0002最強魔王勇者の剣を抜く
「またまた冗談を! 勇者召喚でよりにもよって魔王が召喚されるわけがないじゃないですか!」
「いやいやこの格好してるんだよ我?」
俺は紫色のオーラを纏う漆黒の黒邪鉄の鎧と角付きの兜を見せつける。
さらに背には鮮やかな赤い竜血で染め上げた血のマント。
「これは異世界でお流行というダークヒーローってやつですよね? それに! えい! やっぱり角が取れた! 角が生えた勇者様なんているわけないでよね!」
あっ!? 俺のつけ角が!? てかダークヒーローつてなんだ?
「ではお顔拝見! その黒髪と黒の瞳に燐などが生えていない肌やはり魔族などではありませんね!」
「ちょ!? 待て!? やめろ!」
だから顔さらすの嫌だったんだ! 俺は先祖の人間の先祖返りで見かけは普通の人間とほとんど変わらない。
父と母は立派な角と羽がある。
大昔人間と魔族が恋に落ち生まれたのが俺の祖先らしいが、わかっていることは俺はその二つの血のおかげか大きな魔力と卓越した身体機能を持つということだ。
一体祖先の人間と魔族が何者かはわからないが力がものをいう魔界において俺はほおっておかれるわけもなく。
とびかかる火の粉を払っていたら魔王の椅子に座ることになったが、魔王になってからもこの姿の俺をみて魔族としてみてくれる奴なんてほとんどいない……だからこそ俺はなめられないようにこの鎧兜て素顔を隠した。
それをこの女にこうも簡単に暴かれるとは……何たる屈辱。
だかその前に一度帰還せねば、俺がこいつらを救う義理も責任もない。
「構ってられるか我が居城へ帰還!」
あれ!? 発動しない!? 魔力の仕えない場所でも強制的に魔法を行使できる俺の魔法が!? そんな馬鹿な!? 俺は何度も帰還を唱え続けた。
だが……
「気が済みましたか? 勇者様」
くっ!? なんてこった魔王として数々の修羅場をくぐって生き残ったこの俺が!? こんな女に小馬鹿にされるだと!?
「その顔……では仕方ないですね! これで勇者様が魔王ではないと証明するしかないようですね……勇者の剣をこちらに!」
そう女が言うと後ろから白ローブに顔を隠した人物が現れ、膝をおり俺に布に包まれた何かを差し出す。
「勇者様布を取りこの剣を抜いてください! 勇者でないならば鞘から引き抜くことすらできないはずです!」
「引きぬけなければ我が勇者でないと納得するんだな?」
「ありえないとだけ言っておきましょう! 勇者様!」
なんだこの自信? どこをどう考えても魔界を統治する本物の魔王の椅子に座る俺が勇者なわけがあるわけないっての! さっさと抜いて黙ってもらうか……勇者の剣にしては一見普通の鞘に収まったただの剣だな。
まあどうせ抜けるわけがないし考えても無駄か。
「では抜くぞ!」
俺は勇者の剣の柄と鞘を持った。
「どうぞ! どうぞ! ご存分にお抜きください!」
この満面の笑み。
ほんとに俺を勇者だと信じ込んでるなこれ。
「ハアッ!」
俺は一気に勇者の剣に力をいれるとするんと勇者の剣の白銀の刀身が引き抜かれた。
あれほんとに抜けた!?
驚くこと数秒。
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…………。
……。
痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!????????????????????????????????????????????? とんでもない痛みが体中に響き渡った。