006最強魔王聖印の首飾りをつけて大後悔
俺のワイバーンステーキを一心不乱にむさぼる人間たちに目星をつけて食べ終わったものから俺はいろいろこの世界のこと聞いて回る。
大好物を食べる前から否定されてかちんとは来ていたが本命はこれだ。
種族問わず本当に旨いものを食べれば誰でも上機嫌になるものでつい口か緩むものだ。
それで分かったのだがこの世界は俺がいた魔界と比べ全体的に劣っている。
食文化、文明、魔法、物流、武術、農業、文化、家畜全てにおいて。
魔王軍が強いといっても話だけなら魔王軍の規模装備竜をはじめとする騎乗獣は装備はよくてミスリルの一つ上のアダマンタイト、最強の騎乗獣はワイバーン軍隊の規模は10億ほどと、俺の配下の軍の遥かに格下両軍がぶつかれば10回連戦しても負ける要素がない。
俺の部下の巨人の騎乗するタイラントドラゴンライダー一騎にすら勝てないだろう。
当然その情報が本当ならの話だが。
全て俺の軍と比べるまでもなく貧弱に聞こえる。
だとすれば意味が分からない。
この聖剣はおかしすぎる……完全なるオーバーテクノロジーだ……俺の配下の最高の腕を持つ鍛冶師でさえ数年かけても半分の力を持つ剣は作れないだろう……魔界ならば飛竜とは最低でもワイバーンの数段格上の竜種を指す。
ワイバーン程度を竜として扱う程度の文明世界に作れるはずもない。
いったい何者がこれを作ったのだ?
これさえあれば魔王軍などザコでしかないだろこれ。
まあ俺もいちころだけど。
やばいな変なことしてほんとに魔王だとばれたら……最悪討伐されちゃう……しかも聞くと聖剣世界にあと3本あるとか……しかも全て勇者召喚済み……聖剣一本でやばいのにあと3本あるらしい……幹部弱かったけど俺……ことと次第によっちゃ積んでるじゃん……とりあえず俺はアイテムボックスからポーションを出した。
聖剣のせいでごりごりとHP大量に消費したからな。
「勇者様そのポーションはなんです? きれいな緑色ですが……」
「これはハイポーションだ」
俺は緑色にわずかに発光するハイポーションの瓶の口を開けた。
「ハイポーション!? 手足さえついていれば瀕死の人間が飲んですぐ戦いに出れるという伝説の!?」
「さすがに体に大穴でも空けば無理だがな! こんなものありふれているぞ我の故郷では!」
「一体勇者様はどんな世界に住んでいたのですか!?」
「そりゃ魔――ゲフンゲフン! 気にするな!」
そのまま俺はハイポーションを飲み干す。
魔法で回復してもよかったが回復魔法が失伝しているとでもなっていたら面倒だ。
すると俺のHPが半分回復した。
あとは黒邪鉄の鎧兜の自動回復で回復しよう。
回復薬のストックはそれなりにあるがこの世界で補充できるかわからない以上無駄には使えない。
それからしばらくして。
「では宴の締めとして勇者ラインハルト様に聖印の首飾りを! 勇者さまこちらへこれを首におかけください!」
宴も終わりかはあ……これから大変だな……
「ところでこの首飾りはなんだ?」
「これは聖印の首飾りといいます。勇者様が魔王討伐を果たした時、その首飾りが勇者様をもとの世界に導いてくれるでしょう」
俺は首肯を返し首飾りを首にかけた。
「これで契約は完了です! これで勇者様と聖剣は一心同体! どれだけ離れていても勇者様のお手に戻り、戦いともなれば自ら鞘を脱ぎ勇者様のお手に収まるでしょう!」
え!? 聖剣が戦いのたびに鞘から抜けて俺の手に勝手に!?
驚くこと数秒。
……………………。
…………。
……。
ふ……ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!???????????????????????? 俺の心の絶叫が心の中に響いた。