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第25話 〜環境の変化は疲れます〜

「それ自業自得やないの」


 今日は騒音被害から逃れるため、陽ちゃんとこの居酒屋に緊急避難。今朝あった事をあらかた話したところ、彼の恋人であるユイさんにバッサリそう言われてしまった。


「まぁそうなんやけど」


「にしても参ったなぁ。コダマ君は実家もちゃんとしとるからともかく桐山さん(・・・・)はどないなんやろ? 生活費払えるんかいな?」


「さすがにそこまで長居はせんやろ?」


 まぁあの人は糸の切れた風船みたいなところがあるからまたふらっと居らんくなるかも知れん。


「そんなん分からんで、あの人かなり無神経やし厚かましいやんか」

 

 ユイさんは嫌そうな表情でため息を吐いてる。彼女はあの人を苦手としていて、子供の頃から意識して避けてきていた。当時は何でやろ?と思っとったけど今ならちょっと分かる気もする。


『私かて陽平の交友関係に口出しなんてしとうないけど』


 かなり前やけど、ユイさんは俺に田中家の家庭内事情を話してくれた事があった。彼女んとこはお母さんが二度再婚しとって、二人目の父親にあたる男があの人に似とったらしく、事ある毎に散々振り回されてなかなか定住すら出来んかったと言っていた。


『何かあのペテン振りを見とったら胸糞悪なんねん』


 あの人からしたらただのとばっちりかも知らんけど、家庭内で起こった嫌な事って案外心に残るし、ふとしたタイミングで突然思い出して一気にテンションが変わったりもする。多分ユイさんは自身でも把握しきんれくらいに一杯傷付いてきたんだろう、家庭内が安定せんと未来に希望を見出すことすら困難になってくる。その頃の苦悩があの人の存在そのものによって刺激されるんやと思う、生理的に受け付けんってそういう事なんかも知れん。


「さすがに迷惑行為はせんやろ」

 ‎

「やとええけどウチにまで火の粉降りかかるんはなぁ」


 あぁ陽ちゃんの良過ぎる外面を懸念しとるんやな。


「ホンマ勘弁してや、剛啓コンビまでは許すけど」


 うん。陽ちゃんは笑顔で頷いとるけどホンマに大丈夫なんかなぁ? 俺はちょっと不安になりながらもおでんを突っついて日本酒をくっと飲んだ。

 俺は何やかんやで陽ちゃんに甘えとる。彼は穏やかで物静かなタイプなので一緒に居って全く疲れへん存在や。恋人であるユイさんも俺には割と親切に接してくれる。ちょっと気難しいところはあるけど基本は冷静で懐の深い人やと思う。申し訳無いけど落ち着くまで甘えさせてなんて思ってたところに、一組の客が来たところでさっきまでの静寂が一気にぶち壊されてしまった。

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