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少し、過激な表現を含む可能性があります。


苦手な人は、言ってください。

今後の表現について考えますので。


  「ズッチーがやりました!」



  マコトはそう言って柚子を指差した。



  え!?



  柚子には、何が起こっているのか、

 理解できなかった。



  え!?なんで?ちがう!

 私じゃないよ!?



  あまりの驚きに、口には出せなかった。

 代わりに、顔だけマコトの方に向いた。

 口が開いてしまう。



  マコトは楽しそうにニヤニヤしていた。



  その時、ふっと、

 前から視線を感じた。



  柚子が恐る恐る前を見ると。



  「やっぱりね。

 そうじゃないかと思ったよ。

 部下からの報告と、その目を見た時、

 それしか考えられなかったね。」



  そう言って。黒鉄唄が勝手に納得していた。



  えぇ・・・・!?



  柚子の何を見て、その結論が出たのか?

 2人の思考が柚子には理解できなかった。

 


  「さて、本来ならば、詳細な状況を、

 そして君達が何者なのか?

 根掘り葉掘り聞きたいところであるが、

 今日は、ここまでにしよう。定時だよ。

 16時半までなんだ。」



  ・・・・いや、意味がわからない。

 何を言っているのだろう?



  柚子は、すぐに否定をしたかったが、

 あまりにも話が急に進むので、

 そのタイミングを失った。



  そして、あまりのテキトー加減に、

 少し、イラッときた。



  「働きすぎは良くないよね。

 君達に害意が無いことは、

 既に見ていてわかったし、

 あとは、明日にやればいいだろう。

 君達も疲れているんじゃないかな?」



  「それでー、うたさん、

 マコト達は何処に行けばいいのかなー?

 マコトはズッチーと一緒の部屋がいいなぁー」



  柚子の引っ込み思案な性格で、

 この二人の間に入れるわけもなく、

 話が進む。



  もう、明日、、、

 明日、話せばいいのかな?



  柚子は、誤解を解くことを諦めた。

 疲れているのもあって、

 ここから、早く解放されたかった。



  「うん、、それなんだけど、

 既に2人の部屋を用意しているよ。

 今日は、ゆっくり休んでよね。」



  そう言って黒鉄は、

 案内のために、

 入り口で待機していた兵士を1人呼びつけた。



  「それでは、今日はここまで。

 食事や着替えは既に用意させた。

 シャワーは部屋のを使ってくれ。

 部下をここまで運んでくれたんだ、

 特別待遇として迎えよう。」



  そう言って黒鉄唄は部屋から出ていった。



  入れ替わりで入ってきた兵士が、

 案内しますと言ったので、

 柚子とマコトは立ち上がり、

 その兵士について行くのであった。



―――――――――――――――――



  う、、気持ちいぃ、、、、

 


  柚子は、部屋に備えつけられていた、

 シャワーを浴びていた。


 

  あったかい、、、

 ちゃんとお湯なんだ。

 なんだろこのシャンプー?

 すごくいい匂い、、、、。



  「うへへへぇー、きもちーねー?。」



  マコトが湯船に浸かって溶けている。

 両腕を湯船から、だらーんと下ろし、

 湯船の縁に片頬を寝かしている。



  2人は、あの後、

 案内係の兵士に案内されて、

 一つの部屋に通された。



  てっきり仮設テントかと思えば、

 しっかりとした作りの部屋で、

 柚子にとってはかなりの贅沢である。



  ただ、その部屋は、

 この基地に来る時に見えていた、

 例の高い建物、

 つまりは基地の本部のなかにある。



  来客用だろうか?

 柚子のような低い階級では、本来、

 立ち入ることが許されない類いの部屋である。



  そして、部屋に入ったマコトは、

 汗を流そうと柚子に提案し、

 半ば無理やり、一緒に入らされたのである。



  柚子は、今日、

 自分がどうなってしまうのか、

 不安だったけど、

 温かいシャワーが汚れと不安を

 一緒に流してくれる。



  それにしても、本当に色々あった。

 マコトは何者なのか?

 なぜ嘘をついたのか?



  「、、、マコトさんは、、」



  柚子がマコトに、

 問いただそうと思い、

 マコトの方を見ると、

 マコトが立ち上がり、両手を前にだして、

 指をワキワキしている。

 目が怪しい。



  「ズッチィィー!!!ぎゅっ!」


  

  マコトが急に抱きついてきた。



  「!!!!!!!!」



  「よいじゃないかー

 よいじゃないかー。」



  「、、!!ま、、マコトさん、、!」



  柚子は、マコトを、

 振り払おうとするけど、

 異様な技術と力で巻きつかれ、

 振り解けない。



  「わーい。」



「ま、マコトさん、本当に、、、。」



  マコトの手が這う。



  わちゃわちゃ



  「!?!?!?!?」



  そしてマコトは、

 柚子の耳もとに唇を近づけた。



  「・・・・・私達、見られているよ。」



  耳元でマコトがささやく。



  え!?



