〜あなたの眠りにお供します〜第三夜
眠れない夜に贈る物語。あなたにそっとお供します。もちろん、途中で寝てもかまいません。さぁ行ってらっしゃい。
『夕暮れ』
「ゆっくり吸って」
すぅー。
「はいてー」
ふぅー。
「落ち着いた?」
「うん」
「じゃあ行こっか」
小さな手を取り、夕暮れの街に溶けてゆく。きっと僕ら以外誰も気づいていない。この時間の最後の光に。下り坂をよちよち降りて、再び妹の方を見るとなんだか楽しそうだった。ぴょんぴょん飛び跳ねるようにツインテールが揺れている。
「ねぇお兄ちゃん、ちょっと寄り道したいところがあるの」
「どこ?」
小さな瞳が見つめてる。まだ少し湿っているようだった。
「こっち」
僕の手を引っ張って、どんどん進んでいく。知らない小道を入ってはまた知っている道に出て、そしてまた知らない所に入る。
「ここだよ」
「こんな所知らなかったなぁ」
そこには、小さな白い花が群生していた。
「なんて言うんだろこの花?」
僕のつぶやきに妹は、
「わからないけど、きれいだよね」
と言って微笑んだ。
「きれいだね」
二人でしゃがみ込んで、白い花を見つめていた。その時、
「あっ、かえるだ」
一匹の蛙がぴょーんと跳ねた。妹は嬉しそうにこっちをみて、
「かわいい」
と言って笑う。次第に白い花はオレンジ色になり、そして紺色になりつつあった。
「そろそろ帰らないと」
「うん」
小さな手を取って、僕らは家に帰っていった。
夕食のあと疲れてすぐに寝てしまった妹に
「明日は学校楽しいといいな」
とささやいて、額をそっとなでた。
そろそろ眠りの時間がやってきたようです。
皆さんもゆっくり深呼吸してみて下さいね。
夢で物語の続きが見られるかもしれませんよ。
それでは、
「おやすみなさい」




