表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS能力で友達は救えるか?  作者: TSっていいよね
3/4

1-2 コンビニアルバイト

とりあえず1-2はこれから出る登場人物、バイト先の人編といった感じ。


通話も終わり、クラスへと戻った。

クラスメイトは、こちらを気にしたようにチラッと見たが、落ち着き払った俺を見て、興味を無くしておしゃべりを始めた。

黒板の上にかけられている、時計を見ると、HRの五分前のようだ、自分の席へと向かっていると、真里菜が立っていた。


「あぁ、ごめん、ちょっと用事があったんだ」


「いや、まぁいいけど……何するつもりなの?」


真里菜は、ジト眼で、探るようにこちらへと問いかけてきた。

教えることができるかの判断は、一つ、ツインヒューマンについて教えられ るか、ということなのだが、まぁ真里菜は小学生からの幼馴染というやつだし、信頼するには十分だと思った。しかし、ここじゃあ無理だ、もう少し人 が少ないところのほうが良かった。


「休みあたりに話すよ」


笑顔でそういうと、真里菜は腕を組んで、ふぅと息を吐いて、


「わかったわよ」


と、諦めたと言わんばかりの口調で言った後、小さく微笑んだ。

その時だ、真里菜の顔が引きつった、小さく「うげっ」と女性が言ってはならないような言葉を発した。

真里菜がそんな顔をする相手については、心当たりがあった。

振り向くと、予想通りの姿がそこにあった。


「アレクセイ、おはよう」


「おはよう、達也、今日も僕は、美しいかい?」


「あーそーだねー」


いつも通りの会話、鏡を片手に、延々と前髪を整え続ける男、アレクセイのご登場だ。

ヴァンパイアの特徴である翼を、うっとりと頬を染めて、見つめている。


「あぁ、やはり僕は美しい、美の女神も、何も僕ばかりに愛を注がなくともよいというのに……!」


劇団チックに、自分の体を抱きしめてそう言い放つ、まぁたしかに美形ではあるのだが、ナルシスト全開にされると、キモい。


「もうすぐHRだから、もう席に着いたほうがいいぞ」


「そうかい? ご忠告ありがとう、君も僕ほどじゃないが、美しいよ?」


そういって金色の髪を掻きあげて「ハーッハッハー!」と笑いながら去っていく、相変わらず良く分からないやつだ。


「……行った?」


俺の影に隠れていた真里菜が、ひょこりと顔を見せた。

こいつは初めて会ったときから、アレクセイを苦手にしていた。


「あぁ、行った……良い奴だと思うんだけど、なんでそんなに嫌がるんだ?」


「すまないとは思うけどね……やっぱ慣れないのよ」


恥ずかしげに頬を赤らめて、真里菜は言った。


「まぁ、いいけどな」


アレクセイも特に気にしていない様子だったし、寧ろ『やはり太陽のごとく輝く僕の前には目がくらんでしまうのか……』とかいいそうだ、などと考えていると、始業の鐘が鳴り響いた。真里菜へと視線を向けると、既に席へと歩み始めていて、こちらへと手を振って去って行った。

