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次回作が最高傑作だと言ってももう遅い、貴方のその作品にコメント書いてポイント入れてブクマしてレビューして連載する気力を出させてやる

作者: nullpovendman

ハイファンの日間を見たら「もう遅い」系が上位を占めていたので書いたけどもう遅い。次のブームが始まろうとしている。

「新着欄にある、『助けた狐が嫁に来たが、エキノコックスにかかった俺は幸せの絶頂で死んでしまった』ってのが興味を惹かれたし、読んでみるか」



 俺は、最大手WEB小説サイトで好みの作品を探すことを趣味にしている。


 新しい作品を探すときは、トップページからたどりやすいこともあって、月間ランキングから読むことが多い。


 ランキングの作品が合わないと思った時は、完結した作品欄や、新着欄、レビューなんかを参考に読むことがある。


 さて、今日も面白い小説がないかな、と。


「今日のハイファン日間ランキングは、と。おお。見事に、追放されてまた戻って来いと言われたけどもう遅い、って作品ばかりだな。『もう遅い』系ブームなのか」


 追放系は常に流行っているように見えるが、スローライフだったり、追放されたおかげで覚醒だったりと地味に流行があるんだよな。

 今は追放された元の職場(?)に呼び戻されたけど「もう遅い」って断るのが主流らしい。


 いくつか冒頭を読んでみたが、今日はどちらかといえば、シュール系の作品が読みたい気分だ。

 新着更新欄からタイトルを見て探すことにしよう。


「お、『助けた狐が嫁に来たが、エキノコックスにかかった俺は幸せの絶頂で死んでしまった』ってインパクトあるな。読むか」


 ◇


 一時間後、俺は、ぐすん、ぐすん、と泣きながら件のWEB小説を読み終えていた。

 インパクトのあるタイトルだが、硬派なヒューマンドラマ系の大人向けの童話、といった内容で、文章もうまい。


 惜しむらくは、続きが気になるところで第一章完結となっていることだ。

 続きはいつになるだろうか。


 作者のマイページリンクに飛んで、活動報告(割烹)に書かれていないか確認する。


「お、今日の割烹に『エキノコックス一章完結しました』ってあるな」


 ========

 エキノコックス一章完結しました

 ――――――――

 一週間にわたって更新してきた「助けた狐が嫁に来たが、エキノコックスにかかった俺は幸せの絶頂で死んでしまった」が本日をもって第一章完結となります。


 お読みいただきありがとうございました。

 ジャンルゆえか、読者数が伸び悩みましたし、気になる引きではありますが、切りのいいところまで書けましたので、一旦お休みさせていただきます。


 エタらせるのももったいないので、モチベーションが復活したら続きを書こうと思います。


 しばらくは気分転換のつもりで新作に取り組むつもりです。

 私の最高傑作はいつだって次回作です、とは言い切れませんが、面白いものをつくれるように頑張ります。

 ========


 一旦、別の作品に取り組むという報告だった。


「休載かあ。作者のモチベが上がらないなら仕方ないが……。面白かったしもう一回読み直して、一話ごとに感想でも書くか」


 そして俺はもう二時間かけて、感想を書きながら読み返した。

 一か所、誤字を見つけたので誤字報告しておく。

 ブクマをつけ、最新話にしおりをはさみ、☆☆☆☆☆を★★★★★にした。

 最新話の読了つぶやきを青い鳥のSNSに投稿した。


 活動報告にも、気長に続き待っています、とコメントした。


 できることは全部やったかな。


 うーん、この感動をもっと他の人にも伝えたい。

 よし、レビューを書くか。


 三十分ほど考えて、二百字のレビューを投稿した。

 これで他の人の目に触れて、もっと評価されるといいのだけれど。



「できることはやったし、作者に気持ち悪がられず、モチベにつながることを祈るだけだな」


 お、そろそろ明日の準備に取りかからないといけない時間だ。

 ここらへんで切り上げるか。



 ◇


 翌日、昼休憩中に日間ランキングを眺めていた。

