オカンとお粥
オカンに残された歯が数本しかない事を知ってから、私はお粥を作って渡す決心をした。このままでは、オカンの体力は損なわれて行くばかりでジリ貧だと思ったから。
その考えを後押ししてくれたのが、私の通っている病院の先生だった。
大きな固形物を避け、栄養を摂れる状態にする為にお粥を作る事にしたと告げたら、大きなミッションを頂いてしまった。
ー気付いたら最後自分の仕事ー
何処かの標語にあった気がする。
お粥を炊くと言っても、オカンは糖尿病だ。
「先生、糖尿病でお粥だと、お米の糖分吸収が強くなってしまいませんか?」
「そうだね。強くなるよ」
「じゃあ、ロカボ(糖質を少なくする処理)炊き?」
「貴女、いろいろ資格持っているんだから、今までの経験全て駆使して頑張りなさい」
先生はいつも、心が苦しかったり辛かったりした時に、いろいろな可能性を広げる道をあの手この手で示してくれる。
私の勉強した事は無駄じゃない。今こそ試せる機会だと、背中を押してくれた。
幸いにして、人生の師とした先生の1人にシェフがいる。このシェフから徹底して習ったのが火加減と塩加減、そして素材に向き合う心だった。
その後、様々な経験を積んでいろいろな事ができる様になっていたが、自分のやってきた事と持っている知識を、資格を取る事で裏付けした方が良いと、先ほど話した病院の先生に後押しされて、薬膳・野菜・発酵について3つの資格を取った。
これら全てを使える機会だと言ってくれたのだ。
オカンに美味しく食べてもらう為にも、ここは奮起して頑張るしかない。
その日から、咀嚼困難に対応して、お粥のロカボ炊きによる、免疫力、体力、栄養、薬膳(素材による身体への良い影響)を考えた料理が始まった!
私は結構ズボラな性格なので、何かに書いて残しておかないと何を作ったか忘れてしまう。一覧を残すなら、小説の様な感じでレシピを載せていきたいと考え、記していこうと思う。
読んで下さって、ありがとうございます。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、教えて頂けましたら幸いです。




