第127話 オイル塗り終了
ようやく、二人はお互いにオイルを塗り終えた。
塗り終わった直後、お互いに息が荒くなっており、顔を赤らめていた。
どちらも理由は異なり、ヘルヴィはくすぐったくてそれを我慢して、だがそれでも声が出てしまう。
くすぐったいような気持ちいいようなわからずに興奮してしまい、ハァハァとしながら恥ずかしくなって顔を赤くしてしまった。
テオはヘルヴィよりも明らかに興奮してしまっていた。
途中からオイルを塗るというよりも、ヘルヴィの声や反応が見たくて触っていたと言っても過言ではない。
今までも何度か……いや、何度も夜を共にしてきた二人。
だがテオが一方的に攻める立場というのは、今までで一度もなかった。
だからだろうか、テオは興奮してしまい攻め続けてしまったのだ。
背中の全てを塗り終わり、脇なども塗り終わり、もう塗るところなどなくなってから五分以上はずっとやっていた。
ヘルヴィが「テオ……もう、んっ、じゅうぶんじゃ、ないか……」と声をかけるまで、夢中になってしまっていた。
その声でハッとした時にはすでに遅く、ヘルヴィは顔を真っ赤にして息もハァハァ。
テオも自分では意識していなかったが、目も少し血走っていて息も乱れていた。
そしてテオが一番恥ずかしかったのは、テオが寝転がったヘルヴィの腰辺りに乗っていて……興奮して直立したアレが当たっていたことだった。
むしろお尻に擦りつけてしまっていたことだ。
完全に無意識――だからこそ死ぬほど恥ずかしかった。
テオはまだ硬いソレを隠すように体育座りをして、顔も膝の中に埋めていた。
ヘルヴィも最初は恥ずかしくてテオの方を見れていなかったのだが、テオの落ち込み様を見て話しかける。
「テオ、その……大丈夫か?」
「ご、ごめんなさい、ヘルヴィさん……申し訳ないことを、しました……」
「ん、んんっ……! いや、その、それは大丈夫だが……」
テオが謝ったことで、ヘルヴィも恥ずかしさなどが盛り返してきてしまったが、それを抑える。
実際、くすぐったいのを我慢するのに集中していたので、ヘルヴィはテオのアレが自身のお尻に当たっていたことに、全く気づいていなかった。
気づいたのは終わってから、テオのソレを見て「思い返すと、お尻に当たっていた熱いものは……」といった感じだ。
テオが思ったよりも落ち込んでいるのを見て、ヘルヴィは心を覗く。
(最悪だ、僕、最低なことをしちゃった……。ヘルヴィさんも怒ってると思うし……)
ヘルヴィとしては全く怒っておらず、むしろ嬉しいくらいだ。
夜も乗り気ではあるが積極的とは言えないテオが、自制が効かないほど興奮して攻めてきたというのは……恥ずかしいという気持ちも大きいが、嬉しい気持ちが勝っている。
(そ、それに……! お尻に、あんな、擦り付けて……!)
そこまで心を覗いて、ヘルヴィも恥ずかしすぎて見るのをやめる。
「だ、大丈夫だぞ、テオ。私は全く怒ってない」
「ほ、本当ですか……?」
膝を抱えて座っていた状態から、顔だけを上げてヘルヴィを涙目で見つめてくる。
何度かやられた上目遣いだが、今でもまだヘルヴィは慣れていない。
この状態で顔を上げられたら上目遣いをされる、と身構えていたにもかかわらず、ヘルヴィはドキッとしてしまう。
「あ、ああ、本当だ。確かにくすぐったくて、テオがずっと触ってきて驚いたが……」
「うぅ……すいません」
「だ、だが、その……嬉しかったぞ。テオが積極的に、触ってきて……」
テオを元気づけるためとは言え、さすがに恥ずかしくてヘルヴィも顔を赤くする。
だがそれはしっかり効果が出て、テオはヘルヴィと同じ様に顔を真っ赤にした。
テオの気持ちは上がったが、逆に上がりすぎたのかもしれない。
二人とも恥ずかしくて、また顔が見れないという状態になってしまった。
数分経って、ようやく二人は顔が見れるようになり、恥ずかしがりながらも喋る。
「ヘルヴィさん、その、すいませんでした……」
「いや、大丈夫だ。さっきも言ったように、その……悪くはなかったからな」
長かった日焼け止めオイルを塗るという行為も終わり、ようやく海を楽しめる……と思ったが。
「テオ、どうした?」
「いや、その……まだ、ちょっと立てないです……」
膝を抱えて座り込んだ状態から、テオは立ち上がらない。
別のところが立ち上がっており、それが目立ってしまうからだ。
ヘルヴィはそれを聞いて頬を赤らめたが、今は少し余裕な笑みを浮かべながらテオの耳元で言う。
「ふふっ、そうか……じゃあ、私が鎮めてやろうか?」
「え、ええっ!? そ、その、ヘルヴィさん!?」
「ここが外だから心配か? 大丈夫だ、私の魔法で全く他の者は見えていないぞ」
「い、いや、さすがにそれは……!」
「だがこの状態では、海には入れんぞ……?」
先程のやり返しと言わんばかりに、ヘルヴィはテオを後ろから抱きしめるようにしながら、耳元で誘惑をする。
「さぁ、どうする、テオ……? 私はどちらでも構わんぞ……?」
「うぅ……その……!」
――その後、テオがどちらを選んだのかは……二人のみぞ知る。




