第24話 〜えっ? 増えんの?〜
昨日は急病だとかで欠員が出て閉館までの残業となったが、拉致られた(しかも自宅て……)挙句心の準備も出来んままあの人と再会した事で俺のメンタルはかなり参ってしまった。正直もう会えんでもええわくらいな気持ちになっとったから、多分良かれと思ってやった二人組の行動にはそれなりに腹も立った。
【ごめんてっぺ、俺らちょっとはしゃぎ過ぎた】
【俺らに陣の行動は読めんけど今日はゆっくり休め】
仕事明け、態度の悪過ぎた俺に対し妙な気を遣う二人組のメールにちょっと笑ってしもうた。俺なんかよりも善人で単純なアホ共への怒りはこれで簡単に払拭され、我ながら少々大人気無かったと反省する。
【こっちこそすみません、空気悪うしてしまいまして】
二人組に全く同じメールを送信し、昼間のむしゃくしゃした気持ちを引きずることなく翌朝を迎えられたと思ったのだが。
「何でこうなってんのや?」
俺はいつもと同じ時間に起床してキッチンに入ると、コダマはともかくあの人とサキちゃんも家に上がり込んでいた。おかんは仕事が休みや言うてたからせっせと弁当を作ってくれてる、しかも何故か四人分。
「おはようてっぺ、早よご飯食べてしまい」
まぁ飯は食うけどこの状況の説明は一切無しかいな?
「人数増えすぎやろ」
「今日から陣ちゃんもここに住まわすから」
「はぁっ? 煩いんはコダマだけで十分や!」
「お前どこまで素直やないねんな!」
サキちゃんはわざわざ俺の所にまで来て脳天をどついてくる。朝っぱらから脳天どつくんはやめてくれ、これまで一切寄り付かんかったくせに随分と勝手なもんや。
はぁ〜これまでの静かな日々が……最近やっとコダマの居る環境に慣れてきたいうのにあの人まで増えんの?正直に言えばもう勘弁してくれ。
「おかん」
「ん? 何や?」
「定年に向けて副業にするつもりなんか?」
「何をや? ってか定年なんぞまだ先の話やけど」
六十歳にしろ六十五歳にしろあと十年もあらへんやんか。
「せやから下宿人集めて家賃収入で生計立てる気なんか?」
「あぁ、ええなぁそれ。二人共生活費入れてくれるんやったら好きなだけ居ってくれてええよ」
おかんはしめたとばかりニヤッと笑いやがった。
「「ならそうさせてもらいます」」
ま〜腹が立つくらいのええ返事しおってからに、俺また要らんことしたっぽいわ。
「何か楽しなってきたなてっぺ」
サキちゃんは目をキラキラさせてそう言うてくるけど、俺にとってはむしろ地獄かも知れん……俺は指定席に座って頭を抱えるしかなかった。




