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第15話 〜無力過ぎた十五歳〜

『こういうんは感心せんな、被害女性への配慮が足らんと思わんか?』


『それは金子さん本人がお決めになる事です、ケータイ返してください』


 当時の俺かて怖いもん知らずやった訳やない。我ながらここまで正義(ホンマに正しかったんかどうかは未だに分からん)を貫こうとしたんは多分この時が最初で最後やと思う。


『金子さんが見たくない仰るんなら見せません、それで宜しいですか?』


『なら本人に聞こう』


 八杉氏は背後に居る金子さんの方に体を向ける。


『舞花さん、犯人・・の画像など見たくないやろ?』


 何やねんその聞き方? ええ大人が小ずるい事しおってからに。


『勝手に断定しなさんな!』


 おかんもこういうんを嫌う。クソ親父は『見たくない言え』と言わんばかりの視線を金子さんに向け、変なプレッシャーをかけている。先生はその様子を傍観してこめかみを押さえて首を振っていた、もうどうしょうもない大人やと呆れて物も言えん状態なんやと思う。


『見せてください』


 表情は固かったが金子さんはハッキリとそう言った。


『無理はしない方がいい、心の傷を甘く見るな』


 大丈夫です。本人がそう言うてんのにおっさん二人は尤もらしい理由を付けて必死にそれを阻止しようとしてる。


『金子さん本人のご意見、尊重なさらないおつもりですか? いい加減見苦しいんですが』


 しびれを切らした先生が口添えしてくれたが、やれトラウマになったら責任取ってくれるんか? だのこれは事件なんだ、デリケートな問題なんだと色んな理由を付け、結局あの人の画像を彼女が目にすることは無かった。

 ‎最終的に先生があの人に事実確認をすると言ってこの話を締め、この場では有耶無耶になったままお開きとなった。こんな不毛なやり取り、中学生の俺には苦痛でしかなかった。

 ‎遠く忘れ去られていた校則違反の件は他の三人に合わせて卒業式前日までの自宅謹慎となり、俺は十日程自宅で悶々と過ごすことになった。


 謹慎中の間に学校から自宅に連絡があり、在宅確認やと思いいつもの様に電話に出ると生徒指導の先生からやった。あれから程なくしてあの人に事実を確認したところ、金子さんを襲った事を認めたという報告を受けた。俺にはそれが信じられんかったからその後すぐあの人に連絡を取ると、あんなへっぽこ議員にどう思われようとどうでもええわと笑うとった。俺は自身の力の無さに落ち込んだがそれから数日後、誰にも別れを告げんと町から姿を消してしもうた。

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