら、どうしたって、眉間にしわが寄ってくる。

 それから、今日。

 エニアリスの件でごたごたしていて、やっと時間が取れた、とはアシリアの談。エニアリスは身体の修理を終え、その他の手を尽くしても、目覚める気配がないらしい。母船の景色にも見慣れてきて、すこし退屈していたところだったから、話ができるのはうれしかった。

 クラを抜きに、ふたりきりで顔を付き合わせるのって、たぶんはじめてのことだ。うすうすは思っていたけど、クラが片時も離れなかったのは、護衛のためだったのだろう。ああ、そうか。何日か前、ライアのところへ連れて行かれたときの黒服。見たことがあると思ったら、アシリアたちをつけて行った連中のひとりだった。たぶん、あのあとクラにこてんぱんにされて、それで機嫌が悪かったのだ。僕を睨んでいた理由が解決して、ちょっとすっきり。

「すこし、歩きましょう」そう言ってから、予定調和のように、アシリアは立ち上がった。紅茶が出なかったのは、元々そうするつもりだったからみたいだ。

 連れ立って歩きながら、他愛のない話をした。

 いっしょに散歩をするのも、考えてみれば、はじめてのこと。

こうやって、はじめてを解消しながら、人と人とは、親密になっていくのだろう。

安全を考えれば、地上で暢気に歩くことはできない。ライアも言っていたけど、立場がやりたいことを阻害する。司令官の場合、僕と会おうとするのですら、問題が生じる。偉くなればなるほど、重要であればあるほど、立場ってものは高いところへ昇って行って、どうにも、動ける範囲が狭くなってしまうのだ。踏み外そうものなら、まっさかさま。

 僕なんかは、まだ、頭がやわらかいせいか、そんな風になるくらいなら、偉くなんかなりたくないと思うけど、アシリアはどうも運命、と言うか、宿命のようなもの、それによって、その立場にいるみたいだ。それって、どう言う感覚なのだろう? ちっとも推察できなくて、自分の未熟さに、自己嫌悪を覚えるところだ。やっぱり僕は、いろんな人に甘えながら生きて行く。まだ、その段階。

「このあたりは、あまり、調整を入れずに、自然に任せてありますの」

 そう教えてくれたのは、苔むした原生林みたいな場所だった。背の高い樹はあまりなくて、さんさんとした陽の光が、葉に溜まった水滴や、小川の水面を煌めかせている。天候はすでに、雨上がりのフェイズに移っていた。

「ここからの景色は、好き。とても落ち着きます。なにもかもが人工的でも、ちゃんと、自然は動いていく。わたくしたちも、そうあるべきだと、再認識させられて……」

「調べたわけじゃないんですけど」前置きしてから、僕は訊ねた。「地上では助からない人たちを、ここで治療してるって聞きました」

「はい。時には邪神の組織を移植するやり方で。クラティナのことも?」

「ええ……」

「あの子はとても、かわいそうな子供でした。筋肉が萎縮して行く進行性の遺伝病で、十歳のころにはもう立つこともできなかった。そのうちに、自立呼吸が不可能になって、人工呼吸器に頼ることになる。それでもすぐに、心臓の筋肉すら弱って……。どんな未来が待っているか、はっきりわかるって、それはそれは、苦しいことなんですよ。わたくしがはじめて会ったとき、腕にはもう何本も、切り傷がありました。死のうとしても、脈を切れるほどの力がなかったのです。結果的に、それがクラを生き延びさせましたけど」

 色々と驚かされる内容だったけど、クラのことを、あの子、なんて呼び方は、はじめて聞いた。どう見たってクラの方がアシリアより年上に……いや……どうなんだろう? いまだに、僕はアシリアがいくつなのか、見当が付かない。でもクラは二十台の中盤だ。これは自信がある。

「クラさんは、じゃあ、僕よりも小さなころから、ここにいたんですね」

「そうです。そして、クラ以上に邪神組織の適合がよかった人間はいませんでした。まるで、愛されたみたいに。そのせいで、色々と有用な人材になってしまって、いらぬ苦労をかけ通しです」アシリアは苔の生えた岩の上に足を乗せる。滑らないか心配したけど、慣れているようだ。それでも声をかけるのが、礼儀ってもんだろう。

「あぶないですよ」

「ねえ、見てください。ほら」アシリアが岩の頂上で手を広げる。僕からは逆光で、金色のゆるやかな髪が、外側に向かうにつれ、光と溶けあうように輝いている。

それは、なんと言う光景だっただろう。一種の宗教的な美しさが、間違いなくあった。

神々しさ、のようなもの。

僕は、見とれた。惚けていたかもしれない。

 それから、アシリアは不思議なことを言った。

「わたくしが、なにに見えますか?」表情は逆光に翳って、よく見えない。

「アシリアさんに」

「どんな形をしていますか?」

「人間の形を」

「そう。でも、わたくしは、人間ではありません」踊るように一回転。スカートがなびき、足首が見える。「人類、人には分類されるでしょうけど、ふふ、ルーンさん。もう何百年も、脈々と代替わりをしながら生きているって言えば、驚きますか?」

「ええ……」でも正直、不思議はないと思った。だって何歳なのかわからないのだから。

「わたくしは四倍体の染色体を持ち、並列に処理される魂をふたつ持っています。単為生殖で自分自身を妊娠し、魂を分けて、次の代を作る。そうやって続いてきました。これからも。そう言う存在を、巫女と言うのです」

「なんで、そんな話を、僕に?」

「あなたもそうだから」

「え」それは驚きだ。「僕、妊娠するんですか?」

 岩の上で吹き出す。何百年も転生を繰り返した女性が。

 飛び降りてきて、その健康的な肢体に、僕は夢を見ているんじゃないかって思う。目の前に立って、僕を見上げた。背の低い僕が見下ろせるんだから、アシリアは本当に小さい。

「じらしたほうが、いいみたい」めずらしく、そう言って、いたずらっぽく笑った。「答えは、別の人が教えてくれるでしょう。そのときまで、おあずけです。妊娠するかどうかも」

「それはうそです」

「ええ。ばれてしまいました」アシリアはリップクリームを塗り始めたばかりの少女のように微笑んだ。僕もつられて笑顔になる。

そう、大事な人だから。

「でも僕は、自分がなんなのか、それほど興味はないかも」

「そうかもしれませんね。別にもっと、大切なことがあるなら、それは瑣末なこと。でもそうじゃない人はたくさんいると言うことも、覚えておいてください」

「はい。そうします」

「わたくし、ルーンさんに会えて、本当によかった」幸せそうな表情。幸せなのだろうと、僕にでもわかった。

なぜ、幸せなのだろう? それは僕が与えたもの? 僕の中にあるどの成分が、どう変化して、他人の幸せに変わっていくのだろう。

 すこし、きょとんとしていたかもしれない。アシリアは話題を変えた。あまり困らせては、と言う気遣い。

「このまま、ずっとここで暮らしませんか? 思ったより、楽しいかもしれませんよ」

 からかう調子を含んだ声だったから、僕も笑って答える。

「いえ、僕はタケミカヅチと共に在ります。それがすべてですから」

 でも戦争が終わって、なにもかもに調和が取れて、タケミカヅチが要らなくなってしまったら?

 そんな未来のことまで、考えは及ばない。僕はただ、戦うのだ。軍人なのだから。

 そんなことを思ったとき、僕たちを呼びに、クラが現れた。

 それは、ライア司令から入った通信を、知らせるものだった。


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