川西探偵事務所の川西ちょっちゅねさん
都会の真ん中にある築47年の雑居ビル5階にて。川西探偵事務所に勤めているワトスン君的な立場の安達龍太郎はボスの川西ちょっちゅねに話し始めた。
「川西さん、アメリカ政府がUFOの映像を公開したけども、どう思います?」と安達龍太郎は言ってYouTubeの動画を見せた。
「くだらんね」と川西ちょっちゅねはあくびをしながら言うと、つまらなそうに『アッチくんの華麗なる大冒険』というマンガの続きを読み出した。
「川西さん、宇宙人はいると思いますか? いたらワクワクですよね?」と安達龍太郎は言ってYouTubeを見ながら席に着いた。
「くだらんな」と川西ちょっちゅねは言ってマンガを見ながら小さく笑った。
「もしも宇宙人がいたら見てみたいし、会って仲良くしたいなぁ」と無邪気な顔をして安達龍太郎は言うと「くだらない」と、直ぐ様、川西ちょっちゅねは言った。
安達龍太郎は机に置かれた請求書の封筒を開けた。
「電気代を支払わなければ3日後に電気を止めるよ。と書かれた電力会社からの速達ですが……。」と安達龍太郎は言って、ため息をついた。
「くだらんね」と川西ちょっちゅねは吐き捨てるように言うと「あははは」とマンガを見て笑った。
安達龍太郎は黙って川西ちょっちゅねを見た。
開いた窓から朝日が差し込む。陽射しを浴びた川西ちょっちゅねの顔が綺麗に見えたが、スズメがチュンチュン、カラスがカァーカァー、犬がワンワンと鳴いた。
ジリリン
ジリリン
ジリリン
と黒電話が鳴ったが川西ちょっちゅねと安達龍太郎は受話器を取らずにベルの音を数えた。
「川西さん、宇宙人ってさ、あんな頭悪そうな顔でアホみたいな姿をしているクセに高度なテクノロジーってあるんですかね? 宇宙人ってさ、いつもやせ細っていて、あれですかね、胃下垂かなんかなんですかね?」と安達龍太郎は鳴り止まない黒電話を無視して言った。
「くだらん。ぷぷっ。ウフッ、あはははは」と川西ちょっちゅねは安達龍太郎の話をことごとく否定しながら『アッチくんの華麗なる大冒険』を見て爆笑した。
「川西さん、アメリカ政府が宇宙人の存在を公式に認めたら人類の歴史はヤバいですよね? 神とかの類いについてですが」と安達龍太郎は心配していないくせに心配そうな顔をして言った。
「くだらない」と川西ちょっちゅねはどうでもいい感じで返答をした。
「川西さん、もしも宇宙人に侵略されたら人類はどうなるんですかね? やはり家畜化、奴隷辺りですかね?」と安達龍太郎は自分の話に震えながら言った。ちょっと安達龍太郎はビビっていた。
「くだらんね」と川西ちょっちゅねはあくびをして言った。
「怖くないですか? 宇宙人に侵略されたらさ」
「くだらん」
「じゃあ、川西さん。お化けはいますかね? 霊体験とかありますか?」
「くだらんね」
突然、安達龍太郎は目に涙をためると勢いよく席を立ち、そのまま川西探偵事務所から飛び出してしまった。
おしまい