こちらも、着席して待っていると、すぐにドアをスライドさせる音が響き、マグダリア先生が入ってきた。

片手には出席簿を持っており、教卓へと置いて、教室をぐるりと見まわした。


「ふむ、全員出席か、病気もなくてなによりだ、ではHRをはじめよう」


長寿のエルフ族であり、年齢は300を超えているらしい、年齢は噂だが、それを噂だと思わせないほどに、威厳のある声で、HRを始めた。



授業は何事もなく終わり、今日はバイトがあるために、さっさと鞄を肩にかけ、知り合い連中に声をかけて、教室の外へと出た。

最寄駅へと向かうために、歩いていると、ポケットに入っている携帯が振動した。

開くと、母親からの電話だった。

歩きながら電話に出て、耳へと近付ける。


「もしもし?」


『達也、誠人さんに言われて、すぐに入塾の手続きは終わらせておいたわ、明日テストをやって、学力を測るらしいわ、大丈夫よね?』


父が既に伝えていたようだ、いつも通りの素早い対応だ。


「わかった、ありがとう」


『まぁ、何をしたいのかは聞かないけど、入るならお金を無駄にしないでね?』


「へいへーい」


曖昧な返事をして、電話を切って、ポケットへと携帯を放り込む。

さっさと歩いて、電車に乗り、家からの最寄駅で降りて、すぐのコンビニ、それがアルバイト先だ。

自動ドアを抜けて、レジをやっているおばさんの田中さんへと挨拶してから、奥へと入って行った。


「達也くんおっはよう!」


敬礼しながら、こちらへと挨拶する、茜先輩。

特徴的な金色のサイドテールをゆらゆらと揺らしながら、いつも通り元気のいい笑顔だ。


「おはようございます、今日は早いですね?」


「いやー、講義が早く終わってさ、それでも15分程度なんだけどね? その程度だと、何かやれることもないから、さっさときちゃった!」


茜先輩は近くの大学に通っている、種族はサキュバス、それらしい胸元を大きく開いた恰好をしている、しかし貞操が固い女性だ。

容姿は良い、かなりかわいいと思う、そのためアルバイト中に言い寄られることは多々あるが、それらすべてを断っており、両親もサキュバスなのに、門限があり、日付が変わったら叩きだされると、愚痴を聞いたことがあった。

彼女を見ていると、サキュバスという存在がよくわからなくなってくる。


「やー、だけどここにきても暇になるんだよねぇー、もうここでバイトして一年になるから、覚えることもないし、達也くんが来てよかった! ねぇねぇ、なんか面白いことない?」


そう言われても、俺が亜人でしたという情報しかないのだが、それを教えられるわけもなく、こちらへと目を輝かせる茜先輩へ、苦笑いを浮かべるしかなかった。


「前もそう聞いてきたじゃないですか、面白いことなんて、そんなに起こらないですよ?」


「そっかぁ……まぁーそうだよねぇ……」


茜先輩は、少し落胆した口調でそういうと、すぐにニパッと明るい笑みを浮かべた。


「じゃあ、何かしよう!15分もあるんだし!」


「と、いってもですね、携帯ぐらいしかないですよ?」


「……うぅん……それだと一人で沈黙するしかないでしょ?じゃあ、二人で……何もなくてもやれる……指相撲?」


こいつは本当に大学生なのか?


「戦争とか、昔やったよね?」


そういって、茜先輩は、両手を握りしめて、人差し指を一本開いた。

その様子をみて、小学生以来だと懐かしさがこみあげてきた。


「それって、戦争っていうんですか?」


大体『これやろうぜ!』と言って、人差し指を立てて突き出せばわかっていたので、正式名称は知らなかった。


「私は戦争、おばあちゃんはグリンピース、まぁ色々と名前があるみたいだよ? 大体、じゃんけんなんかも色々あるんだしねぇ」


そう言われてみてもそうだ、と納得した。

その後、何となくやってしまい、妙に熱中してしまうことになる、ペチンペチンと手を叩きあって、一喜一憂し続け、それはパートの田中さんと店長に「おいコラ」と頭をひっぱたかれるまで続くことになった。

