俺の嫁がマムシと浮気していたので反撃します
いきなりだが、自己紹介する。俺の名前は『公魚次郎』。魚っぽい名前なのは適当に笑ってくれ。それと俺には美人の妻がいる。妻の名前は『公魚恵』。同じ会社で知り合って結婚した。妻は家事もよくやってくれ、俺をよく労ってくれたりもしていた。俺も友人に自慢してしまいたくなる程だ。しかし…俺のこの喜びが崩れ去ろうとは誰も思いもしなかっただろうな…。
ある日。俺は会社から帰宅する。今日は思っていたよりも早く上がれたのでお土産にケーキを買っていき、家に入る。
次郎:ただいま。今日は早く…。あれ?いない?
いつも出迎えてくれる妻が来ない…。何かしているのだろうか?俺は家に上がって妻を探していると…。
「ほーら!ほーら!」
恵:キャー!大牟田さーん!その大きなマムシ素敵~!
嘘だろ…。なんだよ…。見知らぬ男が妻の前でマムシを披露しており、妻は大喜びをしてキイロイコエを挙げている…。妻は男を『大牟田』と呼んでいる…。
大牟田:そうじゃ!もっとキイロイコエを!ワシはどの作品でもキャー!をキイロイコエを聞きたかっただけなのにヒドイ目に遭わされてばかりじゃったが、この配役はなかなかええぞ!ほーれ!ワシのマムシをもっと崇めよ!そして、キイロイコエをー!
恵:キャー!大牟田さん!キャー!
間違いない…。俺の妻は浮気をしている…。ショックだった…。結婚してからも妻の優しさに浮かれていた俺が…ばかみたいだ…。俺は目の前の信じられない光景にショックを受ける…。吐き気もしてくる…。
恵:キャー!AN!
何がキャーだ…。聞いた瞬間…俺に怒りも込みあがってくる…。俺はこっそりスマホで事に及んでいる様子を録画しておき、それが終わったのを見計らって外へと出て、大牟田が帰った後に気づかない事にして妻にはいつものように帰ってきたフリをした。
恵:おかえりなさい。貴方。
おかえりなさいだ?さっきまでお楽しみだった癖によ…!許せない…!後日、俺は親友の元を訪ね、妻に浮気されたことと証拠の動画を見せてやった。
昌樹:信じられないけど…こんな証拠がある以上は…。
俺の親友は『橋本昌樹』。学生時代からの付き合いだが、昌樹の職業は…。
次郎:いくらでも払う!今までコケにされてきたんだ!
昌樹は探偵をしている。なので俺は彼に妻の浮気調査を依頼した。俺は今まで妻のためにと頑張ってきたのにあの大牟田って奴のせいで全てが無駄になったのだ。浮気した妻に復讐する…!やられたらやり返す!倍返しだ!ってな!
昌樹:わかった。次郎ちゃんの覚悟、俺にも手伝わせてもらうよ!
次郎:ありがとう!まっちゃん!
こうして、俺の復讐が開始する。
次郎:来週は3日くらい出張だから。
恵:わかった。気をつけてね。
出張なんて嘘。まんまとハマったな。その3日は昌樹の家に泊まらせてもらうこととなっている。その間に昌樹は仕事を開始した。そして、昌樹は妻と大牟田の浮気の証拠写真を抑えてくれた。そして、彼からの提案…。俺がいない間に妻は大牟田と浮気旅行をしていたので、俺が帰ってきてから今度は俺から妻を旅行に誘った。そう!大牟田と旅行していた先と同じ場所だ。宿も同じ。
次郎:どうした?お前の行きたかったとこだろ?
恵:そ…そうね…。
恵が焦っているのがわかる。笑ってしまいそうになるのを必死にこらえる俺。さて、お楽しみだ!浮気という悪事に天罰が下るときを思い知るがいい!
旅行の日は愉快だった。何故かって?宿に着くと宿の従業員が…。
従業員:おや?またもやお越しくださりありがとうございます。
恵:ひ…人違いじゃないでしょうか…?
宿泊されたばかりの恵を見た従業員の言葉が浮気をしていたという証拠の1つ。当然俺は初めて訪れたのだから。妻は慌てている。おかしい。笑いをこらえるのが大変だ。そして、俺は。
次郎:恵。お前、俺が出張のときにでも行っていたのか?
恵:えっ!?そ…そんなことは…。
次郎:だよな?てっきり浮気されてるものかと思ったよ。
恵:な…何を言っているの!?
妻はかなり焦っているな。さて、最後の旅行もこれまでだ。旅行が終わって帰った直後に俺はここで畳みかけることにした。
次郎:俺達離婚しよう。恵。
恵:いきなり何!?
まだ惚ける気か?まだ少し猶予はやるが。
次郎:お前は俺よりも大牟田と暮らしたいんだろ?アイツのマムシを見て「キャー」言いたいんだろ?
恵:ななな…何を言っているの!?
ここで攻める!俺はスマホで撮った動画と昌樹に抑えてもらった妻と大牟田の浮気写真を見せてやる。
次郎:じゃあ、これは何だ?
恵:そ…それは…。
次郎:お前が大牟田と浮気してんのは知っているんだよ!今まで俺はお前のためにと必死こいて仕事頑張ってきたってのによ…!
恵:ごめんなさい!ごめんなさい!もうしない!もうしませんから!だから別れるなんて言わないで!
恵は泣きじゃくる。でも俺は許さない…!
次郎:俺を裏切った人の言うことなんて信用できない!それとお前のご両親にも!
俺はスマホの画面を見せる。恵の両親の家と通話中にしてあるのだ。
恵親:『恵!どういうことだ!?次郎君…。なんと言ったら…。』
次郎:何も言わなくていいです。以上のことから離婚させていただきますので!
恵:ごめんなさい!許してください!
次郎:イヤだね!これで大牟田と堂々とお楽しみができて良かったじゃないか。まあ、慰謝料は取らせてもらうけど!
恵:イヤぁぁぁ!やめて!これからは貴方にキイロイコエを…。
次郎:聞きたくないね!お前ともこれまでだ!さようなら!
こうして、俺は恵と離婚し、慰謝料も頂いた。その後、恵は大牟田と正式に交際するものの大牟田は路上で女性にキイロイコエを言わせようとしていたようで警察に逮捕となり、恵は路頭に迷ったらしいが、もう他人だ。昌樹は独立して探偵事務所を立ち上げ、俺もそこに転職させてもらい、やがては他の女性と出会って再婚した。新しい妻も前に浮気されたことがあったという過去があるらしく、裏切られる想いを知っている俺達はいつまでも幸せに暮らしたのだった。
~ Fin 完 ~