  柚子が聞き返す間もなく、

 マコト手がさらに奥に伸びる。

 柚子は鳥肌が立つのを感じた。



  「い、いや!!!!!」

  「ぅわぁ!!!」



  がらしゃーん、すてーん。

 っと音がして、

 足がもつれた二人が倒れた。



  「いてててぇー、ズッチー?

 だいじょーぶ?」

 


  マコトが柚子に聞いた。



  

  「・・・・・」



  しかし、柚子の反応は無かった。



  「ズッチー?おーい?」



  「・・・・・」



  柚子に反応は無い。



  「・・・えぇ〜・・・」



  柚子は頭を打った衝撃、

 興奮と、疲れ、色々なものが一気に出て、

 気絶したように寝てしまった。



――――――――――――――――



  「う、うーん、、ん、あ、、」



  なんとなく寝苦しい感じがして、

 柚子の瞼が次第に開いた。



  「・・・ぇ・え?マコトさん?」



  ふと見ると、マコトが真横に座っていた。



  「お、、おはよう、ズッチー」



  マコトの挨拶の歯切れが悪い。

 目が合わない気もする。



  あたりを見回すと、、、

 どうやら私は寝てしまっていたらしい。



  さっきまでお風呂にいた気もするけど、

 記憶がぼんやりする。



  髪と身体は乾かされて、

 浴衣のような服を着せられて、、、



  よく見ると、浴衣が少し着崩れしている。

 下着も身に付けていない。



  マコトは、

 いかにも何もしてませんよ?

 って顔で、手を肩の位置まで上げている。



  身体が火照っている。

 なんか、こう、落ち着かない、? 

 ふわふわする。



  「マコト、、、さん?」



  「エ!ナニモシテナイヨ」



  柚子の中で、

 マコトの危険度が1ランクあがった。




―――――――――――――――




  柚子には、寝ている間、

 マコトがナニをしていたか、

 なんて分からないし、知りたくも無かった。

 知らない方がいい気もしていた。



  とりあえず、2人は、

 部屋に用意してあった夕食を済ませた。



  夕食は、鳥肉と野菜スープだった。

 だけども、お腹も空いていたし、

 白米がついていたから、

 柚子は嬉しかった。



  施設にいた時は、蒸したジャガイモ、

 肉無しクズ野菜スープがメインだったからだ。



  野菜の甘みと、肉の旨味、

 スープの塩分、スパイスが染み渡る。

 豪華とは言えなくても、

 柚子にとっては大満足の内容であった。



  お米なんて、久しぶりかもしれない、、、



  なんて柚子は考えて、

 2人は黙々と食べた。



  夕食を済ませ、歯を磨いた2人は、

 ベッドにダイブした。



  「ふぁぁぁ、疲れたーー!」



  マコトでも疲れるんだなぁ、

 なんて柚子は思った。



  ベッドは、ダブルサイズのが1つ。

 やっぱり、来客用のだろうか?

 しっかりと洗濯されたシーツが敷かれ、

 気持ちの良い眠気が柚子を襲う。



  いろいろ、マコトと話さないといけない、

 ことがあったはずなのに、、、



  ガサガサ、


  そんな音がして横を見ると、

 マコトが柚子の隣に潜り込んできた。



  「へへへー、ズッチー」



  マコトは怪しい目をしながら、

 布団を柚子の上にかぶせてきた。



  ヤバい。柚子は本能的に危険を感じた。



  柚子は、体を丸めて、反対側を向くが、

 マコトは予想以上に器用だった。

 再び、マコトの魔の手が這う。



  「い、、ゃ、、、」



  抵抗するが、なんとなく無駄な気がした。



  そしてマコトは柚子の耳に唇を近づけた。



  柚子は、ぞわぞわと鳥肌が立つのを感じた。



  「・・・・監視されているから、

 そのままきいて。」



  「!!!」



  マコトが耳元で囁く。



  「うたさんは、、わるい人だよ。」



  マコトは、再度、耳元で囁いた。

 しかし、その姿は、

 耳を弄っているようにしか見えない。



  「マコト達が基地に着いてから、

 けっこう待たされたよね?

 イブの死骸も確認したって言っていたし、

 寝ていたことも見ていたんじゃないかなー?

 たぶん、荷台に積んで連れてきた人からも、

 既に事情を聞いた上で、

 マコト達のところにきたんだよー」



  そう言いながらもマコトの指は止まらない。



  「マコト、さん?」



  変な気分になる。



  「あんなに優しそうなのに、

 マコト達のこと、全く信用してなかったよ?

