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第2話 さらば。

どんどん!!


 「ベッキー、留まりなさい。」


 お父様が真っすぐベッキーを見据えて言う。その目を見てお父様も私と同じ思いだと気づいた。お母さまは、私の頬を優しくなでて使用人に冷やすものを頼む。小声で「何でよけなかったの!」と叱られたがそれも心配の内だと分かっているので、私は微笑んでお母さまをいさめる。


 「いいえ、伯爵。分かりますが、止めないでください。これは私の宿命です。何を捨てても進まなくてはならないのです。」



 …分かりますが…?何を分かっているというのです??宿命?言ってて恥ずかしくないのですか?



 「分かった。では、今すぐその姓を捨ててもらう。出て行きなさいベッキー、今この瞬間からお前はうちのものでは無い。」


 「…は?」


 

 …やはり、分かっていなかったのですね…仕方ないのでしょうか…私たちはついに本当の家族にはなれなかったのですね。



**********






 「ふんっ、あんな家潰れるわね!」



 ブツブツと喋りながら南部への道を歩く、元義妹を私は眺めていた。一応聖女であるならばどこの家にでも養子にしてもらえるだろう。勘当の日から二週間がたっていた。こんなところで再開するとは思っていなかったが、会うと厄介なので私は隣の馬に乗るヘルト卿にローブを借りた。顔を隠しながら、ベッキーの横を通り過ぎる。大体女性一人で山道を歩くなど族に襲われるのは目に見えているのに光の魔力が作用しているのだろうか彼女は健康そのものだ。

 光の魔力は、魔力の中でも唯一神に祝福されているとされる魔力でその使い手には加護が宿っているという。



 …神様、少し過保護だったのでは?



 「三日でここまで来れるとは…バーデ魔導士…貴方は素晴らしい人です。」


 「…そうでしょうか…。」



 ヘルト卿は山道を抜け、開けた景色を騒然と眺め感嘆の息を漏らす。いつのまにかベッキーは見えなくなっていた。


 「何を謙遜なさっているのです。あなたはハウトの大魔導士ではありませんか!」


 「ダメですよ?ヘルト卿?そんなこと言われたらわたくしつけあがってしまいますよ?」


 「少しくらいつけあがって頂いてもよろしいのに…」


 「ふふふ…」



 ベッキーが勘当された次の日だろうか、大体予想はついていたが出陣要請が私の所にも来た。お父様は、もうずいぶん前から足を悪くしていたので戦場からは幕を引いている。それだからもあるが、私は王宮所属の魔導士でもあった。今は国一位の魔導士で、こういう時はやはり戦場に赴かなくてはならなかった。私が光の魔力を持っていたら史上最高の聖女となっただろうと言われている。だから、正直ベッキーは私より優れていると思っているのだろう。まあ、希少性からいってもベッキーの方が優れている。魔導士になったときはそれが悔しくて頑張ったものだ。いつか抜かしてやると。

 そんな懐かしい過去を思い出しているとヘルト卿の隣に位置していた兵が声を上げる。


 


 「バーデ魔導士!前方に人が…!」


 「全体!止まれー!!」


 私の声に10000の兵士たちが止まる。ただの魔導士だったらこんなに従順では無いかも知れないが、バーデ家は騎士を多く輩出しているので私もそれに倣って騎士の資格も得た。だから、騎士爵位も持っていたからこういうところで牽制が効く。騎士爵位は騎士団をやめた時に返上したが。

 ちなみに騎士の資格とは、騎士団の試験に受かり新人研修でも上位に入った者に与えられるもので、それがあれば一度辞めても試験を受けなおすことなく復帰できるのだ。



 私は周りの静止を手を振り受け流し、道の中央にうずくまる人影に近づく。汚い布に包まる何かは息遣い荒く、唸っている。


 

 「バーデ魔導士!!」



 大きな声で名を呼ばれ、止められているのは分かるが私はそれを無視しその物体にポンと手を置いた。

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