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超短編

手袋の中身

作者: ミーケん

【Twitter企画27作目】

 電車の中で私は手袋を見つけた。向かい合うタイプじゃなく、新幹線のように座席が並んでいるタイプの電車だった。その電車の2車両目の1番前の2人席の内側に真っ黒な毛糸の暖かそうな手袋が置かれていた。

「誰かが忘れたのかな?」

 私はそう呟いてその手袋を手に持ってみた。

 すると、私はその手袋の下にあったメモを見つけた。それと同時に感じる手袋とは思えない重み。

 メモにはこう書いてあった。

『手袋の中にスマホを入れて置いた。見つけてくれるとうれしい。でも、中身は2人だけの秘密にしよう。』

 誰かに宛てた手紙なのだろうか。

 私はやっぱり駅員さんに渡そうと思い、電車を出ようとした。

『まもなく、発車します。閉じるドアにお気をつけください』

 直後ドアが閉まり、私はそのドアに向かうのを諦めた。

「みてみようかな」

 私は駅員さんに届けなかった時点で罪悪感は無いものとなっていた。

 座席に座ってすこし落ち着いてから手袋の中を探ってみた。すると、メモ通りになにか入っているような固い感触が伝わった。

 それを取り出すとやはりスマホであった。

 ふっと私は窓を確認した。そこには私の無表情な顔が映っていた。外はもう暗く、その影響で窓が鏡のようになったらしかった。

 大丈夫。

 そう自分に言って、私はスマホの電源をつけた。

 ロックはスライド式らしく、画面に触れて、そっと動かせば解除されるタイプだ。

 私が解除して、画面に広がったのは文章だった。

『僕は人殺しだ。特に理由なんて無く、「人を殺したかったから」という理由だけで人を殺せる。そんな僕だが、やはりそれでも、理性というのは存在した。

 人間誰しもが持っている理性。理性がなければ人間じゃないと言われるほどに人間は理性的な動物だ。

 しかし、私は動物になりたかった。理性なんて邪魔なものを取り払って本能的に生を全うする動物になりたかった。しかし、本能のままに振る舞うことほど難しいことはない。これまで理性的に生きてきた僕が突然本能的になることなんて不可能だ。

 そこでひとつ考えた。なにか僕に不利になるようなことを殺す対象に与えれば僕は人殺しをせざるを得ない。

 いますぐに殺さなければいけない。

 そんな状況に僕自身を追い込めば理性なんて意味が無くなるんじゃないか。そう思った。

 だからそこのきみ。どうかこれを世間にばらしてほしい。

 このスマホをどこかの警察署に届けるだけの簡単な仕事だ。

 そうしないと僕は君を殺さなくてはいけなくなる。

 ちなみに「そこのきみ」からの内容は消去される。

 ここはあくまで秘密に頼むよ』

「な、、、にこれ、、、」

 直後にスマホは電源を落とした。


 私はこれからこの秘密を抱えて生きていかなければいけない。

 ずっとこの人殺しの目を気にしながら生きなければいけない。

 

 そういえば───。

「警察になんて言おう………」

ども。ミーケんです!

企画30作目が目に見えてきてとっても嬉しくて、テンションがすこしあがっております!

30作目は5000文字とかほしいですねぇ。。。笑


さて!そんな訳で今回の短編についてです。

今回の短編は読んでくださった通り、手袋が関連しております。

いや、実は最近手袋を買おうとお店に行って来たのですよ。

なのでなんとなく手袋を題材にしてみたいなぁ。

とそんな風に思ったのです。

そして、そう思ったのが丁度、電車の中!

もうこれは書くしかないと思ったわけなのですよ!

まぁ、そんな感じでできた短編です。

これどうでもよかったですね笑

では!また次の機会にどーぞ!


おっと。これに関しては解説もしないとですね。

スマホの中身には「殺す対象に自分が殺さなければいけなくなるような不利な事実をバラす」といったような内容の文章が書いてありました。

そして、主人公については「警察に言えば殺さない」といったようなことが書かれてあります。

この短編の主人公はこれを警察に言う気らしいですが、

その後に一体何人の人が死ぬんでしょうね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 読み進めて最後、背筋にゾクリときましたね。とても、面白かったです。
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