やっと、、、
「ハァ、、ァ、、、、ァ」
言葉にならない激痛が柚子を襲った。
あまりの痛みに声が出ない。
傷口から真っ赤な血があふれる。
叫びたいほどに痛いはずなのに、
力が出なく、視界が遠くなっていく。
柚子は何が起きたのか、
はっきりと理解できなかった。
ただ、トラックの荷台に穴を空け、
飛び出してきた何かが、
私の身体に穴を空けたことは、理解した。
既にマコトの姿は近くに無かった。
『ッギッギギー』
ゆっくりと、穴の空いた扉が開かれる。
柚子は薄れゆく意識の中で、
音の方を見た。
柚子はソレを見た瞬間に酷く後悔した。
中からは、
3mはあろう、巨大な黒い猿が出てきた。
ソレが本当に猿と言っていいのか、
分からない。だが、柚子には、
ソレを猿と表現するしか無かった。
全身が黒くゴワゴワとした長い毛に包まれ、
巨大な手足、
特に、腕は異様に太く、
爪には肉の塊がこびり付いている。
胸からは肋骨のような骨が飛び出し、
赤黒い水疱が大きくぶら下がっている。
死臭と獣の酷い臭いが周囲に広がった。
《ア"-ァ、アィ"、、ゲテ、、、デ》
意味不明な音を発しながら、ソレは、
四つん這いで近づいてくる。
《ア、、、ッ、、ゲア、ア》
ソレは、柚子の前まで歩き、
地面に倒れた柚子を覗き込むように顔を近づける。
《アッ、、イ、、、ア、ァ、ァ、ゲテ?、》
地面に倒れ、顔を上げる柚子を見て、
不気味にわらう。悪臭が一段と酷くなる。
目と鼻がきしむ。
不規則に並ぶ汚い歯から、
血と肉が滴り落ちる。
眼は黒く、中心が赤い。
顔から伸びる毛が不気味にうごめく。
柚子は頭が真っ白になった。
意識が遠のく中で、
恐怖だけが明確に湧き上がる。
震えと涙が止まらない。
歯が鳴るのを止められない。
「(こわい)」
「(こわい)」
「(いやだ)」
「(いやだ)」
「(いたい)」
「(しぬ)」
「(しぬ)」
「(死ぬ)」
「あ、、、やっと死ねる」
そして、、、
「はい、ドーーーーン!!!」
突如目の前の化け物が横にふっとんだ。