特別編「寝苦しい夜に贈る物語2」
今年も暑い夏がやってきましたね。
そんな夜に贈りたい「寝苦しい夜に」Ver.です。
さぁ、行ってらっしゃい。
『青色の夏』
ぷしゅッと軽快な音を立ててひんやりラムネが開いた。響香の喉が小さく動いている。まだシャリシャリが残っているようだ。
「冷たいっ」
頭を軽く抑えて、ボトルをベンチに置いた。セミの声も聞こえないくらいに、仕草一つひとつに気を取られてしまう――。
先ほどの小学生軍団が騒がしく僕らの前を通過した。Tシャツと髪から水を滴らせながら、話題は明日の夏祭りで持ちきりだ。響香は小学生たちを目で追って、ふいにこっちを見た。
「夏祭り、明日なんだね」
「そうだよ」
「ちょっと行きたい気もしなくもないなぁ」
「じゃあさ、一緒に行く?」
響香ふふっと笑ってうなづく。
「楽しみ。むっちゃんと夏祭りっていつぶりだろ」
僕が真剣に指折って数えだすと、さらに笑われた。
「年数が気になる訳じゃないんだってば」
つられて二人で笑ってしまう。もう風がいくらか涼しくなってきていた。ひんやりラムネも溶けて、汗をかいてきている。
「明日、浴衣着てこようかな」
「そうなの?」
「え、だめ?」
「いや、だめじゃないです」
「なんで急に敬語ー? 変なむっちゃん」
「ごめん……」
「りんご飴で許してあげるっ」
そう言うと麦わら帽子をさっと被った。
「じゃあまた明日。今日はありがとう」
「いえいえ、また明日ね」
ぱっと立ってワンピースのしわを直す。
「あ、そうだ! 明日の時間」
思い出してくれてよかった、と思った。
「双葉神社に五時ね」
響香は一方的にそう宣言すると、じゃあねとだけ言って帰っていってしまった――。
さて、今夜の物語はいかがだったでしょうか。
皆さんは夏祭り、もう行きましたか?
夏の思い出、作りたいですね。
それでは今夜もこれでおいとましましょう。
「おやすみなさい」




