0005家畜竜のステーキ
それから俺はループの魔力が完全に消えたことを確認して城に戻った。
魔法で〆た家畜竜は俺の支配していた魔界にも数えるものしか持たない俺のスキルアイテムボックスに収納済み。
アイテムボックスの中に入れておけば腐敗はしないので安心だ。
このまま逃げてしまうと確実に元の世界に帰れなくなる可能性があるのでしかたなく城に戻る俺であった。
「勇者様は何者なのです? 魔王であるなどありえないとして召喚したての勇者がここまでの力を持つわけが……」
「何を言っている? 我がいた世界でこの程度の魔法が使えるのは十の指の数倍はおる! 我のいた世界で家畜竜なんぞに乗っていたらいい笑いモノだ!」
「ワイバーンを家畜竜!? 乗っていたらいい笑いモノ!? ワイバーンに騎乗することはこの上ない名誉ことのはず……ワイバーンが食べられるわけが……」
「なんだあの味を知らんのか! 味は地竜や水竜には劣るが十分か旨い! 噛むたびに肉汁が湧き出す肉質の味わいはステーキにすれは食べ応えと満足感のある絶品だ!」
すると場は静まり返った。
こいつら疑ってやがるな! だったら食ってもらおうじゃないか! 俺の大好物を否定されたままにはおけん!
「疑っているなくさるほど取れたからな! 一匹だけごちそうしてやる! 誰か刃物よこせ!」
ざわつき立つ宴の会場だが無視して大きなテーブルの上の料理をどかし先ほど〆たワイバーンをアイテムボックスから一匹出しておいた。
俺が前方のワイバーンを視野にいれつつ後方に手を伸ばし刃物をよこせアピールをしていると手に感触が俺はその刃物の鞘を抜きって!? 痛てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!????????????????????????? 感じた覚えのある痛みが体中に響いた。
「お前なに渡してやがる!? 普通の刃物をよこせ!?」
「私何か間違えました? てっきりワイバーンの肉を裂くには聖剣が必要なものかと……」
このライラとかいう女いちいちめんどくさいことしてきやがる……俺はメイドが持ってきたナイフを取り一応鑑定魔法をかけるよし! 毒はなし鑑定魔法によると俺の世界のワイバーンと特に違いはないようだ。
それにしてもあぶねえもうHP3割しかねえ!?
まじでこんなもんで討伐するこの世界の魔王って何よ!? それより今は調理か俺は〆たワイバーンを浮遊魔法で浮かせナイフに風魔法をかけワイバーンを一閃。
ナイフにかけられた風魔法は一閃俺の支配下のいくつもの風の刃はワイバーンの肉を均等に切り裂く当然周りに当たらないように配慮を怠っていない。
次に低級の火炎魔法で中はしっとり歯切れがよく外はカリッと香ばしくジューシーに焼き上げる。
あたりに漂う香ばしい匂いその食欲を刺激する暴力的な香りに涎をたらす者が多数。
「できたぞこれがラインハルト流家畜竜のステーキだ! 食べてみろ!」
宴の会場は先ほどと別意味でざわつきだす。
するとライラが。
「では私が最初に……」
おそるおそるワイバーンのステーキに噛り付いた。
「……!?」
ライラは驚きの表情のまま動き出したを止めた。
次に一筋の涙が零れ落ちる。
「貴様お王女様に毒――」
貴族らしき中年男が俺に詰め寄ろうとするが。
「違います毒ではありません……」
ライラは手でその男を制す。
「おいしいです……今まで食べたどの料理よりも……」
すると周りの者は身分関係なく我先にとワイバーンのステーキに群がった。