〜あなたの眠りにお供します〜第七夜
眠れない夜に贈る物語。あなたにそっとお供します。もちろん、途中で寝てもかまいません。さぁ行ってらっしゃい。
『ひまわり』
蝉が夏の暑さに拍車をかける。ついに夏休みに入った僕らは、妹のお祝いを探しにきていた――。
「わたし、あれがいい」
そう言って妹は桃のソフトを指した。
「よし、じゃあ兄ちゃんが買ってあげよう」
学校で妹の絵が最優秀賞をもらったのだ。題名は『白い花』。前に見たあの小さな花だ。学校の先生にも褒められたんだよ。そう嬉しそうに語っていた。目をきらきらさせた妹がベンチで待っている。落とさないように、慎重に桃のソフトを握らせた。
「ありがとう」
とびっきりの笑顔で僕を見た。桃ソフトはどんどん少なくなっていく――。
「兄ちゃんにも一口ちょうだい」
コーンに差しかかった辺りで声をかけた。
「はい、どーぞ」
コーンの部分をかじると、ほんのり桃の香りがした。
「おいしいね」
「おいしい。桃のアイスすき」
妹は再びとびっきりの笑顔で僕の方を見る。いきなり、後ろの木で蝉がジージーと鳴き出した。暑さを思い出したかのように桃色の液体がコーンから垂れ始めてくる。
「早くしないと垂れちゃうよ」
そう言って妹をせかした。必死にコーンにかじりつくが、途中で諦めてしまったらしい。
「はい、お兄ちゃん」
と、残りのコーンを差し出してきた。僕は笑いながら、
「ありがとう」
と言い、コーンを口に運ぶ。
「あのお花さんたちにもお礼を言いたい」
ベンチで足をぶらぶらさせながら妹は僕を見つめた。装飾のひまわりも揺れている。
「いいね。ただお昼食べてからにしよう」
「わかった!」
「じゃあそろそろ家に帰ろっか」
小さな手を引き、歩き始めた。新しいサンダルを履いた妹は軽やかな足取りで坂道を下る。炎天下の中、楽しそうなひまわりがアスファルトを彩っていた――。
そろそろ眠りの時間がやってきたようです。
さて、皆さんは白い花と聞いてどんな花を想像しましたか?
どの花もきっときれいなのでしょうね。
今夜はその白い花畑の、夢が見られるかもしれませんよ。
それでは、
「おやすみなさい」




