〜あなたの眠りにお供します〜第五夜
眠れない夜に贈る物語。あなたにそっとお供します。もちろん、途中で寝てもかまいません。さぁ行ってらっしゃい。
『流れ星』
溢れんばかりに輝く星を二人で眺めていた。彼は突然ぽつりとつぶやいた。
「星ってさ、わからない方が魅力的なんだよなぁ……」
その感覚、わかる気がする。
「ねぇねぇ、どの星が一番好き?」
空を見つめる横顔は少し寂しそうに、答えた。
「あれかな」
彼は二つ並んだ星を指した。
「あれもいいね」
そうやって二人でいくつものお気に入りを作っていった。それからしばらく、ぼーっと眺めていた。いつまでもこうしていられたらな、そう思った時だ。
「桜! 今の見た?」
「見えた!」
「結構長かったな」
「本当だね」
「願い事できた?」
「あっ、し忘れた」
「俺も」
「なんか全然ロマンチックじゃないね」
そう言って二人で笑った。
「あれは何年前の光なんだろう?」
ふと疑問に思った。私の問いに彼は、
「わからない。だけど俺達が生まれるずっと前な気がする」
とそっと答えた。
「そうだね」
そう言って再び空に目を向けた。星たちはずっと前から……ずーっと前から輝いてる。よくわからないけど感動してしまった。星が滲む。さらに煌めいていった。
すると突然彼の顔が不気味に照らされた。スマホの光だ。片手をだらりと顔の前に垂らしている。
「おばけだぞー」
「もう! やっぱり、全然っロマンチックじゃない」
そう言って思い切り笑った――。
さて、今夜はこれくらいにしておきましょうか。
今日の空に星は浮かんでいますか?
何年前の光なんでしょうね……。
星にまつわる夢が見られるかもしれませんね。
それでは、
「おやすみなさい」




