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第16話 〜嵐到来〜

 週が明けた月曜日、いつもの様に窓口業務をしているところに最近とんと見掛けなくなった幼馴染二人組が血相を変えて役場内に飛び込んでくる。この二人あの人の同級生でガキの頃からつるんでおり、近所では『三匹のあほんだら』と呼ばれた読んで字の如く筋金入りのアホ共である。


「てっぺ! てっぺ!」


 あーもう俺今勤務中やねん、静かにせぇよおっさん共。


「くぉら! てっぺ! 無視すんな!」


 せやから勤務中やねん、見て分からんのなら眼科行けや。


「中で騒ぎなあほんだらが!」


 たまたま手の空いていた同僚の女性職員(おかんの同級生)が窓口から出て二人組の脳天をぶっ叩いた。普通の役場ではあり得ん光景だが、知った顔触ればかりのど田舎の役場ではたまにこんな事もあったりする(いや、それはそれで問題はあると思うけども)。


「「ってぇ〜」」


 ぶくぶく男剛さんこと松中剛太(まつなかごうた)とゴリマッチョ啓さんこと瀬戸啓輔(せとけいすけ)はぶっ叩かれた脳天を擦ってうずくまっとる。顔見知りだらけの館内ではそんなアホ二人組に対し特に蔑視する訳でもなく、どないしたんや? と普通に聞いてやってる。うん、ギスギスしてない感はええように思うけど、役場で騒ぐアホ共のマナーの悪さは頂けんわ。


「何してくれてますのやおっさん共」


 ひとまず手が空いたので、四つ歳上ではあるがアホ過ぎて全く尊敬出来ん二人組の相手をしてやるとする。

 

「んな事より水くれてっぺ」


「そこの給水機使うてください」


「頭痛い、二人分淹れてくれ」


 俺はあんたらのウェイターやない、そんくらい自分でやれ。


「自分でやりやがってください、俺勤務中なんで」


 それだけ言うて持ち場に戻ろうとすると、無駄に重量級の二人組に両足を掴まれ身動きが取れんくなる。

 

「待ててっぺ! 遊びに来たんとちゃうんや!」


 何を言うか、遊びに来てる風にしか見えんわあんたら。


「取り敢えず離しやがれください」

 

 おっさんの暇潰しに時間割くほど暇ちゃうねん! 月曜は忙しいねん邪魔すんな!


「イヤや! 大事な用があんねん!」


「ちょい顔貸せてっぺ。すんませーん有岡借りますー!」


 俺は何気に怪力な二人組に引きずられるように屋外へと連れ出される。その怪力もっと有効に使えんか?


「抜けた時間分残業な〜」


 と背後から聞こえてくる上司の言葉。毎度思いますが緩すぎでしょそれ、頼むからこの二人をどないかしてください。


「うしっ! このままてっペん家に向かうで!」


「何でやねん! 離さんかおっさん共!」


「離せ言われて離すほどアホやない!」


 そこはアホでおってくれ、それ以外全部アホなんやから。

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