 たぶん、ずっと監視していた。

 それに、この部屋も、街の中じゃなくて、

 本部内の部屋。入念に準備されている。」



  たしかに、言われてみたら、

 そうなのかも、しれない。



  マコトの強さを知る私からしたら、

 もう少し警戒した方がいいと思えるけど、、。

 そうでなければ、突然のイブの襲撃から、

 必死で逃げてきた2人。

 その2人を保護する前の取り調べにしては、

 少し。入念が過ぎた。



  「ね、だから、今日のところは、

 マコトを信用してほしいなって」



  信用も何も、

 こんな事をしてくる人を信じれるわけがない。

 結局、柚子はどちらを信じるべきか分からない。



  「だからいいよね?」



  2人の音が部屋に響く。



  「ま。。マコトさん、、本当に、、」



  「はい、今日はここまでだよー」



  「え!?」



  「良い子はおやすみの時間だよー」

 


  「え!?」



  そう言ったマコトは、

 あっけなく手を引っ込め、

 柚子から距離をとった。



  「ま、、マコトさん?」



  「・・・・・(すやすや)」



  マコトは既に気持ちよさそうに寝ていた。



  なんで???



  なんで?ってなんで?



  柚子は、腑に落ちない気分で、

 モヤモヤしていたが。



  ・・・・私も寝よう



  疲れていたので、ちょっとしてから、

 寝てしまったのであった。




―――――――――――――――

―――――――――――――――

―――――――――――――――





  ジー。。。。。



  柚子達のいる本部にある一室。



  暗い部屋には、数台のモニターが設置され、

 マコトと柚子の部屋を映している。



  モニターには、通常の映像に加えて、

 盗聴機能はもちろんのこと、

 サーモグラフィで熱を感知する機能があり、

 それが、全ての位置をモニタリングしていた。



  そのモニターの前で、一人の男が座っている。



  コン、コン。



  不意に背後の扉から、ノックの音が響いた。



  「誰だ?」



  男が問う。



  「私です。」



  「入れ。」


  

  ギィーと扉が開く音がして、

 女性が中に入ってくる。



  「黒鉄議会。覗きは順調ですか?」



  「手厳しいな、白刃。」



  「ふふ。冗談です。なにか分かりましたか?」



  「いいや、残念ながらさっぱりだ。」



  「何者なのでしょうね?この子達?」



  「さあな、それが分かれば、

 こんな時間まで働く必要も無いのだが、

 それに、重要なのは、、、」



  「彼女達の目的ですよね?」



  「わかっているじゃないか。

 それで、結果は?」



  「議会の予想通り。

 マコトと名乗る。あの子。

 経歴も何もかもデタラメで、。

 明らかに、

 住民登録を改ざんした疑いがありました。」



  「だろうな。だが、そんな事はわかっていた。

 問題は、何のためにここに潜り込んだのか、、。」



  「なぜ、あの場で拘束しなかったのです?」



  「したさ、今も監視している。

 分かったことは、あれは本当に敵意が無い。

 しかし、自分が外からやってきた事は、

 隠そうとしていない。

 我々の内部に協力者がいることもだ。」



  「無理やりにでも、

 聞き出してしまうのはどうです?」



  「どうやってだ?正直に話すような奴が、

 こんな接触をしてくるか?おまけに、

 イブの頭部を吹き飛ばすような奴だ。

 間違いなく、レベル1、、、

 2か3の可能性すらある。」



  「レベル3、、、ですか?」



  「あくまで、可能性の話だ。

 単騎でイブと交戦し、無傷で収める。

 お前にこれができるか?」



  「使用を許可していただけるならば。」



  「だから問題なんだ。」



  「なるほど。それで、議会

 もう一つ、報告があります。」



  「言ってみろ。」



  「住民番号156983番柚子。

 彼女は2年前、102災害

 唯一の生存者、記録上はレベル0です。」



  「・・・・そうか。

 だが、彼女も、見る限り、

 レベル1の症状が出ている。」



  「では、科学班に調査させますか?」



  「いや、この件は慎重に扱え。

 引っ掛かる事が多い、

 情報が漏れることはしない方がいい。」



  「・・・わかりました。」



  「ああ、

 すまないな白刃、お前はもう休め。」



  「議会はどうしますの?」



  「俺は仕事を続ける。」



  「そんな・・・、私も付き合います。」



  「いや、お前には、何かあった時に、

 動いてもらわないと困る。

 その時に備えて休め。」


  

  「でも・・・」



  「その時は頼むぞ。」



  「・・・わかりました。議会。

 議会も疲れたらお休みになってください。」



  「ああ、おやすみ。白刃」



  「おやすみ唄ちゃん」



  女が部屋からいなくなり、

 男とモニターの明かり、

 そこから響く微かな音だけが部屋に残る。



  マコト、お前は何を知ってここに来た?


 

  彼の夜はまだ終わりそうにない。

活動報告の方でも書きますが、

私事につき、7月中旬まで、

更新が遅くなる。もしくは止まります!


ごめんなさい。

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