第1話: 新任教師の影
私立桜ヶ丘高校は、郊外の静かな街に佇む名門校だった。
新任の国語教師、小松和美は24歳。
大学院を卒業したばかりの彼女は、スリムで小柄な体型が特徴で、見た目はとても幼く、高校生に間違えられるほどだった。
坂道アイドルのような可愛らしい顔立ちに、黒髪をポニーテールにまとめ、控えめな服装が彼女の純粋な印象をさらに強めていた。
しかし、和美には誰にも知られたくない過去があった。
去年、大学院の学費の支払いが厳しく、高額アルバイトに手を出してしまったのだ。
それは、VIPを接待するというものだったが、実際は体を使った奉仕だった。
その様子はビデオカメラで撮影されており、動画は地下でひっそりと流通するだけで、表舞台に出ることはないはずだった──そう信じていた。
一方、高校3年生の江口智也、金子純、木本博文の3人は、学校でも有名な不良グループだった。
だが、3人とも成績は優秀で、表立って咎められることはほとんどない。
中心人物の智也は特に頭が切れ、父親はテレビに出演するほどの有名弁護士、江口宗男だった。
その知名度を武器に、宗男は企業や個人のスキャンダルを握っては、脅迫や裁判で金を巻き上げる男で、桜ヶ丘高校の理事や校長、教頭までもすでに買収済み。
学校内の実権は、ほぼ彼の手中にあった。
智也はその血を色濃く受け継いでいた。
ある日、智也たちはネットの闇サイトで、和美の過去の動画を見つけてしまった。
「これ、マジでうちの新任の先生じゃね?」
金子が興奮した声で言った。
「幼く見えるけど、意外とエロい体してるよな」
智也はニヤリと笑った。
「これで遊べるぜ。まずは弱みを突きつけて、じわじわ追い詰めていく。抵抗する姿が楽しみだ」
翌日の放課後。和美は職員室で残務を片付けていた。
そこへ智也が一人でやって来る。
「先生、ちょっと相談があるんですけど…」
そう言われて教室に呼ばれ、智也はスマホを取り出し、動画のスクリーンショットを突きつけた。
「これ、先生ですよね? 学校に知られたら、まずいことになりますよ?」
和美の顔から血の気が引いた。
「…そんなもの、見せないで。私なわけないでしょ!」
震える声で否定する彼女に、智也は冷たく笑いながら、和美の顔と声がはっきり映った動画を再生した。
「ちょ、ちょっと!本当に止めて!」
和美は慌てて教室を飛び出すが、智也はすぐに追いかけてくる。
「先生、黙っててあげますよ。でも、俺たちの言うこと聞くっていう条件付きですけどね」
和美は激しく首を振った。
「絶対にそんなことしないわ!警察に言うわよ!」
しかし智也は、父親の宗男から事前にアドバイスをもらって準備万端だった。
「動画を拡散されたら、先生の人生終わりですよ。それに、俺の親父は弁護士です。訴えたところで無駄だと思いますけど?」




