表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/131

第19話 〜今更感半端無い〜

「何やその口の聞き方!」


 予想してなかった女の怒号……サキちゃんがキッと俺を睨み付けてくる。申し訳無いが今の今まで全く気付かんかったわ。


「あぁいらしてたんですか」


 俺は客間にいる彼女を一瞥する。


「あ”ぁ! ワレどういうつもりや!」


 サキちゃんはすっと立ち上がって俺に食って掛かってくるが、そうされればされるほど俺の頭はどんどん冷えていく。


「それはこっちのセリフです。剛さん、啓さん、大事な用ってこれや言うんやないでしょうね?」

 ‎

「これ以外何がある言うんや?」


 啓さんは当然やろと言わんばかりの口調だ。俺かてさすがにくだらんとは言わんが、別にここまでするほどのことか? とも思う。


「こんなん事後報告で十分です」


「いや俺当分滞在すんで」


 という事はこの先どっかで見かける事もある訳か……片田舎やから行動範囲なんてたかが知れてるし、この人を見るたんびに胸をチクチクさせなあかんのかと思うとげんなりする。


「どういう風の吹き回しなんです?」


「ん、やり残したことを片付けに」


「へぇ、今更ですか?」


 不可抗力とは言え仕事に穴を開けている現状を本気で後悔した。


「まぁせやな……けど今やないとあかんねん」


 そうですか……俺はもうこの場に居りたなくて逃げるように玄関に向かう。


「てっぺ?」


 背中から陽ちゃんの声が聞こえてきたけどそのまま無視して靴を履く。


「てっぺ! 陣ちゃんに謝れ!」


 何を謝れ言うんや? 確かに今の口の聞き方が良うないんは重々承知してるけど、何の音沙汰もなくいきなり現れて心の準備も出来てなかった俺はどないしたら良かったんや? 俺はサキちゃんの声も無視して玄関のドアノブに手をかける。


「待てサキ! 肉弾戦で訴えようすんな!」


「せやでお姉ちゃん! てっぺちゃんかて何年も音沙汰無かった人といきなり再会したら戸惑いもするって!」


 サキちゃんのことやから一発殴ったろ的な態度に出てるところを二人組とルミちゃんが引き留めてるんやろな。そもそもコダマ辺りに言われてやっただけなんやろけど、役場で騒いで拉致ってきた責任は取ってもらおか。


「てっぺ」

 ‎

 ‎俺はあの人の声に引き留められる。ホンマはそのまま外に出たかってんけどどうしても無視出来へん、子供の頃は誰よりも大好きで憧れの存在やったせいだろう。


「もうちょっと“りょうせい”と居らしてくれんか?」


 “りょうせい”(遼生)とは兄の名前だ。彼は兄の同級生で当時から剛さん、啓さんともつるんでよく一緒に遊んでいた。兄にくっ付いてた俺とも仲良くしてくれ、色んな遊びも教えてくれた。ピンチの時ほど頼りになるヒーローみたいな存在で、兄が流された時もいの一番に助けようとしてくれたんもあの人やった。兄貴かて多分それを望んでると思う、俺一人の感情で追い出す事はさすがにようせんかった。


「それはお好きになさってください」


 俺はそれだけ言うて役場に戻ることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