素早く着替え、店長は田中さんに少しの延長を願い出て、俺たちは店の裏で説教をされることとなった。


「いやー、痛い痛い、店長ひどい!達也くん大丈夫?」


言葉とは逆に、顔は笑顔で、茜先輩は叩かれた頭頂部を擦っていた。

そんな茜先輩を見て、店長は呆れたように溜息をついた。


「久しぶりに子供のころの遊びをやると、まぁ面白いことはわかる、俺もそうだった、だけどな、お前ら金を貰ってんだから、アルバイターの自覚を持て、時間厳守!」


「申し訳ありません店長!」


「申し訳ありません……」


茜先輩は明るい声で、俺は若干申し訳なさそうに頭を下げた。

頭を下げているために、顔は見えないが、きっと呆れていることだろう。


「次から気をつけるように、一ノ瀬さんはレジね、すぐに交代よろしく」


一緒に顔をあげると、茜先輩は「わかりました!」と言って去って行った。


「山本さんは、いつも通り、レジのフォローメイン、サブで周辺の品だし」


「はい、わかりました」


そう言われて、踵を返して去っていこうとして、止まった。

塾に通うことを言っておかなければ、そう考えて、再度向き合った。


「すいません、塾通うので、でれる曜日とか限られそうです」


「そうか、学業は本分だ、俺に拒否する理由はない、決まった時に行ってくれ、こちらで調整する……今月のシフトは決まってるが大丈夫か?」


「えぇ、まだ通うことを決めた状態なので、いつからとかはまだ決まっていないです」


その言葉に店長は頷いた。


「ま、できれば週に二日出てくれ」


「はい、そこは大丈夫です」


「わかった、じゃ、行って来い」


その言葉を聞いて、一礼をして、タイムカードを切ってアルバイトを始めた。

いつも通りだ、品だしをしながら、レジが混むと、すぐにもう一つのレジを開け、ひと段落すればホットスナック系を作って、補充していく、チケット販売の機械で困っている人がいれば、フォローを入れる、茜先輩の休憩時間は、レジへと入る――まぁ、その程度をずっと続けているだけで、今日のアルバイトは終わる。

終了の時刻へと近付くと、帰宅のお客さんも、まばらとなり、レジは少しばかり暇となっていた。


「常連さん、来るかな?」


レジのあたりで品だしをしていると、茜先輩は思いついたように問いかけてきた、常連さんと言うのは近所にする大学生で、茜先輩とは違う大学らしい、俺とは良く話すが、女性が少し苦手らしく、茜先輩とは少し距離を取っている人だ。


「まぁ来るとしたらこの時間ですけど……」


そう言った時だった、来店・退店の合図である電子音が鳴り響いた、首だけそちらを向けると、話をすれば、と言わんばかりに常連の方が現れた。


「あ、いらっしゃいませ」


「おぉ」と右手を挙げ、返答をして、すぐに奥へと向かっていった。

すぐに棚に隠れた遠崎さんを見送り、腕時計をチラリと見た、もう9時になっている、


「あがります、お疲れ様です」


「はーい、お疲れ様―!」


礼をして、さっさと事務所へと向かい、着替えて外に出る、自動ドアを抜けると、横に遠崎さんが立っていた。


「お疲れ」


「ありがとうございます」


冷たいジュースを手渡され、パキッと音をたてて、キャップを開き、ぐいっと一気に飲んだ。

稀にこう言った風に喋ることがある、本当にまれだが。


「どうかしたんですか? また女性から逃げたとか、そういう話ですか?」


この人、ワーウルフという種族だ、荒々しい種族として有名だが、遠崎さん は女性が苦手で、家事が大好きな人だった。

――なんで俺の近くの亜人は、色々と濃いやつらが多いんだ。


「まぁ、そうなんだよなぁ、なんていうか、女! って、やつが苦手だ」


「過去に思い当たることはないですよね?」


「あったら、克服に乗り出してるんだよなぁ……」


一時期、治そうと頑張ったらしいが、無理だったらしい、顔は良いのだし、女性とかかわろうとすれば、関わることはできたが、拒否反応が近付けば近付くほどに出て、最終的にはそれどころじゃなくなった、と少し前に聞いた。


「じゃあ、SNSとかスカイプとかで話してみては?」


「それだ!」


俺の言葉に、はじかれたようにこちらを見た。

そしてこちらへとガッツポーズを見せ、


「天啓だった!」


と言って、去って行った。

そこまで良いアドバイスをしたとは思わないのだが……まぁ、天啓だと言うほどに素晴らしいと言ってくれるなら、嬉しかった。

遠崎さんを見送ってから、人が行きかう夜道を歩き始めた。


(さて……明日は、入塾前のテストだ)


できることなら暁と同じクラスになりたいが、暁のクラスを知らなかった。

できれば、学校に居る間に、できなければ、テスト前に、テスト用紙を持っ てきた人に聞けばいいだろう――そう考えながら、家へと帰宅した。


盛り上がりに欠ける……次回から塾に向かう感じです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