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第20話 〜瑠美の呟き〜

ルミ視点のお話です。

 あたしにとって“じんちゃん”という方は初見やった。十五年前にこの町を出たって話やから、当時二歳のあたしが知らんでも当たり前なんか。

 ‎その点で言えばお姉ちゃんかてそんな感じに近い。歳も十五離れてるし、高校を卒業してすぐ家を出てるから何年かに一遍帰省してくるだけの親戚の人って感覚の方がしっくりくる。

 ‎だからお隣の有岡家にいるてっぺちゃんの方が付き合いも長く、ぶっちゃけお姉ちゃんよりも身近な人やし信頼度も高い。てっぺちゃんはダマ様の話はちょくちょくしてくれてたけど、“じんちゃん”の話はお姉ちゃんからしか聞いた事がない。一度てっぺちゃんに聞いてみたけど、『死んだ兄貴の友達』という返事だけやったので、そう親しくもしてなかったんやなという認識やった。


 ところが今日になっていきなり現れた“じんちゃん”とやらにてっぺちゃんは相当動揺しとった。多分『今更何やねん?』っていう思いもどっかにあったんかも知れん。あたしかてそんな感じの人とひょこっと再会したら戸惑ってまう。お姉ちゃんは一人いきり立っとたけど、あたしは寧ろその感情の方が理解出来んかった。

 ‎てっぺちゃんは仕事に戻るためすぐに出て行ってしまい、ダマ様は『ちょっと薬が効き過ぎた』と笑ってらした。あぁわざとやらはったんかとちょっと変な気分になったけど、彼の中でそうせなあかんと思わせる何かがきっとあったんやと思う。後で聞いてみようかな?


 てっぺちゃんが出てったからあたしもお暇しよかと思って帰ろうとすると“じんちゃん”に呼び止められた。う〜ん明日もテストなんやけどと思ったけど、彼は有無を言わさず小さい頃のてっぺちゃんの話を始めてきた。いっつも自分の後ろに付いて回ってただの野球が上手やっただのと嬉しそうに話してらしたけど、その割に黙って姿を消したり一度も連絡も寄越さずって行動には矛盾を感じてしまう。この人どっかで成長が止まってると言うかピーターパンみたいいう印象で生っぽさに欠ける人やなと思った。

 彼は昼頃まで仏壇の前に座っとった、陽平ちゃん、剛ちゃん、啓ちゃん、お姉ちゃんはその頃既に家を出とったからあたしはダマ様と陣さんと三人でお昼を頂いた。陣さんはホテル取ってるからと言って多分バスターミナル付近に行ったと思う、二人になってから『てっぺは気持ちを拗らせておる』とダマ様はクククと笑い出した。

 見とって気持ちのええもんと違うよぉ。そう言い返すと『ルミ嬢に陣さんはどう映ったのだ?』と訊ねてきた。あたしはさっき思った通りの事を言うと、『ヘタに知らないだけ冷静に見ておるな』と返された。

 あたしは何で二人を引き合わせようと思ったんかをダマ様に聞いてみた。ダマ様は当ててみよと言うてきたけどそんなん分かる訳無いわ。

 ‎『答えは一個じゃないから何でも言ってみるが良い』そう言われてあたしなりに考えた答えは二つ、ダマ様は私の答えをふんふんと最後まで聞いてくれ、それも一つの正解だと頷いてくださった。それにしてもまさかテスト勉強よりも頭使う羽目になるなんて……今日は先に仮眠取ってしまおかなぁ?

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