 なんと「助けた狐が嫁に来たが、エキノコックスにかかった俺は幸せの絶頂で死んでしまった」がジャンル別の日間ランキング四位まで上がっていた。


 俺のレビューが少し役にたったかな、と思って作品詳細ページを見る。

 レビューが二件になっているから、俺の他にもレビューを書いた人がいたらしい。


 PVの伸びを見る。

 朝に大きく伸びている。


 どうやら、今朝書かれたもう一つのレビューの影響が大きそうだ。


 自分の手柄ではないとしても、自分がおすすめした作品が読まれて評価されるのはうれしい。

 今日はいい気分で仕事ができそうだ。




 外回りを終えて、疲れた体を引きずり、帰宅中。

 疲れているときは重厚な作品よりは気楽な作品の方が読める。

 昨日読んでいなかった『もう遅い』系の作品をぱらぱら眺める。


 最寄り駅で下車し、駅のコンビニで唐揚げ弁当とお茶を買い、家に向かう。


 風呂に入って汗を流し、弁当をがつがつと食べて、一息つく。


「さあて、今日もWEB小説を読むぞ」


 WEB小説サイトのマイページを開くと、メッセージがあります、との通知が来ている。

 リンクをクリックして確認すると……


「すごい数のメッセージ通知だ。昨日の感想に全部返信が来ているのか」


 律儀にも全部に返信をくれたようだ。


 返信コメントを一通り眺めたあと、作者のマイページを見に行く。

 割烹に新しい記事が投稿されていた。


 ========

 エキノコックスのモチベーションが復活してきました

 ――――――――

 マイページの赤文字が四つも点灯しているの初めて見ました。

 本当にありがとうございます。


 おかげで、続きを書こうという気持ちになりました。

 新作は引き続き考えますが、エキノコックスも頻度は遅めでも更新していきます!

 ========



「うおおおお、やったああああああ」


 俺だけではないが、感想を伝え、宣伝し、ランキングがPVも増えたことで、作者のモチベーションアップにつながったようだ。



 この世界に魔法はないし、努力が報われることは少ない。


 ただ、読み手として、誰だって使える魔法は存在する。

 好意的な「感想」という魔法はもしかしたら、作者に影響を与えて、追放され(エタり)そうな続きを書かせることもできるかもしれない。


 流行のタイトル風に言えば、『次回作が最高傑作だと言ってももう遅い、貴方のその作品にコメント書いてポイント入れてブクマしてレビューして連載する気力を出させてやる』って感じか。


 俺は、これからもできるだけ感想を書いていこうと決意した。



 完


注釈

マイページの赤文字(通知の表示)には

・感想が書かれました

・活動報告にコメントが書かれました

・誤字報告が書かれました

・レビューが書かれました


などがあります。メッセージの通知などもありますが、赤文字四つはこれらを想定しています。

作者の方は、どの通知でも大体うれしいと思います。

ポイント評価については、★☆☆☆☆を嫌がる人はたまにいますが、どの評価でも★★★★★と同様に私はうれしいです。わざわざログインした状態でブラウザの下まで行って☆を押すというアクションをしてくれていますので。


ちなみに、私小説では、ないです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 共感するところがいろいろあって、ニヤニヤして読みながら ウンウンと首を縦に振りつつ自己肯定感に包まれる幸せ。 思わず他作品も読んでみたところ勢いでレビューまでしてしまった。
[良い点] 推せるときに推した理想的な結末…! [一言] 積極的に感想を書いていこうかなって思えるお話をありがとうございます!元感想魔の魂が疼きます(?) (もしかしたら折を見て大量の感想を投稿す…
[良い点] 面白かったです。活字中毒なので読むのはすぐ読むんですが、ブクマ、感想、レビューの順に難易度が高くなっていきます。でも全力で推したい作家さんには応援を惜しんではダメだなと思いました(笑) […
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