第7話 〜JKは理解不能〜
サキちゃんが家を出たんで今度はルミちゃんがコダマの隣に座ると何か言いたげに奴の横顔をじっと見つめとる。
「一つお伺いしていいですか?」
「ん? 何かなガサツの妹よ」
何や? その変な呼び名。さっきから散々ルミルミ言うてたやろ、サキちゃんが。
「あっ、私水嶋瑠美言います。ひょっとしてユジン・ダマさんでしょうか?」
「私を存じておるのか? 女子高生」
せやから何で教祖めいた言葉遣いになっとんねん? そうすればするほど冷めていく俺とは裏腹にルミちゃんの瞳はキラキラと輝き始める。
「勿論です! 私らの間では絶対的カリスマなんですよ!」
カリスマぁ? ルミちゃん意味分かって使てるか? ってそれはいくら何でも馬鹿にし過ぎか。ってかコレのどこにカリスマ性があんねん? 俺にはサッパリ分からん。
「そうかそうか、遠慮なく崇め給えルミ嬢」
俺にはただのアホにしか見えん。
「はいっ! ダマ様って超気さくなんですね! チベットでの修業の画像見た時はもっと厳格な方なんかと思ってたんでお声掛けしてええもんかと緊張してたんですぅ」
何やねんなダマ様って……俺この空気に付いていかれへんわ、どっちもどっちやけどサキちゃん早う戻ってきてくれ。
「おい一個聞いてええか?」
「何だてっペ。何ならお前も信者に入れてやるぞ」
「いや遠慮する。それより修業の場にケータイ持ち込んでええもんなんか?」
「てっぺよ、修業というものは誰かに教えを乞うものではないのだぞ。祈りを世界中にお届けするのに動画サイトは最適だと思わないか?」
言い分は尤もか知らんけどお前が言うと胡散臭い。
「てっぺちゃん頭固いって、思考の硬化は老化の始まりやで」
例え老化の始まりでもそっちには行きとうない。
「君は優秀な信者であるなルミ嬢、今から特別にフリーセミナーを開いてやろう」
「ホンマですか!?でも私だけ依怙贔屓されてまうとやっかまれるんで友達呼んでもいいですか?」
「いくらでも呼んでくれたまえ、一人でも多くの方に私の祈りを届けたい」
いや広めるなそんなもん、ただの悪徳宗教にしか思えんのは俺だけやないと思う。
「やるんなら余所でやれ悪徳似非教祖」
「何を言うかてっぺ、女性に寒さは天敵だぞ」
「そういうことやない、家で怪しい活動すんな言うてんねん」
「ダマ様は何も怪しないよてっぺちゃん。宜しければ家使うてください」
「ルミ嬢は心が清い、では遠慮なくそうさせて頂こう。パンは焼き上がり次第持ってきてくれ給えてっぺ」
「……」
俺面倒臭い作業一つ増やしてしもたかも。