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第72話 成長?



 その後、テオとジーナの訓練を一度中断し、昼ご飯を食べる。

 今日はテオが四人分を作ったので、ヘルヴィはもちろんジーナとセリアも美味しく頂いた。


 そして昼ご飯を食べた後は、セリアがテオに魔法を教えることに。


 だからジーナとヘルヴィが今度は遠くで、二人が訓練しているところを眺める。


 ジーナはまだテオがいきなり動きが良くなった原因を知らなかったので、ヘルヴィに問いかける。

 ヘルヴィはセリアと同じような説明をした。


「……つまり、ヤればヤるほど強くなるの?」

「下品な言い方だが、その通りだ」

「なにそれずるーい! テオ君はこれから、無自覚に徐々に強くなっていくの!?」

「本当に少しずつだ。お前らと並ぶ強さになるには、百年はかかる」

「いや、百年も生きれないし。それに百年間もヤれないでしょ」


 先程と同じような会話の流れだ。

 ヘルヴィはテオを不老不死にすること、自分がすでに不老不死であることなどを話した。


 それにテオと自分が、永遠に生きることも。


「うわー、惚気だ。がっつり惚気だ。いいなー、私もテオ君みたいな彼氏、旦那さん欲しいなぁ」

「テオは渡さないが、適当に探せばいいだろう」

「テオ君以上に良い人なんて、そういないよ。特に私たちみたいな傭兵の世界じゃ」


 がさつで力が強い男などはたくさんいるが、ジーナもセリアもそんな男は好きではない。

 特に力が強いと言っても、自分たち以下な男ばかり。

 ただがさつな男、というだけである。


 テオみたいに優しく、一緒にいて癒しになるような男性と付き合いたいのだ。


「そういえばさ、ヘルヴィさんとヤるだけでテオ君はこれから強くなっていくんでしょ?」

「ああ、そうだな。さっきから言い方が下品だが」

「いいじゃん別に。ならさ、私がヘルヴィさんとヤれば――」

「絶対にしない」


 確かにジーナの言う通り、テオだけじゃなくヘルヴィとヤれば誰でも強くなるだろう。

 しかしヘルヴィが、それは絶対に嫌なのである。


 男でも女でも、テオ以外に身体を許すなどありえない。


「えー、なんでよ! 一回だけ! 先っちょだけ!」

「……躾がなってないようだな、ジーナ」

「すいません、もう言いません」


 前のことがやはりトラウマになっているようで、躾という一言で静かになるジーナだった。



 初日の訓練が終わり、テオがどれだけの強さなのかなんとなく把握した。


 やはりまだ傭兵としては弱い方だが、一人で弱い魔物なら二体まとめて倒せる程度にはなっている。


「ほ、本当ですか!?」


 今までは弱い魔物一体ですら逃げることに徹していたテオからすれば、恐るべき成長だった。


「もう少し体術が上手くなれば、三体でもいけるよ!」

「が、頑張ります!」

「魔法も後もうちょっとで発現できると思うわ」

「魔法も!? ぼ、僕そんなに強くなったんですか!? い、いきなりなんで……」


 なぜ強くなったかを伝えると、確実にテオは顔が真っ赤になるのが目に見えている。

 まさかヘルヴィと毎日アレをしているから、強くなったとは思いも寄らないだろう。


 まずテオは、毎日していることが周りにバレているとは思っていない。


 ジーナやセリア、それにフィオレ、ギルドの受付嬢たちには完全にバレている。


 ヘルヴィとしては別に隠すことではないと思っているので、聞かれたら話していた。

 詳しい内容まで全部伝えてはいないが。


 テオがなぜ強くなったかについては、ヘルヴィが夜に二人きりになったら話すことにする。

 ここで説明しては、さすがにテオが可哀想だ。


「お二人とも、今日はありがとうございました! また明日、お願いできますか?」

「もちろん! 一日じゃ教えきれないからねー」

「そうね、特に魔法は発現してからが本番よ」

「ありがとうございます! だけど、お二人の依頼とかは……」

「別に大丈夫よ、少しくらい依頼を受けなくても」


 二人は毎日依頼をやらないと生活出来ない、というほど金がないわけではない。

 むしろ一年くらいは仕事なしでも生きていけるぐらい稼いでいる。


 テオに多少の期間付きっ切りで教えることくらい、どうってことない。


「じゃあ報酬は、テオ君の手作り料理で!」

「ふふっ、そうね。お金よりも価値があるものね」

「そのくらいでいいなら、精一杯作ります!」


 今日のお弁当もテオが作ったが、明日からの弁当もテオが作ることが決定した。


「夕飯も久しぶりに食べたいなぁ」

「そうね、どうかしら?」

「えっと……ヘルヴィさん、いいですか?」


 テオは小首をかしげながら、そう問いかける。


 ジーナとセリアも、テオというよりはヘルヴィの方に言っていた。

 ヘルヴィに許可をもらわないと、テオの夕食が食べられないと思って。


(別にそのくらいなら私の許可なしでも、テオがいいと言えばいいのだが……)


 ヘルヴィの許可がいるのは、テオに触れることだ。

 頭を撫でるのも、手を繋ぐのも、許可なしに触れることは許さない。


 本当の本当に例外でなければ、手を繋ぐことさえ許さないだろう。


 だが料理を振る舞うぐらいだったら、特に許可など必要ない。

 むしろテオが料理を振る舞うのが好きなので、ヘルヴィとしてもテオが楽しそうにしているのは眼福だ。


「テオがいいのであれば、私は構わない。だが、家に泊まるのは駄目だ」


 夜にテオと二人きりで過ごす、邪魔になるから。


 ということで今日の夕飯もテオが作り、振る舞うことになった。


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― 新着の感想 ―
[一言] テオっちの手料理か…通常なら、後ろからソッと抱き締めながら「君も食べたい」などと口説き出す…のは男の役割なんだケド、この作品ではほぼ…(笑) 言うまでもなく、テオにとってはご褒美☆であり、…
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